近づかずに見分ける4つの観点|外皮・模様・巣穴・場所

蜂の巣の種類を見分けるときは、飛んでいるハチより、巣の形を見る方が確実です。所沢市は、飛んでいるハチを見ても種類を特定しにくいので巣の形状から判断するよう案内し、巣の形状を観察する際に近づきすぎるのは危険で、近づけない場合は無理をせず専門業者に頼むよう求めています。判断は、外皮、模様、巣穴、場所の4つの観点で行います。

外皮は、巣の外側を覆う壁のことです。スズメバチの巣は外皮に包まれているため、内側の巣穴は外から見えません。アシナガバチの巣は巣穴がむき出しで、下から見るとたくさんの穴が見えます。ここが、種類を分ける最も大きな違いです。ミツバチは、松戸市が説明するように奥まった場所に巣を作るため、巣そのものが直接見えることはほとんどありません。

巣の形は、巣ができた場所によって多少変形します。所沢市もこの点を注意しています。1つの観点だけで決めず、2つ以上がそろうかを見てください。次の表は、各自治体の説明を観点ごとに並べたものです。

近づかずに見分ける4つの観点|外皮・模様・巣穴・場所:確認項目
観点スズメバチアシナガバチミツバチ
外皮(外側の殻)あり。巣穴は外から見えないなし。巣穴がむき出し巣は奥まった場所にあり、直接見えることはほとんどない
模様・色マーブル模様や縞模様の茶色い球形灰色から灰褐色の巣が多い(種類による)見えないことが多く、模様では判断しにくい
巣穴・出入口巣穴は見えず、出入口は通常1か所。付近に見張り役のハチがいる六角形の穴が下からたくさん見える。ハチが巣の表面に群がる小さなハチが多数、通気孔などの同じ出入口に出入りする
形球形(初期は徳利のような形)シャワーヘッド形、お椀型や茶碗をひっくり返した形、円盤状など外から見えないため、形では判断できない
場所軒下、庭木、生垣、屋根裏、壁の間、戸袋、土の中(種類による)軒下、庭木、窓枠、換気口、室外機など屋根裏、床下、樹洞、墓石の中など
使われる期間1年限りで、翌年は再利用されない1年限りで、翌年は再利用されない順調なら、翌年以降も数年同じ巣を使うことがある

参考:所沢市|ハチの巣を見かけたら

読者の疑問

蜂の巣が丸い形のとき、スズメバチですか?

比較ガイド

丸い形だけでは決められません。スズメバチの巣は外皮に包まれた球形で巣穴が見えませんが、川口市によるとセグロアシナガバチの巣も最盛期にはほぼ円形の円盤状になります。巣穴が下から見えるかどうかで分けて考えてください。

スズメバチの巣の特徴|球形・マーブル模様・出入口が1か所

スズメバチの巣は、ボールのように丸く、外側にマーブル模様や縞模様があり、ハチの出入口が1つという特徴で知られます。所沢市は、出入口付近に見張り役のハチがいることも特徴に挙げています。巣穴は直接見えません。見張り役らしいハチが出入口にいるのが分かったときは、それ以上近づかず、離れた位置から相談してください。

『丸い巣はスズメバチ』と決めないことも大切です。川口市は、セグロアシナガバチの巣が最盛期にはほぼ円形の円盤状になると説明しており、丸さだけでは区別できません。巣穴が見えるかどうかを、もう1つの手がかりにしてください。

軒下や庭木にできる巣

川口市によると、コガタスズメバチは主に木の枝や人家の軒下など開放空間に巣を作り、市内で最も多く見られる種類です。5月中旬から6月ごろの徳利を逆さにしたような初期の巣は、7月以降にほぼ球形になり、出入口は下から横にかけて1つ開き、最大で直径25〜30センチほどになります。キイロスズメバチも、開放空間ではコガタスズメバチとほぼ同じ形の巣を作ります。

屋根裏・壁の中・土の中にできる巣

川口市は、キイロスズメバチが屋根裏や壁の中などの遮蔽空間にも営巣し、活動が盛んな8月以降は、屋根裏の通気孔などから多数の働き蜂が出入りして気付くことがあると説明しています。モンスズメバチは樹洞、天井裏、壁間、戸袋などの閉鎖的な場所が多く、巣は鐘状で底が抜けているとされます。天井裏の巣では、巣の下に餌の残骸や死骸を捨てるため、天井にシミができて見つかることがよくあります。

オオスズメバチは、木の洞や土中に営巣し、普通は人家には営巣せず、土中の巣はほとんど見えません。球形の巣が見えないのに、同じすき間へ大きなハチが何度も出入りする場合は、閉じた空間に巣がある可能性があります。屋根裏の確認と駆除の順序は 蜂の巣が屋根裏にあるときの確認と駆除・封鎖の順序 で扱っています。

参考:川口市|ハチの巣の形・特徴及び巣の駆除について

アシナガバチの巣の特徴|巣穴が見えるシャワーヘッド形・お椀形

アシナガバチの巣は、六角形の巣穴(育房)がむき出しで、下から見るとたくさんの穴が見えます。所沢市は、茶碗をひっくり返した形で巣の表面にハチが群がると説明し、川越市はジョウロの先のシャワーのような形で、下から見上げると巣穴がたくさん見えると表現します。横浜市旭区も、おわん型で六角形の巣穴が多数見えるとしています。いずれも、外皮がなく巣穴が見える点が共通しています。

アシナガバチは種類によって、巣の形や色に違いがあります。秋田市は、人家やその周辺でよく見かける4種の巣を表のように紹介しています。この表は、秋田市の記載をまとめたものです。

秋田市が紹介する4種の巣は、灰色から灰褐色のものが中心です。ただし、色だけで決めず、巣穴が見えるかどうかと合わせて判断してください。大きさは、川口市によると、セグロアシナガバチの巣が最大で直径15センチ前後、フタモンアシナガバチは10センチ前後です。最盛期には、巣の上に無数の穴や白い幼虫が見えます。種類ごとの付き合い方は アシナガバチの巣を見つけたときの見守りと相談 にまとめています。

アシナガバチの巣の特徴|巣穴が見えるシャワーヘッド形・お椀形:確認項目
種類巣の形・色巣を作る場所
フタモンアシナガバチ横向きか下向きで細長い長円形軒下、庭木など
セグロアシナガバチ灰褐色で、平らな円形か不整円形軒下、木の枝など
キアシナガバチ灰色または灰褐色で、釣り鐘状軒下、庭木など
コアシナガバチ灰褐色で、舟形に反ったような形日当たりのよい軒下、低木など

参考:秋田市|衛生害虫(ハチ)

ミツバチの巣と、木の枝などにできる分蜂の塊の違い

ミツバチは、木の洞、人家の屋根裏や床下、墓石の中など、主に外から見えない遮蔽空間に巣を作ります。川口市によると、人家では床下や屋根裏の通気孔などから多数の小さなハチが出入りして気付くことが多く、順調に活動すると翌年以降も数年にわたって同じ巣を使い続けることがあります。他のハチの巣が1年限りなのに対し、これが大きな違いです。

春に木の枝や軒下にハチが固まって巣が見えない状態は、分蜂(巣別れ)の可能性があります。川口市は、主に4〜6月に新しい女王蜂が生まれたとき、古い女王蜂と働き蜂が新しい巣の場所を探して集団でとまることがあり、早ければ1〜3日、遅くても1週間で移動すると説明しています。川越市は数時間から3〜4日程度、松戸市は1週間くらいと案内しており、日数には幅があります。

分蜂の塊の中に、巣はありません。ただし川口市は、まれに木の枝などに営巣することがあり、そのときはハチとハチの隙間にたくさん穴のあいた白い巣が見えると説明しています。塊が数日たっても動かない、同じ場所へ毎日出入りしている、という場合は、分蜂ではなく営巣を疑ってください。確認の進め方は ミツバチの塊は分蜂か巣か にあります。

ミツバチの巣と、木の枝などにできる分蜂の塊の違い:確認項目
観点分蜂の塊営巣している巣
見た目小さなハチが固まって、巣が見えない同じ穴やすき間へ小さなハチが出入りする。木の枝では、ハチの隙間に白い巣が見えることがある
続く期間数時間から1週間ほどで移動すると、自治体が案内数日たっても同じ場所への出入りが続く
時期主に4〜6月。夏にも小さな規模で見られる春から続き、翌年以降も使われることがある
場所木の枝、軒下、外壁など屋根裏や床下の通気孔、壁の隙間、樹洞など
向き合い方刺激せず、離れて様子を見る管理者や専門業者に相談する

参考:川口市|ハチの巣の形・特徴及び巣の駆除について

ドロバチ・クマバチなど単独性のハチの巣

スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチ以外にも、家の周りで見かけるハチの巣があります。川口市と松戸市は、ドロバチやクマバチなど単独で暮らすハチは、巣を守って人を攻撃することはなく、危害を加えない限り襲ってこないと説明しています。群れで暮らすハチと違って、巣に働き蜂の集団がいないことが理由です。

松戸市は、これらを市の駆除の対象外としながら、危険性の高いハチと見分けがつかない場合や不安な場合は相談するよう案内しています。見分けがつかないときは、泥の巣を落としたり穴を塞いだりせず、写真や言葉で状況を伝えてください。

  • ドロバチ: 木の枝、壁、竹筒などに泥でできた巣を作り、巣の中に卵と餌になる虫を入れてふたをする(川口市)
  • クマバチ: 胸が黄色い毛に覆われた黒くて大きなハチ。枯れ枝や木造家屋の梁などに丸い穴をあけて巣を作り、下の床にオガクズのようなものが落ちて気付くことがある(川口市)
  • ハナバチ類: 土の中や枯れ木、壁のすき間に巣を作る。スズメバチと間違えやすい大きさでも単独性で、巣を守って襲ってくることはない(松戸市)

参考:松戸市|蜂を知ろう

種類で変わる危険度と、自治体の対応の違い

2026年10月3日に確認した各自治体の案内では、同じ『蜂の巣』でも、種類によって対応が変わります。船橋市は、条件を満たすスズメバチの露出した巣に限って、市が委託した事業者が無料で駆除するとしています。アシナガバチやミツバチは、攻撃性が低く危険性が低いとされ、益虫の一面もあるとして、市の無料駆除は行っていません。巣が露出していない場合や、他人が所有・管理する建物や敷地の巣も、対象とならないと説明しています。

自治体によって、駆除そのものを行うところ、防護服の貸出しを行うところ、業者の一覧を示すところ、駆除や費用負担は行わず事業者団体の案内などにとどめるところがあります。川口市は防護服などの無償貸与と業者一覧の掲載を行い、川越市はスズメバチの巣の除去補助金事業を平成24年度から廃止したと案内しています。住んでいる市区町村の案内を確認してから問い合わせてください。和歌山県内の例は 和歌山市のハチの巣相談 にあります。費用の見積もりの読み方は ハチの巣駆除の費用を比べる で整理しています。

種類で変わる危険度と、自治体の対応の違い:確認項目
種類自治体資料の危険度の説明対応の例(自治体で異なる)
スズメバチ攻撃性は非常に高く、巣に近づいただけで攻撃してくることがある(松戸市)船橋市は条件を満たす露出した巣を無料駆除。川越市は中後期の巣は個人で駆除せず業者へ
アシナガバチスズメバチに比べ性格はおとなしいが、巣やハチに刺激を与えると攻撃してくる(松戸市)船橋市は市の無料駆除の対象外で、民間業者を案内。川越市は注意事項を守れば個人でも対応できるとする
ミツバチ性格は非常におとなしいが、巣を刺激すると攻撃してくることがある(松戸市)船橋市は市の無料駆除なし。分蜂は様子を見るよう案内
ドロバチ・クマバチなど単独性で、巣を守って襲ってくることはない(川口市・松戸市)松戸市は市の駆除の対象外。見分けがつかないときは相談を受ける

参考:船橋市|ハチの巣の駆除はどうすればよいですか?

写真を撮って相談するときの距離と撮り方

写真があると、種類の見当がつき、相談が早く進みます。ただし、撮影のために巣へ近づくのは本末転倒です。横浜市旭区は、巣の写真をハチを刺激しない距離から撮影するよう求め、不安なときは無理に撮らず電話で相談するよう案内しています。画像の状態によっては判断できず、撮り直しや現地調査を案内されることもあります。

距離は何メートルとは言えない|広島市の目安の読み方

安全な距離は、巣の種類や場所で変わるため、この記事では何メートルなら近づいてよいという線引きはしません。目安として、広島市は、巣の出入口から概ね4メートルを、スズメバチについて避けたい『危険性が高い範囲』として示し、アシナガバチやミツバチでは概ね1メートルとしています。この数字は、駆除を検討する目安であり、撮影のために近づける距離を保証するものではありません。

撮り方と、撮れないときの伝え方

撮り方は、建物のどの位置か分かる引きの写真、巣の形が分かるズームの写真、出入口付近のハチの動きが分かる短い動画の順に撮ると、伝わりやすくなります。ズームは、普段通る場所に立ったまま、スマートフォンの拡大機能を使います。撮れない場合は、巣の位置、大きさ、形、ハチの出入りの状況を言葉で伝えます。スズメバチらしい場合の考え方は スズメバチらしいハチが出入りするときの相談 にあります。

  • 全体: 建物のどの面か、地面からどのくらいの高さかが分かる写真
  • 巣: 形と模様が分かる拡大写真(近づかず、拡大機能で撮る)
  • ハチ: 出入口付近の動き。何匹か、同じ穴に出入りするか
  • 撮れなかった理由: 高い、暗い、近づくのが不安など

参考:横浜市旭区|ハチの相談