鳩の繁殖期はいつ|資料ごとの書き方と、ドバトの繁殖の長さ

農林水産省の鳥獣被害防止マニュアルは、ハト類の繁殖期を4〜10月とし、暖かい地方では1年中繁殖すると書いています。大阪府と堺市は、ドバトが早春から初冬まで何度も子育てをすると案内し、横浜市は繁殖期を1年中、年に数回産卵するとしています。資料によって幅があるため、特定の月だけを繁殖期と決めず、年間を通じて点検する前提で考えるのが現実的です。

つまり、ドバトの繁殖は「春だけ」ではありません。一度巣立った後も、同じ場所や近くで次の巣作りが始まる可能性があります。巣立ち後の撤去と再発防止が、次の繁殖を防ぐ要になります。

鳩の繁殖期はいつ|資料ごとの書き方と、ドバトの繁殖の長さ:確認項目
資料対象繁殖期の書かれ方
農林水産省 鳥獣被害防止マニュアル(ハト類)ドバト・キジバト繁殖期は4〜10月。暖かい地方では1年中繁殖する
大阪府、堺市ドバト繁殖期は長く、早春から初冬まで何度も子育てをする
横浜市ドバト繁殖期は1年中。年に数回産卵し、通常の産卵数は2個
福岡県の身近な生きもの図鑑キジバト繁殖期は春から夏。そのほかの季節でも繁殖することがある
バードリサーチ(キジバトの解説)キジバト繁殖期間は長く、場所によっては1年中繁殖が見られる。地域で繁殖のピークが違う

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 鳥類編(令和6年3月版)ハト類

読者の疑問

鳩の産卵時期はいつですか?

比較ガイド

資料により、4〜10月(暖かい地方は1年中)、早春から初冬、1年中と書き方が分かれます。ドバトは年に何度も産卵するため、特定の月に限らず、巣作りの兆候を年間を通して点検します。

ドバトとキジバトの違い|首の模様・鳴き声・巣の場所

ベランダや庭に来る鳩は、ドバトとキジバトの2種類のことがあります。繁殖の時期や巣の作り方が少し違うため、どちらかを見分けておくと、巣の探し方が変わります。福岡県の身近な生きもの図鑑は、キジバトの首に黒褐色と灰色の縞模様があり、ドバトにはこの模様がないと説明しています。

見分け方の詳しい手順は、ベランダのハトはドバトかキジバトかにまとめています。どちらの鳩でも、卵やヒナのいる巣を許可なく撤去できない扱いは同じです。

ドバトとキジバトの違い|首の模様・鳴き声・巣の場所:確認項目
比べる点ドバトキジバト
見た目色や模様の変異が大きい。首に縞模様がない首に黒褐色と灰色の縞模様。肩や翼の羽の縁が淡い茶色で、キジの雌に似た模様
鳴き声「ポロッポー」とテンポよく鳴く「デーデーポッポー」とゆっくり鳴く
行動基本的に群れで生活する1羽か2羽でいることが多い
巣の場所ビルや橋、マンションのベランダなど、雨のかからない棚状の場所林や公園、庭木、街路樹の枝。小枝を組んだ皿状で、建造物にも作ることがある
産卵数通常2個(横浜市)通常2卵(バードリサーチ)
かえるまで・巣立ちまで卵は16〜18日でかえり、ヒナは約30日で巣立つ(大阪府、堺市)抱卵14〜16日、育雛14〜17日(バードリサーチ)

参考:福岡県 生物多様性情報総合プラットフォーム|身近な生きもの図鑑・キジバト

産卵から巣立ちまでの流れ|ドバトとキジバトの日数の目安

ドバトについて、大阪府と堺市は、卵は16〜18日でかえり、ヒナは約30日で巣立つと案内しています。横浜市は、孵化から巣立ちまでを約30〜40日、通常の産卵数を2個としています。卵がかえるまでの日数と、ヒナが育つ日数を足すと、産卵から巣立ちまでは約1か月半が目安になります。

ドバトの流れ

ドバトは、雨のかからない棚状の場所に巣を作り、卵を産み、卵がかえった後にヒナが巣の中で育って巣立ちます。ヒナが巣から落ちた場合、堺市は、親鳥が近くにいるため何もせずそのままにし、直接触らないほうがよいと案内しています。

  • 巣作り:室外機の下や裏、ベランダの隅など、雨のかからない棚状の場所を選ぶ
  • 産卵:通常2個(横浜市)
  • 抱卵:卵は16〜18日でかえる(大阪府、堺市)
  • 育雛:ヒナは約30日で巣立つ(大阪府、堺市)。横浜市は孵化から巣立ちまで約30〜40日
  • 巣立ち後:繁殖期が長く、次の巣作りが始まる可能性がある

キジバトの流れ

バードリサーチの解説は、キジバトの一腹卵数は通常2卵で、雌雄ともに抱卵し、抱卵期間は14〜16日、育雛期間は14〜17日だと説明しています。巣は小枝を組み合わせた粗い皿状で、造巣に要する時間は4日程度とされています。長い繁殖期の間に何回も繁殖し、場所によっては1年中繁殖が見られるとも書かれています。

参考:堺市|カワラバト(ドバト)でお困りの方へ

繁殖期に見られる行動|鳴き声・小枝運び・同じ場所への居座り

資料に書かれた行動から、巣作りの手がかりになるものを挙げます。ただし、鳴き声や行動だけで、繁殖がどこまで進んでいるかは判断できません。巣を撤去する前には、巣の中に卵やヒナがいないか必ず確認する必要があると、大阪府が案内しています。一方で、観察のために巣へ近づきすぎたり、巣を触ったりすることは避けてください。

鳴き声から分かること

福岡県の図鑑は、キジバトが「デーデーポッポー」とゆっくり、ドバトが「ポロッポー」とテンポよく鳴くと説明しています。バードリサーチは、キジバトの求愛行動として、喉を膨らませておじぎをするような動きに合わせて「クゥー」といった声を出すと解説しています。鳴き声は種類の見分けや求愛の手がかりにはなりますが、鳴き声だけで産卵の有無までは分かりません。

小枝運びと居座りの見え方

キジバトの巣は小枝を組み合わせた粗い皿状で、造巣は4日程度とされています。ドバトについて堺市は、家の人の出入りが少ない場所、特にエアコン室外機の下や裏を選んで巣を作ることがあると案内しています。新宿区は、ハトは三方が囲まれた場所を好み、そこに巣を作ることが多いと説明しています。小枝を運ぶ姿の見方は、ハトが小枝を運んでいるときの確認にあります。

  • 小枝をくわえて、同じ場所へ繰り返し来る
  • 夜にも同じ場所にいる(堺市は、夜にずっといる場所に剣山を置く方法を案内)
  • 室外機の下や裏、ベランダの隅など、人の出入りが少ない棚状の場所に居座る

参考:バードリサーチ|Bird Research News キジバト(2006年8月)

時期別にできる対策とできない対策|巣作り前・産卵後・巣立ち後

対策は、巣作りの段階で意味が変わります。まず、卵やヒナの有無を基準にします。大阪府は、巣の中に卵やヒナがいない場合は撤去できる一方、いる場合は撤去できず、巣立ちまで見守って巣立ち後に撤去するよう案内しています。卵やヒナを許可なく損傷・殺傷することは、法律に触れるおそれがあるとも書かれています。環境省も、鳥類の卵の採取等を原則として禁止しています。

次の表は、段階ごとに、できる対策とできない対策を並べたものです。線引きは、大阪府、堺市、横浜市、環境省の案内でそろっている部分だけを表にしました。地域の運用の違いは、鳩の駆除と法律で確認できます。

時期別にできる対策とできない対策|巣作り前・産卵後・巣立ち後:確認項目
段階できることできないこと資料の根拠
巣作り前(飛来、手すりに止まる)止まり場と入口を減らす(手すりのテグス、ネット、剣山)。餌やりをやめる。ベランダを掃除する管理規約で制限された設置(管理者の承諾が必要な場合がある)大阪府、横浜市、堺市
巣作り中(卵はまだない)巣材を取り除く。大阪府と横浜市は、巣作りを始めたらすぐ取り除くよう案内卵の有無を確かめずに撤去する大阪府、横浜市
産卵後・ヒナがいる間巣立ちまで待つ。巣に近づかず、掃除や次の対策の準備を進める巣の撤去、卵やヒナの処分、親鳥の捕獲を許可なく行う大阪府、堺市、環境省
巣立った後巣材を取り除いて掃除し、再び巣を作らせない対策を付ける巣立ちを確認する前に撤去する大阪府、堺市
使われていない古い巣(卵もヒナもいない)撤去できる。堺市は、撤去した巣はごみとして処分するよう案内「空だろう」と思い込み、巣の中を確かめずに撤去する大阪府、堺市
対策しても被害が続く自治体の窓口に、捕獲許可が必要かを相談する許可を得ずに捕まえる、卵を取り捨てる大阪府、堺市、環境省

参考:大阪府|野鳥が巣を作ったときの対応

月別カレンダー|資料の記載と、点検・対策を入れる目安

月ごとの動きは、地域や個体で差があり、資料でも書き方が分かれます。次の表は、資料の記載を並べたうえで、点検や対策を入れる時期の目安を「当サイトの整理」として示します。巣立ちの確認や撤去の判断は、暦ではなく、卵やヒナの有無で決めてください。

月別カレンダー|資料の記載と、点検・対策を入れる目安:確認項目
時期資料の記載点検・対策の目安(当サイトの整理)
12月から2月大阪府は「早春から初冬」と案内。農林水産省は、暖かい地方では1年中繁殖するとし、横浜市も繁殖期を1年中とする新しい巣や小枝の運び込みがないかを確認し、止まり場と入口の対策を整える。賃貸や集合住宅は、管理者の承諾を済ませる
3月から4月大阪府の「早春から」の記載に重なる時期。農林水産省は4月から繁殖期とする巣作りの兆候(小枝、居座り)を週に数回見る。巣材が置かれたら、卵がないことを確かめて取り除く
5月から9月農林水産省の繁殖期(4〜10月)の中心。福岡県は、キジバトの繁殖期を春から夏とする卵やヒナの有無を離れて確認し、いる間は撤去せず巣立ちを待つ。巣立ったら撤去と掃除を進める
10月から11月農林水産省の繁殖期は10月まで。大阪府は「初冬まで」と案内巣立ち後の撤去と掃除、翌年に備えた再発防止の対策を済ませる

参考:大阪府|ドバトでお困りの方へ

繁殖期に入る前に済ませたい点検

繁殖期が長い鳩に対しては、巣を作られる前の点検が欠かせません。新宿区は、ハトは安全と認識した場所に巣を作るため、巣を作らせないための対策を事前に行うよう案内しています。巣を撤去しても対策がなければ、同じ場所に再び棲みつく可能性が高いとも説明しています。自分でできる範囲は鳩駆除を自分でする方法、止まり場や入口をふさぐ道具の選び方は鳩対策グッズの種類と選び方で整理しています。

ベランダ・室外機まわりの点検

堺市は、人の気配を感じさせるために、ベランダや庭に頻繁に出て人間がいることをアピールするよう案内しています。新宿区も、人が毎日ベランダに出入りして、ハトに人がいることを認識させる方法を挙げています。

  • 室外機の下や裏、ベランダの隅に、雨のかからない棚状の場所がないか(大阪府、堺市)
  • 使わない家具やタイヤなどの不要物が、置かれたままになっていないか(堺市)
  • 手すりの上面に、鳩が止まれる平らな面が残っていないか(大阪府のテグス法)
  • ふんが残っていないか。大阪府は、ふんがあると安全な場所と判断してますます集まると説明

ふんの片付けと体調

堺市は、ふんを片付けるときは、まず水で流すか、流せない場合も一度水に濡らして、飛散しないようにして片付けるよう案内しています。同じページは、乾燥したふんを吸い込むことによる病気を心配する声があると紹介しています。咳や発熱など体調の変化が気になるときは、医療機関や保健所へ相談してください。卵やヒナのいる巣を見つけたときの扱いは、巣に卵やヒナがあるときの確認にまとめています。

参考:新宿区|ハトに棲みつかれないために