シロアリ駆除の点検商法とは|公的機関が注意喚起している流れ

国民生活センターは2018年3月、屋根や床下を「無料で点検します」と突然訪問し、「このままでは大変なことになる」と不安をあおって、不要不急の工事や清掃サービスを契約させるトラブルを、点検商法として公表しました。屋根や床下のように消費者が確認しにくい場所は、本当に不具合があるかを自分で判断しにくく、言われるまま点検に続けて契約してしまう実態があるとされています。

点検商法をきっかけにした工事・サービスの相談は、訪問販売によるものだけで2016年度に2,400件に達しました。報告書の図では、契約当事者の年代は70歳代が31.6%、80歳代が27.0%でした。対象の「建物清掃サービス等」には、駆除サービスや床下換気扇に関するものが含まれます。シロアリ駆除に限らない手口ですが、床下は自分で確かめにくい場所のひとつです。下の表に、公表された相談事例から、手口の流れと確認点を整理しました。

シロアリ駆除の点検商法とは|公的機関が注意喚起している流れ:確認項目
段階公表された相談事例・手口の例その場で確認すること
1 訪問・勧誘突然「無料で点検する」と訪問する。「近くで工事をしている」と屋根の点検を持ちかけた例や、「市から依頼されて下水管を点検している」と告げて、実際は市と無関係だった例がある点検を頼んだ覚えがあるか。事業者名と連絡先。市の名前が出たら、自分で自治体に確認する
2 点検床下に入って写真や映像を見せる。床下の写真にゴキブリの死骸や卵が写っているとして、消毒を勧められた例がある見せられた写真が、自宅の同じ場所のものか
3 不安をあおる「大変なことになっている」「今すぐ契約すれば安くなる」などと、考える時間を与えずに契約を求める値引きや期限を理由にした、その場の契約を断る
4 契約「30万円のところ、今契約すれば26万円」と言われて契約した例。契約書の内容が分かりにくい例契約書面の内容、金額、クーリング・オフの記載
5 追加の勧誘床下を点検させたら、基礎補強、防カビ・防虫、トイレ工事などを次々に勧められた例追加の契約は、それぞれ断れる。家族や第三者に相談する

参考:国民生活センター|「大雪で歪んだ」などと自宅の不具合を指摘して不安をあおる「点検商法」(2018年3月1日公表、報告書本文PDF)

読者の疑問

シロアリ駆除の無料点検は詐欺ですか?

比較ガイド

無料点検をうたう訪問のすべてが違法とは限りません。ただ、国民生活センターは、突然訪問して無料点検を持ちかけ、不安をあおって契約させる手口を点検商法として注意喚起しています。詐欺にあたるかは個別の事情で決まるため、訪問は断り、不安なときは188に相談してください。

シロアリの無料点検の訪問を受けたとき、その場で確認すること

国民生活センターのアドバイスは、「点検させてほしい」と訪問する業者には応対しないこと、点検する場合も結果をうのみにしないこと、その場で契約しないこと、契約書の内容をしっかり確認することです。応対してしまった場合に備えて、特定商取引法ガイドが示す訪問販売のルールを、その場で確かめる項目にしておきます。営業所以外の場所、たとえば自宅で契約を申し込んだり、締結したりする取引が訪問販売に当たります。

断る場面の言い方は見積もりを断るときの伝え方、契約を急かされたときの確認は契約を急かされたときの確認にまとめています。

シロアリの無料点検の訪問を受けたとき、その場で確認すること:確認項目
確認項目特定商取引法ガイドの内容現場での動き
事業者の名前と目的訪問販売では、勧誘に先立って、事業者の氏名(名称)、契約の勧誘が目的であること、販売する商品や役務の種類を告げなければならない社名・担当者名・連絡先を聞いて控える。点検ではなく契約の勧誘かを確かめる
断ったあとの勧誘契約を結ぶ意思がないことを示した場合は、その訪問時にそのまま勧誘を続けること、あとで改めて勧誘することが禁止されている「必要ありません」と一度はっきり伝える
契約書面契約を申し込んだとき、締結したときは、商品や役務の種類、価格、支払い時期・方法、クーリング・オフに関する事項、事業者の氏名・住所・電話などを書いた書面を渡す必要がある書面を受け取り、内容を確認する。受け取った日を記録する
不実の告知など事実と違うことを告げる、故意に事実を告げない、威迫して困惑させる行為は禁止されているその場の発言を日時つきでメモする

参考:消費者庁|特定商取引法ガイド・訪問販売

床下の写真や被害の説明が自宅のものか確かめる方法

床下は、自分で潜って確かめることが難しい場所です。国民生活センターの相談事例には、業者から見せられた床下の映像が、本当に自分の家のものか疑問に思った例があります。報告書の専門家のコメントも、シロアリ駆除では害虫の死骸や写真を示して説明するが、その建物とは関係のない写真だったりする例があると指摘し、一般の人が床下に潜って調べにくい点につけ込まれていると述べています。

写真や映像を見せられたとき

写真や映像をその場で信じて契約を決めるのではなく、自分の目で確かめられる形にします。点検口や床下収納の位置が分かっていれば、次の確認は短時間でできます。

  • 床下の点検口まで同行し、業者が写真を撮る場所を一緒に見る
  • 同じ場所を、自分のスマートフォンでも撮影する
  • 写真の撮影場所(部屋・方角・点検口からの距離)と日時を説明してもらい、家の間取りと合うかを見る
  • 写真の日付や映像データの保存日を確かめる(国民生活センターが確認方法のひとつとして挙げています)
  • 被害があるとされる木材や蟻道を、実物で見せてもらう
  • 写真だけで実物を見せない場合は、契約を保留する

被害の説明を、別の業者に確かめる

被害があると言われても、その業者の説明だけで決める必要はありません。自分で選んだ別の業者に調査を依頼し、報告書の写真と位置図を比べます。写真の読み方はシロアリ調査の写真の読み方が参考になります。調査の依頼先は、協会の登録施工業者名簿から選ぶ方法があります。

床下換気扇・調湿材などの別の工事

協会は2026年9月28日付で、床下調湿材や床下換気扇の設置などの床下環境改善工事について、必要性や内容の説明が十分でないまま高額な費用が請求される例が相談として報告されているとして、調査結果にもとづく提案かを確認するよう施主に求めています。国民生活センターの報告書の専門家コメントは、床下の換気工事で既存の基盤コンクリートを壊して換気扇や通気口を設ける作業が、建築基準法令に抵触するおそれがあるため、十分な注意が必要としています。

床下の写真や被害の説明が自宅のものか確かめる方法:確認項目
確認したいこと自分でできる確認頼る先
写真が自宅の床下か点検口まで同行し、同じ場所を自分でも撮影する。撮影場所と日時の説明を求める自分
被害の有無と範囲別の業者に調査を依頼し、報告書の写真と位置図を比べる自分で選んだ複数社
床下環境改善工事の必要性床下の湿度、木材の含水率、通気の状況など、どの調査結果にもとづく提案かを聞く提案した業者に聞き、別の業者にも意見を聞く
コンクリートを壊す工事かどうか工事の内容を契約前に書面で説明してもらい、基礎などのコンクリートを壊したり穴を開けたりするかを確認する提案した業者。不安なら188や協会の窓口

参考:国民生活センター|「大雪で歪んだ」などと自宅の不具合を指摘して不安をあおる「点検商法」(2018年3月1日公表、報告書本文PDF)

シロアリ駆除の悪質業者を避ける|その場で契約しない対応と相見積もり

国民生活センターは、害虫・害獣駆除の相談で、不安をあおったり契約を急かしたりして、他の業者と比べる機会を奪う勧誘を問題としています。極端に安い表示の価格には注意し、複数社から見積もりを取って比べること、比較する時間を与えない事業者とは契約しないことを助言しています。協会も、床下環境改善工事について、即時の契約を求められても十分に検討する時間を確保するよう勧めています。

その場で契約しないための対応を、言い方の例として挙げます。理由を細かく説明する必要はありません。協会のQ&Aには、電話で勧められた施工を「いつもの業者」と思い込んで頼んでしまった人に対して、当日なら断ってかまわないこと、トラブルになりそうなときはその場で最寄りの消費生活センターに電話することを案内する回答があります。

  • 「家族と相談してから決めます。見積書と書面を置いていってください」と伝える
  • 「他の会社の見積もりも取って比べます」と伝え、その日は契約しない
  • 見積書、点検結果の報告書、会社名・住所・電話が分かる書類を受け取る
  • 協会の名簿などで自分で選んだ2〜3社に、同じ範囲で調査を依頼する
  • トラブルになりそうなときは、その場で最寄りの消費生活センターに電話する

参考:国民生活センター|報道発表資料 ネットの価格と全然違う!?害虫・害獣駆除のトラブルにご注意(2024年4月24日、PDF)

シロアリ駆除のクーリング・オフ|できる条件・期間・通知方法

特定商取引法上の訪問販売に当たる契約は、クーリング・オフで解除できる場合があります。消費者庁の特定商取引法ガイドは、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内なら、書面または電磁的記録(電子メールなど)で、申込みの撤回や契約の解除ができると説明しています。大阪府の案内は、シロアリ駆除の点検商法を例に、法定の書面を受け取っていない場合はいつでもクーリング・オフできると述べています。

クーリング・オフをした場合の清算も、ガイドに示されています。役務がすでに提供されていても対価を支払う必要はなく、損害賠償や違約金も不要で、支払い済みの金額は返してもらえます。建物などの現状が変更されている場合は、無償で元に戻すよう求められます。通知は、特定記録郵便や書留など記録が残る方法が勧められ、メールは送信済みの保存、専用フォームは画面の保存が望ましいとされています。自分の契約が当たるかどうかは、消費生活センターで確認してください。

シロアリ駆除のクーリング・オフ|できる条件・期間・通知方法:確認項目
項目内容注意
対象特定商取引法上の訪問販売(自宅などでの契約の申込み・締結)に当たる契約路上や電話で呼び出されて営業所で契約する場合も当たることがある。契約の経緯で判断されるため、不明なら188へ
期間法定の契約書面(または申込書面)を受け取った日を含めて8日以内。書面を受け取っていない場合は、いつでもできる(大阪府の案内)書面を受け取った日を記録する。自分の場合に当たるかは消費生活センターで確認する
通知の方法書面または電磁的記録(電子メールなど)特定記録郵便・書留など記録が残る方法。メールは送信済みを保存し、専用フォームは画面を保存する
期間後に可能な場合事業者がクーリング・オフについて事実と違うことを告げたり、威迫したりして、消費者が誤認・困惑して行わなかった場合は、期間を過ぎてもできる事実と違う説明で契約した場合は、意思表示を取り消せることがある(誤認に気づいたときから1年、契約から5年)
自分から呼んだ場合自宅への来訪を事前に請求し、契約の申込みや締結をしたい意思を明確に示していた場合は、訪問販売の規制の適用除外になることがある安価な表示を見て依頼しただけで、高額な契約の意思がなかった場合は該当しないとする考え方を、消費者庁のQ&Aが鍵の修理の例で示している
適用されない例法の適用除外:営業のため・営業として結ぶ契約、国や地方公共団体が行う販売・役務の提供など。クーリング・オフの規定が適用されない例:現金取引で総額3,000円未満の場合など個別の事案で当たるかは、消費生活センターに確認する

参考:消費者庁|特定商取引法ガイド・訪問販売

契約してしまったあとの相談先|消費者ホットライン188と協会の窓口

契約に不安があるときは、期限のあるクーリング・オフを逃さないよう、早めに相談します。相談先は、契約や請求の問題を扱う消費生活センターと、シロアリの技術的な内容を扱う協会の窓口に分けて考えると整理しやすくなります。

消費者ホットライン188

消費者ホットライン188は、郵便番号などを入力することで、お住まいの地域の消費生活センターや消費生活相談窓口を案内する全国共通の電話番号です。相談は無料ですが、相談窓口につながった時点から通話料がかかります。一部のIP電話やプリペイド式の携帯電話などからは、お住まいの地域の窓口に直接かけます。話し中でつながらないときは、国民生活センターのバックアップ相談も使えます。

日本しろあり対策協会の消費者相談窓口

シロアリの技術的な内容は、日本しろあり対策協会の消費者相談窓口にも相談できます。協会は、地域ごとの連携団体で消費者相談を受け付けており、所管する都道府県は団体ごとに決まっています。床下の状態や工法についての疑問は協会、契約や請求の問題は消費生活センター、と使い分けます。

相談するときは、契約書面、見積書、名刺や会社案内、床下の写真、やり取りのメモを手元に置きます。準備の仕方は駆除の請求トラブルを188へ相談するにはにまとめています。

参考:消費者庁|消費者ホットライン

無料点検を頼みたいときは、自分で選んだ複数社に調査を依頼する

訪問を断ることと、床下の点検が不要ということは別です。羽アリを見た、床がきしむ、木材が傷んでいるなどの心当たりがあるなら、自分から複数社に調査を頼めます。無料の調査や見積もりをうたう会社もありますが、無料なのは調査と見積もりまでで、施工は有料であることを公式ページに書いている例があります。無料の範囲は無料の現地調査はどこまでかで、予約前に聞く質問を確認できます。

羽アリを見たときの記録は羽アリが出たとき何を残すか、業者を選ぶ基準はシロアリ駆除業者を比べる4つの基準にまとめています。会社名は名簿で確かめ、見積書の面積の基準、薬剤、保証、点検の条件をそろえて比べてください。