始める前の確認|ネズミの種類・通り道・被害の範囲

東京都の「都民のためのねずみ防除読本」は、ねずみの防除を3つに分けています。住みにくい環境を整える環境的防除、殺そ剤や忌避剤を使う化学的防除、かごや粘着トラップなどで捕獲する物理的防除です。住まいで問題になるのはクマネズミ、ドブネズミ、ハツカネズミの3種で、種類によって有効な方法が違うため、手を動かす前に見当をつけておきます。

下の表は、同じ冊子にある有効性の比較を要約したものです。環境的防除はどの種類にも有効とされる一方、クマネズミには化学的防除と物理的防除が「あまり有効でない」と整理されています。冊子はクマネズミについて、環境的防除を徹底して行うことが問題解決につながると説明しています。

捕まえる前に、相手が家ネズミかどうかも確かめます。環境省の鳥獣保護管理法の概要では、クマネズミ・ドブネズミ・ハツカネズミのいえねずみ類3種は同法の対象外とされていますが、それ以外のネズミ類は同法の「鳥獣」に含まれます。名古屋市は、野生動物は同法により原則として捕獲が禁止されていると案内しています。畑や山林の近くで見かけた種類の分からないネズミは、捕獲の前に自治体へ確認してください。

種類の見当をつける

冊子では、ドブネズミは体長22〜26cmで尾が頭胴より短く、植込みや下水管など低い場所に多いと整理されています。クマネズミは体長15〜20cmで尾が頭胴より長く、天井裏や壁の中など高い所に多く、警戒心が非常に強いとされています。ハツカネズミは体長6〜9cmの小型です。名古屋市は、市内で捕獲されたネズミの約8割がクマネズミだったと案内しています。

通り道と被害の範囲を書き出す

ネズミは夜間に活動するため姿を確認しにくく、音、かじり跡、フン、足跡、体のこすり跡といった痕跡(ラットサイン)から活動場所を探します。冊子は、ラットサインから外からの侵入経路、家の中の通路、餌場や営巣場所が分かると説明しています。見つけた痕跡は、触らずに位置と写真だけを間取りへ書き込みます。

  • 痕跡を見つけた部屋と位置を間取りに書き込む
  • 食品の袋、配線、収納の中のかじり跡を場所ごとに分ける
  • フンは触らず、写真と位置だけ記録する
  • 夜間の音がどの方向から聞こえるかをメモする
始める前の確認|ネズミの種類・通り道・被害の範囲:確認項目
防除の考え方ドブネズミクマネズミハツカネズミ
環境的防除(餌・巣材・侵入口)有効有効有効
化学的防除(殺そ剤・忌避剤)有効あまり有効でない有効
物理的防除(かご・粘着トラップ)有効あまり有効でない有効

参考:東京都福祉保健局|都民のためのねずみ防除読本(平成24年4月発行、PDF)

読者の疑問

ネズミ駆除は自分でできますか?

比較ガイド

餌と巣材の管理、低い場所のすき間の封鎖は自分で進められます。市販の捕獲器や殺そ剤も表示どおりに使えますが、クマネズミには効きにくいと東京都の冊子が説明しており、天井裏や高所の作業は専門業者がよい場合があるとされています。

手順1 ネズミの餌と巣材を断つ

東京都の冊子が環境的防除の柱として挙げるのは、餌を与えない、巣材を与えない、住まいへの出入りと建物内の移動を防ぐ、の3つです。最初の2つは費用をかけずに始められ、封鎖や捕獲の効果を支える土台にもなります。

餌になるものをしまう

冊子の例では、食品は放置せず、プラスチックや金属製のふた付き容器、しっかり閉まる戸棚や冷蔵庫にしまいます。ビニール袋や段ボールに入れた状態ではかじられると書かれています。ペットの餌は食べきれる量にして残りを放置しない、生ごみはふた付き容器に入れてふたを閉める、といった例も挙がっています。

  • 食品はふた付きの丈夫な容器か、戸棚・冷蔵庫へ入れる
  • 生ごみはふた付き容器に入れ、ふたをしっかり閉める
  • ペットの餌、仏壇の供え物、野鳥の餌台の餌は夜間に片付ける
  • ベランダの鉢植えが食べられているときは安全な場所へ移す

巣になるものを持ち出させない

ネズミは暖かく人目につきにくい場所に、紙や布、ビニールなどを集めて巣を作ります。冊子は、衣類やタオル、シーツなどをプラスチックなど強固な収納ケースに入れ、段ボールは使わないこと、押入れやたんすの侵入穴をふさぐこと、紙類や布類のたまり場を作らないことを例に挙げています。屋外が乱雑だと外のネズミを寄せつけ、家の壁沿いに置いた物は隠れ場所になるとも説明されています。

  • 布製品は強固な収納ケースへ(段ボールは避ける)
  • 不要な紙類や布類は処分する
  • 天井裏、家具と壁のすき間、物置は時々巣がないか点検する
  • 家の壁沿いに物を置かない

参考:東京都福祉保健局|都民のためのねずみ防除読本(平成24年4月発行、PDF)

手順2 ネズミの捕獲器・殺そ剤・忌避剤は製品表示どおりに使う

捕獲器や殺そ剤は、環境的防除を進めたうえでの補助として使います。使い方は製品ごとに違うため、ここでは用量や設置数を示さず、公式ページで確認できる考え方と注意点を整理します。手元の製品の説明書が最優先です。

粘着トラップ・かごで捕獲する

東京都の冊子は、粘着トラップをネズミがよく通る通路に複数枚置き、配置は頻繁に変えない(最低3日間)こと、捕れないときは並べ方を変えたり枚数を増やしたりすることを紹介しています。ただし冊子は粘着トラップに餌を置かないよう注意していますが、アース製薬のネズミホイホイの製品ページは、好む食べ物をトレーの中央に置く使い方を紹介しています。同じ種類の製品でも案内が異なるため、使う製品の表示に従ってください。

同ページには、6〜7日たっても捕れないときは置き場所を変える、子供やペットが触れない場所に置く、捕れたネズミは早めにハウスごとゴミ袋に入れて自治体の定める方法で捨てる、といった表示があります。名古屋市は、かごや粘着シートを通路に3日以上続けて設置する方法を案内しています。

殺そ剤(毒餌)を使うとき

殺そ剤は他の動物にとっても毒になります。市川市は、屋外で使うと他の動物に影響する恐れがあるため必ず屋内で使うこと、設置前に餌になる食品や生ごみを片付けること、数日食べた痕跡がなければ設置場所を変えることを案内しています。アース製薬のデスモアプロの製品ページにも、子供や動物が容易に近づける場所では使用しない、数日経っても食べないときは回収するか移動する、と表示されています。

東京都の冊子(2012年発行)は、当時販売されていた殺そ剤の多くがドブネズミ向けで、クマネズミには効きにくいと説明しています。市川市も、天井裏に住みつくクマネズミには市が配る殺そ剤に耐性を持つ個体が多く、効かないことがあるとし、効果が見られないときは市販のスーパーラット対応の殺そ剤などを使うか、専門業者に相談するよう案内しています。死骸は夏に腐りやすいと名古屋市が注意しており、大阪市はウジやハエが出にくいよう駆除薬を冬期に使うことを案内しています。

忌避剤・超音波機器は補助と考える

忌避剤は、においなどでネズミを寄せつけにくくする製品で、置き型・スプレー型・くん煙型があります。市川市は、他の動物にとっても嫌なにおいのことがあるためペットのいる家では使う場所に気を付けること、超音波発生器は慣れてしまうことがあるため他の方法と組み合わせることを案内しています。くん煙タイプの表示や、バルサンなど殺虫用くん煙剤との違いは、ネズミ駆除にバルサンは使える?で整理しています。

手順2 ネズミの捕獲器・殺そ剤・忌避剤は製品表示どおりに使う:確認項目
使うもの公式ページで確認できる点使うときの注意
粘着トラップ・かご通り道に置く。配置を数日変えない案内がある(東京都は最低3日間、名古屋市は3日以上)子供やペットが触れない場所に置き、捕れた後は自治体の方法で捨てる
殺そ剤(毒餌)餌になる食品を片付けてから置く。数日食べなければ場所を変える市川市は屋内での使用を案内。子供やペットが容易に近づける場所では使わない。死骸の回収を前提にする
忌避剤・超音波機器においや音でネズミを寄せつけにくくする。慣れて効果が落ちることがある単独で解決する方法とは考えず、封鎖や餌の管理と組み合わせる

参考:東京都福祉保健局|都民のためのねずみ防除読本(平成24年4月発行、PDF)

手順3 ネズミの侵入口をふさぐ|材料と場所

東京都の冊子は、侵入経路をふさぐ防そ修繕を、殺そ剤や捕獲が効きにくいクマネズミに特に効果的な方法としています。大がかりな工事を想像しがちですが、侵入経路さえ見つかれば手近な材料で比較的簡単にできる一方、天井裏や高所などの危険な場所は専門業者に頼んだ方がよい場合もあるとされています。

すき間の大きさの目安は出典で少し違います。冊子は出入りできる穴の大きさを1.25cm程度とし、金網は網目幅1cm以下を使うと説明しています。市川市は約1cmのすき間があれば侵入可能といわれると案内し、名古屋市は2cm×2.5cmの穴があれば通り抜けるとしています。迷うときは小さい側の1cm前後を目安に点検します。材料の選び方や換気を保つ点検は、防鼠金網ですき間を直す前の確認でも扱っています。

手順3 ネズミの侵入口をふさぐ|材料と場所:確認項目
ふさぐ場所冊子にある修繕の例注意
雨戸の戸袋まるめた亀甲金網や金属たわしを詰める戸袋の中のすき間も探す
電線導入部・配管の貫通部不燃性のパテやモルタルで埋める。応急措置は金属たわし電気配線が壁を貫通し配電盤につながる部分は危険なので、電気屋に依頼する
屋根の下(垂木と外壁のすき間)金網を折って差し込むか、角材を入れる高所作業になるため、専門業者に頼む場合もある
通気口(屋根の下・床下)通気口全体に金網をかぶせる。格子の幅が広すぎるときは1cm程度のものに替える格子の破損や取り付け部のすき間がないかも確認する
基礎のすき間・壁のひびわれモルタルやパテで埋める小さな穴も見落とさない
扉のすき間・かじられた穴金属板を打ちつけてふさぐ木製ドアの周りを点検する

参考:東京都福祉保健局|都民のためのねずみ防除読本(平成24年4月発行、PDF)

手順4 ネズミのフンの清掃と消毒|触る前の準備

ネズミのフンや尿、巣材には、触れたり粉じんを吸い込んだりすることで感染症のリスクがあります。厚生労働省の動物由来感染症ハンドブック2026は、ネズミが関わる感染症としてレプトスピラ症や鼠咬症などを挙げています。症状や診断を自分で判断せず、体調に不安があるときは医療機関や保健所に相談してください。

米国CDCの清掃案内は、ネズミの尿やフン、巣材を掃除機やほうきで掃かないこと(ウイルスを含む細かな粒が空気中に舞うため)、ゴムやプラスチックの手袋を着けること、消毒剤を十分に吹きかけてから紙タオルで拭き取り、ふた付きのごみ箱へ捨てること、死骸や巣材は袋を二重にして密閉すること、手袋を着けたまま洗ってから外し、素手も石けんと水で洗うことを示しています。被害が大規模な場所の作業には、防じんマスクなど追加の防護具が必要とされています。消毒剤の希釈や接触時間は製品の表示に従い、ごみの出し方は自治体の分別に合わせてください。片付けを相談するときの準備はネズミのフンを掃除機で吸う前ににまとめています。

死骸を見つけたときは、市川市が、寄生していたダニやノミが出ていくため周囲に殺虫剤を吹きかけてから、素手で触れずに袋に入れて燃やすごみとして出すよう案内しています。大阪市も、死骸はすぐに除去し、発見場所の付近をノミやダニ対策として殺虫剤で処理するよう案内しています。

  • フンや巣材は、掃除機やほうきで掃かない
  • 手袋を着け、作業後は手を洗う(量が多い場所は自分で清掃しない)
  • 消毒剤は製品表示の希釈・接触時間に従う
  • 拭き取った紙類や死骸・巣材は袋に入れて密閉し、自治体の分別で捨てる

参考:米国CDC|How to Clean Up After Rodents(ネズミ被害後の清掃)

ネズミ駆除を自分でできる範囲と限界|手順ごとの判断表

手順ごとに、自分で進めてよい範囲と、相談を考える状態を分けると、やめ時を決めやすくなります。根拠にしたのは、東京都の冊子が天井裏や高所の修繕は専門業者がよい場合があるとし、電気配線が壁を貫通する部分は電気屋に依頼するよう案内していること、船橋市が個人による駆除には限界があり、効果が見られないときは早めに専門業者への依頼を検討するよう案内していることです。表の右側は当サイトが整理した目安で、制度上の基準ではありません。

ネズミ駆除を自分でできる範囲と限界|手順ごとの判断表:確認項目
手順自分でできる範囲相談した方がよい状態
餌・巣材を断つ食品と生ごみの保管、ペットの餌、収納ケースへの移し替え共用部のごみ置き場や隣の店舗・ビルが餌場になっている
痕跡の確認目の届く壁際、台所、物置の記録天井裏・床下・壁の中など、入れない場所や危険な場所の確認が必要
捕獲・殺そ剤・忌避剤製品表示どおりの設置、回収、場所替え表示どおり続けても新しい痕跡が出る。クマネズミが疑われる
侵入口の封鎖低い場所の小さなすき間、戸袋、扉の周り屋根の下・天井裏など高所、電気配線が壁を貫通する部分、広い開口
フンの清掃少量のフンを手袋で湿らせて処理する天井裏・床下の広範囲、巣材や死骸が多い

参考:船橋市|ねずみ対策

ネズミ駆除がうまくいかないときの見直し

痕跡が続くときは、道具を増やす前に原因を見直します。東京都の冊子は、クマネズミが電線やパイプを伝い、粗い壁や閉じたシャッターもよじ登れると説明しており、見落としやすい侵入口が高い位置にあることもあります。製品を置く場所や日数、餌の管理、封鎖の抜けを順に確かめます。対策後も痕跡が続くときの手順は、対策後もネズミの痕跡が続くときにもまとめています。

  • 痕跡が新しいか、古いまま残っているだけかを見分ける
  • 夜間に出ている食品、ペットの餌、ごみ置き場がないか確かめる
  • 配管、電線、通気口、戸袋など見落としやすい侵入口を点検し直す
  • 製品の設置場所と日数が表示どおりか、通り道から外れていないか確認する
  • クマネズミが疑われるなら、捕獲器や殺そ剤に頼りすぎず、環境面と封鎖を優先する

参考:東京都福祉保健局|都民のためのねずみ防除読本(平成24年4月発行、PDF)

ネズミ駆除を業者に相談する目安と費用の確認方法

判断表の右側に当てはまるとき、製品を表示どおりに使っても痕跡が続くときは、相談に切り替える目安です。東京都の冊子は、ネズミを効果的に駆除するには事前の生息状況調査、それに基づく捕獲作業と防そ修繕、その後の効果判定が必要で、複数回の作業になると説明しています。

費用は周囲の環境、住宅構造、作業条件などで変わるため、冊子は見積書を作ってもらい、納得できるまで説明を聞くよう勧めています。確認点として、事前調査と事後の効果判定をしていること、薬剤や捕獲だけでなく環境面の対策や指導もできること、防そ修繕の内容と施工方法を説明すること、見積書の内容を十分に説明できることが挙がっています。ネズミ防除に関係のない作業を強く勧めたり、必要以上に不安をあおったりする業者は適切といえないとも書かれています。比べ方はネズミ駆除業者の選び方の質問が使えます。

相談先として、日本ペストコントロール協会は、各都道府県協会の害虫相談所が電話などでの相談を無料で受け付け、現場調査や防除施工は原則有料で、内容に応じた事業者の紹介もできると案内しています。市区町村の窓口は、駆除そのものは行わない例が多く、ネズミ駆除は役所に頼める?で自治体ごとの違いを整理しています。この記事では独自の相場は示しません。

参考:日本ペストコントロール協会|都道府県協会(害虫相談所)