有害鳥獣捕獲許可とは|原則禁止の捕獲を被害防止で認める制度
環境省の説明では、野生の鳥獣や鳥類の卵は、狩猟として行う場合を除いて、捕獲や殺傷、採取が原則として禁止されています。例外として、生態系や農林水産業への被害がある場合などに、環境大臣または都道府県知事の許可を受ければ捕獲できます。生活環境に係る被害の防止も、横浜市の案内では、許可を受けて捕獲できる目的に挙げられています。
許可を出すのは、国指定の鳥獣保護区の中や希少鳥獣、かすみ網を使う場合は環境大臣、それ以外は都道府県知事です。ただし多くの都道府県では、地方自治法や鳥獣被害防止特措法に基づいて、許可権限の一部を市町村長に移しています。許可の基準は、目的ごとに動物の種類、数、期間、区域、方法などの要件として都道府県の鳥獣保護管理事業計画に定められており、詳細は都道府県の担当部局へ確認するよう案内されています。
鳥獣保護管理法9条は、目的が許可の対象に合わない場合や、鳥獣の保護に重大な支障を及ぼすおそれがある場合、住民の安全の確保に支障を及ぼすおそれがある場合などを除いて、申請があれば許可をしなければならないと定めています。
狩猟と許可捕獲の違い
狩猟は、狩猟免許を取り、毎年度の猟期の前に登録したうえで、法定猟法で狩猟鳥獣を捕るものです。許可捕獲は、被害防止などの目的で許可を申請して行うもので、許可された期間なら年中いつでも可能とされ、方法は問われないものの、危険猟法などには制限があります。この記事が扱うのは、後者の許可の申請です。
許可が要らない例外と、無許可の罰則
ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミの3種は、鳥獣保護管理法施行規則で法の適用除外とされており、捕獲に許可は要りません。それ以外の野生の鳥獣は、許可も狩猟の手続きもなく捕獲することはできません。違反すると、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります。
また、垣やさくで囲まれた土地や作物のある土地で捕獲する場合は、あらかじめ土地の占有者の承諾を得る必要があります(9条とは別の17条の定め)。借家や借地、他人の畑に罠を置くときは、この承諾も忘れずに確認します。
有害鳥獣捕獲許可の申請先はどこですか?
許可権限者は環境大臣か都道府県知事ですが、多くの都道府県で一部が市町村長に移されています。市区町村の公式ページで、許可できる動物の一覧に目的の動物があるかを見て、なければ都道府県の担当課に確認します。
申請先の探し方|都道府県と市町村のどちらに出すか
動物ごとに許可権限者が分かれる点が、最初のつまずきです。横浜市は、市長への許可申請または届出の対象として鳥類23種と獣類14種の計37種を示し、それ以外の鳥獣は神奈川県知事か環境大臣の許可が必要としています。同じ市内でも、動物によって出す先が変わるということです。
探し方は、市区町村名と「有害鳥獣 捕獲許可」で公式ページを探し、その市が許可できる動物の一覧に目的の動物があるかを見る順番が確実です。一覧にない動物は都道府県の担当課に問い合わせます。大阪市のように、府の権限移譲を受けて市が許可を出している例もあります。関西の窓口の全体像は大阪市・堺市・東大阪市の害獣相談の窓口にまとめています。
| 自治体(掲載の更新日) | 許可できる動物の案内 | 窓口と受付方法の記載 | 手数料・交付までの記載 |
|---|---|---|---|
| 横浜市(2026年2月26日更新) | 37種(鳥類23種・獣類14種)。アライグマとタイワンリスは届出の様式が別 | みどり環境局の担当課。ファックス、メール、郵送、電子申請 | 手数料の記載は確認できず |
| 大阪市(2026年2月13日掲載) | 大阪府から権限移譲を受けた鳥類・哺乳類の一覧を掲載 | 動物管理センター分室の窓口へ来所。郵送での申請は受け付けない。電子の事前申請あり | 許可申請手数料は無料 |
| 仙台市(2024年12月3日更新) | 14種を掲載。クマ・サル・イノシシは主に鳥獣被害対策実施隊が捕獲 | 各区役所・総合支所の野生鳥獣担当窓口。窓口、郵送、電子メール | 手数料は不要 |
| 甲斐市(2026年3月10日更新) | 14種。それ以外は山梨県の林務環境事務所 | 環境森林課の窓口に書類を提出 | 許可証は受理から2〜3日程度 |
| 東京都環境局(2026年8月5日更新) | 都内の有害鳥獣捕獲。区市町と連携するアライグマ・ハクビシン対策も案内 | 環境局の計画課と多摩環境事務所。窓口、または返信用封筒を同封した郵送 | 受理証と引き換えに許可証を交付 |
- 市区町村の公式ページで、許可できる動物の一覧に目的の動物があるかを見る
- 一覧にない動物は、都道府県の鳥獣担当課に問い合わせる
- 国指定の鳥獣保護区の中や希少鳥獣は、環境大臣の許可になることを頭に置く
- 窓口へは、動物名、捕獲したい場所、被害の内容、捕獲の方法を伝え、受付方法(来所・郵送・電子)を聞く
参考:横浜市|捕獲等の許可
申請書に書く内容と添付書類|法令の定めと自治体の実例
申請書に書く内容は、鳥獣保護管理法施行規則7条に定められています。申請者の住所、氏名、職業、生年月日、捕獲する動物の種類と数量、捕獲の目的、期間、区域、方法、捕獲した後の処置が基本で、狩猟免許を持っている場合はその種類と免状の番号も書きます。公道や社寺境内、墓地などで捕獲する場合は、その旨も記します。事由を証する書面と、場所を示す図面、銃器を使わない場合は方法を示す図面を添えます。
実際の様式や添付書類は、自治体ごとに少しずつ違います。大阪市は、生活環境の被害を防ぐために自分の所有地内で捕獲する場合、被害状況調査書、捕獲実施計画書、図面を省略できるとしています。書類が少なくて済む場合もあるため、自分の立場(所有者、借主、依頼を受けた人)を最初に窓口へ伝えます。次の表は、公式ページで確認できた書類を並べたものです。
| 書類 | 書く・示す内容 | 掲載を確認した自治体の例 |
|---|---|---|
| 許可申請書 | 動物の種類と数、目的、期間、区域、方法、捕獲後の処置など | 横浜市、大阪市、仙台市、東京都、甲斐市(様式は自治体ごとに異なる) |
| 実施者(従事者)名簿 | 複数人で同じ目的・方法・場所で捕獲するときに添える。横浜市は従事者が3名以上の場合 | 横浜市、大阪市、仙台市、甲斐市 |
| 捕獲等依頼書(依頼届) | 被害を受けている人が、第三者に捕獲を頼むときに添える | 横浜市、大阪市、仙台市、東京都、甲斐市 |
| 被害状況の資料 | 被害状況調査書、被害状況の写真、理由書など。捕獲の必要性を説明する | 大阪市(被害状況調査書)、東京都(理由書と被害状況写真) |
| 捕獲実施計画書・方法の図 | 実施計画書、猟具の大きさが分かる写真や寸法 | 大阪市・仙台市(実施計画書)、東京都(猟具の図面) |
| 場所を示す図面 | 捕獲する場所を地図や位置図で示す | 横浜市、大阪市、東京都、甲斐市 |
| 本人確認書類・免許の写し | 運転免許証などの本人確認、狩猟免許証の写し | 大阪市(本人確認書類)、甲斐市・東京都(狩猟免許の写し。東京都は都外に住む人) |
許可証・従事者証と許可の期間|携帯・表示・変更の届出
許可が出ると許可証が交付されます。捕獲をするときは、許可を受けた人も従事者も許可証または従事者証を携帯し、国や地方公共団体の職員、警察官から求められたら提示します(鳥獣保護管理法9条)。許可には有効期間が定められ、鳥獣の保護や住民の安全のために条件が付くこともあります。受け取ったら、まず期間、区域、方法、対象の動物を許可証で確認します。
許可証の交付までの日数は、自治体の案内に幅があります。甲斐市は申請書を受理してから2〜3日程度、長野市は書類の提出後1週間程度と案内しています。捕獲を始めたい時期が決まっている場合は、余裕を持って窓口へ相談します。
従事者証は誰が受けられるのか
従事者証は、許可を受けた人のうち、国、地方公共団体、認定鳥獣捕獲等事業者、環境大臣の定める法人が、その監督の下で捕獲に従事する人のために申請して受けるものです。甲斐市は、環境大臣が定める法人を農業協同組合、森林組合、漁業協同組合などと案内し、民間会社や自治体は申請者になれず、個人として申請する必要があると説明しています。東京都も、従事者証の交付を申請できるのは、申請者が国、地方公共団体、認定鳥獣捕獲等事業者、農業協同組合などの場合に限ると案内しています。
わなへの表示と住所変更の届出
許可を受けた人や従事者は、わななどの猟具ごとに、見やすい場所へ住所や氏名などを表示しなければなりません(9条12項)。表示をせずに猟具を使うと、30万円以下の罰金の定めがあります(86条)。氏名や住所が変わったときは、大阪市が2週間以内、東京都が遅滞なくの届出を案内しており、許可証をなくしたときは再交付を申請できます。
捕獲後の報告と返納|有効期間の満了後30日以内
許可の有効期間が満了したら、その日から30日を過ぎる日までに、捕獲の結果を報告する決まりです(鳥獣保護管理法9条13項)。報告しなかったり、虚偽の報告をしたりすると、30万円以下の罰金の定めがあります(86条)。大阪市は、有効期間の満了後30日以内に許可証を返納し、報告欄に捕獲した動物の種類と頭数を書くよう案内しています。
仙台市は、捕獲した数がゼロでも報告書の提出が必要で、許可証の報告欄に記入して返す方法でもよいとしています。東京都は、許可証と従事者証を、効力を失った日から30日以内に申請した窓口へ返納し、捕獲の報告をするよう案内しています。捕獲した個体の処分は、甲斐市が申請者または依頼を受けた人が行うとしており、回収の有無や処分の方法は自治体で異なります。
アライグマなど特定外来生物の場合は、外来生物法により、生きたままの運搬や飼養などが原則として禁止されています。捕まえた後の運び方や処分は、自分で判断せず、許可や貸出の窓口で先に確認してください。
- 許可証(報告欄に、捕獲した動物の種類と数を記入する)
- 捕獲の結果(ゼロでも報告が必要な自治体がある)
- 返納先の窓口と、有効期間の満了後30日以内という期限
業者に依頼する場合の申請者|依頼書と名義の確認
駆除業者に捕獲を頼むとき、許可の申請者が誰になるかは、自治体の案内で確かめます。大阪市は、有害鳥獣の捕獲は被害者本人か、被害者から依頼を受けた捕獲従事者が申請するとし、申請は必ず捕獲を実施する本人が行うよう求めています。横浜市、東京都、甲斐市は、第三者に依頼する場合に捕獲等の依頼書を添えると案内しています。業者に許可の種類や申請者の説明を求めるときの確認点は、害獣駆除の悪徳業者を見分ける確認表でもまとめています。
一方、甲斐市は、環境大臣が定める法人以外では民間会社が申請者になれず、個人として申請する必要があるとしています。会社が許可を持っているという説明だけでは足りず、誰の名義の許可で、誰が現場で作業するのかを、見積もりの段階で確かめます。契約相手と施工会社が違う場合の見分け方は、契約相手と施工会社が同じかを確かめる方法にまとめています。資格や許可全体の見方は害獣駆除に必要な資格も参考になります。
- 許可は誰の名義で取るのか(被害者本人か、依頼を受けた従事者か)
- 現場で作業する人は誰で、許可証または従事者証を携帯しているか
- 許可の対象の動物、期間、区域、方法は、今回の被害に合っているか
- 許可の申請や報告の手続きは、見積もりに含まれているか
- 捕獲後の回収と処分は誰が行い、費用は別か
自治体の貸出制度・捕獲要望を使う場合との違い
自分で許可を取って捕獲する方法のほかに、自治体が捕獲器を貸し出したり、地域の捕獲団体が捕獲に動いたりする仕組みがあります。手続きの名義、期間、捕獲後の扱いが変わるため、どの方法を使うかを先に決めます。自治体・専門業者など依頼先ごとにできることの違いは、害獣駆除の依頼先6つの違いで比べています。
貸出や要望の制度は、市町村ごとに有無も条件も違います。奈良市の例は奈良市のイタチ等の捕獲器と従事者証、丹波市の例は丹波市の小型鳥獣の捕獲相談で詳しく扱っています。貸出や要望の制度がない動物の場合は、この記事の許可申請が基本になります。
| 進め方 | 誰が捕獲するか | 手続きの要点 | 掲載を確認した例 |
|---|---|---|---|
| 自分で許可を申請する | 許可を受けた本人と従事者 | 許可申請書、図面、依頼書など。許可証を携帯し、期間の満了後30日以内に報告 | 横浜市、大阪市、仙台市、東京都 |
| 自治体の捕獲檻の貸出(アライグマ) | 借りた人が設置し、見回る | 貸出申請書を窓口かメールで提出。個人は1基、2週間。捕獲後は原則として市が開庁日の月・水・金の午前に処分に伺う | 奈良市(2025年11月26日更新) |
| 自治体の捕獲器の貸出(イタチ等) | 借りた人 | 貸出の際に従事者証の発行手続きが必要。貸出は1基、2週間 | 奈良市(2024年7月25日更新) |
| 自治体や捕獲団体への捕獲の要望 | 市が指定する要件を満たした捕獲団体 | 小動物の捕獲は、個人が小型有害鳥獣捕獲要望書を提出。大型動物は地元代表者を通じて要望 | 丹波市(2026年10月1日更新) |
ハクビシン・鳩・イノシシで許可が要るか|動物別の目安
ハクビシン、鳩、イノシシは、いずれも自治体の許可対象として掲載されている動物です。ただし、免許の要否や窓口は、動物と被害の場所で変わります。次の表は、横浜市、大阪市、仙台市、甲斐市の公式ページの掲載を、動物ごとに読み替えたものです。
鳩は、巣や卵・ヒナの扱いで特に判断が分かれます。親鳥がいない場合でも卵やヒナの撤去には許可が要るため、巣に卵やヒナがあるときの確認事項を先に読んでください。
| 動物 | 許可対象として掲載を確認した自治体 | 手続き上の注意 |
|---|---|---|
| ハクビシン | 横浜市、大阪市、仙台市、甲斐市 | 許可なしの捕獲はできません。甲斐市は、自己の住宅等の敷地内や農林業被害の防止で小型の箱わな等を使うなら、狩猟免許がなくても許可を申請できるとしています |
| 鳩(ドバト・カワラバト) | 横浜市・仙台市・甲斐市(ドバト)、大阪市(カワラバト) | 卵やヒナの採取や捕獲も許可の対象です。甲斐市は、巣の撤去に伴うヒナの捕獲や卵の採取は、免許がなくても申請できるとしています |
| イノシシ | 横浜市、大阪市、仙台市、甲斐市 | 大型で危険な動物です。仙台市は、クマ・サル・イノシシの被害は主に実施隊が捕獲するとし、甲斐市は、農林業者が自らの事業地で囲いわなを使う場合は免許なしで申請できるとしています |
| アライグマ | 横浜市、大阪市、甲斐市 | 特定外来生物のため、横浜市は許可申請とは別に、防除実施計画に基づく捕獲等届出書の様式を案内しています。生きたままの運搬は原則禁止です |
| ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミ | 許可の対象外(法の適用除外) | 施行規則が適用除外とするのはこの3種です。ほかの動物の被害と混同しないよう、種類の確認から始めます |






