シロアリが食べるもの・運ぶもの|木材以外も加害される

シロアリは木造住宅の大害虫として知られますが、食べる範囲は木材にとどまりません。日本しろあり対策協会は、シロアリは雑食性で、木柱、まくら木、木柵、杭木などの木材のほか、生きた樹木や農作物、プラスチック・ゴム類、繊維類、皮革類まで加害すると説明しています。発泡スチロールや発泡ウレタン系の断熱材は、木材より好んで加害されるとも述べています。コンクリートは、割れ目を広げたり、給排水管との隙間を通ったりして、建物の中へ入る経路になります。

食べるもの:木材が中心で、それ以外にも被害は及ぶ

日本ペストコントロール協会は、住宅でよく問題になるヤマトシロアリは、湿った環境を好み、主に床下に住みつき、木材のみを栄養源とすると説明しています。東京文化財研究所の資料は、ヤマトシロアリが木材や竹材などで育つことができ、ビニール、ホース、鉛なども加害することがあるが、それらでは育たないとしています。つまり、栄養になるのは木材などで、ビニールや鉛などは傷つけられても、それだけでは育てないということです。

運ぶもの:水と土

東京都の案内は、ヤマトシロアリは水を運ぶ能力がなく、常に湿った環境が必要なのに対し、イエシロアリは水を運ぶ能力があり、木材を湿らせながら加害すると説明しています。移動のために、泥や残渣でトンネル(蟻道)を作る点は、東京文化財研究所の資料に書かれています。シロアリが家の中の乾いた場所へ入るときも、水や土を運ぶ性質が経路づくりに関わります。

参考:日本しろあり対策協会|どんなものを加害しますか?(シロアリQ&A)

読者の疑問

シロアリはなぜ家に出てくるのですか?

比較ガイド

ヤマトシロアリやイエシロアリは、床下の地面から侵入する場合が多いと森林総合研究所は説明しています。そこに餌になる木材と水分があると、被害になります。外周の木材、水漏れ、土と木の接点を点検します。

シロアリが発生しやすい家の条件|餌・水分・経路で分ける点検表

ある日突然、羽アリがたくさん出て「湧いた」と感じるのは、巣から羽アリが一斉に飛び出す群飛のためです。川崎市は、春頃に多数の羽アリが巣から同時に飛び出すため人目につき、シロアリの存在に気づくと説明しています。東京都も、羽アリの飛翔が見られた近くでは、被害がある可能性があるとしています。羽アリが出てから原因を探すのではなく、普段から家と庭の条件を点検します。

「湿気が原因」と言うだけでは、どこを直せばよいか分かりません。そこで、公的資料の記述を、餌・水分・経路の3つに分けて表にしました。この分け方は当サイトの整理で、一つに当てはまれば被害が出るという意味ではありません。3つの条件が重なる場所が、点検の優先順位になります。

シロアリが発生しやすい家の条件|餌・水分・経路で分ける点検表:確認項目
条件具体例(公的資料の記述)点検する場所減らす行動
餌床下に残った木くずや木片、廃材、段ボール、庭の杭木・まくら木・木柵、切り株、弱った樹木、発泡系の断熱材床下、外周、庭、物置外周と床下の不要な木材・廃材・段ボールを処分する。切り株は撤去する
水分雨漏り、浴室・トイレからの水漏れ、浴室タイル目地のひび、雨どいの破損、結露、通風の悪い床下台所・洗面所・トイレ・浴室、外壁と窓の周り、床下漏水や雨漏りは早めに補修する。床下の換気口の前に物を置かない
経路床下の地面からの侵入(ヤマトシロアリ・イエシロアリに多い)、土と木材が接している面、コンクリートの割れ目、給排水管との隙間、建物に伸びた枝基礎の外周、玄関まわり、配管の貫通部、庭の木製品土と木が直接触れないようにする。建物に伸びる枝を落とす。基礎の割れ目や隙間を点検する

参考:川崎市|シロアリ(リーフレット・PDF)

家の外周に置かない方がよいもの|枕木・薪・木杭・段ボール

川崎市は、建物の周辺に木片・廃材・段ボールなど、エサになるものを置かないようにと案内しています。東京都は、ヤマトシロアリなど湿気を好む種類への対策として、家の周囲に木材などを放置しないことを挙げています。東京文化財研究所の資料は、土と木材が接している面をできるだけなくすこと、建物周辺にシロアリを寄せ付けやすい木製の物や木材を放置しないことを、予防の注意点としています。外周に置いた物を、次の表で見直します。

家の外周に置かない方がよいもの|枕木・薪・木杭・段ボール:確認項目
置いている物公的資料にある記述見直し方
枕木・木杭・木柵協会は、まくら木、木柵、杭木などの木材を加害の対象に挙げている建物の基礎や外壁から離す。土と接する面を減らし、傷みがあれば交換や撤去を考える
薪・廃材・木片川崎市は木片・廃材を、東京都は家の周囲の木材の放置を避けるよう案内している。薪を名指しした資料は確認できなかった壁や基礎に立てかけず、地面に直接置かない。置き場は建物から離す
段ボール・紙類川崎市は、段ボールをエサになるものの例に挙げている外周や床下、壁際に積まない。ベランダや物置でも、床から離して置く
切り株・伐根森林総合研究所は、床下や家屋の周囲に伐根が残るとそこが発生源となるため、取り除いて点検しやすい状態を保つよう案内している撤去する。難しいときは建物との距離を確認し、周辺の蟻道や羽アリを点検する
植木台・プランター台日本ペストコントロール協会は、植木台に木材を使わないよう挙げている木材以外の台にする。台の下の湿りも確認する

参考:東京文化財研究所|文化財害虫検索 ヤマトシロアリ

庭の切り株や枕木でシロアリを見つけたとき|建物被害と言えるのか

庭の枕木や切り株でシロアリを見つけても、それだけで建物が被害を受けているとは言えません。日本しろあり対策協会は、隣の家にシロアリがいるときに自分の家へ移ることは「ないとはいえない」が、シロアリはどこにでもいて巣もたくさんあると答えています。完全に防ぐには、5年ごとの予防工事を勧めています。

見つけた物の側でできること

協会は、庭のウッドデッキが食害された場合について、被害の程度によるが、被害が激しいなら撤去処分したほうがよいと答えています。ただし、デッキを撤去しただけでは建物は守れず、建物は専門業者に見てもらう必要があるとも述べています。撤去する場合は、撤去前の写真と、周辺の蟻道や羽アリの有無を記録してから進めます。

建物側で確認すること

ウッドデッキを撤去しようとしたらシロアリがいた、という相談に、協会は、建物本体に5年以内に防除処理がしてあれば、外部のデッキにシロアリがいても大丈夫だが、念のため専門業者に見てもらうよう答えています。防除の時期が分からない、基礎や外壁に蟻道がある、家の中で羽アリが出たといったときは、庭の物の撤去より先に、建物の調査を受けます。確認の方法はシロアリの確認方法にまとめています。

参考:公益社団法人日本しろあり対策協会|シロアリQ&A 庭のウッドデッキがシロアリに食害された場合は処分した方がよいか

水漏れ・雨漏り・床下換気とシロアリ被害の関係

日本ペストコントロール協会は、予防対策の一つに、床下や部材の湿度を下げることを挙げ、雨漏りや漏水、浴室タイル目地のひび割れは早めに補修するよう勧めています。すでに建った住宅では、床下換気扇の設置や調湿剤の配置にも一定の効果があるとしつつ、これらの予防対策はシロアリの侵入を確実に阻止するものではないと注記しています。一方、日本しろあり対策協会は、床下換気扇や床下調湿材は床下の環境を改善するもので、シロアリの防除効果とは関係なく、環境改善の必要性は建築会社などに相談するよう答えています。湿気を減らす工事と、シロアリを防ぐ・駆除する施工は、目的が違います。

東京都は、ヤマトシロアリは水を運べず湿った環境が必要なため、床下の湿気対策が重要で、床下の換気を良くし、雨漏りや水漏れを放置しないことが予防につながると案内しています。川崎市は、浴室・トイレからの水漏れや雨どいの破損に注意するよう挙げています。ただしイエシロアリは水を運ぶ能力があり、木材を湿らせながら加害すると東京都は説明しています。湿気対策は予防の柱の一つですが、乾いて見えるから安心とは言えません。

建築基準法施行令は、木造の最下階の居室の床について、直下の地面から床の上面まで45cm以上とし、外壁の床下部分には壁の長さ5m以下ごとに面積300平方センチメートル以上の換気孔を設けるなどの防湿方法を定めています。床下をコンクリートなどで覆う場合などは例外です。また、構造耐力上主要な部分である柱、筋かい、土台のうち、地面から1m以内の部分には、有効な防腐措置を講じ、必要に応じてしろありなど虫による害を防ぐ措置を講じるよう定めています。床下の湿気と換気の見方は、床下の湿気と害虫対策で、水分の入口を3つに分けて整理しています。

参考:公益社団法人日本ペストコントロール協会|有害生物情報 シロアリ駆除

植物・植木とシロアリ対策|通風口・枝・植木台の扱い

「植物でシロアリを防げるか」について、今回確認できた公的資料は、植物を植えて防ぐ方法ではなく、建物まわりの植木や台の管理を挙げていました。日本ペストコントロール協会は、外周の通風口の前の植木類や物品を移動し、植木台に木材を使わないよう挙げています。川崎市は床下の換気口の前に植木鉢などを置かないよう案内し、東京文化財研究所は建物に伸びる枝を落とすことを挙げています。植えて建物のシロアリを防げると示す資料は、確認できませんでした。

森林総合研究所は、シロアリは生きた立木でも、樹勢の弱った樹木、古木、街路樹などにも被害を与えると説明しています。庭の弱った木や古木が建物のすぐ近くにあるときは、枝の張り方と根元の状態も点検します。庭の物置まわりの点検は、庭の物置の害獣予防にも、土台の周りを見る方法があります。

  • 通風口・床下換気口の前に、鉢や物を置かない
  • 植木台やプランター台は、木材以外にする
  • 建物に伸びた枝を落とす
  • 弱った庭木・古木・切り株は、建物からの距離を見て処分や撤去を考える

参考:森林総合研究所|森林資源の利用 Q23 シロアリはどのような虫で、被害を防ぐにはどのようにしたらよいのですか?

原因を減らしても、すでにいるシロアリは別に対処する

餌・水分・経路を減らす作業は、予防と環境の改善であり、すでに木材に取りついたシロアリを駆除する作業ではありません。日本ペストコントロール協会は、予防対策はシロアリの侵入を確実に阻止するものではないと注記し、木材の中のシロアリに市販の殺虫剤を部分的に使っても確実な効果は期待できないと説明しています。いったん木材に取りついたシロアリは、強力な駆除対策をとらない限り食害を途中でやめることはなく、調査で明確な被害が確認された場合は専門業者による防除処理が必要だとしています。東京都もシロアリ駆除は個人では困難なため、専門業者への依頼を勧めています。

被害のサインがないまま、予防として施工するかどうかは別の判断です。協会は5年ごとの予防工事を勧めており、前回の施工からの年数や保証の範囲はシロアリ予防はいつ再施工する?で確認できます。シロアリの種類ごとの調べ方はヤマトシロアリが疑われるときとイエシロアリの相談で確認したいことにあります。

  • 蟻道・蟻土・羽アリ・床の沈みなど、被害のサインがある場合は、先に調査を受ける
  • サインがなく予防だけを考える場合は、前回の施工時期と保証の範囲を確認する
  • 物の撤去や補修は原因を減らす作業と位置づけ、駆除や予防施工と混同しない

参考:公益社団法人日本ペストコントロール協会|有害生物情報 シロアリ駆除