シロアリの活動時期は一年中?羽アリの季節との違い
シロアリは社会性の昆虫で、巣の中には働く個体、巣を守る個体、卵を産む女王と王がいます。東京文化財研究所のヤマトシロアリの資料は、羽アリ(有翅虫)が出る時期を4〜6月の昼間とする一方、兵蟻・職蟻・女王蟻・王蟻の時期は「通年」としています。羽アリの季節は、巣のごく一部の個体が外へ飛び出す短い期間であり、巣の活動全体の時期ではありません。
調べるときは、「羽アリが飛ぶ時期」「巣が活動している時期」「木材の被害が進む時期」を分けて考えると混乱しません。日本しろあり対策協会は、群飛期をシロアリが人前に姿を現す唯一の時期と説明しています。逆にいえば、羽アリを見ない時期や見ない年があっても、床下や壁の中で活動していないとは言えません。
冬も活動するのか
冬の活動について、種類ごと・温度ごとに「何度以下で止まる」と示した資料は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。確認できたのは次の点です。東京文化財研究所は羽アリ以外の個体を通年とし、施工会社のアサンテは公式Q&Aで、シロアリは冬眠しないため、発生している場合は時期に関係なく処理を勧めると案内しています(2026年10月3日確認)。
種類による違いはあります。東京都保健医療局は、イエシロアリは比較的低温に弱く、島しょ部を除く都内で見られることは稀だと説明しています。一方、北海道立総合研究機構の林産試験場は、北海道で生息が確認されているのはヤマトシロアリのみで、道南や道央で被害が報告されているとしています。寒い地域でも被害は起きるため、「冬は寒いから出ない」と決めずに、床下の湿気や水回りの状態を基準に点検を考えます。
夏に注意が必要なシロアリ
夏に羽アリを見たとき、ヤマトシロアリやイエシロアリの時期は過ぎています。日本しろあり対策協会は、アメリカカンザイシロアリが6〜9月の昼間に数回ずつ何度も群飛すると案内しており、東京都保健医療局は5〜9月の日中に飛翔し、屋根裏や壁の中、家具などで繁殖するとしています。軒先や窓の近く、床の周辺に砂粒のような小さな粒が落ちていないかが確認の手がかりです。種類ごとの月は羽アリの時期と見分けの手がかりで表にしています。
| 区別するもの | 何を指すか | 目に見えるか | 時期の目安(資料の記載) |
|---|---|---|---|
| 羽アリの群飛 | 新しい巣をつくる王・女王の候補が一斉に飛び出す | 見える(窓際・照明のまわり・落ちた翅) | ヤマトシロアリは4〜5月の昼間、イエシロアリは6〜7月の夜など、種類で違う(協会) |
| 巣の活動 | 職蟻・兵蟻・女王・王が巣の中で暮らし、木材や土の中を移動する | ほとんど見えない(蟻道・食痕・空洞音で気づく) | 羽アリ以外の個体は通年(東京文化財研究所のヤマトシロアリの資料) |
| 木材の被害の進み方 | 木材が食べられ、柱や床の強度が下がる | 気づきにくい(床下・壁の中・水回りの下) | ヤマトシロアリの被害は、木材の湿気が高くなる梅雨時に激しくなる(横浜市衛生研究所) |
シロアリは冬も活動しますか?
東京文化財研究所のヤマトシロアリの資料は、羽アリ以外の個体を通年としており、施工会社のアサンテは冬眠しないと案内しています。何度以下で止まるかを示した資料は確認できませんでした。冬でも蟻道、床の沈み、柱の空洞音があれば点検を相談してください。
羽アリが出る時期は種類で違う|群飛の月・時間帯の早見表
群飛の時期と時刻は、種類の見当をつける手がかりになります。日本しろあり対策協会の案内をもとに、シロアリ4種を表にしました。地域によって前後し、協会はヤマトシロアリについて、沖縄は2月、東北・北海道は6月ごろと補足しています。月だけで種類を決めず、羽・胴・触角の確認や、翅を保管しての相談につなげてください。
| 種類 | 群飛の月 | 時間帯 | メモ(協会の記載) |
|---|---|---|---|
| ヤマトシロアリ | 4〜5月(沖縄2月、東北・北海道6月ごろ) | 昼間 | 地域によって月がずれる |
| イエシロアリ | 6〜7月 | 夜 | 電灯に飛来する |
| アメリカカンザイシロアリ | 6〜9月 | 昼間 | 数回ずつ何度も群飛する |
| ダイコクシロアリ | 5〜8月 | 夜 | 少数ずつ群飛し、電灯に集まる |
羽アリが出る前から被害は進んでいる|群飛は成熟した巣の目安
北海道立総合研究機構の林産試験場は、コロニーから羽アリが出るのは、そのコロニーが十分に成熟していることを示し、過去何年かにわたって食害を続けていたと考えられると説明しています。羽アリを見て初めて被害に気づく人が多いのも、このためです。羽アリが出た春に慌てるのではなく、その前の秋や冬に点検しておけば、被害が小さい段階で見つかる機会を増やせます。
被害の進み方は種類で違います。横浜市衛生研究所は、ヤマトシロアリの被害は木材の湿気が高くなる梅雨時に激しくなり、台所の流し、床下、風呂場、植木棚などに多いと説明しています。羽アリの季節が過ぎても、梅雨から夏にかけては水回りの湿気と合わせて点検する価値があります。床下に入らず見られる手がかりは、シロアリの確認方法にまとめています。
シロアリ駆除・予防に向く時期はあるのか|季節より建物の状況で決める
施工会社のアサンテは公式Q&Aで、シロアリが発生している家は時期に関係なく発見し次第の処理を勧め、予防処理も、いつ侵入してくるか分からないため時期を問わず対策を勧めると案内しています(2026年10月3日確認)。今回確認した日本しろあり対策協会のQ&Aや防除の案内には、季節によって工事ができなくなるという記載は見つかりませんでした。
季節ではなく、建物の工程で順番が決まる場面はあります。協会のQ&Aは、リフォーム中に床下でシロアリが見つかった場合、被害部分を交換するなら交換後のほうが二度手間になりにくく、リフォーム後に施工できない部分ができるなら先に行うほうがよいと説明し、リフォーム業者とシロアリ業者が立ち会って打ち合わせるよう案内しています。
| 状況 | 工事・点検のタイミングの考え方 | 根拠・補足 |
|---|---|---|
| 羽アリや蟻道など、シロアリの手がかりを見つけた | 季節を待たず、見つけた虫や翅を保管して早めに点検を相談する | アサンテのQ&Aは、発生している場合は時期に関係なく発見し次第の処理を勧めると案内 |
| 被害は見つかっていないが、予防処理を考える | 時期を問わず検討できる。前回の処理から5年前後なら、保証満了月と合わせて点検を頼む | アサンテのQ&A(時期を問わず対策を勧める)、協会の防除の案内(5年を目途に再処理) |
| リフォーム中に床下でシロアリが見つかった | 被害部材の交換とシロアリ工事の順序を、リフォーム業者とシロアリ業者の立ち会いで決める | 協会Q&A(状況によって異なるため、まず打ち合わせを行う) |
| 問い合わせが増える時期に当たる | 希望日が合わない場合がある。相見積もりと日程の見通しを早めに確認する | アサンテのQ&A(4月後半〜6月中旬は問い合わせが増え、調査や施工は順番に対応する) |
参考:株式会社アサンテ|お問い合わせ Q&A(シロアリやシロアリ防除について・防除する時期・薬剤の販売)(2026年10月3日確認)
繁忙期に依頼するときの注意|日程・相見積もり・訪問営業
公的機関が、シロアリ駆除の依頼が増える月を統計で示した資料は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。事業者の公式Q&Aには、アサンテが4月後半から6月中旬をシロアリの群飛期にあたり問い合わせが増える時期とし、調査や施工は順番に対応し、契約後すぐの施工は原則受けないと案内している例があります。会社ごとに運用は異なるため、予約の時点で調査日、見積書が届く日、施工日の見通しを聞いておきます。害虫全般の混み合う時期は害虫駆除の繁忙期で整理しています。
混み合う時期ほど、急いで決めたくなります。国民生活センターは、害虫駆除サービスで「料金〇〇円から」と表示されていても、現場の状況次第で最低料金で頼めるとは限らないこと、複数社から見積もりを取って比較すること、不安をあおって比較の機会を奪う事業者とは契約しないことを助言しています。羽アリの季節には、「お宅から羽アリが飛んできているとクレームが出ている」と点検を口実に訪問する勧誘もあり、上田市消費生活センターは、無料点検を名目に訪問する事業者には対応せず、契約を勧められてもその場で決めないよう案内しています。対応の目安はシロアリの点検商法への対応に書いています。
- 問い合わせの時点で、調査日・見積書が届く日・施工日の見通しを聞く
- 2〜3社に同じ範囲で見積もりを頼み、面積の基準と施工範囲をそろえて比べる
- 「今日だけ」「近所で被害が出ている」と契約を急がせる説明には、その場で返事をしない
- 訪問してきた事業者の会社名と連絡先を控え、点検を受けるかどうかは家族と相談して自分で決める
月別の点検・相談カレンダー|羽アリの季節を前後に組む
下の表は、資料に出てくる羽アリの月と、点検・見積もり・保証の段取りを重ねた目安です。被害の有無や建物の状態で変わるため、月ごとのやることを絞って示しています。種類や地域で時期が前後するので、お住まいの地域の月に読み替えてください。建物全体の害獣・害虫の点検を年間計画にする考え方は、建物の点検を年間計画にするでも扱っています。
| 月の目安 | 資料で分かること | 点検・相談の動き方 |
|---|---|---|
| 1〜2月 | 沖縄ではヤマトシロアリの群飛が2月(協会) | 保証書の満了月と前回の施工内容を確認する。床下や水回りの湿気・漏水の有無を見直し、リフォーム予定があれば先に伝える |
| 3月 | ヤマトシロアリの群飛(4〜5月)の前 | 点検や見積もりを混み合う前に頼む。2〜3社に同じ範囲で依頼する |
| 4〜5月 | ヤマトシロアリの羽アリが昼間に飛ぶ。4月後半から問い合わせが増える会社がある | 羽アリや翅を見たら潰さずに袋へ保管し、見つけた日時と場所を記録して相談する |
| 6〜7月 | イエシロアリの羽アリが夜に飛ぶ。梅雨は木材の湿気が高くなる | 水回りと床下の湿気を確認する。灯りに集まる羽アリは翅と一緒に保管する |
| 8〜9月 | アメリカカンザイシロアリが6〜9月の昼間に群飛する(協会) | 軒先・窓際・家具のまわりの砂粒状の粒を確認し、見つかれば写真を添えて相談する |
| 10〜11月 | 今回確認した協会の案内では、シロアリ4種の群飛は9月まで | 翌春の前に点検と見積もりを済ませる。保証満了月から逆算して依頼先を決める |
| 12月 | 羽アリ以外の個体は通年(東京文化財研究所) | 年内に点検を済ませるか来春の予定を決める。冬でも蟻道・床の沈み・空洞音があれば相談する |
保証満了月から逆算して調査を頼む|5年の区切りの考え方
日本しろあり対策協会の防除の案内は、防除処理を土壌処理と木部処理の両方で行い、防除施工標準仕様書では5年を目途に再処理するとしています。協会Q&Aは、薬剤の有効期限は5年で、過ぎたからといってすぐ被害が出るわけではないが、確実に防ぐには再施工を勧めると回答しています。5年は目安であり、保証満了月は契約上の区切りです。今の被害の有無とは別に確かめます。
満了月から逆算すると、予約が混み合う前に調査と見積もりを終えられます。たとえば5月が満了月なら、前年の秋に保証書と施工報告書を探し、冬のうちに点検と相見積もりを済ませて、羽アリの季節の前に再施工するかどうかを決める流れです。再施工の判断そのものは保証満了と再施工の考え方で整理しています。下の表の月数は、段取りを組むための目安です。
| 満了月の目安 | やること | 聞く・そろえるもの |
|---|---|---|
| 9〜12か月前 | 保証書と施工報告書を探し、満了日・対象の害虫・施工範囲を書き出す | 前回の施工日、工法、使用した薬剤名、処理した場所 |
| 6か月前 | 現在の床下と水回りの点検を、前回の会社と別の1〜2社にも依頼する | 同じ範囲で見積もってもらう。点検報告書に写真が付くか |
| 3か月前 | 見積もりを同じ面積・同じ範囲にそろえて比べ、再施工か点検の継続かを決める | 施工範囲、使用薬剤、保証内容、点検の頻度と費用 |
| 満了月 | 保証窓口に連絡し、更新・延長・新規契約の条件を確認する | 保証書の更新条件、点検だけを頼む場合の費用 |




