スズメバチが毎日来る理由|餌場・巣材・近くの巣の3パターン
スズメバチが毎日来る理由は、大きく3つに分けられます。1つ目は、庭木の樹液や熟した果実、虫が出す甘い汁など、餌のある場所に通っているケース。2つ目は、木の幹や柵をかじって巣の材料を集めているケース。3つ目は、近くに巣があり、巣と餌場を往復しているケースです。実際には重なることもあり、1匹の動きだけで決めつけません。
見分ける手がかりは、蜂が何をしているかと、どこから来てどこへ戻るかです。樹液を舐めていれば餌場、幹や板に止まってかじっていれば巣材、数が急に増えたり一定の方向へ飛んだりしていれば巣の近くを疑います。森林総合研究所のパンフレットも、あたりを飛ぶ蜂の数が急に多くなったり、一定の方向に飛ぶようになったりしたら、そばに巣があるおそれがあると注意を促しています。
| パターン | 来る目的 | 目にするようす | 巣との関係 |
|---|---|---|---|
| 餌場に来ている | 庭木の樹液、熟した果実、アブラムシなどが出す甘い汁、人の飲み物や食べ物 | 葉や幹、果実に止まって舐める。1匹ずつ来て、しばらくして去る | 巣は別の場所にあることが多い。茂みの中に巣がある例もある |
| 巣材を集めている | 木の幹や樹皮をかじり取り、唾液でこねて巣の外皮にする | 木や柵に止まって、かじるような動きをする | どこかで巣作りの最中。巣の場所は、このようすだけでは分からない |
| 近くに巣がある | 巣と、餌場や巣材の場所を往復する | 同じ方向から来て同じ方向へ戻る。数が急に増える。周りをしつこく飛ぶ | 巣が近い可能性が高い。近づいて確かめず、記録と相談へ |
参考:国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所|森林レクリエーションでのスズメバチ刺傷事故を防ぐために(パンフレット・PDF)
スズメバチが毎日来るのは、近くに巣があるからですか?
巣が近いとは限りません。樹液や果実、甘い汁などの餌場に通っている場合や、巣材を集めている場合もあります。ただし、数が急に増える、同じ方向へ往復する、周りをしつこく飛ぶといったときは、巣が近いおそれがあります。
餌場に来ているときのようす|庭木の樹液・甘い汁・果実
九州大学の研究者のページには、庭木や生垣にスズメバチが来る理由が整理されています。ここでは、庭木や生垣のスズメバチが来る要因として、カメムシが吸った跡からしみ出る樹液、花以外の場所から出る蜜(花外蜜腺)、アブラムシなどが出す甘露の3つが挙げられています。花がなく虫もいないのに蜂が来る庭木では、こうした甘い汁が出ていないかを見ると、通ってくる理由の手がかりになります。
樹液・花外蜜腺・甘露に来る
同ページでは、樹液を好む例として、庭木や生垣に使われるプリペット、ネズミモチ、シマトネリコなどが挙がっています。モッコウバラの新芽の蜜や、コナラ・ウメなどの葉に付いた甘露を舐めに来る例もあります。庭木に虫が付いていないか、樹液がにじんでいないかを離れた場所から見ておくと、来訪の理由を考えやすくなります。
餌場に来る蜂への接し方
同ページは、巣がない限り、手で追い払うなどいきなり接触したり、50センチ以内まで近づきすぎたりしなければ、そっとしておいて危険はないとしています。一方で、オオスズメバチは良い餌場に人が急に近づきすぎると刺す可能性があるとも書いています。庭の手入れは、蜂がいる枝や葉から離れ、ゆっくり動くのが基本です。
巣材を取りに来る蜂|木の幹や柵をかじる姿
島根県の中山間地域研究センターのコラムは、スズメバチの巣の外皮が、付近の木の幹や樹皮などをかじり取り、唾液でこねて作られると説明しています。かじり取る材料の色によって、外皮にさまざまな模様が入るとも書かれています。庭の古い柵や木の支柱、立ち木の幹に蜂が止まってかじっているなら、巣材集めの可能性があります。
コラムは、営巣初期の女王蜂が巣材や幼虫の餌集めで巣を空けることにも触れています。巣材を集める蜂が来るということは、どこかで巣作りが進んでいるサインです。ただし、かじっている場所と巣の場所は一致しないことが多く、蜂がかじっている場所を調べても巣は見つかりません。蜂がいる間は近づかず、数の増え方と飛ぶ向きを記録に残します。
近くに巣があるサイン|同じ方向へ往復・数の急増を記録する
森林総合研究所のパンフレットは、スズメバチの巣のありかは気づきにくいとしたうえで、あたりを飛ぶ蜂の数が急に多くなったり、一定の方向に飛ぶようになったりしたら、そばに巣があるおそれがあるので注意するよう書いています。同じパンフレットによると、巣作りは5月ごろに女王蜂が1匹で始め、夏から秋にかけて働き蜂が増えるほど攻撃性も危険性も高まります。
ここで大切なのは、巣を探しに近づかないことです。観察は、窓や玄関の中、あるいは離れた場所から、数日にわたって行います。記録は、時刻、蜂の数、飛んできた方向と戻る方向、蜂のようす(樹液を舐める、かじる、周りを飛ぶ)の4つがあれば足ります。
記録を数日分並べて、同じ方向への往復が続いている、数が増えている、人の通る場所の近くで警戒するようすがある、のいずれかに当てはまれば、巣が近い可能性を前提に、自治体や協会へ相談します。スズメバチらしいハチが出入りするときの相談で、巣を探しに近づく前に伝える内容を整理しています。
| 記録する項目 | 書き方の例 | 分かること |
|---|---|---|
| 日付と時刻 | 10月3日、午前9時ごろと午後3時ごろ | 来る時間帯に決まりがあるか |
| 見かけた数 | 同時に1匹、2匹、3匹以上 | 日ごとに増えているか。急な増加は巣が近い手がかりになる |
| 飛んできた方向と戻る方向 | 庭の東側の植え込みから来て、同じ方向へ戻る | 往復しているなら、巣がその方向にある手がかり |
| 蜂のようす | 樹液を舐めている、幹をかじっている、周りを飛ぶ | 餌場、巣材、警戒のどれに近いか |
| 見かけた場所 | 玄関前、ベランダの手すり、物干し | 生活の動線と重なっているか |
参考:国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所|森林レクリエーションでのスズメバチ刺傷事故を防ぐために(パンフレット・PDF)
警戒・威嚇のサイン|周りを飛ぶ、空中で止まる、あごを鳴らす
林野庁の資料は、蜂はいきなり無差別に人を攻撃するわけではなく、スズメバチの攻撃には4つの段階があると説明しています。巣への接近に対する警戒、威嚇、巣への間接的な刺激に対する攻撃、巣への直接的な刺激に対する攻撃の順です。
森林総合研究所のパンフレットは、外敵が巣に近づいたときに「これ以上近づくな」という意味でとる行動として、相手の周りをしつこく飛ぶ、相手に狙いをつけて空中で止まる、あごをかみ合わせてカチカチと音を立てる、の3つを挙げています。こうした行動を見たら、できるだけじっとして、蜂が飛び去るのを待つよう書かれています。
カチカチという音は、蜂の羽音に紛れて聞き落とすこともあると、九州大学のページが指摘しています。音が聞こえなくても、周りを飛ぶ、空中で止まるといった動きがあれば、同じ警戒として扱います。
| 段階(林野庁の整理) | 蜂のようす | こちらの動き |
|---|---|---|
| 警戒 | 巣の出入口にいる蜂が近づいた人や動物を注視し、一部が巣を離れて周囲を飛び回る | 近づくのをやめて、静かに距離をとる |
| 威嚇 | 巣を離れた蜂が人に接近し、高い羽音で上下左右にまとわりつくように飛ぶ | 手で払わず、じっとして蜂が離れるのを待つ(森林総合研究所) |
| 間接的な刺激への攻撃 | 威嚇を無視したり、巣に震動を与えたりすると、巣内から多くの蜂が飛び出す | ここまで進めない。巣に振動を与えない |
| 直接的な刺激への攻撃 | 巣を直接刺激したり破損したりすると、威嚇なしに多くの蜂が一斉に飛びかかる | 巣に触れない。逃げられるなら遠くへ離れる |
出会ったとき・体に止まったときの行動|静かに離れる
出会ったときの行動は、公的な資料のあいだで大きく一致しています。急な動きをしない、手で払わない、静かに離れる、の3つです。
周りを飛ばれたとき
九州大学のページは、警告音を出されたら走って逃げたりせず、落ち着いて普通に歩くような速度で後ろへ下がりながら距離をとるよう案内しています。森林総合研究所は、つい手で振り払いたくなるが、素早い動きをすると蜂が攻撃してくるおそれがあると注意しています。
腕や肌に止まったとき
森林総合研究所は、クロスズメバチやキイロスズメバチなどが、人の汗、弁当、ジュースのにおいに引かれて寄ってくることがあり、警告の行動をとらずに肌や食べ物の上に止まろうとするとしています。この場合も、強く手を振らず、そっと払うよう案内しています。
襲われたとき・刺されたとき
巣に気づかずに近づいて襲われた場合は、逃げられるならできるだけ遠くへ逃げ、手を振らず、少し身をかがめ気味に逃げるとされています。蜂が追いかける距離は、最も危険なオオスズメバチでも80mくらいといわれています。逃げられないときは、首から上を服などで隠して身をかがめ、少しずつ遠ざかります。刺されたあと、じんましん、吐き気、息苦しさなど全身の症状が出たら、一刻も早く医療機関で手当てを受けてください。
参考:国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所|森林レクリエーションでのスズメバチ刺傷事故を防ぐために(パンフレット・PDF)
庭やベランダで蜂を寄せつけない|果実・飲み残し・ごみを減らす
餌場に来る蜂は、庭にある餌が減れば、来る回数も減るかもしれません。アース製薬の解説は、スズメバチが昆虫やクモを狩るほか、人が残したジュースや肉類に集まり、柿やぶどうなどの熟した果実も食べると説明し、バーベキューやガーデニングの前に蜂がいないかを確認するよう勧めています。森林総合研究所も、汗、弁当、ジュースのにおいに引かれる蜂がいると書いています。
庭やベランダでできる見直しは、熟した果実や落ちた実を放置しない、飲み残しの缶やペットボトル、こぼれた甘い飲み物をそのままにしない、生ごみや調理くずのふたを閉める、の3つです。落ちた果実の片付けはハクビシンに庭の果実を食べられるときの取り残しを減らす手順、ごみ置き場の点検はごみ置き場のネズミ対策にも同じ考え方があり、蜂以外の動物を寄せないことにも役立ちます。春の女王蜂への備えはスズメバチの罠の時期にまとめています。
- 庭木や果樹の熟した果実、落ちた実は早めに片付ける
- 飲み物の缶やペットボトル、こぼれた甘い液を屋外に置きっぱなしにしない
- 生ごみ、調理くず、ペットの餌のふたを閉め、置き場の周りを拭く
- 庭木に樹液がにじんでいないか、アブラムシなどが付いていないかを、離れた場所から見る
巣が見つからないとき・見つけたときの相談先
巣が見つからないまま蜂が毎日来る場合、志木市は、スズメバチは餌を探していろいろな場所に現れ、巣が見つからなければ餌を探していずれいなくなることも多いので、何日か様子を見るよう案内しています。そのうえで、巣を見つけたときは市の窓口へ連絡するとしています。上の記録表をつけながら様子を見て、数が増えたり同じ方向への往復が続いたりするようなら、様子見を終えて相談に切り替えます。
相談先は、市区町村の環境・衛生・保健所の窓口と、都道府県ごとのペストコントロール協会が基本です。日本ペストコントロール協会は、全国47都道府県に地区協会があり、害虫相談所で電話などによる相談を無料で受け付けていると案内しています。現場調査や防除施工が必要な場合は原則有料で、内容に応じた事業者を紹介することもできるとされています。自治体によって、市が駆除する、補助を出す、案内にとどまると対応が違うため、窓口で駆除の可否や補助の有無も確認します。
費用の見積もりの見方はハチの巣駆除の費用を比べる記事にまとめています。蜂の種類と巣の形の違いは蜂の巣の種類を形で見分ける記事が参考になります。




