ヤスデが大量発生する時期|梅雨・秋雨と雨上がりの夜

長崎市(2025年12月8日更新)は、台湾原産の外来生物ヤンバルトサカヤスデの集団移動は年2回で、4〜6月に幼虫、10〜11月に成虫が動き、湿度の高い雨上がりの夜によく見られると案内しています。宮崎県(2025年6月5日更新)も、降雨後など特に湿度の高い夜に集団で大移動するとしています。「秋雨」という言葉は資料にありませんが、梅雨の前後と秋の10〜11月に、雨上がりの湿度が引き金になる点は共通しています。

在来のヤスデは、少し時期が違います。アース製薬は、国内でよく見かけるヤケヤスデは5月末〜7月初旬、特に梅雨明けの季節に多く発生し、人家に入って畳や壁を這うこともあると説明しています。札幌市は、雨の日の前後に壁や塀へ集団で這い上がって室内に入ることがあるとし、島根県は、温湿度の高い夜間や曇りの日に活発に動くとしています。

何月までかについては、宮崎県、長崎市、霧島市が、ヤンバルトサカヤスデの成虫の集団移動を10〜11月ごろとしています。実際の時期は年や地域の気温と雨で前後するため、近くの自治体の案内で確認してください。

  • ヤンバルトサカヤスデ:4〜6月に幼虫、10〜11月に成虫の集団移動(長崎市・宮崎県・霧島市)
  • ヤケヤスデ(在来):5月末〜7月初旬、特に梅雨明け(アース製薬)
  • 雨の日の前後、雨上がりの夜、曇りの日に動きやすい(札幌市・長崎市・島根県)

参考:長崎市|ヤスデの発生にご注意ください(環境政策課)

読者の疑問

ヤスデが大量発生するのはなぜですか?何月まで続きますか?

比較ガイド

落ち葉や朽木、側溝など日当たりの悪い湿った場所で増え、雨上がりの湿度の高い夜に集団で動くためです。ヤンバルトサカヤスデは4〜6月に幼虫、10〜11月に成虫が集団移動すると、長崎市と宮崎県が案内しています。時期は年や地域で前後します。

ヤスデが大量発生する原因|落ち葉・腐植・鉢やブロックの下・側溝

宮崎県は、ヤンバルトサカヤスデが、湿度の高い草地や落葉の多い土壌、道端の側溝など日当たりの悪い湿った場所を好み、昼間は日陰に潜んで夜に活動すると説明しています。餌は落葉や朽木、堆肥など分解の進んだ腐った植物質です。島根県も、ヤスデ類は落ち葉、朽木、石、石垣など湿気があり腐植質の多い環境に生息し、人家付近にたまった植物やちりからも発生すると述べています。

ヤンバルトサカヤスデが増えやすい理由

宮崎県と長崎市によると、ヤンバルトサカヤスデの寿命は1年程度で、交尾の約1か月後に1回で数百個の卵を産み、卵は8日程度で孵化します。長崎市は、繁殖能力が非常に高く、一度定着すると根絶は非常に困難だとしています。

家の周りで発生源になりやすい場所

資料に挙げられた環境を、家の周りで見る場所に置き換えました。落ち葉は、庭の別の場所へ移しただけでは潜む場所が残るため、処分まで考えます。

  • 落ち葉や枯れ草のたまった庭の隅、のり面や土手の下草(鹿児島市は土手の草払いを案内)
  • 植木鉢・プランター・ブロック・石・資材の下(宮崎県は植木や菜園の土中、島根県は石や石垣を挙げる)
  • 側溝と、その周りのたまり(長崎市・鹿児島市)

人が運んで広がる

鹿児島市は、広がりの最も大きな原因は、生息地域からの庭木や堆肥(落ち葉などの腐葉土)の移動とともに、卵や幼虫が人為的に運ばれることだといわれていると説明しています。長崎市と宮崎県も、土、堆肥、植木などの移動を挙げています。

参考:宮崎県|ヤンバルトサカヤスデ(不快害虫)の発生時期(4月~6月、10月~11月)です

ヤンバルトサカヤスデと在来のヤスデの違い、発生地域

宮崎県のチラシは、在来種は黒褐色で体長10〜25mm、ヤンバルトサカヤスデは黄〜茶褐色で体長25〜35mm、黒い紋が特徴だとして、見分けの図を載せています。全国に生息する在来のヤスデも、集団移動や家の中への侵入で不快感を与えると、南国市が案内しています。

発生地域は広がっています。国立環境研究所の侵入生物データベース(2010年10月25日更新)は、国内の移入分布を沖縄島、奄美諸島、屋久島、八丈島、鹿児島県本土、徳島県、静岡県、埼玉県、神奈川県としていますが、古い整理です。鹿児島県は、2026年3月31日更新のページで、県内各地へ広がった経過を令和7年(志布志市)まで載せています。

宮崎県のチラシは宮崎市・都城市・日南市・西都市・国富町・高鍋町・新富町を生息確認の地域とし、長崎市は市内で確認されたと案内し、和歌山県の田辺市はヤンバルトサカヤスデを駆除薬剤の補助の対象にしています。お住まいの地域は、市区町村や都道府県の案内で確認してください。

自治体ごとの制度は、鹿児島市のヤスデ駆除の案内、都城市のヤンバルトサカヤスデ対策、田辺市のヤスデ駆除薬剤の補助で詳しく整理しています。

ヤンバルトサカヤスデと在来のヤスデの違い、発生地域:確認項目
比べる点在来のヤスデヤンバルトサカヤスデ
色と体長黒褐色、10〜25mm(宮崎県のチラシ)黄〜茶褐色で黒い紋、25〜35mm(同。国立環境研究所は25〜30mm)
集団で出る時期ヤケヤスデは5月末〜7月初旬、特に梅雨明け(アース製薬)4〜6月に幼虫、10〜11月に成虫(長崎市・宮崎県)
分布日本全国(南国市)台湾原産の外来生物。九州南部などの自治体が対策を案内
人への害咬んだり刺したりしない。不快な臭いが問題(島根県)毒はなく刺咬の危険はないが、刺激で悪臭ガスを出す(宮崎県)

参考:宮崎県|ヤンバルトサカヤスデのまん延防止に御協力ください(チラシ、PDF)

自治体が示すヤスデ対策|清掃・乾燥・侵入防止・薬剤の比較

自治体の案内を並べると、対策は、生息しにくい環境づくり、家への侵入防止、薬剤の帯状散布、広げない工夫の4つに分かれます。長崎市は、ヤスデの大量発生には全国的にも抜本的な解決策が見つかっていないとして、生息しにくい環境づくりが効果的だとしています。

壁面の対策は、テープの種類や幅、貼る高さ、雨で粘着が落ちる点など、条件で結果が変わります。鹿児島市のヤスデ返しの実証は、家屋外壁下部(犬走り10〜20cm上部)の結果で、すべての家で同じとは限りません。

自治体が示すヤスデ対策|清掃・乾燥・侵入防止・薬剤の比較:確認項目
対策自治体の案内注意点・限界
草刈り・落ち葉・下草の除去長崎市は、暗く湿った場所を作らず、幼虫期の4〜6月に合わせた下草の除去や土壌の掘り起こしも効果的とする。宮崎県は、幼虫は乾燥に弱いとする集めた落ち葉や死骸は、市町村の分別に従って処分する(宮崎県のチラシ)
側溝の清掃長崎市は側溝を周辺も含めて清掃する。鹿児島市は雨水に流れて移動するのを抑えるとする敷地外や公共部分は、自治体が駆除している地域もある(鹿児島市)。勝手に薬剤をまかず確認する
壁面に滑る材質を貼る(ヤスデ返し)長崎市は、養生テープ、アルミテープ、ステンレス材を貼る。鹿児島市は、幅15cm以上だと登りにくいとする表面が汚れると歩けるため定期的に拭き取る。つなぎ目はコーキング材でパテ処理(鹿児島市)。テープをはがすときは粘着跡や塗装に注意(長崎市)
扉などのすき間をふさぐ長崎市は、隙間テープなどを貼る換気や排水のための開口は塞がない(当記事の注意)
薬剤を帯状に散布長崎市は、侵入されたくないところだけに帯状にまくと効果があると言われるとする。鹿児島市は、建物周辺に帯状に広く薄く散布するとする近隣の農耕地・河川・用水路に入らないようにする。農耕地は登録農薬以外使えない。やがて効きにくくなることがある(長崎市)
土・堆肥・植木を動かさない鹿児島市・長崎市・宮崎県は、生息地からの移動が広がる大きな要因とする生息地域から植木を持ち出すときは、株元に薬剤を注ぐなどの対応を案内(鹿児島市)

参考:鹿児島市|ヤンバルトサカヤスデの侵入防止対策(ヤスデ返し)

大量のヤスデを見つけたときの処理|熱湯・火を使わない理由とかぶれの注意

大量のヤスデを見つけたときは、素手で触らず、強い刺激を与えない方法で集めて処分します。ヤスデは刺激を受けると、においの強い液やガスを出す種類があるためです。

集めて処分する手順(自治体の案内)

長崎市は、ほうきなどではたき落とすと一時的に丸くなって集めやすいとし、集めたらごみ袋にまとめて漏れ出ないようきつく縛り、死滅後に「燃やせるごみ」として処分するよう案内しています。宮崎県のチラシは、死骸を放置すると雨に濡れて強烈な悪臭(シアン化ガス)を放つため、市町村の規定に従ってごみに出すよう求めています。

  • ほうきなどで集め、ごみ袋に入れて口をきつく縛る
  • 放置せず、市町村の分別に従って処分する
  • 素手で触らず、手袋などを使う(当記事の注意)

熱湯や火で駆除しない理由

宮崎県は、焼いたり熱湯をかけたりして刺激すると、シアン化水素を含む悪臭ガスを放出し、大量に吸うと頭痛や下痢、吐き気といった症状が出ることがあるとしています。長崎市も強い刺激は避けるよう案内し、鹿児島市は、ガスバーナなどの火で焼く行為は危険なため決して行わないよう求めています。

体液でかぶれる・目に入ったとき

フマキラーは、ヤスデには、キノンやシアンを含むいやなにおいの液を分泌する種があり、肌に触れたり目に入ったりするとかぶれることがあると説明しています。素手で触らず、触れたり目に入ったりして痛みや赤み、違和感が続くときや、ガスのにおいで頭痛や吐き気を感じたときは、医療機関に相談してください。

参考:フマキラー|For your LIFE ヤスデは駆除した方が良い?生態や被害・侵入を防ぐ方法を解説(2022年4月5日掲載)

ヤスデの薬剤配布・補助・相談制度の調べ方|自治体窓口の探し方

ヤスデの薬剤配布や補助は、国の制度ではなく、自治体が発生状況に合わせて行うもので、あるかどうかも条件も自治体ごとに違います。手順のあとの表は、今回開いた自治体のページから制度の例を並べたもので、2026年10月3日に確認した内容です。

窓口の調べ方の手順

鹿児島県のページには、県内の市町村の担当部署と連絡先、各市町村のヤスデのページへのリンクが一覧で載っています。宮崎県は、発生を確認した場合は市町村役場へ連絡するよう案内しています。

  • 「市区町村名 ヤスデ」または「ヤンバルトサカヤスデ 市区町村名」で検索し、環境課・衛生課などのページを探す
  • 都道府県のページに、市町村の窓口一覧があるかを見る(鹿児島県の例)
  • 電話では、発生した場所・時期・写真、薬剤をすでに買ったかどうかを伝える
  • 購入前に、領収書の宛名や申請期限、侵入写真の必要性を確認する(田辺市の例)
  • 集合住宅では、管理者や管理会社が窓口になることがある(鹿児島市・霧島市の例)
ヤスデの薬剤配布・補助・相談制度の調べ方|自治体窓口の探し方:確認項目
自治体制度の例主な条件
鹿児島市住宅への侵入防止用の駆除剤(粒剤・微粒剤)を配布一世帯あたりひと月に1袋。窓口で受け取り、袋を持参。法人等は対象外。集合住宅は管理者や代表者に渡す。薬剤の種類は在庫で変わる
霧島市(鹿児島県)ヤスデを見つけたら担当課へ連絡。同定のうえ、ヤンバルトサカヤスデと確認できた場合に限り駆除剤を支給(2025年6月18日更新)1世帯あたり1袋(1か月ごと)。同定に数日かかることがある。法人等は対象外
田辺市(和歌山県)ヤンバルトサカヤスデの駆除剤の購入費を補助(2026年6月9日更新)購入費の2分の1以内。申請は購入から30日以内。領収書(宛名が申請者と同一)と侵入写真などが必要。3kg入り最大5袋が上限
南国市(高知県)駆除剤の購入や業者依頼の案内(配布・補助の記載なし。2020年12月8日掲載)ホームセンター等の駆除剤を使うか、専門業者に依頼する
鹿児島市(町内会等の一斉駆除)衛生指導員の派遣、機器の貸し出し、薬剤の提供実施予定日の2週間前までに駆除計画書を提出する

参考:鹿児島市|ヤンバルトサカヤスデの駆除剤の配布

ヤスデの大量発生が数年続くとき・毎年出るときの対処

長崎市は、ヤスデの大量発生には全国的にも抜本的な解決策が見つかっておらず、ヤンバルトサカヤスデは一度定着すると根絶が非常に困難だと説明しています。鹿児島市は、一般の家庭用殺虫剤でも駆除できるが、生息地域から一掃するには地域全体で一斉駆除をすること、町内会などによる一斉駆除を定期的に行うのが効果的だとしています。数年続くときは、1軒の対策と地域の対策を分けて考えます。

毎年同じ時期に出るのは、ヤンバルトサカヤスデの寿命が1年程度で、毎年10〜11月に交尾と産卵が続くためと考えられます(当記事の整理)。4〜6月と10〜11月の前に備えると、対策の時期を決めやすくなります。在来のキシャヤスデは、フマキラーによると、ほぼ8年の周期で大発生を繰り返すと考えられていますが、原因はよくわかっていません。

家庭では、次の幼虫期の前に落ち葉と下草を整理し、壁面と扉のすき間の対策を済ませます。薬剤を使うなら、侵入前の建物周囲に帯状にまきます。鹿児島市は、町内会の一斉駆除に、駆除方法の指導、電動噴霧機などの貸し出し、薬剤の提供の支援を行っています。南国市は、ホームセンター等の駆除剤を使うか、専門業者に依頼するよう案内しています。業者の依頼前の確認は、現地調査・見積もり無料はどこまで?も参考になります。

参考:鹿児島市|ヤンバルトサカヤスデの駆除(町内会等の一斉駆除への支援)

ヤスデの大量発生は地震の前兆?益虫? 説の扱い方

「ヤスデ 大量発生 地震」と検索する人がいます。今回開いた自治体(鹿児島県・鹿児島市・長崎市・宮崎県)と国立環境研究所の資料は、大量発生の理由を、湿った環境、落ち葉などの腐植、土や植木の人為的な移動で説明しており、地震との関係を述べる記載は確認できませんでした。ヤスデの数だけで地震を判断せず、備えは防災の公的な情報で確認してください。

益虫という説明もあります。フマキラーは、ヤスデが落ち葉などの腐った植物を分解して土に返す働きをしており、基本的には益虫なので積極的な駆除は必要ないとしています。一方、ヤンバルトサカヤスデは、宮崎県が拡大防止への協力を求め、鹿児島市も一斉駆除を勧めており、扱いは種類で変わります。迷うときは自治体に写真を見せて確認します。ヤスデとムカデの違いはヤスデとムカデはどう違う?、足の多い別の虫はゲジゲジ対策で整理しています。

参考:フマキラー|For your LIFE ヤスデは駆除した方が良い?生態や被害・侵入を防ぐ方法を解説(2022年4月5日掲載)