羽アリが一斉に飛ぶ仕組み|群飛と雨上がり・湿度の関係
羽アリが一度に大量に見えるのは、一つの巣から多数の羽アリが同じ時期に飛び出す群飛が起きるためです。北海道立総合研究機構の林産試験場は、幼虫、ニンフ、有翅虫と分化して羽アリになったシロアリが、ある時期に集団で巣から飛び出し、やがて王と女王が対になって新しい巣をつくると説明しています。
群飛は、新しい巣をつくる王と女王候補の移動
川崎市のリーフレットは、巣から飛び立った王と女王は翅を落としてから交尾し、新しい巣をつくると説明しています。横浜市衛生研究所は、アリの仲間にも結婚飛行があり、5月から10月にかけて、種類ごとにほぼ決まった時期に一斉に飛び立つとしています。大量発生の正体は、シロアリでもアリでも、繁殖のための移動です。時期の目安は羽アリの時期は何月?にまとめています。
雨上がりに目立つ種類がある
東京都は、ヤマトシロアリの羽アリが主に4〜5月の雨上がりで、晴れた風のある日の昼間に飛ぶと案内しています。林産試験場も、北海道では5月末から6月にかけて、特に雨上がりの温暖な午前中に見られるとしています。条件の合う日に多数がまとめて飛ぶため、短時間で一気に増えたように感じやすいと考えられます。
ただし、各資料が挙げているのは雨上がりの晴れた日や温暖な午前中で、雨が降っている最中に飛ぶかどうかや、湿度が関係する理由までは、今回確認した資料に書かれていません。雨の日なら必ず出る、湿度が一定を超えると出る、とは言えないため、雨上がりの晴れた日に飛ぶ種類がある、という範囲で受け止めてください。
参考:北海道立総合研究機構 林産試験場|林産試だより2013年8月号 Q&A 住宅に発生した羽アリ(PDF)
羽アリが雨上がりに大量に出るのはなぜですか?
ヤマトシロアリの羽アリは、東京都が4〜5月の雨上がりで晴れた風のある日の昼間、林産試験場が北海道の雨上がりの温暖な午前中と案内しています。条件の合う日にまとまって飛ぶため一度に多く見えると考えられますが、資料は理由までは説明していません。
家の中で大量発生したとき、出どころを探す場所
家の中で大量の羽アリを見つけたら、まず「どこから出てくるのか」を探します。川崎市のリーフレットは、群飛の時期に羽アリが飛び出す場所から巣を確認すること、窓ぎわに群飛後に落とした翅が落ちていないかを見ることを挙げています。横浜市は洗面所や風呂場の窓際、大阪市西区は風呂場や台所などの水まわりでの発見を例にしています。
水回りと玄関まわり
川崎市のリーフレットは、台所・洗面所・トイレ・浴室の床下や玄関まわりなど、湿度が高く風通しが悪く、水をよく使う場所が被害を受けやすいと説明しています。協会のQ&Aには、アパート1階の洗面所と廊下の隙間から羽アリが出て管理会社や大家さんに連絡した相談があり、集合住宅では自室だけで抱えず、管理者と一緒に確認する流れになります。
- 浴室・洗面所・台所・トイレの窓際と、床と壁のすき間
- 玄関の内側の床際や、木の枠の周り
- 窓ガラスや窓の下に落ちた翅
床と壁の境目・サッシの下・壁に接する場所
床と壁の境目、サッシの下のすき間、押入れの壁際など、壁に接する場所も見ます。出てくる瞬間に立ち会えたら、出口の位置を撮影し、間取り図に印を付けてください。壁や床を自分で壊して出どころを探すことはせず、内部の確認は調査に任せます。記録のしかたは羽アリが出たら何を残す?にもあります。
家の外で大量発生しているとき、建物の被害と言えるか
外で飛んでいる羽アリを見ただけでは、自宅の木部が被害を受けているとは言い切れません。協会は、隣の家のシロアリが自宅に移ることはないとはいえないが、そもそもシロアリはどこにでもいて巣もたくさんあると回答しています。一方、東京都は、羽アリの飛翔が見られた近くでは被害がある可能性があるとし、林産試験場は、シロアリの羽アリが住宅から多数出たなら、土台などの木材がすでに被害を受けている可能性が高いと説明しています。外で飛んだのか、家から出たのかで、重みが変わります。
屋外から飛来して入り込んだ場合
玄関灯や窓の明かりに集まり、開いた窓や網戸のすき間、ドアの開閉で入り込んだ場合は、室内に出どころがなくても屋内で見つかります。横浜市はイエシロアリが明かりに集まる性質を、川崎市は羽アリが家の灯りに集まり屋内にも入ることを説明しています。ゴールデンウィークに玄関前へ羽アリの死骸が数匹落ちていた例について、協会は念のため建物を点検してもらうよう勧めています。数匹でも、敷地内に出どころがある可能性を残して記録します。
庭の木材や切り株が出どころの場合
森林総合研究所は、床下や家屋の周囲にシロアリの餌となる木材の切れ端や、伐採後の根(伐根)が残っていると、そこが発生源になると説明しています。庭の切り株、積んだ薪、放置した板材などがあれば、羽アリが出た位置との関係を写真に残してください。イエシロアリの場合の考え方はイエシロアリの相談で確認したいことにあります。
参考:日本しろあり対策協会|ゴールデンウィーク中に玄関の前にシロアリの羽アリの死骸が数匹落ちていました(シロアリQ&A)
室内発生か屋外飛来かの判断フロー|表で順に確かめる
切り分けは、虫の名前を当てる作業ではなく、出どころの見当を付ける作業です。下の表を上から順に見て、分かるところだけ埋めてください。どちらとも決められない行は、不明のまま調査に渡します。
この表は、公的資料の記述をもとに当サイトが作った整理で、診断ではありません。室内発生の手がかりが多くても屋外から入った場合があり、その逆もあるため、結論は調査で確かめます。
| 確認すること | 室内発生を疑う手がかり | 屋外飛来を疑う手がかり | 次の動き |
|---|---|---|---|
| 出てくる瞬間を見たか | 床と壁の境目、サッシの下、水回りのすき間などから出てくる様子を見た | 窓や網戸、玄関灯の周りに集まっていた。ドアを開けたときに入ってきた | 出口の位置を撮影し、間取り図に印を付ける |
| 見つけた場所 | 浴室・洗面所・台所・玄関内側の床際で見つかった | 窓ガラス、網戸、ベランダ、玄関灯の周りで見つかった | 場所ごとに数と時刻を書く |
| 日を変えての再発 | 同じ場所で日を変えても見つかる | その日の時間帯だけで、日を変えると同じ場所では見つからない | 数日間、同じ時間帯に確認して記録する |
| 落ちた翅の位置 | 出口とみられる場所の近くや、窓ぎわに翅が集まっている | 庭側の地面や玄関前の外に落ちている | 翅は捨てずに袋へ。位置を撮影する |
| 周辺の木部・環境 | 木部が柔らかい、床が沈む、土のトンネル(蟻道)がある、水漏れの跡がある | 庭の切り株や放置した木材がある | 木部は触って壊さず、写真に残す。庭の木材は位置を記録する |
- 最初に羽・胴・触角を見て、シロアリかアリかを確かめる(確かめ方は羽アリの時期は何月?の確認点を参照)
- シロアリの疑いがあれば、室内か屋外かにかかわらず専門業者への相談を考える
- アリと判断できるときは、屋内への侵入経路、灯り、食品の管理を確認する
- どちらとも決められないときは、写真と記録を添えて相談し、確認の範囲を聞く
その場の処理|掃除機・袋・写真と、数匹を保管する理由
大量に出たときは、目の前の羽アリを片付けたくなります。協会は、殺虫剤をスプレーすると虫が逃げてしまうので、できればそのままにしておく方がよいと回答しています。使う場合は、出てきた箇所をメモし、出てきた虫は袋などに入れて保管し、業者が来たときに見せるよう案内しています。
数匹を残す理由は、種類の判定です。横浜市は、虫の同定は非常に困難で、アリでもシロアリでもない場合もあるため、疑わしいときは近くの福祉保健センターに虫を持って行って相談するよう案内しています。世田谷区も、保健所に持ち込む場合はできるだけつぶさないよう添えています。
公的な案内には、掃除機や粘着テープなど回収の道具の指定は見当たりませんでした。ここでの手順は、保管と記録を優先する当サイトの考え方です。薬剤を使う前の確認は羽アリの駆除は自分でできる?にまとめています。
- 掃除の前に、床・窓・出口の位置を写真に撮る(全体から近くへ)
- 数匹を、袋や小さな容器に入れてつぶさずに保管し、日付と場所のメモを添える
- 残りを掃除機などで片付けるときは、先に数匹を取り分けておく
- 薬剤を使った場合は、製品名・使った場所・時刻を書く
- 落ちた羽や死骸の位置も、掃除の前に撮影する
参考:日本しろあり対策協会|羽アリが発生したので業者を呼びました。その間気持ち悪いので殺虫剤をスプレーしてもよいでしょうか(シロアリQ&A)
落ちた羽だけが残っているときの見方
羽だけが床や窓辺に残り、虫が見当たらないこともあります。川崎市のリーフレットは、巣から飛び立った王と女王は翅を落としてから交尾して新しい巣をつくるとし、窓ぎわに群飛後に落とした翅が落ちていないかを確認するよう案内しています。羽は、近くで羽アリが飛んだことの手がかりになります。ただし、出どころが室内か屋外かは、羽の位置だけでは決められません。
羽の形で比べる
協会は、シロアリの翅は4枚ともほぼ同じ大きさと形で、アリの翅は前の羽が後ろの羽より大きいと説明しています。前の羽と後ろの羽が組になって見つかれば、大きさを比べられます。1枚だけの場合や、ちぎれた破片だけの場合は比較できないため、判別できなかったと書き添えてください。
翌日にはなくなっていても、記録は残す
翌日には風で飛んだり掃除されたりして、羽が見つからなくなることがあります。捨てる前に写真を撮り、できれば袋に入れて残しておきます。玄関前の死骸が数匹だけでも協会が点検を勧めているように、数が少なくても記録の価値はあります。
調査を頼む目安と、伝える内容
シロアリの羽アリが疑われる場合は、早めに専門業者へ相談する流れが、公的資料に共通しています。林産試験場は、シロアリと思われる羽アリを見つけたら早急に専門業者に相談するよう案内し、東京都もシロアリ駆除は個人での対策が難しいとして、専門業者への依頼を勧めています。賃貸の場合、協会は、シロアリの駆除費用は一般的に大家さんの負担で行うことが多いが、シロアリ以外の虫は状況によると回答しています。まず管理会社や大家さんへ連絡します。
調査を頼むときは、次の内容を伝えると、確認の範囲を絞ってもらいやすくなります。見積もりの根拠となる写真の読み方はシロアリ調査の写真をどう読む?で整理しています。
| 伝える内容 | 書き方の例 |
|---|---|
| いつ・どこで | 例:4月の昼、洗面所の窓際。窓は閉めていた |
| 出てくる瞬間 | 例:床と壁の境目から出る様子を見た/見ていない |
| 数の見立て | 例:数えられないほど出た。翌日は数匹だった |
| 羽・胴・触角 | 例:写真あり。羽は4枚とも同じ大きさに見えるが、触角は確認できなかった |
| 処理したこと | 例:掃除機で片付け、数匹は袋に保管。殺虫剤は未使用(使った場合は製品名と場所) |
| 建物と周辺の情報 | 例:過去の水漏れの有無、庭の切り株や木材の位置、賃貸なら管理会社へ連絡済みか |
参考:日本しろあり対策協会|アパートの1階で洗面所と廊下の隙間から羽アリが出てきました。駆除費用は誰が払うのでしょうか(シロアリQ&A)
羽アリを理由に訪問してきた業者には、その場で契約しない
上田市消費生活センターは、「お宅から羽アリが飛んできているとクレームが出ている」と言って点検に訪れた業者に、しつこくシロアリ駆除を勧められて契約した相談事例を紹介しています。シロアリに限らず、屋根、床下、排水管などを無料で点検させてほしいと訪問してくる事業者には対応せず、契約を勧められてもその場で決めず、家族や周囲に相談するよう助言しています。不安があれば、消費者ホットライン188へ相談します。準備する資料は駆除の請求トラブルを188へ相談するにはにまとめています。



