ハチ用殺虫剤の表示で見る項目|適用害虫・巣への使用・噴射距離・使用量

ハチ用のエアゾールは、見た目が似ていても、表示の中身が違います。購入前と使用前に、缶の裏や製品ページの表示で、次の項目を順に読みます。下の表は、アース製薬、フマキラー、KINCHOの公式ページにある表示を、読む項目ごとに整理したものです。薬剤の使い方は製品表示が優先されるため、ここでは数値を独自に示しません。

たとえば、アース製薬の『スズメバチマグナムジェットプロ』の製品ページは、1本で直径25cmまでの巣を駆除できると表示し、日没後に防護服等を着て行うこと、予備としてもう1本以上を用意することを使用方法に載せています。同じ会社の『ハチアブマグナムジェット』は、本品はスズメバチの巣の駆除を対象とした商品ではないと表示しています。商品名の印象ではなく、対象の蜂と巣の大きさの表示で選び分ける、という読み方になります。

使用できる時間帯は、表示では日没後とされています。時間帯の考え方は 蜂の巣駆除の時間帯 で自治体の記載と並べています。

ハチ用殺虫剤の表示で見る項目|適用害虫・巣への使用・噴射距離・使用量:確認項目
見る項目表示の例(2026年10月3日時点)読み方
適用害虫アースのスズメバチマグナムジェットプロは、スズメバチ(オオスズメバチを除く)、アシナガバチ、クマバチなど。KINCHOのハチ・アブ用キンチョールジェットの表示にスズメバチは含まれず、スズメバチ キンチョールジェットには含まれる対処する蜂が表示に含まれているか。表示にない蜂への使用は、メーカーが示す範囲の外
巣への使用アースのハチアブマグナムジェットとハチアブスーパージェットは、スズメバチの巣の駆除を対象としない。スズメバチマグナムジェットプロは直径25cmまでの巣巣の種類と大きさが、表示の範囲に収まるか
噴射距離フマキラーのハチ・アブバズーカジェットは最大12m(無風時、効果がある距離)。KINCHOは最長15m。アースのハチアブ系は、巣には3〜4mの距離から噴射と表示到達距離と、巣に対して取る距離は別の表示。条件は無風時など
使用量・噴射時間アースは、ハチアブ系の巣の駆除を10〜30秒の噴射、巣作り阻止を1㎡あたり約5秒と表示。缶の全量が出きるまで約35〜45秒の製品がある表示の時間は製品ごとに異なる。自分で量を決めず、説明書に従う
屋外・室内、火気フマキラーは屋外専用。アースは、室内では使用しない、火気厳禁、LPガス/DMEの可燃性高圧ガスと表示屋外専用かどうかを最初に確認する

参考:アース製薬|スズメバチマグナムジェットプロ 550mL 製品情報・使用方法・使用上の注意

読者の疑問

蜂の巣にアースジェットを使ってもいいですか?

比較ガイド

アース製薬のアースジェットの製品ページが挙げる対象害虫は、ハエ成虫、蚊成虫、ゴキブリ、ノミ、トコジラミ、イエダニ、マダニで、ハチは含まれていません。KINCHOのQ&Aも、蜂の駆除にはハチ専用エアゾールを使うよう案内しています。蜂には、適用害虫にハチが書かれた専用品を選びます。

ハチ用とハエ・蚊用スプレーの違い|適用害虫と届く距離で見る

「蜂の巣 アースジェット」が検索候補に出てくるように、家にあるハエ・蚊用のスプレーが蜂に使えるのかは、よくある疑問です。メーカーの公式ページには、適用害虫が書かれています。アース製薬の『アースジェット』(防除用医薬部外品)の製品ページが挙げる対象害虫は、ハエ成虫、蚊成虫、ゴキブリ、ノミ、トコジラミ、イエダニ、マダニで、ハチは含まれていません。

KINCHOのQ&Aは、キンチョール(蚊・ハエ用)について、蜂の駆除にはハチ専用エアゾールを使うよう案内し、噴霧の到達距離はおよそ2m先までとしています。製品の表示にない使い方は、メーカーが効果や安全を示した範囲の外になります。

自治体の案内は一致していない

一方、自治体のページには、家庭にあるスプレーでも足りるとする書き方があります。大田区は、アシナガバチの撤去で、ノズルから巣までの距離が短い場合は、ゴキブリ用などの一般的な殺虫スプレーで十分としています。杉並区は、家庭のハエ・蚊・ゴキブリ用のスプレー式殺虫剤を挙げ、巣が高い位置にある場合などは遠くまで噴射できるハチ用を挙げています。

寝屋川市は、ピレスロイド系の家庭用薬剤でも効果的だが、遠くまで噴射できるハチ専用のものがより安全に駆除できるとしています。那覇市は、蚊・ハエ用を1mほど離れて使う方法と、ハチ専用を3m以上離れて使う方法を並べています。

違いが出るのは、巣との距離と対象の蜂

二つの書き方の違いは、巣との距離をどれだけ取れるかにあります。自治体の案内は主に手が届く場所のアシナガバチの巣が前提で、風上から距離を取る点は共通しています。スズメバチの巣は、神戸市や広島市が専門業者への依頼を案内しています。迷うときは、ハチ専用品を選ぶか、依頼に回します。

ハチ用とハエ・蚊用スプレーの違い|適用害虫と届く距離で見る:確認項目
比べる点ハエ・蚊用スプレー(例:アースジェット、キンチョール)ハチ用エアゾール(各社の製品)
適用害虫の表示ハエ、蚊、ゴキブリ、ノミ、トコジラミ、イエダニ、マダニなど。ハチは載っていない(アース、KINCHOの公式ページ)アシナガバチ、スズメバチ、ミツバチ、クマバチ、アブなど。製品ごとに異なる
噴射の到達距離およそ2m(KINCHOのQ&A)最大11〜15mの表示がある製品(フマキラー、アース、KINCHO)。条件は無風時など
ハチ駆除への使用KINCHOは、ハチ専用エアゾールを使うよう案内巣を対象にするか、しないかが、製品ごとに表示される

参考:KINCHO(大日本除虫菊)|キンチョール(殺虫スプレー)製品Q&A

ハチ用スプレーの駆除用と巣作り予防用の違い

ハチ用エアゾールには、巣や蜂を駆除する使い方と、巣を作りそうな場所に先にかけて営巣を防ぐ使い方の両方を表示する製品があります。アース製薬の『ハチアブスーパージェット』は、巣作り阻止として、ハチが前年巣を作った場所の周辺や、巣を作りそうな場所(玄関、軒下等)に1㎡あたり約5秒噴射すると表示し、効果持続期間を巣作り阻止約4ヵ月(使用環境により異なる)としています。

持続期間は製品ごとに違います。フマキラーの『ハチ・アブバズーカジェット』は巣作り阻止効果5ヵ月(環境により異なる)、アースのスズメバチマグナムジェットプロは巣作り阻止1ヵ月と表示しています。

予防の時期について、アース製薬は、女王蜂が4〜5月に単独で巣作りできる場所を探して巣を作り、この時期は攻撃性が低いため駆除のねらい目だと説明しています。さいたま市は、毎年スズメバチが巣を作る場所には、市販の巣作り防止スプレーで予防できるとしています。高崎市は、予防は3月〜6月上旬が最適とし、効果の持続期間に合わせて、雨のあとは再度散布するとしています。

ハチ用スプレーの駆除用と巣作り予防用の違い:確認項目
用途表示の例注意して読む点
巣の駆除(スズメバチ)アースのスズメバチマグナムジェットプロは、直径25cmまでの巣。日没後、防護服等、予備1本以上大きな巣、巣穴に噴射しにくい場所、巣全体が見えない場所は、別の駆除剤か専門家を挙げている
巣の駆除(アシナガバチ等)アースのハチアブマグナムジェットは、巣には3〜4mの距離から10〜30秒スズメバチの巣の駆除を対象としない旨の表示がある
飛んでいる蜂への使用各社が、適量を直接噴射する、皮膚の露出を避けると表示駆除した蜂は、直接手で触れない
巣作り阻止(予防)前年に巣を作った場所や、玄関・軒下に1㎡あたり約5秒(アース)。持続期間は1〜5ヵ月と製品で異なる雨や水がかかると効果が減る(アース)。室外機の中には使わない(フマキラー)

参考:アース製薬|ハチアブスーパージェット 455mL 製品情報・使用方法

蜂の巣にスプレーを使うときの注意|風向き・退路・火気・電気設備・ペット

表示に書かれた注意は、共通しているものが多くあります。次の4つに分けて確認します。ここで紹介するのはメーカーの製品ページが書く表示と、自治体の案内で、手順を独自に示すものではありません。

風向き・退路・服装

アース製薬は、噴射場所の周りと風下に人がいないことを確認し、風上から噴射し、噴射後は速やかにその場所から離れるよう表示しています。人体に向けない、噴射気体を吸入しない、薬剤が皮膚についたら石けんでよく洗う、目に入ったら直ちに水で洗い流す、とも表示しています。横須賀市は、殺虫剤がかかった蜂が飛び立つため慌てないように退路を確保すること、ハシゴや台に上っての駆除は危険なのでやめることを案内しています。

火気・高温・屋外専用

ハチ用エアゾールは高圧ガス(LPガス/DME)を使う可燃性の製品です。アース製薬は、炎や火気の近くで使用しない、火炎に向かって噴射しない、直射日光やストーブの近くなど40度以上になる所に置かない、火の中に入れない、と表示しています。フマキラーは、引火性ガスが多量に噴射されるため屋外専用だとし、室内で使ってしまったときは、すぐに窓などを全開にして換気するよう案内しています。

室外機・電気設備・壁や車の塗装

フマキラーは、室外機の中の巣やその予防に使用しないよう案内しています。引火や故障のおそれがあるためです。分電盤やコンセント、配線の近くなど、電気設備まわりの個別の記載は、今回確認した表示には見当たりませんでした。表示に載っていない場所は使わず、メーカーのお客様相談室か専門業者に確認します。

アース製薬は、壁、塀、コンクリート、樹脂は変色やシミのおそれがあるため、試し噴射で状態を確認してから使うよう表示し、自動車の塗装面や石材、白木にはかからないよう注意しています。フマキラーは、車に霧がかかったときは、すぐに薄めた中性洗剤で洗い流すよう案内しています。

ペット・観賞魚・植物・人の体調

アース製薬は、皮膚、飲食物、食器、子供のおもちゃ、観賞魚・小鳥などのペット類、飼料、観賞植物にかからないようにするよう表示しています。身体に異常が起きたときは、ピレスロイド系薬剤を含む商品であることを医師に告げて診療を受けるよう表示しています。池や水槽、小鳥のケージのある家で伝えておく内容は ペットがいる家の害虫駆除 で整理しています。

参考:アース製薬|ハチアブマグナムジェット 製品情報・使用方法・使用上の注意

スプレーを使わない判断|届かない・見えない・設備に近い場所

表示を読むと、使う判断だけでなく、使わない判断も書かれています。アース製薬のスズメバチ用スプレーは、巣の直径が25cmを超える場合、巣穴に噴射するのが難しい場所(生け垣の中、木の穴、屋根裏、地面の中など)、巣全体が見えない場合、高所などエアゾールで駆除しにくい場合は、スズメバチ用の駆除エサ剤を使うか、専門家に依頼するとしています。広島市は、巣が人の握り拳より大きい、ハチの数が多い、屋根裏など駆除しにくい場所にある場合は、無理をせず専門業者に依頼するよう案内しています。

見えない巣や換気口・壁の中の巣は 蜂の巣が換気口や壁の中にあるとき で、屋根裏の巣は 蜂の巣が屋根裏にあるとき で整理しています。スズメバチらしい蜂が出入りする場合は スズメバチらしいハチが出入りするときの相談 を参照してください。

スプレーを使わない判断|届かない・見えない・設備に近い場所:確認項目
状況メーカー・自治体の記載判断
巣の直径が25cmを超える、またはボール型で大きいアース製薬は別の駆除剤か専門家を挙げる。神戸市は、ボール型に大きくなったスズメバチの巣の駆除は大変危険とする使わず、自治体の窓口か専門業者へ
巣穴に噴射しにくい、巣全体が見えない(生け垣の中、木の穴、屋根裏、地面の中)アース製薬が、専門家への依頼などを挙げる使わない。見えない巣は、場所と管理者の確認から
室外機の中・まわりフマキラーは、引火や故障のおそれから、室外機の中の巣への使用や予防の使用をしないよう案内使わない。管理者や業者へ相談する
脚立・はしごを使わないと届かない高所アース製薬は、高所をエアゾールで駆除しにくい場合に挙げる。横須賀市は、ハシゴや台に上っての駆除をやめるよう案内使わない
作業する人にアレルギー・ぜんそくがあるアース製薬は、アレルギーやかぶれを起こしやすい人、喘息の症状がある人は薬剤を吸い込んだり触れたりしないよう表示。藤沢市は、ハチアレルギーやアレルギー体質の人は専門業者へ本人は作業せず、依頼に回す

参考:アース製薬|スズメバチマグナムジェットプロ 550mL 製品情報・使用方法・使用上の注意

ハチ用スプレーの使い残しの保管と廃棄|ガス抜きと自治体の出し方

ハチ用エアゾールは、1回で使い切らないことがあります。アース製薬は、直射日光や火気を避け、子供の手の届かない涼しい所に保管し、缶のさびを防ぐため水回りや湿気の多い場所には置かないよう表示しています。スズメバチの巣に使う製品については、使用する缶は必ず未使用のものを用いて使い切ること、予備としてもう1本以上を用意することを表示しています。以前に使い残した缶を巣に使うことは、この表示の前提から外れます。

捨てるときについて、アース製薬は、使い切ってから捨て、風通しが良く火気のない屋外で噴射レバーを引き、噴射音が消えるまでガスを抜いて、各自治体の定める方法に従って廃棄するよう表示しています。大量に使い残した缶の廃棄方法は、メーカーのお客様窓口に問い合わせるよう案内しています。

日本家庭用殺虫剤工業会も、中身が残ったスプレー缶がごみに出されると、ごみ収集車やごみ処理施設で火災や破損が発生して大変危険なので、必ず中身を使い切ってから出すよう呼びかけています。出し方は自治体ごとに決まっているため、お住まいの自治体の分別ルールを確認してください。

  • 保管:直射日光と火気を避け、子供の手の届かない涼しい所に置く。水回りは避ける
  • 廃棄:使い切ってから、風通しが良く火気のない屋外でガスを抜き、自治体の定める方法で出す
  • 大量に残った缶:メーカーのお客様窓口に廃棄方法を問い合わせる

参考:日本家庭用殺虫剤工業会|エアゾール缶の廃棄方法について

スプレーで駆除したあと|巣の処分と、戻ってくる蜂

噴射して終わりではなく、巣の処分と、その後の様子見が、表示や自治体の案内に含まれています。アース製薬のスズメバチ用スプレーは、処理後の巣は放置せず、土に埋めるなど、すみやかに処分すること、外にいたスズメバチが戻ってくる場合があるので、処分は防護服、手袋、長靴、保護メガネを着用したまま行うことを表示しています。

神戸市は、巣や死んだハチは素手で触らず、翌朝、明るくなってから棒などで巣を落とすこと、2、3日の間は働きバチが巣のあった場所を飛ぶことがあることを案内しています。広島市は、死んだハチを素手で触ると、反射的にお尻が持ち上がり針で刺されることがあると注意しています。

蜂が戻る場合の費用の見方は ハチの巣駆除の費用を比べる で、刺されたときの応急処置と救急要請の目安は スズメバチに刺されたら で確認できます。

参考:神戸市|スズメバチと上手につき合おう