キョンが食べる植物|庭の花壇・家庭菜園・畑で報告されている被害
キョンの食害は、公的資料では農作物と園芸植物の両方で報告されています。千葉県は、被害が野菜を中心に、水稲、豆類、イモ類、果樹、特用林産物など多岐にわたると説明し、住宅地周辺では花壇の花や植木を食べられる被害も出ているとしています。農林水産省の資料は、水稲、いも類、マメ類、ダイコン、ブロッコリー、アシタバのほか、パンジーやツバキの花など園芸植物の食害も多いと記しています。
東京都の伊豆大島では、家庭菜園や庭の草花、植木への食害が報告されています。茨城県の案内も、房総半島や伊豆大島での被害として、アシタバやサツマイモ、トマトなどの野菜、ミカンなどの果実、キク、タケノコ、イネを挙げています。庭の被害でも、花だけでなく野菜や果樹が食べられる可能性を前提に、植えているものを一度書き出しておくと、柵で囲う範囲を決めやすくなります。
農林水産省の資料は、キョンが草食性で葉の部分も食べるため、植え付けのときから防除が必要だと述べています。収穫期だけ囲うのでは遅く、苗の時期から柵やネットで守る考え方です。キョンの高密度地域では、庭に入り込まれないように玄関の門にまでネットをかけている例も紹介されています。
キョン対策の柵は何cm必要ですか?
農林水産省の資料は、侵入防止柵の高さを85cm以上としています。ただしキョンはまず柵の下から潜り込もうとするため、地際をペグなどで固定し、網目を細かくすることが同じくらい大切です。
キョン対策の柵・ネットで確認する点|高さ・地際・網目・電気柵
農林水産省の資料に沿って、柵やネットで確認する点を4つに分けます。数値は資料に書かれた目安で、設置する場所や使う資材によって調整が必要です。すでに塀やフェンスがある庭では、下側のすき間から先に点検すると、手を入れる場所を絞れます。柵の高さ・固定・点検の基準は、ワイヤーメッシュ柵の公的な基準を整理した記事で、畑や家庭菜園での柵の選び方は、イノシシ対策を畑と家庭菜園で進める記事で確認できます。
高さは85cm以上|80cmを垂直に跳べる前提
農林水産省の資料は、キョンが80cmを垂直にジャンプできることから、侵入防止柵の高さを85cm以上にするとしています。高さが足りている柵でも、下側のすき間がキョンの体の大きさに対して広くないかを、あわせて見ておきます。
地際は固定する|ペグ・単管パイプ・結束バンド
同じ資料は、キョンがまず柵の下から潜り込もうとすると述べ、地際をペグなどでしっかり止めるか、単管パイプを地面に這わせて結束バンドで固定するなどして、潜り込ませないようにすると説明しています。地面に凸凹がある庭や、斜面の裾、既存のフェンスの継ぎ目は、すき間ができやすい場所です。
網目は細かく|メスは8cmのネットを通ることがある
角のないメスは、8cmメッシュのネットを通過することもあるとされ、資料はそれより小さい網目を使うよう示しています。一方でオスは角や牙がネットに絡まりやすく、絡まりによる柵の破壊を避けるためにも、細かい網目のものを選びます。絡まった個体を見つけたときは、自分で外したり持ち帰ったりせず、県や市町村へ連絡します。
電気柵を使うとき|段数と間隔、安全対策
農林水産省の資料は、電気柵は20cm間隔の2段張りでもある程度の侵入防止効果が見込めるが、10cm間隔の4段張りの方が効果的だとしています。ただし電気柵は感電事故につながるおそれがあります。上田市は、30ボルト以上の電源から給電する場合はPSEマーク付きの電源装置を使い、漏電遮断器を設置すること、危険表示を見やすい位置に掲げること、設置後も周辺の草刈りや点検を続けることを案内しています。家庭の庭で使うときは、製品の説明書と自治体の案内に従ってください。
| 確認点 | 資料にある数値・考え方 | 庭で見るときのポイント |
|---|---|---|
| 高さ | 85cm以上(キョンは80cmを垂直に跳べる) | 既存の塀やフェンスの最も低い部分を測る |
| 地際 | ペグで固定、または単管パイプを這わせて結束バンドで固定 | 地面の凸凹、斜面の裾、柵の継ぎ目を見る |
| 網目 | 8cmメッシュはメスが通ることがあり、それより細かくする | ネットの端と地面の間にすき間がないか確かめる |
| 電気柵 | 20cm間隔の2段でもある程度の効果、10cm間隔の4段がより効果的 | PSEマーク付き電源、漏電遮断器、危険表示、草刈りと点検 |
| 出入り口 | 高密度地域では玄関の門までネットをかけている例がある | 門扉や勝手口の下側のすき間を確認する |
参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル【中型獣類編】コラム キョンによる被害とその特徴(PDF、2026年10月3日確認)
柵だけに頼らない|餌になるものと隠れ場所を減らす庭の管理
千葉県のキョン防除実施計画は、農作物被害を減らすには、収穫しない野菜や果物の処分・伐採、荒廃農地の解消などで、キョンを集落に寄せつけない環境づくりが必要だとしています。庭に置き換えると、収穫しきれずに残った野菜、落ちた果実、手入れされていない植木や草むらを減らすことが、柵と並ぶ対策になります。
同じ計画は、柵の維持管理や現場での指導のために、県が有害獣対策指導員を配置し、定期的に巡回して地元の住民や農林業者に指導することも記しています。柵の設置方法や点検の仕方に迷うときは、市町村の農政担当や県の窓口に、指導を受けられるかを尋ねてみてください。
東京都のキョン防除実施計画は、伊豆大島でキョン排除柵の内外を比べたところ、柵の内側で植物の種数や被度の増加が大きく、希少植物の生育状況も改善したと報告しています。柵の効果を示す例ですが、島内の森林での調査で、家庭の庭にそのまま当てはまるわけではありません。庭では、柵に加えて餌を減らす管理を組み合わせます。
- 収穫しない野菜や落ちた果実を放置せず、早めに片付ける
- 花壇や植木は、食べられやすいものから柵の内側に集める
- 隣接する草むらや荒れた空き地は、管理者に相談する
- 物置や資材置き場のまわりのすき間も、庭の物置の害獣予防の点検と合わせて確認する
キョンの捕獲は誰が行うのか|県・市町村の防除と許可捕獲、資格の違い
千葉県のキョン防除実施計画は、キョンの捕獲を、外来生物法に基づく防除と、鳥獣保護管理法に基づく許可捕獲の両方を活用して行うと説明しています。千葉県の公示では、防除の主体は千葉県、内容は銃及びわな等による捕獲、期間は令和8年4月1日から令和13年3月31日まで、区域は千葉県全域とされ、いすみ市、勝浦市、君津市など多くの市町村が防除の一部を行います。個人の庭で起きた被害でも、捕獲そのものは、こうした行政の枠組みか、許可を受けた従事者が担います。
| 項目 | 外来生物法に基づく防除 | 鳥獣保護管理法に基づく許可捕獲 |
|---|---|---|
| 目的 | 特定外来生物による生態系・人の生命身体・農林水産業の被害の防止。被害が出ていない段階の予防的な捕獲や、完全排除を含めた防除ができる | 野生鳥獣による生活環境・農林水産業・生態系の被害の防止など。外来鳥獣は、被害が出る前でも許可の申請ができる |
| 従事者の管理 | 県または市町村が従事者証を作成し、従事者台帳で管理する | 許可権者が従事者証を作成する |
| 狩猟免許を持たない人 | 適切な捕獲と安全の知識・技術があると認められれば従事者に含められる(県や市町村の講習会を受講) | 原則として、わなの設置や止めさしはできない(見回りや餌の設置は可能) |
| 禁止猟法の使用 | 使用できない | 許可を受ければ可能 |
個人が捕まえて運ぶ・飼う・放すことはできない|外来生物法の規制
外来生物法は、キョンを含む特定外来生物の飼養、保管又は運搬などを原則として禁じています。キョンはこの特定外来生物に指定されているため、生きた個体を庭で保護して飼う、車で運ぶ、知人に譲るといった行為は、善意であっても規制の対象になります。野外へ放すことも原則として禁じられています。
千葉県の防除実施計画は、防除の中で、止めさし等の目的で必要があってキョンを生きたまま保管・運搬等する場合は、外来生物法に基づく保管・運搬等の規制を適用しないとしています。これは行政の防除に限った取り扱いで、一般の個人に認められたものではありません。罠にかかった個体や弱った個体を見つけても、持ち帰らず、県や市町村へ連絡するのが基本です。他の特定外来生物を含む法律の整理は、アライグマ駆除の法律と許可を扱った記事で比べられます。
自治体別の窓口と制度の比較|千葉県・東京都(伊豆大島)・茨城県
窓口と制度は、キョンの定着状況に合わせて自治体ごとに違います。次の表は、2026年10月3日に開いた各自治体の公式ページと案内の記載をまとめたものです。金額や条件は変更されることがあります。申請や相談の前に、最新の案内を確認してください。
| 自治体 | 公式ページが示す状況 | 窓口 | 個人向けの制度(2026年10月3日確認) |
|---|---|---|---|
| 千葉県 | 房総半島で定着し、県中南部の17市町で繁殖が確認されている。防除は県と市町村が実施(令和8年4月1日〜令和13年3月31日、区域は県全域) | 環境生活部自然保護課 鳥獣対策班(043-223-2936) | 県のキョンのページに、個人向けの報奨金の記載は見当たらなかった。市町村ごとの制度は各市町村へ確認する |
| 東京都(伊豆大島) | 大島全域が防除区域。推定生息数は12,707頭(令和7年末、中央値) | 総務局大島支庁土木課 大島公園事務所 キョン報奨金担当(04992-7-5529) | 島内在住で自宅の敷地等にわなを置ける人向けの捕獲報奨金(1個体の回収につき8,000円)。LINEでの目撃報告 |
| 茨城県 | 確認個体は6例(2026年6月4日時点)で、すべてオス。農作物被害・生活環境被害の報告はなく、侵入の初期段階とされる | 県民生活環境部 環境政策課 生物多様性センター(029-301-2940) | 目撃情報提供の褒賞金(1情報2,000円。画像・動画と位置情報が必要)、捕獲の褒賞金(1頭3万円。狩猟免許所持者で市町村の有害鳥獣捕獲許可を受けた人など) |
報奨金の条件を読む|誰が、どの手続きで、何をすると支払われるか
東京都の伊豆大島の制度は、島に住み、自宅の敷地などにわなを置ける人が対象で、設置した張り網・箱わなの見回りと捕獲の通報が交付条件です。キョン1個体の回収につき8,000円(所得税を差し引いた額を振込)が、令和7年9月8日から支払われています。参加申請と土地所有者の承諾書が必要で、申請書類は大島支庁などで配布されています。
茨城県の捕獲褒賞金は、狩猟免許の所持者のうち、県内の市町村から有害鳥獣捕獲許可を受けた人(その人たちで構成する団体を含む)が対象で、申請には捕獲位置の図と、捕獲日をペイントした個体の写真などが求められます。目撃情報の褒賞金は、県内で撮影したキョンの画像や動画と位置情報を、申請書とともに環境政策課へ送る仕組みです。
対象者も条件も違うため、金額だけで比べず、誰が、どの手続きで、何をすると支払われるのかを、各自治体の案内で確認してください。千葉県の市町村独自の補助は、各市町村の農政・環境の担当に確認が必要で、相談先の使い分けは、千葉県の害獣駆除・害虫駆除の相談先の記事にまとめています。狩猟免許・捕獲許可・講習の違いは、害獣の罠に資格は必要かを整理した記事も参考になります。
キョンが出る地域でのマダニ・ヤマビルへの注意
ダニやヒルによる吸血は、野生動物が出入りする庭や草地で作業するときに気をつけたい被害です。公的資料で確認できた範囲を、ヤマビルとマダニに分けて整理します。
ヤマビル|庭仕事中にも吸血される例がある
茨城県は、房総半島ではキョンやニホンジカ、イノシシなどの哺乳類にヤマビルが寄生して増殖し、山間地だけでなく、人家で庭仕事をしているときにも吸血されることがあると説明しています。千葉県のヤマビル対策マニュアルによると、ヤマビルの活動期は4月から11月で、特に雨の最中や雨のあとに活発になり、感染症を媒介することはないとされています。吸血されても痛みに気づきにくく、血がなかなか止まらないことがあるため、庭仕事のあとは足元や衣服を確認します。
マダニ|草むらや藪に入るときの注意
マダニについて、厚生労働省は、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)が主にウイルスを保有するマダニを介して感染する病気で、草むらや藪などマダニが多く生息する場所に入るときは肌の露出を少なくすることが大事だとしています。マダニに吸血されたときは、無理に引き抜こうとせず、皮膚科などを受診して除去してもらうよう案内しています。今回開いた資料に、キョンがマダニを運ぶと明記したものは見つかりませんでしたが、草むらや藪に入るときの注意は、キョンが出る地域でも変わりません。庭への野生動物の出入りとマダニの関係は、マダニの生息場所と野生動物の関係を整理した記事にまとめています。
ダニやヒルに吸血されたあとの体調の変化は、自分で判断せず、医療機関や保健所に相談してください。
キョンの目撃情報の提供方法|写真・場所・日時を伝える
キョンを見かけたときの連絡先は、自治体によって違います。東京都は、LINEアプリで大島のキョンの目撃情報を簡単に報告・確認できるサービスを案内しており、集まった情報はわなの設置などの取り組み強化に活用するとしています。茨城県は、県内で撮影した画像・動画を位置情報とともに提供してもらうことで、生息情報を集め、捕獲を早めに進めて完全排除を目指すとしています。千葉県は、県の鳥獣対策班と市町村が防除を担うため、まずその窓口へ連絡します。
| 伝える項目 | 書き方の例 | 注意 |
|---|---|---|
| 日時 | 見た日と時刻、どのくらいの時間見たか | 同じ場所に繰り返し来るなら、その日付も残す |
| 場所 | 住所または地図上の位置、周辺の目印 | 茨城県の案内は、場所が分かる背景が入る撮影と位置情報を求めている |
| 姿 | 全身の写真・動画。オスかメスか(角の有無) | 近づいて撮らず、離れた位置から撮影する |
| 数・行動 | 1頭か複数か、何を食べていたか | 餌付けや追い立ては避ける |
| 被害 | 食べられた植物、足跡、食べ跡 | 写真に日付が分かる物を入れておくと整理しやすい |







