ムカデの赤ちゃんの正体|小さいムカデは幼体か、小型の種か

「ムカデの小さいやつ」を家で見つけたとき、可能性は大きく3つあります。孵化して間もない幼体、成長の途中にある若い個体、そしてもともと小型の種類です。フマキラーの解説は、ムカデ類は3mm程度の小さなものから30cmを超える大きなものまで、世界に約3千種、日本には約140種が生息すると紹介しています。大きさだけで、赤ちゃんかどうかは決められません。

成長の途中にある個体は、脱皮を重ねて大きくなります。KINCHO園芸は、大型のトビズムカデが10回以上脱皮を繰り返して体長15cm程度まで成長し、寿命は6〜7年と長いと説明しています。ダスキンの解説は、卵から3年ほどで繁殖できる成虫になると書いています。見つけた小さな個体は、孵化して間もないとは限らず、何年かかけて育つ途中の個体という見方もできます。

日本にいるムカデ類の4つのグループ

徳島県立博物館のQ&Aは、日本にいるムカデの仲間を、オオムカデ類、ジムカデ類、イシムカデ類、ゲジ類の4グループに分けています。人を毒牙で咬んで困らせるのはオオムカデ類で、体長が10cmを超える大型のムカデはこの仲間です。ジムカデ類は落ち葉や土の中に住む細長いムカデ、イシムカデ類は石の下などでよく見られる小型のムカデとされています。

色や大きさだけで種類を決めない

フマキラーの解説によると、トビズムカデは体色が暗緑色か黒色で、頭が赤褐色、足は黄色やオレンジ色ですが、個体差が大きく、異なる色の場合もあります。東京都ペストコントロール協会は、アオズムカデは頭部が暗褐色で、トビズムカデよりやや小型と説明しています。「赤い」「青い」と見える個体がいても、色だけで種類や成長段階を決めず、写真を残して比べます。

参考:徳島県立博物館|博物館ニュース046 Q.百本足の百足(むかで)はいるのでしょうか?

読者の疑問

ムカデの赤ちゃんは、親と一緒にいますか?近くに巣がありますか?

比較ガイド

一緒とは限りません。ダスキンは、親が卵と孵化後の子を抱えて育て、約2か月ほどで子が親から離れると説明しています。親から離れたあとの個体を見ても、近くに親や巣があるとは限りません。決めつけず、湿った場所とすき間を点検します。

ヤスデ・ゲジとの違い|脚の付き方・動き・体の形で見分ける

見分けの基本は、体の節ごとに脚が何対あるかです。MSDマニュアル家庭版は、ムカデの脚は各体節に1対しかなく体の側面から出ているのに対し、ヤスデの脚は各体節に2対あり体の真下から出ていると説明しています。横から見ると、ムカデの体はより平らで、ヤスデは丸みを帯びて見えるとも書かれています。ヤスデとの違いはヤスデとムカデの違いでも詳しく比べています。

ヤスデの幼体は、成体より脚が少ないことがあります。東京大学の研究発表は、マクラギヤスデという種で、孵化直後の幼体が7体節で脚は3対しかなく、7回の脱皮を経て20体節の成体になると報告しています。これは1つの種の例ですが、脚の数が少ない小さな虫を見たときに、ムカデの幼体と決めつけない根拠になります。

ゲジについては、資料によって書き方が分かれます。東京都ペストコントロール協会は、ゲジは脚が15対で長く、無害で、ゴキブリなどを捕食する益虫の面もあると説明しています。アース製薬は、ゲジに毒はないが咬まれると痛いと書いています。いずれも、脚が長くふわふわと動く点がムカデとの見た目の違いとして挙げられています。

ヤスデ・ゲジとの違い|脚の付き方・動き・体の形で見分ける:確認項目
虫脚の付き方・数動きと体の形人への影響(資料の記載)
ムカデ(幼体・若い個体)体節ごとに1対。オオムカデ類は21対か23対(徳島県立博物館)横から見ると体が平たい(MSD)。普段はじっとしているが、動くときは素早い(アース製薬)毒のあごで咬む。小さな個体も毒を持つ(アース製薬)
もともと小型のムカデ類イシムカデ類は成体で15対(幼体は少ないことがある)。ジムカデ類は29〜191対と種類で幅が大きい(徳島県立博物館)イシムカデ類は石の下で素早く動く。ジムカデ類は落ち葉や土の中の細長い虫(同)咬む被害の中心はオオムカデ類とされる(同)。小型種の扱いは今回の資料で確認できていない
ヤスデ体節ごとに2対で、体の真下から出る(MSD)。孵化直後は脚が少ない例がある(東京大学、マクラギヤスデ)体は丸みを帯びて見える(MSD)咬まないが、有毒な分泌物で皮膚や目を刺激することがある(MSD)
ゲジ脚は15対で長い(東京都ペストコントロール協会)。幼体は少ないことがある(徳島県立博物館)足が長くふわふわと動く(アース製薬)資料により「無害」「毒はないが咬まれると痛い」と書き方が分かれる

参考:MSDマニュアル家庭版|ムカデやヤスデによる咬み傷(2025年1月)

ムカデの卵と産卵の時期|何匹産む?どこに産む?

産卵の時期は、資料によって書き方に幅があります。ダスキンの解説は5〜6月の梅雨の時期、フマキラーの解説は春から初夏と書いています。川崎市のリーフレットは、5〜8月頃が産卵期で活動が活発になると説明しています。KINCHO園芸の解説は、5〜6月ごろに交尾し、冬を越したムカデが3月ごろから活動を始めて産卵すること、1年のうちに数回に分けて産卵することを紹介しています。時期は地域や年によっても前後すると考え、暦だけで「今は卵の時期」と決めない方が安全です。

卵の数について、ダスキンとフマキラーの解説は、どちらも50個ほどの卵のかたまり(卵塊)と書き、KINCHO園芸の解説はトビズムカデで1回50〜60個としています。ダスキンの解説は、産卵のあと親ムカデが卵を抱いて乾燥やカビから守り、約1か月で孵化したあとも子を抱いて餌を与え、約2か月の間に子が2回脱皮して親から離れると説明しています。この子育ての様子は種類によって違う可能性があり、1つの解説に基づく内容です。

産卵の場所は、フマキラーの解説が草むらや落ち葉の下、ダスキンの解説が湿った場所や水がたまったまま放置された場所と書いています。どちらも主に庭先などの屋外を想定した説明で、家の中での産卵を確認した公的な資料は、今回開いた範囲では見つかりませんでした。資料の数字を単純につなげると、5〜6月の産卵なら6〜7月ごろに孵化する計算ですが、あくまで目安です。

ムカデの卵と産卵の時期|何匹産む?どこに産む?:確認項目
資料書かれている時期卵・産む場所子育て・発生時期
ダスキン5〜6月の梅雨の時期に産卵50個程度。湿った場所や、水がたまったまま放置された場所親が卵と子を抱く。孵化は約1か月後、約2か月で親離れ
フマキラー春から初夏に産卵50個ほどの卵塊。草むらや落ち葉の下など幼虫は孵化後に脱皮を繰り返して成長
川崎市5〜8月頃が産卵期屋外の落ち葉の下や石垣の下などに生息春〜秋に発生し、湿った場所を好む
KINCHO園芸5〜6月ごろ交尾し、冬を越したムカデが3月ごろから活動を始めて産卵する。1年のうちに数回に分けて産卵トビズムカデで1回50〜60個発生時期は6〜9月。大型種は10回以上脱皮して成長

参考:ダスキン|ムカデは卵を何個産む?産卵はどこで行う?ムカデの繁殖を解説

小さいムカデ・赤ちゃんも噛む?毒の扱い方

アース製薬の解説は、成虫に比べれば少ないものの、ムカデの赤ちゃんや子どもも毒を持つので注意するよう書いています。また、生命力が強く、頭部がちぎれた状態でもしばらく生きていることがあるため、死んでいるように見えても素手で触らないよう案内しています。小さいからといって、つまんで外へ出すといった対応は避けましょう。

咬まれたときの対応や相談先は、ムカデに噛まれたら最初にすることにまとめています。小さな個体を見つけたときは、まず触れずに距離を取り、写真を残してから、処理や相談の方法を考えます。

参考:アース製薬|アース害虫駆除なんでも事典 ムカデを知る

ムカデの赤ちゃんを屋内で続けて見るとき|床下・浴室・鉢の下の確認場所

屋内で小さなムカデを1匹だけ見たなら、屋外から入り込んだ可能性があります。同じ場所で続けて見る、小さな個体が複数いるといった場合は、「近くに親や巣がある」と決めつけず、湿気、すき間、餌になる虫の3つを順に確認します。ムカデは目が退化しており触覚で動くとアース製薬が説明し、生きた小さな昆虫やクモ、ミミズなどを餌にするとされています。フマキラーの解説は、台所のゴキブリなどを食べると書いており、屋内に餌になる虫が多いと、ムカデも寄りやすくなると考えられます。

確認の場所は、東京都ペストコントロール協会が公開する「家の周りにこんな場所ありませんか?」の一覧が参考になります。建物裏の草地、外周の乱雑な荷物、枯れ草の山、縁側の下の廃材、扉の隙間、基礎パッキンや基礎の割れ目、通気口、配水管まわりの隙間、エアコン導入部の隙間などが挙げられています。餌になるゴキブリの対策は、ゴキブリ対策の基本の手順が使えます。

ムカデの赤ちゃんを屋内で続けて見るとき|床下・浴室・鉢の下の確認場所:確認項目
確認する場所見るポイント手がかりとなる資料
浴室・洗面台まわり湿って暗い場所に出ていないか。排水口まわりのすき間湿った場所を好み、洗面台や浴室に入り込む(フマキラー)
玄関・扉・窓のすき間扉の下端や網戸のすき間、玄関まわり扉の隙間が挙がっている(東京都ペストコントロール協会)。玄関に注意(ダスキン)
配管・エアコンの貫通部壁を貫通する配水管やエアコン配管の周囲のすき間配水管まわりやエアコン導入部の隙間が挙がっている(東京都ペストコントロール協会)
床下・基礎・通気口基礎の割れ目、通気口、床下の湿気常に湿度が高い床下に注意(ダスキン)。基礎パッキンの隙間は侵入口(東京都ペストコントロール協会)
庭の鉢・資材・落ち葉植木鉢やプランターの下、石、廃材、枯れ葉の山昼間は草むらや落ち葉、石や鉢の下に潜む(アース製薬)

参考:公益社団法人東京都ペストコントロール協会|ヤスデ・ムカデ・ゲジ駆除相談(家の周りの発生場所の一覧)

庭と室内の対策はどの順番で行う?隠れ場所・侵入口・薬剤

対策は、庭と室内で目的が違います。東京都ペストコントロール協会が示す防除方法は、環境的な対策、つまり潜み場所になる廃材や瓦礫、餌となる虫の繁殖場所になる腐葉土の処分と、家の外周の清掃を先に挙げています。そのうえで、外壁の割れ目や水まわりの配水管のすき間を塞ぎ、薬剤は適用のある粉剤や乳剤を発生源や建物外周に散布するとしています。薬剤の選び方は、ムカデ用殺虫剤の選び方で製品表示の読み方を紹介しています。

同協会は、防除の難易度をムカデ類では「非常に難しい」としています。堺市も、生息場所が屋外の広い範囲に及ぶため発生源の抜本的な駆除は難しいと説明しています。小さな個体を1匹見つけたからといって、庭全体に薬剤をまくより、記録を取りながら順番に進めるほうが、続けた結果が分かりやすくなります。

庭(屋外)で先にすること

手が届き安全に片付けられる範囲で、廃材、瓦礫、枯れ葉の山、鉢の下の置き物を整理します。重い資材の下は素手で探らず、手袋と長い道具を使います。共用部や隣地が関わる場所は、管理者に相談します。

  • 落ち葉・枯れ草・廃材・鉢の置き方を見直す
  • 外壁の割れ目、基礎のすき間、扉の下端を確認する
  • 配水管まわりのすき間を確認する

室内で続けて見るときにすること

見つけた日時と場所を記録し、浴室、洗面所、玄関、寝室など、湿り気と暗さのある場所を点検します。餌になる虫が屋内で発生していないかも見ます。薬剤を使う場合は、製品表示で使える場所と、子ども・ペットへの注意を確認してから使います。

  • 見つけた日時・場所・個体の大きさを記録する
  • 湿気のこもる場所と餌になる虫の有無を見る
  • 同じ場所で続くなら、調査を相談する

参考:公益社団法人東京都ペストコントロール協会|ヤスデ・ムカデ・ゲジの防除方法

ムカデの赤ちゃんの画像を残す|写真の撮り方と相談の準備

インターネットで赤ちゃんの画像を探して照らし合わせる前に、見つけた個体の写真を自分で残しておくと、相談のときに役立ちます。日本皮膚科学会は、虫によって対処や治療が異なる場合があるため、実物を保管するか、スマートフォンで虫の写真を撮影しておくよう案内しています。種類の確認を相談するときも、同じ考え方が使えます。

写真は、上から見た全体と、横から見た体の厚みが分かるものを撮り、定規や硬貨など大きさの分かる物を並べます。脚の付き方が見えると、ムカデとヤスデの区別がしやすくなります。咬まれる危険があるため、近づきすぎず、触れずに撮影してください。見つけた日時と場所も一緒に記録します。

記録がそろったら、住まいの相談先に伝えます。業者に調査を頼む場合は、ムカデ駆除の業者に頼む前の確認点の質問リストが使えます。

参考:日本皮膚科学会|皮膚科Q&A 虫刺され Q12 虫刺されの治療はどうすればよいですか?