ゴキブリの種類|家に出る主な4種を比較表で見る
日本のゴキブリは、公的な資料で「約40種」「50種ほど」「64種が記録」と数え方に幅がありますが、いずれも大半は野外にすみ、屋内で見られるのは10種前後とされています。そのなかで、家庭や建物で問題になりやすいのは、チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ヤマトゴキブリ、ワモンゴキブリの4種です。東京都ペストコントロール協会の比較表を土台に、KINCHOや名古屋市、大阪市旭区、日本ペストコントロール協会の資料で補って表にしました。
大きさは資料によって幅があります。チャバネゴキブリの上限は15mmとする資料と20mmとする資料があり、測り方が資料ごとに違う可能性があります。表の数字は絞り込みの目安とし、1つの数字で決めつけないでください。幼虫や脱皮直後の白い個体もいるため、成虫以外の見た目は別の章で補います。
| 種類 | 大きさ(資料ごとの記載) | 見た目の特徴 | 寒さと分布 | よく出る場所 |
|---|---|---|---|---|
| チャバネゴキブリ | 10〜15mm(東京都ペストコントロール協会)、12〜15mm(KINCHO)、15〜20mm(大阪市旭区) | 黄褐色。胸の背中側に黒い筋が2本 | 寒さに弱く、暖房のある建物で冬も生き残る。全国に分布 | オフィスビル、ホテル、飲食店、病院など。木造の一般家屋には少ないとされる |
| クロゴキブリ | 25〜30mm(東京都ペストコントロール協会)、27〜33mm(KINCHO)、30〜38mm(大阪市旭区) | 黒褐色で光沢がある。成虫は翅が発達している | 寒さに比較的強い。ほぼ全国に分布 | 一般住宅の外周や床下、台所、洗面台。ごみ置き場、ベランダ、植木鉢の下 |
| ヤマトゴキブリ | 20〜25mm(東京都ペストコントロール協会)、25〜35mm(KINCHO)、約30mm(名古屋市) | クロよりやや小さめで細く、黒味が強く光沢が少ない。雌は翅が短く腹部の半分ほど | 寒さに強い。日本在来種で北海道・本州に分布(東北〜中国地方とする資料もある) | 郊外の雑木林など屋外。隣接する住宅やビルに入り込み、まれに繁殖する |
| ワモンゴキブリ | 30〜35mm(東京都ペストコントロール協会)、30〜45mm(KINCHO)、30〜40mm(名古屋市) | 茶褐色で光沢のある大型種。前胸の縁に黄白色の輪模様 | 寒さに弱い。もとは南の地域に多く、暖房のある建物を中心に北へ広がっている | ビルのマンホールや下水溝、地下街、温室、ホテルの厨房など、暖かく水気のある所 |
参考:公益社団法人東京都ペストコントロール協会|害虫相談 ゴキブリの種類
家で一番よく見るゴキブリは何ですか?
名古屋市の衛生研究所は、クロゴキブリとチャバネゴキブリが最も普通に見られる屋内性の種類だとしています。クロは一般住宅の外周や台所、チャバネはビルや飲食店など暖房のある建物に多いとされ、ヤマトやワモンは地域や建物で出方が変わります。
ゴキブリの種類を見分ける手順|大きさ→胸の模様→場所
見分けは、大きさ、胸の模様と全体の色、見つけた場所の3段階で進めると、迷う範囲が狭まります。写真を撮ってから確認すると、動いている虫を目で追うより落ち着いて比べられます。
チャバネゴキブリと分かったときの調べ方はチャバネゴキブリが冷蔵庫や厨房の近くに出るとき、クロゴキブリならクロゴキブリを家で見つけたときの記事に続けて読めます。
手順1:大きさで二手に分ける
成虫が1.5cm前後なら、チャバネゴキブリが第一候補です。3cm前後以上なら、クロゴキブリ、ヤマトゴキブリ、ワモンゴキブリの3種に絞られます。日本ペストコントロール協会は、チャバネゴキブリを体長1.5cmの小型種、クロゴキブリとワモンゴキブリを体長3.5cmの大型種として紹介しています。
手順2:胸の模様と全体の色で絞る
小型なら、チャバネゴキブリの胸の背中側には黒い筋が2本あります。名古屋市の資料は、野外性のモリチャバネゴキブリも似ているが、2本の黒い筋が後方で近づくことで区別できるとしています。大型なら、前胸の縁に黄白色の輪模様があればワモンゴキブリの可能性があり、模様がなく黒褐色で光沢があればクロゴキブリ、クロより小さめで光沢が少なければヤマトゴキブリが候補です。
ただし、輪模様のあるゴキブリはワモンゴキブリだけではありません。名古屋市の資料は、トビイロゴキブリはワモンゴキブリに似るが輪紋が赤褐色で、コワモンゴキブリは輪紋がより明瞭で黒色に近いと説明し、正確な確認には生殖板などの形が必要だとしています。模様だけで決めきれないときは、写真を添えて相談します。
手順3:見つけた場所で確かめる
飲食店、ホテル、病院など暖房のある建物の厨房ならチャバネゴキブリやワモンゴキブリ、一般住宅の台所、洗面台、ベランダ、ごみ置き場ならクロゴキブリ、郊外の雑木林に近い住宅ならヤマトゴキブリ、下水やマンホールに近い建物ならワモンゴキブリの順で疑います。東京都ペストコントロール協会のパンフレットは、チャバネゴキブリが飲食店、ビル、マンションなど冬でも温度があまり下がらない場所に多いと説明しています。
ゴキブリは飛ぶ?飛ぶ種類と飛びにくい種類
ゴキブリの翅の有無や飛ぶかどうかは、公的な資料でも種類ごとに書き方が違います。大阪市旭区のページは、クロゴキブリを光沢のある黒褐色の大型種で飛ぶと記載し、チャバネゴキブリは羽はあるが飛ばないと記載しています。日本ペストコントロール協会もクロゴキブリを飛ぶことができる種類とし、春から秋に灯火を目指して屋内に侵入すると説明しています。
ヤマトゴキブリについては、名古屋市の資料もアース製薬も、雌は翅が短く、腹部の半分ほどまでしかないと書いています。名古屋市は、雄は翅が腹部を完全におおうとしています。一方で、ヤマトゴキブリとワモンゴキブリが飛ぶかどうかは、今回確認した資料に記載を見つけられませんでした。そのため、表では「記載を確認できず」としています。
飛ぶ種類は、夜に灯りへ寄って窓やドアから入ってくることがあるため、侵入防止の考え方が変わります。日本ペストコントロール協会は、内外装の隙間をていねいにふさぐこと、夜間の不要な灯火は消して窓の開放を控えることを予防として挙げています。
| 種類 | 飛ぶかどうかの記載 | 翅についての記載 | 夜の灯りと侵入の記載 |
|---|---|---|---|
| クロゴキブリ | 飛ぶ(大阪市旭区、日本ペストコントロール協会) | 成虫は翅が発達し、雌雄とも腹部全体をおおう(名古屋市) | 春〜秋、灯火を目指して屋内に侵入する(日本ペストコントロール協会) |
| チャバネゴキブリ | 羽はあるが飛ばない(大阪市旭区) | 今回確認した資料に詳しい記載なし | 物に付いて持ち込まれる例が多い(東京都ペストコントロール協会) |
| ヤマトゴキブリ | 記載を確認できず | 雄は翅が腹部を完全におおい、雌は腹部の半分ほど(名古屋市) | 記載を確認できず |
| ワモンゴキブリ | 記載を確認できず | 記載を確認できず | 記載を確認できず |
屋外のゴキブリ(森林・野生)と家に定着する種類の違い
ゴキブリ全体では、野外で暮らす種類のほうが多数派です。大阪市旭区は、日本に約40種のゴキブリがいてほとんどが屋外生息種だと説明し、東京都ペストコントロール協会のパンフレットも、約50種のうち屋内に定着しているのはわずかに数種としています。名古屋市の衛生研究所のページは、日本から64種が記録され、屋内で見られるのは10種程度とまとめています。数え方は資料ごとに違いますが、大半は野外性という点は共通です。
山や公園で見かけるゴキブリは、屋内に定着する種類とは別の野外性の種類であることが多く、家の中で1匹だけ見つけたからといって、すぐに家で繁殖しているとは限りません。まず、卵鞘や幼虫、フンの有無を確認します。ゴキブリの卵鞘らしい物を見つけたときの確認方法も参考になります。
森林や草地にいる種類(モリチャバネゴキブリ・オオゴキブリ)
名古屋市の資料は、屋外性の種類として、草地や林地など里山的な環境に多いモリチャバネゴキブリと、朽ち木の中で群れて暮らす森林のゴキブリであるオオゴキブリを挙げています。モリチャバネゴキブリは、偶発的に家屋内に入ることはあっても、定住や繁殖はしないとされます。オオゴキブリは体長約40mmで、名古屋市版レッドリストで準絶滅危惧に選ばれています。
屋外と屋内の両方にいるヤマトゴキブリ
ヤマトゴキブリは、完全な屋内性ではなく、屋外の朽ち木や落ち葉の層にもいると名古屋市は説明しています。東京都ペストコントロール協会の表は、郊外の雑木林に生息し、隣接する住宅やビルに入り込んで、まれに繁殖すると書いています。山や林の近くの家でヤマトゴキブリが出るのは、この性質と合っています。
種類で変わる対策の重点|侵入防止か室内の毒餌か
ゴキブリ対策の基本は、種類に関わらず、餌と水を減らし、隙間をふさぎ、潜み場所を整理することです。そのうえで、どこから入ってくる種類かによって、力を入れる場所が変わります。東京都ペストコントロール協会の比較表は、種類ごとの主な侵入方法を載せており、これを対策の重点に置き換えたのが次の表です。
室内の毒餌や粘着シートが力を発揮しやすいのは、すでに室内に潜み場所を作った種類、とくにチャバネゴキブリです。クロゴキブリやヤマトゴキブリは屋外から入ることが多いため、室内の薬剤だけでなく、隙間と排水口を見直さないと、また入ってきます。毒餌の置き場所はゴキブリの毒餌はどこに置くかで確認できます。
排水口からの侵入について、東京都ペストコントロール協会のパンフレットは、ゴキブリは屋外の配水管などにも生息し、流しや風呂場の排水口から屋内に入ることがあるため、格子のついた栓をしておくよう案内しています。段ボールなどに付いて持ち込まれることもあるため、注意するとも書かれています。薬剤は製品の使用上の注意に従って選び、この記事では量や回数は示しません。
| 種類 | 主な侵入のしかた(東京都ペストコントロール協会の記載) | 対策の重点の考え方 | 確認する場所の例 |
|---|---|---|---|
| チャバネゴキブリ | 物に付着して侵入する | 室内の潜み場所を絞り込み、持ち込み品を確認する。毒餌と粘着シートで場所を確かめる | 冷蔵庫や厨房機器の裏、持ち込んだ段ボール。アース製薬は、薬剤に抵抗性を持つものも出てきていると説明 |
| クロゴキブリ | 扉や室内の配管周りなどの隙間から侵入する。庭や屋外のごみ置き場にもすむ | 侵入口をふさぎ、排水口に格子付きの栓をする。屋外のごみ置き場や植木鉢の下を整理し、夜の灯りと窓の開放を見直す | サッシ、換気口、排水口、物置や植木鉢の周り |
| ヤマトゴキブリ | 屋外に生息している個体が、隙間から侵入する | 落ち葉や朽ち木に近い外周を整理し、外から入る隙間をふさぐ | 外壁の隙間、勝手口、庭の落ち葉や朽ち木 |
| ワモンゴキブリ | 古いビルや、熱帯の観葉植物に付着して侵入する。ビルでは新規の侵入は少ない | 建物全体の水気と暖かさ、排水設備、観葉植物の持ち込みを確認する。建物管理者や専門業者と進める | ビルのマンホール、下水溝、地下街、厨房の排水の周り |
成虫以外の見た目|幼虫・脱皮直後の白いゴキブリ・卵鞘
家で見かける小さなゴキブリは、別の種類ではなく幼虫のこともあります。KINCHOの資料は、ゴキブリは成虫になるまで何度も脱皮を繰り返し、脱皮直後はやわらかくて白く、時間とともに硬く黒くなると説明しています。白く見える個体は、脱皮してまもない可能性があります。
幼虫の見た目は種類で違います。東京都ペストコントロール協会のパンフレットは、チャバネゴキブリの幼虫は羽がなく黒色で背面に黄褐色の模様があり、クロゴキブリの幼虫は、ごく小さいうちを除けば赤褐色だと書いています。名古屋市の資料は、クロゴキブリの若齢幼虫は黒色で細い白帯があり、成長すると赤褐色になるとしています。脱皮の回数は、KINCHOによるとチャバネゴキブリが6回、クロゴキブリが10回前後です。
卵は卵鞘という袋に入っています。KINCHOは1つの卵鞘に12〜40個、東京都ペストコントロール協会のパンフレットは、クロゴキブリで20個前後、チャバネゴキブリで40個前後としています。クロゴキブリは卵鞘を物陰や戸棚の隅などに産み付け、チャバネゴキブリの雌は孵化の直前まで腹の先に付けて歩くと名古屋市は説明しています。幼虫が見つかっている場合は、1匹だけとは考えないほうがよいと、東京都ペストコントロール協会のパンフレットは書いています。
ゴキブリの種類が分からないときの写真の撮り方と相談先
種類が分からないときは、無理に決めず、情報をそろえて相談します。相談先は、お住まいの市区町村の衛生害虫の窓口と、都道府県ごとのペストコントロール協会です。日本ペストコントロール協会は、全国47都道府県に地区協会があり、害虫相談所で電話などによる相談を無料で受け付けていると案内しています。現場調査や防除施工が必要な場合は原則有料です。
市区町村の窓口の名称は自治体で違い、保健所や区の保健担当が受け付けています。たとえば大阪市旭区は、保健子育て課の保健衛生が窓口として載っています。窓口の場所と電話番号は、お住まいの自治体のページで確認してください。
写真の撮り方
写真は、種類を見分ける材料になるだけでなく、相談の時間を短くします。次の点を押さえると、大きさと胸の模様が伝わります。
- 定規や硬貨を横に置き、大きさが分かるように真上から撮る
- 背中側と横から、少なくとも2方向を撮る。胸の模様が写るよう、近づいた写真も残す
- 見つけた場所、日時、同じ場所で見た数をメモする
- 同じ場所に幼虫、卵鞘、フンがないかも撮影する
相談で伝える内容
相談のときは、建物の種類(戸建て、集合住宅、飲食店など)、暖房の有無、最初に見つけた時期、すでに使った対策を伝えます。市販品を使った場合は、商品名と置いた場所も控えておくと、助言が具体的になります。



