ハチ駆除で公表されている相談事例|表示額と請求額の差
国民生活センターは、害虫・害獣の駆除サービスに関する相談が全国の消費生活センターに寄せられているとして、2024年4月に注意喚起を公表しました。2023年度の相談は2,000件を超え、ハチ駆除サービスに関する相談は、2018年度の225件から2023年度の752件へ増えています。ハチの相談は、例年7〜9月の夏に急に増える傾向があるとも報告されています。
ハチに関する事例は、この2024年の公表資料と、2026年7月23日の見守り新鮮情報(第546号)に載っています。事業者名は公表されておらず、ここでも特定の会社を示すものではありません。
事例1|「約700円〜」の表示から約100万円の契約へ(2024年4月公表)
庭で大きなスズメバチの巣を見つけた50歳代の女性が、「24時間365日対応」「最短10分で到着」「見積もり無料」と書かれたサイトで簡易見積もりをしたところ、「参考見積価格約700円〜」と表示されました。電話すると、すぐに業者が訪問し、調査のあとに「このままではハチに刺されて死ぬ」「近所の人が刺されて死ぬと裁判になる」「今なら約150万円を約100万円にする」と言われ、その場で契約しました。契約書のサービス内容は「一式」とだけ書かれ、作業は1日で終わらず後日も続く予定でした。冷静になって高すぎると感じ、代金は未払いのまま解約を希望しています。
事例2|「500円〜」の表示から約15万円の請求へ(2026年7月公表)
蜂の巣を見つけた80歳代の人が、ネットで検索して「500円〜」と書かれた駆除業者に連絡しました。来訪した業者に「刺されたら大変だ。近所の人を刺したりしたら補償問題になる」と言われて怖くなり、依頼しています。その際、見積額は示されませんでした。作業の終了後に渡された契約書兼請求書は約15万円で、支払わなければならないのかと相談しています。
- 広告に、3ケタの最低料金(約700円〜、500円〜)が出ていた
- 訪問後に、刺される・補償問題になるなどの説明で不安をあおられた
- 見積額が示されない、または契約書の内容が「一式」だけだった
参考:国民生活センター|報道発表資料 ネットの価格と全然違う!?害虫・害獣駆除のトラブルにご注意(2024年4月24日、PDF)
蜂駆除の詐欺とは、どんな請求のことですか。
国民生活センターが公表しているのは、ネット広告の「500円〜」「約700円〜」などの表示と、実際の請求や契約の額が大きく離れ、不安をあおられて依頼・契約した事例です。個別の契約が法律上どう扱われるかは事情で変わるため、請求に納得できない場合は188に相談します。
広告の最低料金と実際の請求が離れる理由
国民生活センターは、駆除の作業内容と料金は、住宅の大きさや構造、害虫の発生状況によって変わるのが一般的で、広告に「〇〇円から」と出ていても、その料金で依頼できるとは限らないと説明しています。特に3ケタ台のような極端な格安料金で依頼できることはまずないとして、注意を促しています。
蜂の巣では、料金が変わる要素がはっきりしています。川口市は、駆除料金がハチの種類、巣の大きさ、巣のできた場所によって大きく異なると案内しています。船橋市の無料駆除の案内でも、巣の状況によっては駆除ができない場合があり、委託事業者が現場確認をしたあとで駆除をキャンセルした場合などは、出張調査費用(令和8年4月1日現在の目安で5,000円〜10,000円)が必要になると示しています。出張や調査にかかる費用は、電話の時点で聞く項目です。「〇〇円から」の読み方は「〇〇円から」の広告で聞く最低料金と作業範囲、出張費の考え方は出張費・高所作業費がかかる場面で扱っています。
- 「〜円から」の金額に含まれる作業は何か(受付や点検だけか、駆除と巣の撤去まで含むか)
- 出張費・調査費・夜間や休日の加算が別かどうか
- 種類・場所・高さ・巣の数のどれで金額が上がるか
- 総額が決まるのは、電話の時点か、訪問して調べたあとか
時点別に確認する|電話→到着→見積もり→作業
高額請求を防ぐ確認は、時点ごとに分けると実行しやすくなります。国民生活センターは、複数社から見積もりを取る前提で連絡すること、納得できなければその場での支払いを避けることを助言しています。表は、各時点で聞く一言と、答えが曖昧なときの考え方です。
| 時点 | 聞く・伝える一言 | 答えが曖昧なときの考え方 |
|---|---|---|
| 電話 | 「この種類と場所の巣だと、総額の目安はいくらですか。出張費やキャンセル料は別ですか」 | 総額の目安を言わず「行ってみないと」だけなら、他社にも同じ質問をして比べる |
| 電話(訪問前) | 「会社名・所在地・担当者名を教えてください。見積もりだけで断っても費用はかかりませんか」 | 教えない相手は避ける。見積もりだけで費用が出る条件は、先に聞いておく |
| 到着直後 | 「作業の前に、見積もりを書面か画面で見せてください」 | 口頭だけで始めようとするなら、作業を始めないよう伝える |
| 見積もり | 「駆除・巣の撤去・処分・高所作業・戻り蜂への対応は、それぞれいくらですか。総額はいくらですか」 | 「一式」だけ、または「今なら安くなる」の説明は、内訳を書面にしてもらう。出せなければ断る |
| 作業中・作業後 | 「追加の作業が必要なら、始める前に金額を教えてください」 | 中断を求めても聞き入れられないときは、その場の支払いを避け、188に相談する |
作業前に金額へ同意する手順と、断ってよい場面
作業の前に総額へ同意する、という手順を決めておくと、断る場面でも迷いにくくなります。国民生活センターが2024年に公表した別の害虫の事例には、金額が高すぎるため作業の中断を求めても聞き入れられず、作業した分の料金を請求されたものがあります。着手前の同意は、そのまま防ぎ方になります。キャンセル料が発生する場面は、駆除の予約を取り消したいときのキャンセル料で確認できます。
蜂は実際に危険な昆虫です。日本ペストコントロール協会も、スズメバチは秋に凶暴になり、巣を見つけたら近づかないことが一番の予防だと説明しています。問題は、危険の説明が、契約を急がせる材料に使われることです。国民生活センターは、不安をあおって他の事業者と比べる機会を奪う業者とは契約しないよう助言しています。巣から離れて人が近づかないようにすることと、金額に同意するかどうかは、分けて考えます。
- 見積額を示さないまま、作業を始めようとする
- 総額が広告や電話の説明より大きく、理由の説明が「一式」だけ
- 「今日契約すれば安くなる」「今やらないと取り返しがつかない」と契約を急がせる
- 「近所で作業中だから安くできる」など、確かめられない話で信用させようとする
- 作業の中断や、契約を断る連絡を聞き入れない
自治体・協会経由で業者を探す方法
広告の表示で慌てて決める前に、自治体や協会の窓口を使う経路があります。日本ペストコントロール協会の都道府県協会には害虫相談所があり、電話相談は無料です。現場調査や施工が必要な場合は原則有料で、相談内容に応じて適切な事業者を紹介することもできるとされています。自治体では、川口市のように掲載を希望した駆除業者の一覧を公開する市や、小樽市のように保健所が電話で相談を受けて業者を紹介する市があります。
ただし、紹介や名簿に載っていても、契約するのは依頼者と業者です。川口市は、掲載業者との契約について市は責任を負わないと明記しています。紹介を受けたときも、電話の時点で総額の目安を聞き、見積もりは書面で受け取ります。探し方の違いは蜂駆除業者の選び方|自治体の紹介制度と当日見積もりにまとめています。
請求に納得できないとき|その場で支払わない・クーリング・オフ・188
請求額に納得できないときは、国民生活センターの助言どおり、その場での支払いを避け、後日、納得した金額なら支払う意思があることを伝えます。2025年3月の公表資料は、事前の提示額と請求額が大きく違う場合や、作業後に新たに別の契約を勧誘されて結んだ場合などは、特定商取引法の訪問販売としてクーリング・オフが使える可能性があると説明しています。
訪問販売に当たるかどうかや、書面の記載の扱いは、契約の経緯で変わります。自分で判断して諦めず、188に電話して、お住まいの消費生活センターへつないでもらいます。
| 状況 | 考え方 | 次の動き |
|---|---|---|
| 請求額が広告や電話の説明と大きく違う | その場で払わない。後日、納得できる金額なら払う意思を伝える | 請求書・契約書・広告の画面を保存し、188へ相談する |
| 契約書面を受け取った | 訪問販売に当たる契約は、法律で定める書面を受け取った日から8日以内なら、書面か電子メールなどで申し込みの撤回(クーリング・オフ)ができる | 書面で通知するなら、特定記録郵便や書留など記録が残る方法が薦められている。メールは送信したものを保存する |
| クーリング・オフを妨げられた | 業者が事実と違うことを告げたり、威迫したりして、クーリング・オフしなかった場合は、8日を過ぎても行える | やり取りの記録を残し、188へ相談する |
| 作業がすでに終わっている | クーリング・オフをした場合、サービスが提供済みでも対価は支払わなくてよいとされる。ただし、現金取引で総額3,000円未満の場合は対象外 | 自分で判断せず、188で当てはまるかを確認する |
188に相談するときに用意する資料
消費者ホットライン188は、全国共通の3桁の番号で、お住まいの市区町村や都道府県の消費生活センターなどの窓口につないでもらえます。相談は無料ですが、窓口につながった時点から通話料がかかります。国民生活センターは、相談の電話の前に、約款・契約書、きっかけになった広告、インターネットの画面やURLなどを集め、状況を整理しておくと効率的だと案内しています。1日でも早い対応が有効な場合もあるため、心配なときはまず電話するよう勧めています。
個別のトラブルへの対応は、消費生活センターの相談員が経緯を聞いて助言します。駆除の請求トラブルを188へ相談するにはに、準備する資料と伝え方をまとめています。
- 見積書・契約書・請求書・領収書(支払い済みなら、その控えや明細)
- 広告の画面(表示された金額、運営会社、電話番号が分かるもの)と、見た日時
- 電話した日時、通話履歴、担当者名、電話で言われた金額
- 巣の状態や、作業の前後を写した写真
- 業者とのメッセージ、メールの記録




