蜂の巣が空っぽ・蜂がいないように見える3つの場面
蜂のいない巣を見つけると、「もう終わった巣だ」と考えたくなります。けれども、蜂が見えない理由は一つではありません。神戸市の案内では、スズメバチもアシナガバチも、4月中旬ごろに新女王が巣作りの準備を始め、6月ごろに女王が1匹で巣を作り、7月から働きバチが増え、11月から3月ごろの越冬期に巣が空になる、という流れです。時期によって、蜂が見えないことの意味が変わります。
次の表は、蜂がいないように見える3つの場面を、時期と実際の状態で整理したものです。日付は自治体の案内を基にした目安で、地域の気候や種類で前後します。作り始めの行は、女王が1匹で巣作りを担うという案内から導いた見方です。冬の空巣以外は、空と判断せず、近づかずに様子を見ます。作り始めの形は蜂の巣の作り始めの見分け方、種類ごとの活動時期はスズメバチの活動時期で確認できます。
| 場面 | 時期の目安 | 実際の状態 | 最初にすること |
|---|---|---|---|
| 冬の空巣 | 11月から3月ごろ(札幌市は10〜11月に空になると案内) | 旧女王・働きバチ・オスバチは死に、新女王だけが巣を離れて越冬する(神戸市) | 晴天の日中に離れて、出入りがないことを確認する |
| 作り始め | 4月から6月ごろ | 女王バチが1匹で巣を作る時期。女王が外出していれば、無人に見える | 近づかず、時間帯と日を変えて見る。小さくても刺激しない |
| 日中の不在 | 夏から秋 | 日中は巣を離れているハチがいる。巣に戻った後の日没後に作業するよう案内されている(寝屋川市) | 日中に蜂が少なくても、空とは判断しない |
蜂の巣に蜂がいないのは、空っぽということですか?
そうとは限りません。日中は巣を離れている蜂がいますし、4月から6月は女王が1匹で巣を作っているため、無人に見えることがあります。日本ペストコントロール協会は、晴天の日中に遠くから見て、まったく飛来がなければ前年以前の巣と判断してよいと案内しています。近づいて確かめるのは避けてください。
本当に空かを確かめる方法と時期
空の巣かどうかを確かめる基本は、近づかずに観察することです。日本ペストコントロール協会は、巣を見つけたら晴天の日中に遠くからハチの飛来の有無をよく見定め、まったく飛来がなければ前年以前の巣と判断してよいと案内しています。札幌市も、ハチの出入りのない巣はそっとしておくよう案内しています。
所沢市は、ハチの出入りがなければ古い巣の場合があり、一年限りで翌年以降は使われないので危険はないとしています。「場合がある」という表現のとおり、見た目だけで断定はしない姿勢です。越谷市は、1月から3月の冬季のスズメバチの巣は空である可能性が高いとして、市の駆除を休止し、虫体が確認できて人の生命に危害の恐れがある場合は相談するよう案内しています。
確かめる時期と時間帯
11月から3月は、自治体が巣は空になると案内している期間です。それでも確認は、晴れた日の日中に、離れた位置から行い、できれば別の日にも見直します。夏から秋は、日中の不在があるため、蜂が見えないことだけを根拠にしません。
- 巣から離れた位置に立ち、巣の出入り口を中心に、時間をかけて見る
- 出入りするハチ、巣のまわりを飛ぶハチ、羽音の有無を確認する
- 巣の大きさと形は、近づかずに写真に残す
- 出入り口が見えない場合は、空と判断しない
空と決めてはいけないとき
出入り口が見えない屋根裏・壁の中・換気口の中の巣、ハチの飛来が一度でも見られた巣、ミツバチの巣は、空と決めずに相談します。ミツバチは、スズメバチやアシナガバチと違い、数年にわたって巣を使うためです(堺市)。屋根裏や壁の中の巣は、蜂の巣が屋根裏にあるときで確認の順序を整理しています。
蜂の巣は来年も使われる?種類別に自治体資料で確認する
「蜂の巣 来年」「何年使う」は、検索の候補にも出てくる疑問です。スズメバチとアシナガバチは巣を1年だけ使うというのが、自治体や協会の共通した説明です。ミツバチは、堺市が数年にわたって巣を使うと案内しています。神戸市は、スズメバチもアシナガバチも、巣は1年限りで中は空になり、残った巣が翌年に利用されることはないとしています。札幌市も、空になった巣は翌年再び使われないとしています。
表現には少し幅があります。船橋市は、からになった巣がスズメバチによって翌年再利用されることはほとんどないとし、富士吉田市は、同じ巣を使うことはあまり見かけないとしています。日本ペストコントロール協会は、ミツバチ以外のハチは一つの巣を1年間しか使わないと説明します。自治体によって「ありません」「ほとんどありません」と表現が分かれるため、使い回しを心配するよりも、同じ場所に新しい巣ができる可能性への備えを考えるのが現実的です。
| 種類 | 翌年の巣の扱い | 資料の記載 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| スズメバチ | 翌年に使われない | 神戸市は、冬に巣は空になり、残った巣は翌年利用されないと案内。札幌市も同様 | 同じ場所に新しい巣が作られる可能性がある(豊中市、所沢市) |
| アシナガバチ | 翌年に使われない | 神戸市は、巣は1年限りで中は空になり、残った巣が翌年に利用されることはないと案内 | 毎年同じ場所に巣を作る傾向がある(アース製薬) |
| ミツバチ | 数年使うことがある | 堺市は、スズメバチやアシナガバチと違い数年にわたって巣を使い、放置すると年々大きくなると案内 | 屋根裏では蜂蜜が天井や壁に染み込むことがある(神戸市) |
同じ場所に新しい巣が作られやすい理由と、撤去するかどうかの考え方
豊中市は、同じ巣を再利用することはないが、ハチにとって巣を作りやすい場所として新たな巣ができる可能性があると案内しています。所沢市も、一度巣ができた場所は巣を作りやすい場所なので、翌年度以降も注意が必要としています。アース製薬は、同じ場所に巣を作ることが多く、特にアシナガバチは毎年同じ場所に巣を作ると説明しています。
空の巣をどうするかは、案内が分かれる点です。矛盾というより、場面が違うと考えると整理できます。判断の分かれ目は、安全に手が届くか、翌年の営巣が生活に影響しそうな場所かです。
空の巣は何もしなくてよいという案内
山口市は、空の巣を見つけたら除去したほうがよいかという質問に対し、スズメバチは同じ巣を翌年に使わないので何もしなくて大丈夫、巣を落とすと同じ場所に翌年も巣を作る可能性があるとしています。札幌市も、高いところなど危険のない場所にある巣はそのままにするよう案内しています。手の届かない場所の空の巣は、無理に撤去しない選択になります。
壊して予防するという案内
アース製薬は、アシナガバチが毎年同じ場所に巣を作る傾向があるため、蜂がいなくなって廃墟のようになった巣も壊しておき、巣作り阻止効果のあるスプレーで予防するよう勧めています。製品ページには、前年に巣を作った場所の周辺や巣を作りそうな場所に使う用途が書かれています。薬剤の使い方は、製品表示に従ってください。
| 考え方 | 内容 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| そのままにする | 山口市と札幌市の案内。空の巣は何もしなくてよく、高所の巣は無理に触らない | 高所、人が近づかない場所、安全に手が届かない場所 |
| 撤去して予防する | アース製薬の案内。空の巣を壊し、前年に巣があった場所へ巣作り阻止の用途の薬剤を使う | 玄関先、軒下、ベランダなど、手の届く低い場所で、翌年の営巣が気になる場所 |
| 補修して入り口を減らす | 換気口や通気口に目の細かいネットを付け、すき間をふさぐ(藤沢市、船橋市) | 天井裏や床下の通気口、戸袋、物置 |
空の巣を撤去する場合の方法と処分
撤去する場合も、先に空であることを確かめます。前橋市は、ハチがいないのを確認したら長い棒や剪定ばさみで巣を落とし、撤去した巣は古新聞などで包み、足で踏むなどしてつぶし、可燃ごみとして処分するよう案内しています。駆除後の巣についての案内ですが、空の巣にも同じ扱いが当てはまります。死んだハチは針に毒が残っているため、素手で触らず、ほうきやトングを使います。
フマキラーの製品ページは、巣の処理後は二重にしたビニール袋に入れて固く縛り、燃えるごみとして出すよう案内しています。広島市も、死んだハチや取った巣はビニール袋に入れて口を縛るよう案内しています。ごみの区分は自治体ごとに異なるため、お住まいの市区町村のごみの分別を確認してください。
撤去は、手の届く範囲の自力作業に限ります。市の駆除や補助は、空の巣を対象外にする例があります。船橋市は、市の委託事業者による無料駆除の対象外として、ハチがいない巣(からの巣)を挙げています。久御山町も、補助金の対象は現に営巣している巣で、営巣していない巣は対象外です。空の巣の撤去を民間の業者に頼む場合は、見積もりで内容と費用を確認します。
- 長袖・長ズボン・手袋・帽子で、肌を出さない
- 足場が不安定な場所や高所では撤去しない
- 落とす前に、巣にハチが残っていないかを再度確認する
- 落とした巣と周囲の死骸は、素手で触らず、袋に入れて口を縛る
同じ場所に作らせないための補修と点検
空の巣があった家は、巣を作りやすい条件が残っています。藤沢市は、4月から6月は女王バチが1匹で巣作りをしており、比較的安全で費用も安く駆除できるため、定期的に家の周りを点検するよう案内しています。巣が作られやすい場所の対策として、庭木の剪定や草刈り、屋根や外壁の割れ目の修理、換気口を目の細かいネットでふさぐことを挙げています。
練馬区は、天井裏の通気孔などの小さな穴から出入りして中に巣を作ることがあるため、防虫網を付けたり、小さな穴をふさいだりするよう案内しています。補修の場所と順序は、蜂の巣を作らせない予防に春の点検リストとしてまとめています。換気を残す軒裏の補修は軒天の穴や剥がれの補修も参考になります。
参考:藤沢市|ハチについて
ミツバチの巣が空に見えるとき|残った巣と蜂蜜の扱い
ミツバチは、スズメバチやアシナガバチと扱いが違います。堺市は、ミツバチは数年にわたって巣を使い、気づかずに放置すると年々大きくなると案内しています。主に屋根裏や床下などの閉じた場所に、空気口やすき間から出入りして巣を作ります。そのため、「蜂のいない巣は翌年使われない」という考え方は、ミツバチには当てはまりません。
蜂がいなくなっても残る巣と蜂蜜
北九州市は、屋根裏などに作った巣は年々大きくなり、何らかの事情で巣を維持できなくなると、蜂蜜が天井や壁を伝って流れ出すと案内しています。ネズミやゴキブリなどの餌になり、巣を除去しなければミツバチの完全な駆除は困難なので、早めに巣を取り除くほうがよいとしています。広島市も、蜂蜜が屋根裏に垂れて天井などが腐る場合があるため、刺される危険性が低くても駆除の検討を勧めています。
分蜂の群れと巣は別
春の分蜂では、巣分かれした群れが木の枝や軒下に一時的に集まり、数時間から数日でどこかへ飛び去ると、大阪市旭区や堺市が案内しています。北九州市は、そのまま巣を作ることもあるとしています。様子を見て、日常生活に支障があれば専門業者に相談します。群れと巣の見分けはミツバチの塊は分蜂か巣かで整理しています。
参考:堺市|ミツバチ





