害獣駆除に必須の資格はあるのか|作業の中身で分けて考える
害獣駆除と一口に言っても、動物を捕獲する作業、追い出して侵入口をふさぐ作業、薬剤を使う作業、建物の清掃や消毒の作業が混ざっています。法律の面で最も明確なのは捕獲です。環境省は、野生鳥獣の捕獲を、狩猟として行う場合を除いて原則禁止し、被害防止などの目的では環境大臣または都道府県知事の許可を受けて行うと説明しています。
一方、追い出しや封鎖、清掃だけを行う事業者に、統一的な資格を義務づけた法令は、確認した範囲では見つかりませんでした。そのため、広告に資格名が並んでいても、その資格が自分の依頼内容に必要なものかを、作業ごとに確かめる必要があります。
| 作業の中身 | 関わる主な制度 | 確認できた資格・許可 |
|---|---|---|
| 野生の鳥獣を捕獲する(箱わななど) | 鳥獣保護管理法 | 狩猟として行うなら狩猟免許と狩猟者登録、被害防止の許可捕獲なら捕獲許可(9条) |
| アライグマなど特定外来生物を防除する | 外来生物法 | 国・自治体以外の者の防除は、主務大臣の認定を受けることができる(18条)。自治体の防除の従事者になる方法もある |
| 建築物のねずみ・昆虫等を防除する | 建築物衛生法 | 営業所ごとの都道府県知事の登録を受けることができる(任意)。防除作業監督者を置くなどの基準がある |
| シロアリを防除する | 団体の資格 | しろあり防除施工士(日本しろあり対策協会)など。今回確認した法令に、必須とする定めは見つけていない |
| 追い出し・侵入口の封鎖・清掃だけを行う | 専用の資格制度は確認できず | 資格の有無ではなく、見積書、契約書、保証の書面で確かめる |
害獣駆除に資格は必要ですか?
害獣駆除業そのものに共通して必須の国家資格は、確認した範囲では見つかりませんでした。ただし、野生の鳥獣を捕獲するなら、捕獲許可や狩猟免許などの制度が関わります。
法律に基づく許可・免許・登録の一覧
法律に基づく制度は、行政が許可、免許、認定、登録として与えるもので、名簿や公示で確かめられるものが多くあります。次の表は、害獣駆除に関わる主なものです。いずれも、捕獲を行う人や事業所が満たすべき条件を、行政が確認する仕組みです。
捕獲に関わる許可・免許・認定
鳥獣保護管理法9条の許可は、捕獲の目的と場所ごとに出され、許可証と従事者証の携帯が義務づけられています。狩猟免許は、網猟、わな猟、第一種銃猟、第二種銃猟の4区分で、都道府県知事が実施する試験に合格して取得し、わな猟免許は18歳未満には与えられません。
認定鳥獣捕獲等事業者は、捕獲を行う法人が、安全管理体制や従事者の技能・知識などの基準に適合していることについて、都道府県知事の認定を受ける制度です。環境省の説明では、認定は都道府県が公示し、3年ごとの更新があります。許可の取り方は有害鳥獣捕獲許可の申請の手順で整理しています。
建築物ねずみ昆虫等防除業の登録と防除作業監督者
建築物衛生法12条の2は、建築物におけるねずみ、昆虫その他の人の健康を損なう事態を生じさせるおそれのある動物の防除を行う事業者が、営業所ごとに、所在地を管轄する都道府県知事の登録を「受けることができる」と定めています。登録は任意で、有効期間は6年です。
登録の基準は、施行規則29条にあります。調査用トラップや実体顕微鏡、噴霧機、防毒マスクなどの機械器具と専用の保管庫、ねずみ等の防除作業の監督を行う者(防除作業監督者)、従事者の研修、作業と設備の維持管理の方法などです。防除作業監督者は、厚生労働大臣の登録を受けた者が行う講習を修了して6年を経過しない者などとされています。
| 制度 | 与える機関 | 対象 | 業者を確かめるときの見方 |
|---|---|---|---|
| 捕獲許可(許可証・従事者証) | 環境大臣、都道府県知事(市町村に移譲される例あり) | 被害防止などの目的の鳥獣捕獲 | 許可の名義人、有効期間、対象の動物、現場で作業する人の許可証または従事者証 |
| 狩猟免許と狩猟者登録 | 都道府県知事 | 狩猟として行う捕獲。わな猟免許は18歳以上 | 免許の種類と、使う猟具が合っているか |
| 認定鳥獣捕獲等事業者 | 都道府県知事(法人のみ) | 安全管理体制と従事者の技能・知識の基準に適合した捕獲事業者 | 環境省の一覧で、都道府県、捕獲方法、対象鳥獣を検索 |
| 特定外来生物の防除の認定 | 主務大臣(国・自治体以外の者) | アライグマなど特定外来生物の防除 | 認定は公示される。自治体の防除計画の中での扱いも確認 |
| 建築物ねずみ昆虫等防除業の登録 | 都道府県知事(営業所ごと、有効期間6年) | 建築物のねずみ・昆虫等の防除(任意の登録) | 営業所の登録の有無と有効期間 |
団体が認定する資格の一覧と位置づけ|ペストコントロール技術者・しろあり防除施工士
ペストコントロール協会やしろあり対策協会などの団体は、独自の資格や認証を設けています。これらは団体の認定で、法律が事業を行う条件として定めた資格ではありません。「国家資格」のような印象で受け取らないよう、発行者を見て区別します。
日本ペストコントロール協会は、協会の事業のページで、PCO業務に係る主な資格として、防除作業監督者、優良事業所、ペストコントロール技術者、毒物劇物取扱責任者、危険物取扱者を挙げています。このうち毒物劇物取扱責任者と危険物取扱者は、扱う薬剤や設備の種類によって関わるもので、どの作業に必要かは個別に確かめる必要があります。
協会の会員であることと、資格を分けて見る
日本しろあり対策協会は、登録施工業者会員の入会要件として、しろあり防除施工士がいること、連携団体に加入していること、賠償責任保険と労働災害保険に加入していること、器材格納庫が1坪以上あることなどを挙げています。これらは事業者の体制に関する条件で、個々の施工の仕上がりに関する条件ではありません。会員であることと、現場の担当者が資格を持つことは、別々に確かめます。
| 資格・認証 | 発行する団体 | 掲載されている取得条件 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| ペストコントロール技術者(1〜3級) | 日本ペストコントロール協会 | 養成講座(通信教育)の修了者、登録機関の防除作業従事者研修の修了者や防除作業監督者の修了者(3級)。会員・非会員を問わず申請できる | 個人の知識・技術の認証 |
| ペストコントロール技能師 | 日本ペストコントロール協会 | 16歳以上で、会員企業所属、1年以上の業務経験、学歴要件などのいずれかを満たし、eラーニングと実技の講習・考査に合格 | 個人の資格。会員外や学生も受講できる(令和7年度の案内) |
| ペストコントロール優良事業所 | 日本ペストコントロール協会 | 事業所専任の1級技術者、機器材や設備、各種保険の加入など、認証規程の条件をすべて満たす | 事業所の認証 |
| しろあり防除施工士 | 日本しろあり対策協会 | 昭和39年に創設された資格制度。資格取得後は登録更新の講習がある | シロアリ防除施工の個人資格 |
| (参考)防除作業監督者 | 日本建築衛生管理教育センターなどの登録講習 | 講習33時間(5日間)を修了。受講には実務経験が必要 | 建築物衛生法の登録基準の人的要件に使われる |
業者の資格・登録・許可を確かめる方法
業者のサイトに資格名や登録名が書かれていたら、発行者の名簿や公示で確かめます。確かめ方は資格の種類ごとに違います。環境省は、認定鳥獣捕獲等事業者の一覧を公開しており、都道府県、捕獲方法、対象鳥獣で検索できます。2026年10月3日に確認した掲載は、令和8年8月31日現在で185事業者でした。
日本ペストコントロール協会は、優良事業所とペストコントロール技術者、技能師の認証者の名簿を公開しています。ただし、掲載確認が取れた者のみの公開です。名簿にないことが、直ちに認証がないことを意味するとは限らないため、載っていない場合は協会へ問い合わせます。協会名簿の見方はペストコントロール協会とはで詳しく説明しています。
| 業者サイトの表記 | 確かめる場所 | 照合すること |
|---|---|---|
| 認定鳥獣捕獲等事業者 | 環境省の認定鳥獣捕獲等事業者一覧 | 事業者名と住所、捕獲方法と対象鳥獣が今回の依頼に合っているか |
| 捕獲許可・従事者証を持つ | 許可証の写しや提示、申請先の自治体 | 許可の名義人、有効期間、対象の動物、現場で作業する人の従事者証 |
| ペストコントロール協会の会員 | 日本ペストコントロール協会の会員名簿、所在地の都道府県協会 | 社名と営業所の所在地、名簿の日付 |
| 優良事業所・ペストコントロール技術者・技能師 | 協会の認証者名簿 | 事業所名や氏名の掲載(掲載確認が取れた者のみ公開) |
| 建築物ねずみ昆虫等防除業の登録 | 営業所の所在地を管轄する都道府県の担当窓口。協会名簿の知事登録欄は参考 | 営業所ごとの登録の有無と、有効期間(6年) |
| しろあり防除施工士・協会会員 | 日本しろあり対策協会の登録施工業者会員名簿(都道府県別) | 会員名簿に載っているか |
資格の有無だけで判断しないための確認項目
資格や登録は、事業者や作業者が一定の条件を満たしているかを示すもので、見積もりが妥当か、保証が実際に使えるかまでは示しません。日本ペストコントロール協会のよくある質問も、防除や駆除の価格は対象の生物や現場の状況などで変わるため一概に決められないとし、地元の協会や担当の事業者と納得のいくまで話し合うよう案内しています。
資格とは別に、見積もりの前に聞いて書面に残してもらう項目を持っておきます。契約相手の確かめ方は契約相手と施工会社が同じかを確かめる方法、質問の全体は害獣駆除業者の選び方の7つの質問にまとめています。
- 契約相手と現場で作業する会社が同じか(下請けの有無も含めて)
- 捕獲を伴う場合、許可の名義人と、作業者の許可証や従事者証
- 賠償責任保険や労災保険に加入しているか(協会の入会書類に保険の写しを挙げる例がある)
- 見積書の内訳に、調査、捕獲または追い出し、封鎖、清掃、処分が分けて書かれているか
- 保証の対象範囲と年数、再発時の連絡先が書面にあるか
- 追加費用が発生する条件と、同意を取る手順
アライグマ・イノシシ・鳩の駆除に必要な資格は?動物別の目安
アライグマ駆除、イノシシ駆除、鳩駆除の資格を調べる人は、個人が持つ資格より、捕獲の許可や免許の扱いを知りたいことが多くなります。環境省の狩猟制度の説明は、狩猟鳥獣として46種を挙げており、獣類にアライグマとイノシシが、鳥類にキジバトが含まれます。ドバトは、その一覧には載っていません。
アライグマは、自治体の貸出や従事者の登録の制度が市町村ごとに違うため、奈良市のアライグマ捕獲檻の貸出と返却のように、窓口が案内する条件を確かめます。鳩の卵やヒナのある巣は、巣に卵やヒナがあるときの確認事項を先に読んでください。
| 動物 | 狩猟鳥獣の一覧 | 主な手続き | 確認先 |
|---|---|---|---|
| アライグマ | 載っている(特定外来生物でもある) | 許可捕獲か狩猟、または自治体の防除の従事者。生きたままの運搬や飼養は、外来生物法で原則禁止 | 市区町村の担当課。貸出制度の有無 |
| イノシシ | 載っている | わな猟免許を使う狩猟、または許可捕獲。農業者や林業者が被害防止のために設ける囲いわなは、免許の対象から除かれる。大型で危険 | 市区町村の鳥獣担当課 |
| 鳩(ドバト) | 載っていない(キジバトは載っている) | 市の捕獲許可の対象として掲載する例(横浜市はドバト、大阪市はカワラバト)。卵やヒナも許可の対象 | 市区町村の担当課 |
仕事として目指す場合の入口|講習・免許・求人
資格を調べる人の中には、害獣駆除や防除の仕事に就きたい人もいます。入口は一つではなく、事業者に雇われて研修を受けながら進む道と、免許や講習を自分で受ける道があります。次の表は、2026年10月3日に確認した各団体の案内です。受付期間や条件は年度ごとに変わるため、申し込みの前に公式ページで確認してください。
協会のよくある質問は、防除作業従事者研修会は原則として、都道府県に防除業の登録をした事業者を対象に開催されると説明しています。個人で先に受けられる講習と、事業者に所属して受ける研修は分けて計画します。
| 入口 | 掲載されている条件 | ひとこと |
|---|---|---|
| ペストコントロール技術者養成講座(通信教育) | 学歴、年齢、性別、職業、経験などを問わない。2026年度(第45期)の募集締切は2026年9月30日 | 確認時点では締切済み。例年の募集案内は9〜10月ごろに掲載される |
| ペストコントロール技能師の認証講習 | 16歳以上で、会員企業所属、1年以上の業務経験、学歴要件などのいずれか。令和7年度の受講料は会員17,600円、会員外27,500円、学生11,000円 | 令和7年度分は受付終了。次回の案内は協会のページで確認 |
| 防除作業監督者講習(新規) | 高校卒業後2年以上、または5年以上の、建築物のねずみ・昆虫等の防除(シロアリ駆除を除く)の実務経験。正社員の実務で、アルバイトやパートは含まない。33時間(5日間)、受講料71,000円(非課税) | 実務経験が前提のため、入口というより次の段階 |
| わな猟免許 | 都道府県知事の試験に合格。18歳以上 | 狩猟として行うときの免許。許可捕獲の扱いは自治体で確認 |
| 協会会員企業の求人 | 協会が、会員企業の採用情報のページを設けている | 求人の条件は会員企業ごとに異なる |





