コウモリが毎年同じ家に来る理由|年間を通じて家を使う種と冬眠で見えない期間

国土交通省の国土技術政策総合研究所の資料は、イエコウモリ(アブラコウモリ)を、国内で年間を通じて家屋を休息場所にする唯一の種と説明しています。人家の屋根瓦の下や雨戸の戸袋の奥、通気口がよくねぐらに使われ、数頭から数十頭で暮らし、100頭以上の集団になることもあるとされています。前橋市も、日本に生息するコウモリのなかで唯一、住家を住み家にしていると説明しています。

前橋市は、活動期間を春から秋とし、冬は11月頃から4月頃まで冬眠するとしています。冬のあいだは外を飛ばず目立たないため、気づかないまま家の中で冬を越している場合と、いったん家を離れている場合の両方が考えられます。春に飛ぶ姿やフンが増えると「毎年戻ってくる」ように感じますが、冬に家の中にいたのかどうかは、資料からは分かりません。現地調査で内部を確かめる必要があります。

同じ個体が毎年戻るのかを書いた公的資料は、今回確認した範囲ではありませんでした。ただし、同じ建物が続けて使われた調査記録はあります。次に、その記録を紹介します。

同じ建物が続けて使われた調査記録

茨城県自然博物館の調査報告では、つくば市で、屋根の下のすき間をねぐらにしていた建物から、2008年6月に地面にいる幼獣が、2009年7月に幼獣の死体が確認され、アブラコウモリの保育場所だったと考えられると書かれています。

神奈川県立生命の星・地球博物館の報告でも、秦野市の市街地の建物で、ヒナコウモリが2018年から2020年にかけて同じ建物を越冬と繁殖に使い、繁殖後に空いた場所へ1〜2日後にアブラコウモリが出入りし始めたと記録されています。どちらも住宅の調査ではなく、アブラコウモリ以外の種を含みますが、すき間が残る限り使われ続けると考えて、点検するのが現実的です。

参考:国土交通省 国土技術政策総合研究所|コウモリ類の調査の手引き(案)Ⅴ 日本国内で生息が確認されたコウモリ類(イエコウモリ、PDF)

読者の疑問

コウモリは、同じ個体が毎年戻ってくるのですか?

比較ガイド

同じ個体が戻るのかを書いた公的資料は、今回確認できませんでした。ただ、同じ建物が続けて使われた調査記録があり、国土交通省の国土技術政策総合研究所はアブラコウモリが年間を通じて家屋を使うと説明しています。個体の話より、すき間が残っていないかを点検します。

町中の家にも来る|来やすい家の条件(すき間と周辺環境)

「コウモリ 町中」と検索されるように、市街地でも珍しくありません。前橋市は、市街地でもアブラコウモリの姿が見られ、環境被害の相談が寄せられていると案内しています。東京都ペストコントロール協会は、この種が日本全国に分布して住宅街で広く見られ、ガや羽アリなどを食べると説明し、日没後に街灯に集まる昆虫を捕らえるとしています。

来やすい家の条件を数値で示した公的資料はなく、表は、資料にある侵入ポイントと餌の記載を並べたものです。飛んでくること自体は止められませんが、休む場所に使われるすき間を塞ぐことが対策の中心になります。

町中の家にも来る|来やすい家の条件(すき間と周辺環境):確認項目
確認する条件公的資料の記載点検する場所の例
小さなすき間6mmほどでも出入りできる(東京都ペストコントロール協会)。1cm程度で出入りできる(浜松市)軒や屋根と壁の境目、瓦の下
戸袋・通気口・換気口雨戸の戸袋の奥、通気口がねぐらによく使われる(国総研)。換気口や通気口の外蓋の破損を確認する(前橋市)雨戸の戸袋、換気口、通風口の外蓋
配管のまわりエアコンと室外機をつなぐ配管用のすき間も侵入ポイント(前橋市)配管が外壁を貫通する部分
窓・ドアのすき間窓やドアのすき間からも入る(前橋市)サッシのまわり、玄関ドアの上
餌になる昆虫街灯に集まる昆虫を食べる(東京都ペストコントロール協会)。一晩に300〜500匹ほど食べる(前橋市)家や近隣の街灯、外灯のまわり

参考:前橋市|コウモリについて 市街地にも姿を現します

対策後に再発する原因の切り分け表

対策したのにまたフンや音が出たとき、「やり方が悪かった」と一つに決めず、次の原因に切り分けます。東京都ペストコントロール協会は、6mmほどのすき間でも出入りできると説明し、イカリ消毒は、忌避剤は臭いの効果に限りがあるため、侵入経路を物理的に遮断する資材の設置が重要と表示しています。この二つの記載から、すき間の見落としと、臭いに頼った対策が、再発の背景になりうると読めます。

分けて考えるために役立つのが、穴ごとの記録です。調査や施工のたびに、穴の位置、写真、塞いだ日、材料を一枚にまとめておくと、再発したときに「同じ穴」か「別の穴」かを説明できます。新しい痕跡が出たときの伝え方は駆除工事のあとに新しいフンや音が参考になります。

対策後に再発する原因の切り分け表:確認項目
再発したときの様子考えられる原因確認すること次の動き
施工した場所の近くで、同じ位置にフンが増える封鎖した部分の継ぎ目や端にすき間が残っている、または外れた封鎖資材の端、金網とパテの境目、外蓋のずれを、施工直後の写真と比べる施工した事業者へ記録を添えて連絡し、保証を確認する
施工した場所とは別の位置に、フンが落ちる最初の調査で見つからなかった別のすき間や出入口夕方に出入りを見て位置を特定し、穴に番号を付けた図と照合する別の穴かどうかを、同じ図で説明してもらう
追い出した直後に、音や気配が続く内部に残っていた個体、または戻り全部が出たことをどう確かめたか。封鎖した日と時刻自分で穴を開け直さず、施工担当者に状況を伝える
忌避スプレーや袋を使った数日後に、また来る忌避剤の効果が切れた。出入口は塞いでいない製品表示の効果の目安(スプレー約3〜6時間)と、封鎖の有無出入口の封鎖を含む対策に切り替えて相談する
封鎖後に、別の群れが同じ場所へ入ったように見える空いた場所を、別の個体が使った可能性封鎖が完了しているか。前回の穴のまわり封鎖の範囲と資材の見直しを、調査で確認する
夏に封鎖できない時期が続いた幼獣のいる時期を避けたため、出入口が開いたまま封鎖を見送った経緯と、次の予定日予定日と確認の方法を、書面で決める

参考:イカリ消毒|防鼠金網ソフト 製品情報(コウモリ・ネズミの侵入防止)

封鎖する時期と確認の方法

封鎖は、時期と手順を誤ると閉じ込めにつながります。浜松市は、まだ飛べない幼獣のいる6〜8月と冬眠の前後を避けること、コウモリが家にいない時間帯に塞ぐこと、取り残さないことを注意点に挙げています。北九州市も、冬眠時期と夏の出産時期は追い出しが難しく、それ以外の時期の対策が効果的としています。東京都ペストコントロール協会は、日没後に餌を取りに出て、屋内から出たところで塞ぐ方法を紹介しています。

月だけで日を決めない理由は、建物ごとに幼獣や冬眠中の個体の有無が違うためです。時期の考え方はコウモリ対策の時期の考え方に、工事の確認点は害獣の侵入口はいつ塞ぐかにまとめています。封鎖できたかの確認は、施工後しばらく、夕方に同じ場所を見て出入りがないか、出入口の下に新しいフンがないかを記録する方法が基本です。確認する期間は、施工前に事業者と決めておきます。

封鎖する時期と確認の方法:確認項目
時期の目安資料の記載封鎖で確認すること
春から初夏冬眠が終わり、活動期に入る(前橋市は冬眠を11月頃から4月頃とする)。出産期は初夏(前橋市は7月頃)幼獣がいる可能性を、調査で確かめてから日取りを決める
夏(6〜8月)幼獣のいる時期は封鎖を避ける(浜松市)。子は約30日で巣立つ(東京都ペストコントロール協会)この間に、観察、写真、見積もりを進める
秋11月頃には冬眠する(東京都ペストコントロール協会)。冬眠の前後は避ける(浜松市)冬眠に入る前に、内部に残っていないかの確認方法を聞く
冬冬は冬眠する(前橋市)。冬眠時期は追い出しが難しい(北九州市)動きがなくても内部にいる可能性があるため、現地確認なしで塞がない

参考:浜松市|家にコウモリが住み着いて困っている

再発保証で確認する条件|公式サイトの表示と契約書の見方

再発保証は、名前が同じでも契約ごとに中身が違います。ここでは、当サイトが提携している3社の公式サイトに、2026年10月3日時点で掲載されていた事実を、評価や順位をつけずに並べます。コウモリに限った保証条件は、3社とも確認したページでは見つかりませんでした。実際の条件は、見積書と契約書の記載が優先されます。

再発保証で確認する条件|公式サイトの表示と契約書の見方:確認項目
確認した点害獣プロガード街角害獣駆除相談所害獣セーフガード
運営会社の表示運営会社として株式会社 昇生、有限会社 興南製作所を表示。所在地は大阪市中央区トラベルブック株式会社(東京都中央区)。専門業者の紹介サービス株式会社ホームマイスター(名古屋市)
対応エリアの表示東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、三重県、大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県確認したお問い合わせページには、エリア一覧の記載なし愛知県、静岡県、岐阜県、三重県、滋賀県の市区町村名を一覧で掲載
受付と費用の表示24時間365日受付。相談、調査見積りは無料と表示お問い合わせページに、受付時間6:00〜20:00と表示。コウモリを相談対象に選べる24時間365日の電話受付。出張・調査・見積りは無料、作業内容によっては調査に費用がかかる場合があると表示
再発・保証の表示再発した場合は期間内なら無償で対応すると表示。初回見積もりで示した金額から追加費用はかからないと表示保証の記載は確認できず。利用規約は、契約は紹介先の事業者と直接結ぶこと、サイト上のサービス内容や金額は例示で実際と異なる場合があることを記載要望に応じて、最長10年間の保証期間を設けることが可能と表示
確認したページで分からなかったこと期間の長さ、対象の範囲、対象外の条件保証の期間と対象(紹介先ごとの契約書で確認)保証が付く条件、対象の範囲、対象外の条件

参考:害獣プロガード公式サイト

再発保証の契約書で確認する6つの点と、トラブルを避ける注意

どの会社でも、契約前に次の点を書面で確認します。①保証の期間と、起算日が施工完了日か。②対象が封鎖した場所だけか、建物全体か。③対象の動物にコウモリが含まれるか。④別の侵入口だった場合の扱い。⑤再発時の連絡先と、誰がどのくらいで来るか。⑥再施工が無償か有料か。④については「別の侵入口なので保証対象外」と言われたら確認することに、年数より先に見る項目は害獣駆除の「最長10年保証」の確認5項目に整理しています。

国民生活センターは、害虫・害獣駆除で、サイトの表示と実際の料金がかけ離れる相談が多いこと、交付される書面にサービス内容が明記されていない場合があることを注意し、複数の見積もりを比べること、クーリング・オフなどができる場合があることを助言しています。相談事例には、コウモリ駆除で、サイトの約8,000円からの表示に対して約130万円の契約をした例もあります。困ったときは、消費者ホットライン188が最寄りの消費生活センターを案内します。

参考:国民生活センター|報道発表資料 ネットの価格と全然違う!?害虫・害獣駆除のトラブルにご注意(2024年4月24日、PDF)

次の季節までにする点検と相談

再発を防ぐ点検は、地上と室内から見える範囲で、季節の前に済ませます。前橋市は、換気口や通気口の外蓋に破損がないか確認して必要なら交換する、すき間をパテやシーリング材で塞ぐ、金網や目の細かい防鳥ネットで覆うといった侵入口対策を挙げています。確認した穴と封鎖した部分は、施工時の写真と見比べます。

高所の点検や補修は、東京都ペストコントロール協会が専門業者への依頼を案内しているように、危険を伴います。国民生活センターは脚立やはしごからの転落事故を注意しているため、自分で登らず、地上から撮った写真を添えて事業者や窓口に相談してください。夕方の観察の進め方はコウモリの出入りを記録する観察の段取りにあります。

  • 雨戸の戸袋、換気口や通気口の外蓋、軒下、屋根と壁の境目を、地上から写真に撮る(脚立や屋根には上らない)
  • 施工時の写真と並べ、パテの欠け、金網の浮き、外蓋のずれがないかを比べる
  • 活動期に入る春と、冬眠前の秋に、夕方の同じすき間への出入りを見る
  • フンの位置と日付を記録し、新しく増えたら、施工した事業者へ連絡する

参考:前橋市|コウモリについて 市街地にも姿を現します