壁の小さな穴・土のような詰め物・粒が示すもの|種類で見る手がかり表

壁・窓枠・柱の周りで見つかるものは、シロアリの種類によって違います。日本しろあり対策協会は、シロアリが風や光を嫌い、木材の割れ目や継ぎ目に排出物や土砂(蟻土)を詰めたり盛り上げたりすること、地中から建物へ蟻道を作って入ること、乾材シロアリの被害材からは乾いた砂粒状の糞が出ることを、確認の手がかりに挙げています。見つけたものを次の表に当てはめ、どの方向へ調べるかを決めます。

表の見分けは手がかりで、断定の材料ではありません。写真は、穴や粒だけでなく、周囲の壁・窓・床との位置関係が分かる範囲を一緒に撮ります。

壁の小さな穴・土のような詰め物・粒が示すもの|種類で見る手がかり表:確認項目
見つけたもの疑われるもの一緒に確認すること
穴の周りや継ぎ目に、土や泥のようなものが盛られている蟻土。湿った木部を好むヤマトシロアリ・イエシロアリ近くに水回り、雨漏り、結露の跡がないか。基礎や床下から蟻道が続いていないか
壁や柱の表面に、トンネル状の筋が付いている蟻道。地中や床下から移動する種類筋の続く方向。アリ類も蟻道を作るため、触らず写真で残して調査に伝える
窓枠・軒先・床の周りに、砂粒のような乾いた粒が落ちているアメリカカンザイシロアリなど乾材シロアリの糞。東京都は、軒先や窓の近く、床の周辺に落ちていれば注意が必要としている粒が落ちる位置の真上にある木部や家具、小さな排出口の有無
柱やドア枠の根元に、小さな穴があいているシロアリのほか、木材に穴をあける別の虫も考えられる協会は、状況からシロアリが疑われるときは専門業者に診てもらうよう勧めている
窓際に、羽アリの翅や死骸が落ちている群飛後のシロアリの羽アリ。川崎市のように、窓ぎわに落ちた翅の確認を挙げる自治体もある見つけた日時、時間帯、翅が4枚とも同じ大きさか
壁や柱を叩くと空洞音がする、建具の立てつけが悪い被害が進んだ木部、または腐朽や雨漏り協会は、柱が下がる、ふすまや雨戸の立てつけが悪くなるなどを建物の異常の手がかりに挙げている

参考:日本しろあり対策協会|誰でも簡単に確かめられるシロアリ発見法を教えて下さい

読者の疑問

壁から羽アリが出てきたら、シロアリですか?

比較ガイド

壁際で羽アリが出ても、シロアリかアリかは翅や触角を見ないと決められません。川崎市は、羽アリが飛び出す場所から巣を確認するよう案内しています。虫を保管し、出た位置を記録して調査を受けます。

窓枠・窓際にシロアリ被害が出やすい理由|結露と雨仕舞いを分けて見る

日本しろあり対策協会は、シロアリの被害を受けやすい場所は、木材腐朽菌の被害を受けやすい場所でもあり、水分、養分、温度という繁殖の条件がほぼ共通していると説明しています。木材を乾燥状態に保つ工法でも、結露の発生、雨水の浸入、配管からの漏水といった事故に備えて防腐処理は欠かせない、とも述べています。窓枠は、ガラスの結露で濡れやすく、サッシと外壁の継ぎ目から雨水も入りやすい場所です。木部が湿り続けると、腐朽とシロアリの条件が重なります。

室内枠の水染みは、下部か上部かで見分ける

住まいるダイヤルは、窓や玄関ドアまわりの室内枠に水染みがあるとき、下部なら窓ガラスの結露の可能性が高く、上部なら雨漏りの可能性が高いと整理しています。結露でも、水分が乾かずに長く留まれば、雨漏りに似た不具合が生じるとされ、散水試験などで雨漏りの原因が特定できないときは、結露による水分の蓄積かもしれません。窓枠の傷みを見つけたら、シロアリの有無とあわせて、どちらの水かを調べます。

  • 室内枠の下部の水染み:結露の可能性が高い
  • 室内枠の上部の水染み:雨漏りの可能性が高い
  • 雨の降っている日や翌日、台風や集中豪雨のあとに、変化を見る

サッシと外壁の継ぎ目、シーリング材の劣化

住まいるダイヤルは、窓やドア(サッシ)の周囲と外壁が接する部分は、異なる部材の取合い部となるため、すき間が生じやすい部位だと説明しています。周囲に充てんされるシーリング材は、雨水の浸入を防ぐ大切な材料で、はがれやひび割れがないかを、住宅の外からときどき確認するよう勧めています。気になる箇所を見つけたら、新築時の住宅事業者への相談が案内されています。窓枠の木部に被害が出ているときは、防除と同時に、水の入口の確認も必要です。

参考:公益社団法人日本しろあり対策協会|シロアリ防除について(防除施工標準仕様書・土壌処理と木部処理)

屋根裏や2階で被害が出る種類と条件|イエシロアリの水運びとアメリカカンザイシロアリの乾材加害

シロアリの被害は、床下だけではありません。東京都の案内は、ヤマトシロアリは水を運ぶ能力がなく常に湿った環境が必要なのに対し、イエシロアリは水を運ぶ能力があり、木材を湿らせながら加害すると説明しています。アメリカカンザイシロアリは、乾燥した木材の内部に巣を作る外来種で、地面から入るのではなく、羽アリが住宅へ直接入り込み、屋根裏や壁の中、家具で繁殖するとされています。気づかないうちに壁の内部や屋根裏など、建物全体に広がることがあります。

中野区の案内(2026年6月更新の表示)によると、アメリカカンザイシロアリは日本の半数以上の都道府県で見つかっており、木材や荷物とともに運ばれて、生息する範囲が広がるおそれがあります。外来種のため、対応していない業者もあると注意されています。種類ごとの調べ方は、イエシロアリの相談で確認したいこと、ヤマトシロアリが疑われるとき、アメリカカンザイシロアリを疑う粒で詳しく扱っています。

屋根裏や2階で被害が出る種類と条件|イエシロアリの水運びとアメリカカンザイシロアリの乾材加害:確認項目
比べる点ヤマトシロアリイエシロアリアメリカカンザイシロアリ
水分との関係水を運べず、常に湿った環境が必要水を運ぶ能力があり、木材を湿らせながら加害する乾燥した木材の内部に巣を作る
被害の出方床下など建物の下部、通気性の悪い湿った木部が中心大規模な集団で、住宅や建物に深刻な被害を与えることがある壁の内部や屋根裏など建物全体に広がることがある。家具も被害を受ける
手がかり蟻道、床が沈む、木材を叩くと空洞音がする幅の広い蟻道、床が沈む、空洞音がする軒先・窓の近く・床の周辺に落ちる砂粒状の糞
羽アリの時期(東京都の案内)主に4〜5月。雨上がりで、晴れて風のある日の昼間主に6〜7月の夕方。夜間にも飛ぶことがある主に5〜9月の日中
相談で伝えること水漏れ・湿気の履歴羽アリが飛んだ時間帯と場所粒の落ちる位置、中古家具や輸入木材製品を入れた時期
  • 屋根裏や2階の天井・壁に水染みや傷みがあるときは、雨漏りの履歴も一緒に調べる
  • 5〜9月の日中に窓際で羽アリを見たときは、数匹を保管し、出た位置を記録する
  • 中古家具や輸入木材製品を搬入したときは、その時期を調査の担当者に伝える

参考:東京都保健医療局|シロアリ(アメリカカンザイシロアリ、ヤマトシロアリ、イエシロアリ)(2026年9月10日更新の表示を確認)

壁内の被害を調べる方法と限界|打診・含水率・点検口・カメラ

壁の中は見えないため、調査は段階を踏みます。日本しろあり対策協会の蟻害・腐朽検査制度では、検査士が、外壁(開口部を含む外壁木部、軒裏など)、室内、小屋組・天井(梁、桁、母屋、垂木、天井裏の部材)、床下を検査します。診断の方法は、目視、打診、触診、圧入検査などの非破壊検査と、床下の温湿度や木質部含水率などの環境検査です。

1次検査:壊さずに見る範囲

目視、打診、触診、圧入検査は、協会が非破壊検査として挙げる方法で、含水率の測定は計測器を使う環境検査に入ります。点検口のある場所は、そこから見える範囲に限られ、壁の内部のすべてを確かめられるわけではありません。住まいるダイヤルも、天井裏や屋根裏の確認は特に危険で、足場が確保できなければ専門家に任せるよう案内しています。のぞく場合も、無理のない範囲で、懐中電灯やスマートフォンのライトで照らして見る程度にとどめます。カメラで壁の中や床下を見る調査の限界は、壁や床下のカメラ調査で何が分かる?で整理しています。

2次・3次検査:仕上材をはがす、実験室で確かめる

協会は、隠れた部分の蟻害や腐朽が疑われる場合や、劣化の具合をより正確に知りたい場合は、任意で2次検査を行えるとしています。2次検査は、仕上材をはがすといった局部的な破壊を伴います。さらに精度の高い診断が必要な場合の3次検査は、現場に加えて、実験室や研究室での診断を行います。壁を開ける提案を受けたら、1次検査で何が分からなかったのかとあわせて聞きます。

調べても分からないこと

東京都は、アメリカカンザイシロアリは木材の内部に巣を作るため被害箇所の特定が難しく、壁の中や屋根裏など目に見えない場所で被害が広がるので、個人での対策は困難だとしています。調査で「見つからなかった」と言われた場合も、どこまで見たのか、見られなかった場所はどこかを、報告書や写真で確認します。

参考:日本しろあり対策協会|蟻害・腐朽検査制度

壁を開ける前に決めること|調査範囲・復旧・費用

壁を開ける提案を受けたら、開ける前に決めることがあります。協会のQ&Aに、玄関のカマチで被害が見つかり、業者には穴を開けて薬剤を注入すると言われ、大工には床を切り取って薬剤を散布すると言われた、という相談があります。協会は、どちらでもきちんと薬剤処理をすればシロアリは駆除でき、違いは補修の程度と仕上がりだと答えています。つまり、工法の違いは、壁や床をどこまで壊し、どう直すかの違いです。次の表の項目を、見積書と一緒に確認します。壁を開ける前に調査範囲と復旧を決める考え方は、壁の中からこすれる音のときに決めたい調査範囲と復旧にもあります。見積書の面積や含まれる工事の揃え方は、シロアリの坪単価と平米単価で確認できます。

壁を開ける前に決めること|調査範囲・復旧・費用:確認項目
決めること業者・大工に聞くこと確認の理由
調査範囲どこまで開けるのか。開けずに分かること、分からないことは何か1次検査で確認できなかった場所を明確にする
復旧(どこまで元に戻すか)開口部の仕上げは誰が直すか。元と同じ仕上げか、見た目は変わるか協会は、方法の違いは補修の程度と仕上がりだとしている
防除と補修の順番防除を先にするのか、被害部材の交換を先にするのか協会は、被害部分を交換するなら交換後のほうが二度手間にならないが、リフォーム後に施工できない部分ができるなら先に施工したほうがよいとしている
費用の内訳防除、開口、補修、仕上げのうち、見積書に入っているものは何か防除と補修を一式にまとめず、内訳を分けて読む。面積や含まれる工事の揃え方は、シロアリの坪単価と平米単価の記事にある
保証室内の柱に穴を開けない場合、保証はどうなるか協会は、室内を施工しないと駆除が不完全になる可能性があり、その場合は保証できないこともあるとし、納得できなければ別の業者の話も聞くよう勧めている

参考:公益社団法人日本しろあり対策協会|シロアリQ&A 玄関のカマチの被害に、穿孔注入と床を切り取る散布のどちらがよいか

雨漏り修理とシロアリ防除の順番|どちらを先にするか

雨漏りや結露で木部が湿っている場合、防除だけでは水の入口が残ります。東京都は、ヤマトシロアリやイエシロアリの予防として、雨漏りや水漏れを放置しないことを挙げています。住まいるダイヤルは、雨漏りの原因調査は住宅事業者などの専門家が行い、雨漏りの原因箇所を見つける方法の一つに、疑われる箇所へ散水して同じ現象が起きるかを確かめる散水試験があると説明しています。

シロアリの調査と雨漏りの原因調査は専門が異なるため、互いの結果を共有しながら進めます。二つの専門家へ渡す情報と施工順の考え方は、雨漏りと害獣調査を別々に頼むときにも整理しています。シロアリの調査でも、同じ進め方が使えます。

  • 雨漏りが疑われるときは、雨の日や翌日に出る場所と水染みの位置を記録する
  • 被害材を交換する補修の前に、防除の要否と施工範囲を決める
  • 雨漏りの修理と、壁を開ける工事が重なるなら、開口と復旧を一度にまとめられないか相談する
  • シロアリの調査結果と、雨漏りの調査結果を、互いの担当者へ共有する

参考:住まいるダイヤル(住宅リフォーム・紛争処理支援センター)|雨漏りが疑われる事象・雨漏りに気づいたら

窓の外・小屋裏で羽アリや粒を見たとき

窓の外や網戸に羽アリが付いている場合は、外から飛来した群飛の羽アリか、室内で出たものかを分けて考えます。外からの飛来だけでは、室内の被害は決められません。一方、東京都は、羽アリの飛翔が見られた近くでは、シロアリによる被害がある可能性があるとしています。数匹を保管し、窓周辺の木部と、軒下や窓周辺の砂粒状の糞を確認します。

住まいるダイヤルは、屋根・小屋裏部分では通常、小屋裏換気で空気が流れるよう計画されており、通気経路や換気口がほこりなどでふさがっていないか、定期的に確認するよう案内しています。換気口がふさがると湿りが残る可能性があるため、窓周りと合わせて、小屋裏の換気口のまわりも外から確認します。

  • 羽アリは数匹を保管し、出た窓・日時を記録する
  • 窓枠・サッシ周りの水染みや結露の位置を、写真に残す
  • 砂粒状の粒は、落ちている位置と真上の木部・家具を撮影する
  • 中古家具や輸入木材製品を搬入した時期があれば、調査の担当者へ伝える

参考:住まいるダイヤル(住宅リフォーム・紛争処理支援センター)|雨漏りではなく結露かも?