シロアリ駆除は自分でできる?先に答えを分けて確認する
シロアリ駆除を自分でできるかどうかは、一つの答えになりません。作業ごとに違うためです。日本ペストコントロール協会は、木材の中にいるシロアリに市販の殺虫剤を部分的に使っても確実な効果は期待できず、いったん木材に取りついたシロアリは強力な駆除対策をとらない限り、食害を途中でやめることはないと説明しています。調査で明確な被害が確認された場合は、専門業者による防除処理が必要というのが協会の整理です。
そこでこの記事では、作業を「点検」「環境改善」「局所処理」「床下全面処理」「穿孔注入」の5つに分けます。自分で進めてよいのは、手の届く範囲を見て記録する点検と、湿気や木くずを減らす環境改善です。局所処理は、庭の杭のように建物から離れた木材に限って検討できる作業で、建物の柱や土台に使うと、再発の確認も保証の面も難しくなります。床下全面処理と穿孔注入は、次の判断表のとおり業者の作業として考えてください。
参考:公益社団法人日本ペストコントロール協会|有害生物情報 シロアリ駆除
市販のシロアリ駆除スプレーだけで駆除できますか?
木材の中にいるシロアリに市販の殺虫剤を部分的に使っても、確実な効果は期待できないとされています(日本ペストコントロール協会)。被害が確認されたときは、調査を受けて、専門業者の防除処理が必要かを確かめます。
シロアリ駆除を自分でする範囲|作業別の判断表(保護具・保証・再発)
判断表の「自分で行う目安」は、日本しろあり対策協会と日本ペストコントロール協会の説明、厚生労働省の労働災害事例、市販製品の使用上の注意から読み取れる範囲に限っています。表の整理は当サイトのもので、個々の家の安全を保証するものではありません。迷う作業は、自分で行わずに相談へ回してください。
| 作業 | 内容の例 | 自分で行う目安 | 保護具・保証・再発の見方 |
|---|---|---|---|
| 点検 | 基礎の外周、蟻道、羽アリ、木材の食痕を見る | 手の届く外回りと室内は自分で可。床下は入らず、点検口から見える範囲を撮影するまで | 触って壊す前に写真と位置を記録する。協会は蟻道・蟻土・食痕・空洞音・建物の変形・羽アリの群飛を発見の手がかりに挙げている |
| 環境改善 | 水漏れの補修、床下や庭の木くず・不要な木材の撤去、通風口前の物の移動 | 撤去や移動は自分で可。屋根や配管の補修は専門業者 | 薬剤を使わない作業。日本ペストコントロール協会は予防対策としつつ、侵入を確実に阻止するものではないと注記している |
| 局所処理 | 庭の杭・物置・ウッドデッキなど、建物の外にある木材に市販品を使う | 小さな被害に限って検討。建物の柱や土台には使わない | 製品表示に従い、吸入・火気・換気に注意する。使った製品と場所を記録する。業者の保証の対象にはならない |
| 床下全面処理 | 床下の土壌と木部の全面を薬剤で処理する | 業者に任せる | 感電・狭さ・薬剤の吸入の危険がある。協会は、部分的な施工で家全体を守ることは難しいと説明している |
| 穿孔注入 | 柱・土台・壁の中に穴をあけ、薬液を注入する | 業者に任せる | 厚生労働省の事例では、電気ドリルが電源を切っていない換気扇の配線に当たり、作業員が感電死亡した。保護具を着けていても起きた |
床下に入る危険|感電・狭さ・換気と、保護具で防げないもの
床下作業の危険は、薬剤だけではありません。厚生労働省の職場のあんぜんサイトには、木造住宅のシロアリ駆除中に、床下で作業員が感電して亡くなった事例が載っています。床下の高さは47cmで、救助に向かった同僚もほふく前進で近づいています。電源を切っていない換気扇の配線に電気ドリルを当てたため、配線が巻きついて絶縁被覆の一部が破れ、そこから漏電したと推定されています。
この事例の作業員は、つなぎの作業服、ゴム長靴、軍手、防毒マスクを着けていました。保護具があっても、電気の通る配線と湿った床下という条件が重なれば、事故は防げなかったことになります。同事例が挙げる対策は、湿った場所で使う電動工具の接地、狭い場所での他の電気機器の電源の遮断、絶縁用手袋の使用などです。床下の配線の位置を知り、電源を切れる立場でなければ満たしにくい条件で、一般の住まいで一人で作業する場合には、特に難しくなります。
配線と狭さ:換気扇のコードが床下を通っていることがある
事例の住宅では、床下に3個の換気扇が付いていました。床下換気扇のある家は、床下に電源コードが通っています。日本ペストコントロール協会は、ヤマトシロアリは湿った環境を好み、住宅では主に床下に住みつくと説明しています。シロアリが入りやすい床下は、もともと狭く、湿り、通風の悪い場所です。そこへ入って穴をあける作業は、点検とは危険の大きさが違います。
- 床下に入る前に、換気扇などの電源が切れているかを確認できない場合は入らない
- 点検口からは、顔や手を入れすぎず、見える範囲をスマートフォンで撮影する
薬剤と換気:吸入を避け、火気から離す
市販のシロアリ用エアゾールの製品ページ(アース製薬)には、人体に向けて噴射しない、噴射気体を吸入しない、使用中・使用後は十分に換気する、炎や火気の近くで使用しない、と書かれています。アレルギー症状やかぶれを起こしやすい人、喘息の症状がある人、病人、妊婦、乳幼児等がいる場所では使用しないことも注意として挙げられています。換気しにくい床下で、これらを守りながら作業するのは簡単ではありません。
庭の杭・物置・ウッドデッキなど、建物以外の小さな被害への対処
シロアリが食べるのは、建物の木材だけではありません。日本しろあり対策協会は、木柱、まくら木、木柵、杭木などの木材のほか、生きた樹木や農作物、プラスチック・ゴム類まで加害すると説明しています。庭の杭や物置の木部、ウッドデッキの束で被害を見つけたら、建物の被害とは切り離さず、建物側につながっていないかを同時に確かめます。羽アリを見たときの扱いは、羽アリが出たら何を残す?で整理しています。
確かめる手がかりは、協会が示す発見法を使います。基礎や束石、土台に蟻道がついていないか、木材の割れ目や継ぎ目にシロアリの排出物や土砂(蟻土)が詰められていないか、柔らかい部分だけが食べられて硬い部分が残る食痕がないか、叩いて空洞音がしないか、の4点です。被害が進んだ建物では、柱が下がる、棟や軒の線が波打つ、ふすまや雨戸の立てつけが悪くなるといった変化が出ることもあります。
被害材が小さく、建物から離れている場合は、被害材の撤去や交換が先です。日本ペストコントロール協会は、予防対策として、床下の木材クズや屋外の不要な材木は廃棄する、庭の切株は撤去する、植木台に木材を使わない、外周の通風口の前の植木や物品は移動する、と挙げています。薬剤を使う場合は、製品表示に従い、使った製品名・場所・日付を記録します。建物の基礎や束石の近くにある被害材や、蟻道が建物へ続いているときは、自分で処理せず、調査を受けます。
| 見つけた場所 | 最初に確認すること | 自分でできる対応 | 調査・相談に回す目安 |
|---|---|---|---|
| 庭の杭・木柵・まくら木 | 表面の食痕、叩いたときの空洞音、蟻道の有無 | 被害材の撤去・交換。位置と写真を残す | 建物の基礎や束石に近い、または蟻道が建物へ続いている |
| 物置・ウッドデッキの木部 | 地面に接する部分の傷み、蟻土、湿り具合 | 水はけや通気を見直し、被害部分を交換する | 建物の外壁や基礎に接している、羽アリが出た |
| 切株・植木台・薪・不要な木材 | 建物の近くに置かれていないか、地面に接していないか | 撤去する。植木台に木材を使わない。通風口の前の物を移動する | 撤去した場所の近くで蟻道や被害が見つかった |
| 基礎や外壁の蟻道 | 蟻道の位置、床下や室内への続き | 触って壊さず、写真と位置の記録まで | 見つけた時点で調査を相談する |
建物本体の被害を自分で処理した場合|再発と保証の扱い
建物の柱や土台に被害がある場合に自分で処理すると、再発の面でも保証の面でも不利になりやすくなります。日本しろあり対策協会は、シロアリが出た部屋だけを施工して同じ場所から再発する、という相談に対し、基本的に部分的な施工で家全体を守ることは難しく、家全体の施工を勧めると答えています。日本ペストコントロール協会も、木材の中のシロアリに市販の殺虫剤を部分的に用いても確実な効果は期待できないとしています。
保証の面では、協会は、保証は各業者の判断で行っていて協会に統一したルールはなく、一般的には部分施工の場合は保証が付かないことが多いと説明しています。業者の保証書は、その業者が施工した内容について出されるものですから、自分で薬剤を使った部分は保証書の対象に含まれません。再発したときに、保証書を持って業者に連絡して再施工を求められるかどうかは、保証書に書かれた業者の施工範囲が前提になります。保証の読み方は、シロアリ予防はいつ再施工する?でも確認できます。
薬剤の持続期間も区別します。協会は、薬剤の有効期限を5年としています。アース製薬のシロアリ用エアゾールの製品ページには、食害予防効果は12か月で、使用環境により異なると表示されています。表示期間が違う製品を自分で使うと、次の点検や再処理の時期を自分で管理することになります。
| 比べる項目 | 業者の防除施工 | 自分で市販薬剤を使う場合 |
|---|---|---|
| 施工の範囲 | 協会の仕様は、土壌処理と木部処理の両方を行い、5年を目途に再処理する | 手の届く範囲が中心になる。協会は部分施工では家全体を守りにくいとしている |
| 薬剤の表示期間 | 協会は薬剤の有効期限を5年としている | 製品による。例として、アース製薬の製品ページは食害予防効果を12か月と表示 |
| 保証 | 保証書の記載による。再発時の責任範囲や修復費用の上限は業者ごとに違う | 自分で処理した部分は、業者の保証書の対象外 |
| 再発したとき | 保証書を確認して業者に連絡する | 自分で再処理するか、業者へ新たに依頼する |
| 記録 | 施工報告書と保証書が残る | 使った製品・場所・日付を自分で書き残す |
費用を抑えたいときの現実的な方法|相見積もりと施工範囲の確認
自分で薬剤を使うのは費用を抑える方法に見えますが、公的な案内が勧めているのは、複数の業者から見積もりを取り、内容を比べることです。中野区は、駆除や防除の工法は業者によって異なるため、複数の業者から見積もりを取って内容を比べ、依頼するときは最終的にかかる費用と施工後の保証期間を事前に確認するよう案内しています。
比べるのは、金額の大小より、施工の範囲と含まれる工事です。面積の測り方、最低施工額、含まれる工事をそろえる手順は、シロアリの坪単価と平米単価と害獣駆除の相見積もりにまとめています。見積書に床下換気扇や調湿材、補修の工事が入っているときは、防除本体と付帯工事を分けて読みます。確かめる質問は、シロアリ駆除が高すぎると感じたらに整理しました。
- 被害のある範囲だけを先に処理する案が出された場合は、その部分施工で保証がどう扱われるかを書面で確認する
- 見積書の面積が、1階の床面積か延べ面積かなど、何を基準にしているかを聞く
- 追加で提案された工事が、調査結果(写真・測定値)に基づくものかを確認する
参考:中野区|シロアリについて
無料調査を先に受けて範囲を把握する使い方
自分で動く前に無料調査を一度受けると、被害の有無と範囲を知ったうえで、作業を分けられます。調査では、床下の写真、被害のある場所を示す図、見積書を受け取れるよう、予約のときに依頼しておきます。写真の読み方はシロアリ調査の写真をどう読む?、予約前に聞く質問は「現地調査・見積もり無料」はどこまで?で確認できます。自分で使った製品の名前と場所、日付、見つけた虫や蟻道の写真は、調査の担当者に渡す情報になります。
第三者の目で既存住宅を調べたい場合は、日本しろあり対策協会の蟻害・腐朽検査制度があります。協会が認定した蟻害・腐朽検査士が、既存住宅のシロアリ、腐朽、カビの兆候や湿気・通風の状態を、目視・打診・触診・圧入検査などの非破壊検査と、床下の温湿度や木部の含水率などの環境検査で診断し、協会が定めた様式の報告書で報告します。簡易検査で兆候が見つかったとき、新築以来シロアリの防除施工をしていないときなどが、利用の場面として挙げられています。費用や所要時間は、依頼前に確認してください。
調査の場で契約を急がれたときは、その場で決めません。見積書と調査の写真を持ち帰り、2社以上で比べます。契約を急かされたときの確認は、害獣駆除で契約を急かされたらにまとめています。



