スズメバチに刺された直後にすること|その場を離れて、水で洗い、冷やす
刺された直後は、巣が近くにある可能性があるため、まず低い姿勢で速やかにその場から離れます。つくば市はこの点を最初の対応に挙げ、川口市は、手を振り回したり走り回ったりすると巣の中の蜂まで出てきて襲われるので、静かに離れるよう案内しています。東京都ペストコントロール協会は、離れたあと、安全な場所で安静にさせるとしています。
次に傷口の手当てです。つくば市、さいたま市、横須賀市、神戸市は、流水で洗い流すこと、氷や保冷剤などで冷やすことを挙げています。毒を口で吸い出すことは、さいたま市と川口市が避けるよう案内しています。針が皮膚に残っている場合は、つくば市が取り除いて水で洗うとし、さいたま市は、ミツバチの針は皮膚に残ることが多いので皮膚科などで取ってもらった方がよいとしています。
市販薬については、つくば市とさいたま市が、抗ヒスタミン剤やステロイドの軟膏(一般に虫刺され薬として売られているもの)を、北九州市が抗ヒスタミン軟膏を挙げています。日本皮膚科学会は、昔から言われるアンモニアを塗る方法は全く効果がないと説明し、大和郡山市も効果がないとしています。薬の選び方や使い方は、薬剤師や医師に確認してください。
| 時点 | することの例 | 公的資料の記載 |
|---|---|---|
| 刺された直後 | 低い姿勢で静かに巣から離れ、安全な場所で安静にする | つくば市、川口市、東京都ペストコントロール協会 |
| 離れたらすぐ | 傷口を流水で洗い、氷や保冷剤で冷やす。針が残っていれば取り除く | つくば市、さいたま市、横須賀市、神戸市 |
| 手当ての間 | 口で毒を吸い出さない。アンモニアは塗らない | さいたま市、川口市、日本皮膚科学会 |
| 刺されて数分〜1時間ほど | 全身の症状が出ないか注意する。出たら救急車を呼ぶ | さいたま市、日本皮膚科学会 |
| 症状が軽くても | 医療機関を受診する。スズメバチの可能性があるとき、以前に刺されたことがあるときは特に | さいたま市、つくば市、神戸市 |
| あとから腫れてきたとき | 医師の診察を受ける | 日本皮膚科学会 |
スズメバチに刺されたらどうなりますか?
日本皮膚科学会は、刺されるとまず激しい痛みが出て赤く腫れ、初めて刺された場合は通常1日以内に症状が治まると説明しています。2回目以降はアレルギー反応が加わり、じんましんや強い腫れが出ることがあり、ひどい場合は30分〜1時間で呼吸困難や意識消失などを生じるとされます。個人差が大きいため、全身症状が出たら救急車を呼びます。
救急車を呼ぶ目安|公的資料が挙げる全身の症状
救急車を呼ぶ目安として公的資料が共通して挙げているのは、刺された場所だけでなく、体全体に出る症状です。下の表は、各資料が挙げる症状を、そのまま対応させたものです。資料によって症状の書き方が違います。浜松市は、そうした症状が少しでも見られるときは直ちに救急病院にかかるよう案内しています。
症状が出る時間について、さいたま市は、刺されて数分から30分ぐらいの間に症状が出たらためらわず救急車を呼ぶよう案内しています。日本皮膚科学会は、ひどい場合は刺されて30分〜1時間で呼吸困難、腹痛、意識消失、血圧低下などが生じて死に至ることがあると説明しています。さいたま市は、刺された直後は大した痛みがなくても、しばらくすると急激に体調が悪化することがあるとも述べています。
| 資料 | 挙げられている症状 | 呼びかけ |
|---|---|---|
| 日本皮膚科学会(皮膚科Q&A) | じんましん、腹痛、気分不良。ひどい場合は呼吸困難、意識消失、血圧低下 | 直ちに救急車を呼ぶ必要がある |
| さいたま市 | 全身の熱感、唇や舌の腫れ、ぜんそくのような息苦しさ | ためらわず救急車を呼ぶ |
| 北九州市 | 呼吸困難、顔面蒼白、全身のじんましん、吐き気、激しい悪寒 | 救急車を呼ぶ |
| 東京都ペストコントロール協会 | 全身のかゆみ、息苦しさ、はきけ、めまい | 救急車を呼ぶ |
| 林野庁 | 息をするのも苦しい、物を飲み込めない、声がしわがれる、全身の力が抜ける、意識が遠のく | 一刻を争って緊急措置をとらなければならない場合がある |
| 浜松市 | 気分が悪くなる、意識がもうろうとする | 少しでも見られるときは直ちに救急病院へ |
| つくば市 | じんましん、気分が悪い、動悸などの全身症状 | すぐに救急外来を受診。必要に応じて救急車を要請 |
刺されたときの受診|診療科と、医師に伝えること
診療科について、公的資料の書き方は分かれています。横須賀市は、応急処置のあとできるだけ早く病院(皮膚科)を受診するよう案内し、藤沢市は、ハチアレルギーの方やアレルギー体質の方は早めに病院(皮膚科など)で受診するよう案内しています。一方で、つくば市は救急外来を、浜松市は救急病院を挙げています。局所の腫れや痛みだけなら皮膚科など、全身の症状があるときは救急外来や救急車、と整理して読むと、各資料の記載と食い違いません。
蜂の種類が分からないときの考え方
刺されたとき、蜂の種類が分からない場合は多くあります。さいたま市は、特にスズメバチに刺された可能性があると思ったときは、ただちに医療機関を受診するよう案内しています。種類を確かめるために巣へ近づくことはしません。
受診前にメモしておくこと
浜松市は、受診の際に、ハチの種類(大きさ)、刺された部位(数)、刺されてからの時間を把握しておくとよいと案内しています。次の項目の最初の3つが浜松市の挙げる内容で、あとの3つは、説明しやすくなるようにメモしておく項目の例です。
- ハチの種類や大きさの印象(分からなければ分からないと伝える)
- 刺された部位と、おおよその数
- 刺されてからの時間と、症状が出た時刻
- 以前にハチに刺された経験と、そのときの症状
- アレルギー体質かどうか、持病や飲んでいる薬
- 応急処置でしたことと、塗った薬
参考:浜松市|ハチについて
過去に刺されたことがある人・アレルギーがある人の注意と、数字の扱い
刺された経験がある人は特に注意するよう、各資料が呼びかけています。神戸市は、スズメバチ等の毒はタンパク質でできているため、刺された経験がある人はまれに毒に対する抗体を持つことがあり、次に刺されたときにショックを起こして死に至ることさえあると説明しています。一度刺されたことがある人やショックを起こしたことがある人には、抗体の有無を病院で検査することをすすめています。
日本皮膚科学会は、初めて刺された場合は通常1日以内に症状が治まるものの、2回目以降はアレルギー反応が加わり、個人差が大きいと説明しています。また、ショック症状を起こす可能性がある人が緊急時に使うアドレナリン自己注射薬(エピペン)の携帯を挙げ、処方できる専門の登録医の診察が必要だとしています。林野庁も、使用には登録医師の処方が必要と案内しています。
「2回目が危ない」「何回刺されたら危ない」といった言い方が広まっていますが、今回確認した公的資料には、回数で線を引いた記載はありません。下の表は、よく見かける言い方と、公的資料での扱いの違いを整理したものです。
| よく見かける言い方 | 公的資料の記載 | 読み方 |
|---|---|---|
| 2回目に刺されると危ない | 日本皮膚科学会は、2回目以降はアレルギー反応が加わると説明。神戸市は、刺された経験がある人はまれに抗体を持つとしている | 回数だけで決まるものではなく、個人差が大きい。全身症状が出たら救急車を呼ぶ |
| 何回刺されたら死ぬ | 回数の線引きは確認できない。東京都ペストコントロール協会は、一度に多数のハチに刺されると毒の作用でも死亡することがあると注意 | 回数の数字を目安にせず、全身症状の有無と、刺された数の両方を医療機関に伝える |
| アナフィラキシーになる確率 | 確認した資料に確率の記載はない。林野庁のページは、令和6年の蜂刺されによる死亡者数を18名と記載 | 確率で判断せず、症状が出たかどうかで動く |
| アシナガバチなら大丈夫 | 東京都ペストコントロール協会は、アシナガバチといえど油断しないよう注意。日本皮膚科学会は、アシナガバチとスズメバチを代表的な蜂とする | 種類が分からなくても、症状があれば同じように対応する |
| アンモニアを塗る | 日本皮膚科学会は、全く効果がないと説明。大和郡山市も効果がないとしている | 塗らない |
| 口で毒を吸い出す | さいたま市、川口市は、避けるよう案内 | 行わない |
アシナガバチ・ミツバチに刺されたとき|手当てと、腫れや刺された跡の経過
応急処置の手順は、蜂の種類で分けず、まとめて案内する資料が多くあります。日本皮膚科学会は、刺す蜂の代表としてアシナガバチとスズメバチを挙げ、庭木の手入れ、農作業、ハイキングなどの際、特に秋の野外活動での被害が多いと説明しています。
アシナガバチに刺されたとき
横須賀市は、アシナガバチはスズメバチと比べて攻撃性が低いとしながら、刺されたときの応急処置と受診を、同じページに載せています。東京都ペストコントロール協会は、アシナガバチといえど油断しないよう注意しています。流水で洗い冷やしたうえで、症状に応じて受診する流れは、スズメバチと同じです。
ミツバチに刺されたとき
ミツバチについて、さいたま市は、針が外れやすく皮膚に残ることが多いので、刺されたら皮膚科などで取ってもらった方がよいと案内しています。分蜂で木の枝などに集まった蜂の塊は大変おとなしいとされますが、川口市は、こちらから危害を加えない限り攻撃してくることはまずないとしています。近づかず、そっとしておきます。
腫れや刺された跡は、どのくらい続くか
日本皮膚科学会は、刺されると激しい痛みが出て赤く腫れるが、初めて刺された場合は通常1日以内に症状が治まると説明しています。2回目以降は、刺された直後からじんましんが出たり、1〜2日後に強い赤みや腫れが出たりすることがあるとしています。全身症状がなく元気な様子であれば心配はいらないが、あとから腫れてくる場合もあるので、そのときは医師の診察を受けるよう案内しています。
迷ったときの相談窓口|救急安心センター事業(#7119)と救急受診アプリ
救急車を呼ぶべきか、すぐ病院に行くべきか迷うときの窓口として、総務省消防庁は救急安心センター事業(#7119)を案内しています。医師、看護師、トレーニングを受けた相談員などが電話で状況を聞き取り、緊急性が高いと判断すれば救急出動につなぎ、高くなければ受診できる医療機関や受診のタイミングを助言する仕組みです。#7119、または地域ごとに定められた電話番号にかけます。実施している地域は全国の一部のため、お住まいの地域が対象かは、消防庁の案内や自治体で確認してください。
もう一つ、消防庁の全国版救急受診アプリ「Q助」は、症状を画面で選んでいくと、緊急度に応じて、今すぐ救急車、できるだけ早い受診、緊急ではないが受診、様子を見る、の4段階の対応が表示される仕組みです。ただし、前の表のような全身症状が出ているときは、各資料が救急車を呼ぶよう案内しているため、相談や検索に時間を使わず、119番に通報する使い分けになります。
| 窓口 | 使う場面 | 備考 |
|---|---|---|
| 119番 | 呼吸や意識、全身の皮膚、吐き気やめまいなどの全身症状が出ているとき | 公的資料が救急車を呼ぶ目安として挙げる症状と同じ |
| #7119(救急安心センター事業) | 救急車を呼ぶべきか、今すぐ病院に行くべきか、どこを受診するか迷うとき | 実施している地域に限られる。地域ごとの電話番号の場合もある |
| 全国版救急受診アプリ「Q助」 | 自分で症状を選んで、緊急度の目安と受診できる医療機関を確認したいとき | 通信料は利用者の負担と消防庁のページに記載 |
| 医療機関(皮膚科・救急外来) | 応急処置のあと、軽く見える場合や、以前に刺された経験があるとき | さいたま市は、軽傷だと思っても様子見をしないよう案内 |
| 自治体の保健所・環境衛生の窓口 | 刺された場所の巣の相談、駆除の依頼先の確認 | 駆除や補助の有無は自治体で異なる |
刺されたあとに巣を確認し、再び刺されないための相談
手当てが落ち着いたら、同じ場所で再び刺されないための対応を考えます。巣を見つけても、近づいて確かめる必要はありません。神戸市は、巣を見つけたら近づかない、石を投げたり棒で突いたりしない、巣のある幹や木を叩いたり揺すったりしない、巣の下や近くで騒がないと案内しています。つくば市は、複数のスズメバチが飛んでいるときは、近くに巣がある可能性があるとしています。
日本ペストコントロール協会は、いずれの蜂にも確実な予防対策はないとしたうえで、巣を発見した場合は近づかないことが一番の予防対策だと説明しています。洗濯物や靴の中に入っているのに気付かず刺されることもあるとしています。巣の種類と見分け方は 蜂の巣の種類を形で見分ける と スズメバチらしいハチが出入りするときの相談、アシナガバチなら アシナガバチの巣を見つけたとき で整理しています。
駆除の依頼先と費用の見方は ハチの巣駆除の費用を比べる に、作業の時間帯の考え方は 蜂の巣駆除の時間帯 にまとめています。駆除や補助の有無は自治体で大きく異なるため、お住まいの自治体の案内を確認してください。




