家の周りにいる蚊の種類|ヤブ蚊(ヒトスジシマカ)とイエカの違い

東京都の資料によると、世界には約3000種類の蚊が知られ、国内に生息するのは約100種類です。東京都は、都内でよく見られる蚊としてヒトスジシマカ、アカイエカ、チカイエカの3種類を挙げています。ヒトスジシマカはヤブカ類、残りの2種はイエカ類です。

ヤブ蚊(ヒトスジシマカ)の特徴

ヒトスジシマカは、体色が黒く、胸の背に1本の白い縦筋、足の関節に白い斑があります。藪や草むらにすみ、動きが速くて捕まえにくく、刺されたときのかゆみが強いと東京都は説明しています。厚生労働省のポスターでは、体長3〜5mmほどで、雑木林、竹林、藪、墓地、公園などに見られるとされています。

イエカ類(アカイエカ・チカイエカ)の特徴

アカイエカは、淡赤褐色の中型の蚊で、野鳥や人の血を好み、成虫で越冬します。チカイエカはアカイエカによく似ていて、ビルの地下の排水槽や湧水槽などで一年を通じて発生します。大阪市は、アカイエカは日本全土に生息し、ヒトスジシマカは青森以南に生息すると説明しています。

地域によって見られる種類は違う

お住まいの地域の水環境でも、見られる種類は変わります。KINCHOの解説では、コガタアカイエカとシナハマダラカは水田、沼、ため池などに発生するとされます。国立健康危機管理研究機構の資料(2020年)は、北海道以外の全都府県でヒトスジシマカの定着が確認され、北海道では確認されていないと報告しています。

家の周りにいる蚊の種類|ヤブ蚊(ヒトスジシマカ)とイエカの違い:確認項目
種類活動する時間帯活動する時期主な発生源国内で注意喚起される感染症
ヒトスジシマカ(ヤブカ類)日中に吸血する(早朝と夕方とする資料もある)5月中旬〜10月下旬ごろ。卵で越冬植木鉢の受け皿、空き缶、雨水ますなど小さな水たまりデング熱、チクングニア熱、ジカウイルス感染症
アカイエカ主に夜間に吸血する早春から晩秋。成虫で越冬下水溝、雨水ます、排水槽などウエストナイル熱
チカイエカ確認した資料に記載なし。屋内で冬も活動し、被害は年間を通じて発生一年を通じてビルの地下の排水槽・湧水槽、地下鉄の線路際の溝などウエストナイル熱
コガタアカイエカ確認した資料に記載なし確認した資料に記載なし水田、沼、ため池などウエストナイル熱、日本脳炎
ハマダラカ類(シナハマダラカなど)確認した資料に記載なし確認した資料に記載なし水田、沼、ため池など(シナハマダラカ)マラリア(国内では海外からの輸入感染症として見られる)

参考:東京都保健医療局|施設管理者向け 蚊の発生防止対策(PDF)

読者の疑問

ヤブ蚊とイエカは何が違うの?

比較ガイド

ヤブ蚊(ヒトスジシマカ)は黒っぽく足に白い縞があり、日中に屋外の藪や草むらで刺し、小さな水たまりで育ちます。イエカ類(アカイエカ・チカイエカ)は淡赤褐色で、主に夜に吸血し、下水溝や排水槽などで育ちます。

蚊の活動時間と寿命|夜に刺す蚊と日中に刺す蚊、卵の産み方

活動する時間帯は種類で分かれます。アカイエカは主に夜間に吸血し、ヒトスジシマカは東京都や厚生労働省の資料では日中によく吸血する蚊とされています。大阪市は、ヒトスジシマカが主に早朝と夕方にかけて吸血すると説明しており、資料で表現が違います。屋外の日中から夕方に刺されるなら、ヤブ蚊を疑う目安になります。

寿命は、大阪市が成虫で約1か月、東京都のリーフレットが30〜40日としています。血を吸うのは雌だけで、雌は吸血と産卵を3〜4回繰り返します。血は主食ではなく卵を育てるために必要で、普段は花の蜜や草の汁を吸っていると、KINCHOの解説は説明しています。

卵の産み方は種類で違います。アカイエカは水面に卵塊(卵舟)として産み、1回に100〜150個とされ、チカイエカは50〜60個です。ヒトスジシマカの卵は、乾燥した状態でも数か月間生き延びられると国立健康危機管理研究機構は報告しており、水を抜いた容器にも卵が残る可能性があります。

蚊の活動時間と寿命|夜に刺す蚊と日中に刺す蚊、卵の産み方:確認項目
成長の段階東京都のリーフレット(ヒトスジシマカ)大阪市(アカイエカの例)
卵2〜7日1〜2日
幼虫(ボウフラ)6〜7日6〜7日
蛹(オニボウフラ)2〜3日2〜3日
成虫30〜40日約1か月
成長の速さ夏場は条件が良ければ、卵から約12日で成虫になる気温が高ければ速く、低ければ遅くなる

参考:東京都保健医療局|蚊をなくして安全・安心!-感染症を媒介する蚊の発生防止対策-(PDF)

蚊は何月まで出る?活動する気温と時期の目安

厚生労働省のポスターは、ヒトスジシマカが5月中旬から10月下旬ごろまで活動するとしています。これは目安です。KINCHOの2025年9月の解説は、日中に活動するヒトスジシマカは15℃を下回ると活動が鈍るものの、近年は秋が深まっても15℃を下回りにくく、大阪では年によって11月に入っても刺されることがあると説明しています。

蚊が最も快適に動ける気温は27℃前後とされ、猛暑の真夏よりも少し涼しい秋の方が活発に動くため、しつこく感じやすいとも説明されています。国立健康危機管理研究機構の資料は、ヒトスジシマカが新しい土地に定着できるかどうかの条件として、年間平均気温11℃以上が報告されているとしています。

春に最初に動く蚊

KINCHOの解説では、春に暖かい日が続くと、成虫で冬を越したアカイエカが活動を始めます。卵で冬を越すヒトスジシマカが成虫になる5月以降は、蚊の数がかなり増えるとされています。

秋に残る蚊

ヒトスジシマカは成虫では冬を越せず、卵で越冬します。秋は、冬が来る前に血を吸って卵を産もうとする時期にあたり、残暑が長い年は活動期間が延びます。刺される月は、年の気温と地域で前後します。

蚊は何月まで出る?活動する気温と時期の目安:確認項目
確認すること資料の記載出典
ヒトスジシマカの活動期間5月中旬から10月下旬ごろ厚生労働省のポスター
活動が鈍る気温と快適な気温15℃を下回ると鈍る。27℃前後が最も快適KINCHOの解説(2025年9月10日)
秋の様子大阪では年によって11月に入っても刺されることがあるKINCHOの解説(2025年9月10日)
アカイエカ成虫で越冬し、早春から晩秋に発生する東京都の施設管理者向け資料
チカイエカ寒さに強く、屋内では冬でも活動し、被害は一年を通じて発生する東京都の施設管理者向け資料
ヒトスジシマカの定着条件年間平均気温11℃以上が条件として報告されている国立健康危機管理研究機構の資料

参考:厚生労働省|発生源編:ジカ熱・デング熱の運び屋 ヒトスジシマカの発生源を叩け(PDF)

冬やマンションの上の階でも刺される蚊|ビルの地下・排水槽・ベランダの水

冬に屋内で刺されるなら、チカイエカを疑う手がかりがあります。東京都の資料は、チカイエカがビルの地下の排水槽や湧水槽、地下鉄の線路際の溝など、一年を通じて安定した環境に発生し、寒さに強く屋内では冬でも活動するため、吸血被害が年間を通じて発生すると説明しています。

マンションの上の階で蚊が出る理由

KINCHOの解説では、蚊が自力で飛べるのは2〜3階くらいの高さまでです。ただ、人に付いてエレベーターで上がってきたり、風に乗ってきたりするため、高層階にも届きます。ベランダに水たまりがあるとボウフラが育って蚊が増えるケースもあり、植木鉢の受け皿の水に注意するよう案内されています。

  • ベランダの植木鉢の受け皿やバケツの水
  • つまった雨どいや排水パイプ(東京都の施設管理者向け資料が挙げる発生しやすい場所)
  • 建物の地下にある排水槽や湧水槽(管理会社などが管理する設備)
  • 人や荷物に付いて入る個体

冬に屋内で刺されるとき

冬に暖かい室内や地下階だけで蚊に刺されるなら、屋外の蚊ではなく、建物内の水たまりが発生源の可能性があります。排水槽や湧水槽は個人では開けられないため、管理会社に階と時間を伝えます。東京都の資料は、施設管理者に、蓋の密閉状況の確認と、通気管へ18メッシュより細かい防虫網を付けることを案内しています。

冬やマンションの上の階でも刺される蚊|ビルの地下・排水槽・ベランダの水:確認項目
刺される状況考えられる蚊と発生源最初の確認
夏の日中に庭やベランダで刺されるヒトスジシマカ。受け皿、雨水ます、空き缶などの小さな水たまり周囲のたまり水を探し、庭の点検表で確認する
夜に寝室で刺される(夏から秋)アカイエカ。下水溝、雨水ます、排水槽など。活動範囲が広く、特定しにくい網戸の破れ、窓の開けっぱなし、近隣の水場を確認する
冬や地下階・低層で刺されるチカイエカの可能性。ビル地下の排水槽や湧水槽など管理会社へ階と時間を伝え、排水槽の点検を相談する
高層階で夏に刺されるヒトスジシマカ。人に付いてきた個体や、ベランダの受け皿の水帰宅時の持ち込みと、ベランダの水たまりを確認する

参考:KINCHO(大日本除虫菊)|害虫大百科 蚊 生態と種類を知る

蚊が媒介する感染症|国内で注意されている病気と公的な情報源

厚生労働省は、主な蚊媒介感染症として、デング熱、チクングニア熱、ジカウイルス感染症、日本脳炎、ウエストナイル熱、黄熱、マラリアを挙げています。主に熱帯・亜熱帯で流行しており、日本では日本脳炎以外は海外からの輸入感染症としてみられる一方、デング熱は2014年や2016年に国内感染例が報告されたと説明しています。

同じページは、感染してからの治療よりも蚊に刺されないための対策が重要とし、日本脳炎は不活化ワクチン、マラリアは医師の処方による予防内服が有効としています。症状や治療、渡航前の対策はこの記事では判断せず、厚生労働省のページや医療機関で確認してください。

東京都の資料は、ヒトスジシマカがデング熱、ジカウイルス感染症、チクングニア熱を媒介し、アカイエカとチカイエカがウエストナイル熱を媒介すると説明し、コガタアカイエカは日本脳炎も媒介するとしています。ただし、蚊がウイルスや原虫を持っているかどうかは、見た目では分かりません。

  • 厚生労働省の蚊媒介感染症のページ(感染症ごとの解説と指針)
  • 国立健康危機管理研究機構の感染症情報提供サイト
  • お住まいの自治体の保健所や環境衛生の担当窓口(蚊についての相談)
  • 医療機関(発熱などの症状があるとき。海外に滞在した場合は渡航歴を伝える)

参考:厚生労働省|蚊媒介感染症

種類に合わせた蚊の対策の違い|ヤブ蚊・イエカ・チカイエカ

対策の基本は、どの種類でも幼虫(ボウフラ)の発生源をなくすことです。東京都は、蚊の成虫は飛ぶため防除が難しく、水中の幼虫を対象にする幼虫対策が重要だと説明しています。そのうえで、種類ごとの動き方の違いが、対策の力点を変えます。

敷地内の水たまりの点検表は庭の蚊対策は発生源からにまとめました。月ごとの点検の目安は害虫の発生時期カレンダーで確認できます。水が関わる設備の点検は、長く使わない排水口の封水切れやマンションの配管シャフト周辺の害虫も参考になります。

種類に合わせた蚊の対策の違い|ヤブ蚊・イエカ・チカイエカ:確認項目
種類動き方の特徴(資料の記載)対策の力点
ヒトスジシマカ(ヤブ蚊)活動範囲は半径100〜150mほどと狭く(厚生労働省のポスターは50〜100m程度)、藪や草むらで吸血源を待ち伏せする敷地内のたまり水をなくす。草刈りや剪定で風通しと日当たりを良くする。庭作業では長袖と虫よけ剤を使う
アカイエカ活動範囲は数百m〜数kmと広く、発生源の特定が難しい場合がある屋内に入れない網戸の補修。雨水ますや排水槽の管理を管理者へ相談する
チカイエカビル地下の排水槽や湧水槽で一年を通じて発生する排水槽の蓋の密閉と、通気管の防虫網の点検を管理者に依頼する

参考:東京都保健医療局|施設管理者向け 蚊の発生防止対策(PDF)