シロアリが畳に出たとき、畳が沈む・ふわふわする原因を3つに分ける

畳は、畳床、畳表、畳縁でできています。全日本畳事業協同組合は、畳の表替えは畳床に傷みがない場合の工事で、畳の表面が凸凹する、凹む、段差があるなどの不具合があれば新しい畳が目安だと案内しています。20年以上使っている畳は畳店に相談するよう勧めています。つまり、畳がふわふわするのは、畳そのものの寿命のこともあります。一方、東京都の案内は、ヤマトシロアリやイエシロアリの被害のサインとして、床が沈む、木材をたたくと空洞音がすると挙げています。

畳の下の木部は上から見えません。協会は、シロアリは地中から建物へ入ることが多く、まず土台や床束、柱などの下部が食害され、被害が柱や壁の内部へ及ぶこともあると説明しています。畳に症状が出たときは、畳だけの問題として扱わず、畳の下の床、敷居、柱の根元まで一続きで確かめます。次の表で、気づいたことから原因の見当をつけます。

シロアリが畳に出たとき、畳が沈む・ふわふわする原因を3つに分ける:確認項目
気づいたことまず考える原因確かめる手がかり最初に相談する先
畳全体が柔らかい、へこみが戻らない畳床の傷みや、長年の荷重表替えや新畳から年数が経っている。家具の下だけが凹んでいる畳店
梅雨や雨の後に畳が湿る、カビやにおいがある湿気。畳は湿気を吸い、換気が悪いとカビやダニが出やすい押入れや壁際にも湿りやカビがある。窓を閉め切っている、洗濯物を室内に干している畳店。雨漏りや水漏れが疑われるときは住まいの調査も
一部の畳だけが沈む。畳を上げた床に蟻道や土のようなものがある床や根太など木部の腐朽、またはシロアリ蟻道、蟻土、叩いたときの空洞音。同じ辺の敷居や柱にも傷みがあるシロアリ防除業者(調査)、大工
敷居がベコベコする、ふすまや障子の立てつけが悪い敷居の腐朽、シロアリ、建物の変形協会は、水分で腐っているだけの場合とシロアリの場合があり、現場を見ないと分からないとしているシロアリ防除業者、大工
和室の窓際や敷居の近くに、羽のある虫が出たシロアリの群飛の可能性翅が4枚とも同じ大きさ、触角が数珠状。種類により時期と時間帯が違うシロアリ防除業者(先に記録を残す)

参考:全日本畳事業協同組合|畳工事の発注と注意点

読者の疑問

シロアリは畳を食べますか?

比較ガイド

日本しろあり対策協会は、たんすや家具の下の畳が、気づかないうちにシロアリに食害されていることがあると説明しています。畳だけでなく、畳の下の床や敷居などの木部へ被害が続いていないかも確かめます。

畳のへり・裏、敷居・柱の根元に出るシロアリのサインと、見ただけでは決められないこと

協会が「誰でも確かめられるシロアリ発見法」として挙げる手がかりは、蟻道、蟻土、食痕、空洞音、建物の異常、羽アリの群飛、乾材シロアリの乾いた砂粒状の糞です。蟻道は地中から建物へ入るための土のトンネル、蟻土は木材の割れ目や継ぎ目に詰めたり盛り上げたりした土砂のような排出物です。食痕は、木材の軟らかい部分だけが食べられて硬い部分が残るという特徴を持ちます。建物の異常には、柱が下がる、ふすまや雨戸の立てつけが悪くなる、があります。和室では、この手がかりを次の場所に当てはめます。

畳を上げたときの床板と畳の裏

畳を上げられる状況なら、床板の表面や継ぎ目に、土や泥でできた筋や、盛り上がった土砂のようなものがないかを見ます。川崎市の案内は、蟻道はアリ類も作るが、アリ類のものはシロアリのものよりもろく、手で簡単に落ちると説明しています。ただし、触って確かめると位置や範囲が分からなくなるため、見つけたら触らずに撮影します。畳の裏にカビや湿りがあるかも、あわせて記録します。

敷居・柱の根元・ドア枠

協会は、風呂場の敷居がベコベコするという相談に、水分で腐っているだけの場合とシロアリの場合があり、現場を確認しないと分からないと答えています。玄関ドア枠の柱の下に穴があるという相談には、木材に穴をあける虫はシロアリ以外にもいるが、状況からシロアリが疑われるので専門業者に診てもらうよう勧めています。木材に穴をあける虫には、ヒラタキクイムシの対策一覧で扱う種類もいます。見た目だけで腐朽、シロアリ、ほかの虫を区別せず、位置と写真を持って相談します。

家具の下・押入れ・壁際

協会は、たんすや家具の下の畳が気づかないうちに食害されることがあると述べ、押入れに入れた本や書類を壁に接して積み重ねておくと食害されるとも説明しています。家具を動かせる場合は、動かす前に写真を撮り、動かしたあとの畳と壁際を確認します。家具の下だけが凹んでいるときは、荷重による畳床の傷みとの区別も、畳店に確認してもらいます。

  • 蟻道や蟻土は触らず、全体と近接を撮影する
  • 棒やドライバーで突いて確かめるのは調査まで控え、傷みの位置を写真に残す
  • 畳のへりや表面の傷みだけで、シロアリと決めない

参考:日本しろあり対策協会|誰でも簡単に確かめられるシロアリ発見法を教えて下さい

和室で羽アリが出たとき|発生位置と虫の記録の取り方

羽アリの群飛は、種類により時期と時間帯が違います。東京都の案内では、ヤマトシロアリは主に4〜5月の雨上がりで晴れて風のある日の昼間、イエシロアリは主に6〜7月の夕方で夜間にも飛ぶことがあり、アメリカカンザイシロアリは主に5〜9月の日中に飛びます。和室では、窓際、敷居、押入れの下、畳のへり近くのどこから出たかが、調査の手がかりになります。川崎市の案内も、群飛の時期に羽アリが飛び出す場所から巣を確認すること、窓ぎわに群飛後に落とした翅があるかを確認することを挙げています。

協会は、羽アリが出て業者を呼んだ人が、待つあいだにスプレーしてよいかという質問に、虫が逃げてしまうので出来ればそのままがよいと答えています。使う場合は、出てきた箇所をメモし、虫を袋などに入れて保管して、業者が来たときに見せるよう勧めています。羽アリが出たあとに何を残すかは、羽アリが出たら何を残す?で詳しく整理しています。

和室で羽アリが出たとき|発生位置と虫の記録の取り方:確認項目
記録する項目書き方の例役立つ場面
出た場所部屋の見取り図に印を付ける。例:窓際の敷居の右端の近く調査の入口を決める
日時・天気〇月〇日の午後、雨上がり種類の見当をつける(時期・時間帯)
数と状態数匹。翅を落とした虫が窓際に多い群飛か、室内で出続けているかの手がかり
虫の保管袋やケースに入れ、日付を書く種類の確認
薬剤を使った場合製品名、使った場所、日付調査の担当者へ渡す情報

参考:日本しろあり対策協会|羽アリが発生したので業者を呼びました。その間気持ち悪いので殺虫剤をスプレーしてもよいでしょうか(シロアリQ&A)

畳を上げて確認する前に|乾かさない・壊さない・薬をまかない

畳は重く、床が傷んでいると足元が危険です。畳を上げて確認する場合は、無理に一人で行わず、次の3点を守ります。畳が上がらない、床が大きく沈む、といったときは、そこで確認を止めて調査を頼みます。

壊さない:蟻道・蟻土・傷んだ木部をそのまま残す

畳を外すときや家具を動かすときに、蟻道や蟻土を崩さないようにします。壊すと、被害がどこまで広がっているかを調査で確かめにくくなります。床が沈んでいる場所には体重をかけず、傷みの位置を写真に残して、調査の担当者に見てもらいます。

薬をまかない:先に調査を受ける

日本ペストコントロール協会は、木材の中のシロアリに市販の殺虫剤を部分的に使っても確実な効果は期待できず、調査で明確な被害が確認された場合は、専門業者による防除処理が必要だと説明しています。畳のすき間や床へ薬剤を入れると、被害の確認が難しくなるうえ、効果も確実ではありません。使った場合は、製品名・場所・日付を記録して調査の担当者に伝えます。

乾かさない:調査までは湿り具合を変えない

敷居の傷みが、水分による腐朽なのかシロアリなのかは、現場を見ないと分からないと協会は説明しています。湿り具合は判断の手がかりの一つなので、調査の日程が決まっているなら、それまでは湿った場所を干したり、ドライヤーなどで急いで乾かしたり、拭き取って状態を変えたりしないでおきます。調査まで日が空いてカビやにおいが強いときは、先に調査業者や畳店へ相談して、扱いを決めます。

参考:公益社団法人日本ペストコントロール協会|有害生物情報 シロアリ駆除

畳の交換と防除の順番|畳店・防除業者・大工の役割表

畳だけを新しくしても、下の木部に被害が残っていれば、原因は解消しません。基本の順番は、調査で原因を確かめ、防除が必要なら防除をして、傷んだ木部を直し、最後に畳を新調するか表替えをする流れです。ただし、協会は、リフォーム中に床下でシロアリが見つかった相談に、被害部分を交換するなら交換後のほうが二度手間にならず、リフォーム後に施工できない部分ができるなら先に施工するほうがよいと答えています。状況によって違うため、リフォーム業者とシロアリ業者の立ち会いで打ち合わせるよう勧めています。

施工のあとに被害部材を交換する場合は、施工した業者へ先に相談してください。協会は、通常は交換部分に再度の施工が必要で、無断でリフォームすると保証が無効になる場合があると説明しています。木部の補修の考え方は害虫被害のある柱や土台は交換する?にまとめています。賃貸の和室では、畳を替える前に管理会社へ連絡します。費用負担の考え方は賃貸で羽アリ・シロアリが出たらで確認できます。

畳の交換と防除の順番|畳店・防除業者・大工の役割表:確認項目
頼む先任せる作業先に伝えること
畳店畳床・畳表・畳縁の点検、裏返し、表替え、新しい畳の注文沈む畳の位置、畳の年数、湿りやカビ、羽アリの有無。畳を外して床の異常が見えたら、触らず写真を撮って共有する
シロアリ防除業者調査、被害範囲の確認、防除の工法の提案、施工、保証畳を上げてよい範囲、家具を動かせる範囲、羽アリの記録、過去の水漏れや雨漏りの履歴
大工・工務店傷んだ床板・根太・敷居などの交換や補修防除の調査結果と施工の予定。防除前に、業者へ無断で解体や補修をしない
管理会社・貸主(賃貸の場合)連絡の窓口、費用負担の判断、工事の承諾見つけた日時、場所、写真。畳を替える前に連絡する

参考:公益社団法人日本しろあり対策協会|シロアリQ&A リフォーム中に床下でシロアリが確認されたとき、工事の順番はどうするか

畳に出るダニ・チャタテムシとシロアリの違い|小さな虫と羽のある虫を分ける

畳の上や周りで虫を見つけても、シロアリとは限りません。全日本畳事業協同組合は、畳に出たものをダニだと思っても、実際にはチャタテムシ、シバンムシ、シミ、カツオブシムシのことが多く、いずれも人に害を及ぼす虫ではないと説明しています。東京都は、チャタテムシを体長1mmほどで、よくダニと間違えられ、カビなどを食べて、やや湿度の高い環境を好む虫と説明しています。

畳店の組合は、ダニ駆除の薬剤は効果があまり期待できず、原因を作らないこと、原因をなくすことが最も有効だとして、換気、こまめな掃除、押入れや古い書籍・古い衣類の掃除、畳の上に敷物を敷かないことを挙げています。ダニとチャタテムシの詳しい見分けは、本棚や食品棚の小さな虫はチャタテムシ?と室内のダニが気になるときにまとめています。

畳に出るダニ・チャタテムシとシロアリの違い|小さな虫と羽のある虫を分ける:確認項目
見つけた虫見た目の手がかり好む場所・食べるもの畳まわりで考えること
シロアリ(羽アリ)黒っぽく、翅は4枚とも同じ大きさ。触角は数珠状で、胴にくびれがない木材を栄養にする。湿った木部や床下に関わる蟻道・蟻土・床の沈み・空洞音など、木部の傷みを伴うか
チャタテムシ体長1mmほど、淡黄色〜淡褐色。よくダニと間違えられるカビや動植物質の細片を食べ、やや湿度の高い場所を好む畳や押入れのカビ・湿気の目安。東京都は大きな害はないとしている
ダニ類種類を特定してから対処する。ヒョウヒダニなどのチリダニは、畳より寝具・絨毯・布製のソファーなどに多いとされる湿気やほこり、家具の裏、畳の上の敷物の下など換気・掃除・敷物を敷かないなど、発生条件を作らない
シミ(紙魚)体長は最大10mmほど。銀灰色〜銀黒色ですばやく走る押入れなど暗い場所を好み、でんぷん質や動植物質の細片を食べる東京都は、大きな害はないとしている。押入れの整理と掃除

参考:全日本畳事業協同組合|ダニについて(ダニの予防法と対処法)

調査を頼む前に|和室で残す記録と、相談を考える目安

シロアリ防除業者へ調査を頼むときは、和室の情報を次の順に整理しておくと伝わりやすくなります。畳を新しくする時期の判断は畳店に、シロアリの有無と範囲の確認は調査にと、役割を分けて考えます。調査の写真の読み方はシロアリ調査の写真をどう読む?に、床下に入らずにできる確認はシロアリの確認方法にあります。

  • 沈む畳の位置と範囲を、部屋の図に番号で書く
  • 畳の年数と、最後に表替えや新畳にした時期
  • 敷居、柱の根元、窓枠、押入れの傷みや湿りの写真
  • 羽アリを見た日時と場所、保管した虫
  • 過去の水漏れ・雨漏り・結露の履歴