イタチ駆除を自分でできる範囲|作業ごとの仕分け表
イタチの対策は、許可なしでできる作業、許可が必要な作業、専門作業に任せたい作業、してはいけない作業の4つに分けると判断しやすくなります。環境省は、野生の鳥獣は原則として捕獲や殺傷が禁止され、被害の防止などの目的で許可を受けたときに捕獲できると説明しています。高槻市は、捕獲せずに追い払う場合は市への手続きは必要ないと案内しています。
下の表の区分は、公的資料の記述を踏まえて当サイトが整理した目安で、公的な区分表ではありません。建物の構造や市の運用によって変わるため、迷う作業は市の窓口か業者の現地調査で確認してください。
| 作業 | 区分の目安 | 資料の記述 | 自分で進めるときの注意 |
|---|---|---|---|
| 餌や巣材になる物の片付け(ペットフード、生ごみ、収穫残さなど) | 許可不要。自分でできる | 鈴鹿市は収穫残渣やペットフードを隠すよう案内。大阪市都島区は生ごみや犬猫の餌を置かないよう案内 | 断熱材が巣材にされていたら、清掃や交換は別の作業 |
| においや煙での追い出し(市販の忌避剤、燻煙剤など) | 許可不要。製品の表示に従う | 高槻市は、捕獲せずに追い払う場合は手続き不要と案内。西淀川区、堺市、大分市は忌避剤や燻煙剤を例示 | 効果は一時的なことがあり、封鎖とセットで考える。使い方は製品の表示に従う |
| 地上や室内から手が届く範囲のすき間の補修(雨どいの排出口に金網など) | 許可不要。条件つき | 西淀川区は雨どいの排出口に金網等で蓋をすることを、大分市は金網などで塞ぐことを案内 | 中にいないことを確かめてから塞ぐ。足場が必要な場所は次の行の扱い |
| 屋根・軒・屋根の重なり・給湯器の配管まわりなど高所の点検と封鎖 | 専門作業に任せたい | 農林水産省のコラムは、一般の人の点検・封鎖には建築知識が要り、見落としや事故の危険があるため、専門の防除業者が無難と述べる | 脚立や屋根に上らないと届かない場所へは上らない |
| 屋根裏・床下の調査、フンの清掃・消毒、断熱材の交換 | 専門作業に任せたい | 鈴鹿市は、糞尿が堆積していれば清掃と消毒が必要になることがあるとして、専門業者への相談を案内 | 清掃と消毒の範囲は、見積書で項目を分けて確認する |
| 箱わななど捕獲器での捕獲 | 許可が必要 | 環境省は、被害が生じている場合などに許可を受けて捕獲できると説明。高槻市は、許可を受けた捕獲器に標識を付けてから設置するよう案内 | 許可の前に捕獲器を置くことは違法。条件は窓口で確認する |
| 毒餌・毒薬・殺鼠剤での駆除 | してはいけない | 鳥獣保護管理法の第36条は、劇薬・毒薬などを使う猟法による捕獲等を禁止(環境大臣の許可を受けた場合を除く) | ネズミ用の製品をイタチに使うことは避ける。ネズミ3種は法の適用除外だが、イタチは含まれない |
イタチを自分で駆除してもいいですか?
追い払い、餌の片付け、手が届く範囲のすき間の補修は、許可なしで進められます。捕獲や殺傷には許可が必要で、毒餌は法律で禁止されています。屋根や天井裏の作業は専門作業と考えてください。
許可が必要な作業と毒餌の禁止|法律の要点だけ先に
この節では、自分で駆除を考える前に押さえておきたい法律の点を三つに絞ります。一つめは、野生のイタチを許可なく捕獲・殺傷してはいけないことです。環境省は、被害が生じている場合などに環境大臣または都道府県知事の許可を受けて捕獲でき、多くの都道府県が許可の権限の一部を市町村長へ移していると説明しています。窓口が市か県かは地域で違うため、最初に市の担当課へ尋ねるのが近道です。
二つめは罰則です。鳥獣保護管理法の第83条は、許可を受けないで鳥獣を捕獲した場合などについて、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金を定めています。自宅の敷地に入ったから、自分の家で見つけたからといって、許可が不要になるわけではありません。長浜市も、住宅や敷地へ入った動物でも許可なく捕獲できないと案内しています。
三つめは、毒を使う方法の禁止です。同法の第36条は、爆発物、劇薬、毒薬を使う猟法などによる鳥獣の捕獲等を禁じています。ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミは施行規則で法の適用除外とされていますが、イタチは含まれません。殺鼠剤などの誤食や死骸回収の問題は、ネズミの場合を扱った 殺鼠剤と捕獲器の比較 も参考になります。
罠の許可と毒餌の禁止をハクビシンで整理した ハクビシン駆除の法律 もあります。ただしハクビシンは外来種で扱いが異なる部分があるため、イタチへそのまま当てはまらない点には注意してください。
自分で進める順番|記録、追い出し、不在確認、封鎖
手順を入れ替えると失敗しやすくなります。特に、いなくなったかを確かめる前に塞ぐと、中に残った個体を閉じ込めるおそれがあります。長浜市は、侵入口を見つける、追い出す、追い出した後に塞ぐ、の順を案内しています。ここでは、この流れに記録と不在確認を加えた5段階に分けます。
1. 記録する|音・痕跡・時間帯を写真とメモに
いつ、どの部屋の上で、どんな音がしたかをメモし、フンや足跡、汚れは近づきすぎずに撮影します。大阪市都島区は、野生動物は人にうつる病気を持つ可能性があるため、撫でたり近づいたりしないよう案内し、やむを得ず触るときは使い捨ての手袋とマスクを着け、触れた後は石けんで手を洗うよう書いています。記録は、あとで市の窓口や業者へ伝える材料にもなります。音の確認は 天井裏で音がするときの最初の確認 も参考になります。
- 音の時間帯と場所(部屋・方角)をメモする
- フン・足跡・汚れ・すき間を、引きと寄りで撮影する
- 触って集めない。触る場合は手袋・マスクと手洗いを前提にする
2. 餌と巣の材料を減らす
大分市は、イタチの主食はネズミで、ドバトや昆虫、ソーセージや卵なども食べると説明しています。鈴鹿市は、収穫残渣やペットフードなど餌になる物を隠すよう案内しています。ネズミがいる家では、ネズミ対策も進めないと、イタチが寄ってくる理由が残ります。堺市は、断熱材をほぐして巣を作り、子育てするケースが増えていると説明しています。
3. 追い出す|におい・煙・光は一時的と考える
大阪市西淀川区は、イタチは嗅覚が優れるとして、市販の忌避剤や木酢液、ゴキブリ・ダニ用の燻煙剤での追い出しを案内しています。一方、農林水産省の総合対策編のコラムは、イノシシやシカを例に、慣れが生じる光・音・匂いの対策は効果がないか一時的で、防護柵などと合わせないと慣れられてしまうと述べています。
追い出しは、侵入口を塞ぐまでの手段と考えるのが安全です。製品は、使用場所・使用量・準備・注意事項を表示どおりに守って使い、表示にない使い方になりそうなときは、メーカーや市の窓口に確認します。
4. いなくなったかを確かめる|塞ぐ前の不在確認
農林水産省の中型獣類のマニュアルは、侵入場所が確認できたら塞ぐ作業になるが、中にいないことの確認を忘れてはいけないと述べています。同マニュアルは、通りそうな場所にベニヤ板やトタン板、石灰を置いて足跡を残す方法や、センサーカメラで動物の通過を記録する方法も紹介しています。足音が止まったかどうかだけで決めず、侵入口の出入りがなくなったことを一定期間見てから進めます。
子育ての時期は特に注意が必要です。堺市は、イタチの繁殖期を4月頃から8月頃と説明しています。親が出ていても巣に子が残っているおそれがあるため、この時期は自分で塞がず、市の窓口や業者に調査を相談する考え方もあります。
5. 塞ぐ|3cmのすき間も対象にする
西淀川区と大分市は、イタチは直径3cm程度の穴やすき間でも通れると説明しています。農林水産省のコラムは、屋根の重なり、入母屋屋根の両隅、床下換気口、給湯器などの配管引き込み部を主な侵入ポイントに挙げ、入れるすべての穴や隙間を塞ぐ必要があると述べています。材料は、同マニュアルが、金属や板などの丈夫なものを使い、樹脂ネットや薄い合板は壊されるおそれがあるため使わないとしています。
換気口を塞ぐ場合は、空気の通り道を保つ必要があります。考え方は 換気口の破損を見つけたときの侵入防止の相談 に、塞ぐ順番は 害獣の追い出し・封鎖・清掃の順番 にまとめています。
- 雨どいの排出口は金網で蓋をする(西淀川区の案内)
- 床下換気口や配管の貫通部など、地上から見える穴は丈夫な材料で塞ぐ
- 屋根・軒・給湯器の高所は、自分で上らず調査を頼む
屋根・天井裏・床下の作業の危険|厚生労働省の労働災害事例から
イタチの被害は屋根裏や軒下に集まりやすく、点検や封鎖のために、屋根に上る、天井裏に入る、床下に潜る作業が必要になります。厚生労働省の職場のあんぜんサイトには、事業者の作業中の労働災害事例が公開されています。ここでは3件を、場所ごとの危険の例として取り上げます。いずれも作業員が亡くなった事例で、家庭での作業とは条件が異なりますが、足元が不安定、暗い、狭い、電気設備が近いという危険は共通します。
| 場所 | 厚生労働省の事例の要点 | 自分で作業するときの線引き |
|---|---|---|
| 屋根の上 | スレート屋根で波形鉄板を敷く作業中に屋根を踏み抜き、約5mから墜落して死亡した事例。対策に、歩み板の設置や防網・親綱が挙げられている | 屋根に上る作業は自分で行わない。地上から見える範囲の記録にとどめる |
| 天井裏 | 断熱材の張替え後の点検中、破損したコンセントの充電部に暗がりで触れて感電し死亡した事例。作業前の電気器具・延長コードの点検が対策に挙げられている | 照明や延長コードを天井裏へ持ち込む作業は自分で行わない。のぞく場合も配線に触れない |
| 床下 | 別の害虫の駆除作業中、電源を切っていない換気扇の配線に電気ドリルが当たって漏電し、感電して死亡した事例。床下の高さは約47cm | 床下に潜る作業は自分で行わない。換気口や点検口から見える範囲の記録にとどめる |
フンや尿の清掃と衛生面|触る前に確認すること
農林水産省のマニュアルのコラムは、捕獲に従事する人向けに、野生動物は人獣共通感染症の病原体を持つことがあるため、手袋と肌を露出しない服装で、糞尿・血液・唾液などに直接触れず、糞尿を処理した衣類や機材は洗浄・消毒するよう述べています。厚生労働省の動物由来感染症ハンドブックも、感染の経路として、咬まれる、ひっかかれる、糞便に触れるなどを挙げています。
咬まれたり引っかかれたりした場合は、必要に応じて医療機関を受診するよう、大阪市都島区が案内しています。ダニに刺されたあとに発熱などの初期症状が出たときは、すぐ医療機関を受診するよう、農林水産省のマニュアルも勧めています。屋根裏にフンや尿が広がっているときは、清掃と消毒を専門業者へ相談する目安にしてください。少量のフンの扱いは 害獣のフン処理と消毒の目安 で確認できます。
イタチ駆除グッズはどこまで頼れるか|忌避剤・燻煙剤・超音波・ライト
イタチ対策のグッズには、忌避剤、燻煙剤、超音波機器、点滅ライトなどがあります。公的資料での扱いは手段ごとに違うため、表で整理します。売り場の商品が、追い払い用なのか、殺すことを目的とした薬剤なのかは、パッケージの対象動物と効能の表示で確認してください。イタチを殺す目的の毒薬の使用は、前の節のとおり法律で禁じられています。
グッズを使うときの考え方
市の案内には塩素系漂白剤を挙げる例もありますが、大分市が脱色や金属腐食に注意するよう書いているとおり、本来の用途が違う家庭用品です。使い方は製品の表示に従い、表示にない使い方は避けてください。グッズは、侵入口を塞ぐまでの時間を稼ぐ道具として位置づけると、期待と結果のずれが小さくなります。農林水産省のコラムは、鳥獣被害対策としては、個体群管理、侵入防止対策、生息環境管理による総合的な対策が最も確実だと述べています。効果の見方は 害獣の忌避剤だけで解決する?効果を確かめる見方 でも整理しています。
| グッズ・方法 | 自治体や公的資料での扱い | 限界と注意 |
|---|---|---|
| 市販の忌避剤・木酢液 | 西淀川区、高槻市、鈴鹿市、堺市がにおいで追い出す方法として案内。鈴鹿市は侵入経路に散布すると近寄らなくなる可能性があると記載 | 農林水産省のコラムは、置くだけの忌避資材は公的機関で効果を検証したものではないと述べる |
| ダニ・ゴキブリ用の燻煙剤 | 西淀川区、堺市、大分市が、煙やにおいを嫌がって出ていく方法として案内 | 対象と使用場所は製品の表示で確認する。堺市は蚊取り線香を天井で焚く方法にも触れるが、火の取扱いに十分な注意が必要と書く。火を使う方法は勧めない |
| 点滅ライト・アルミホイル | 堺市が、イタチは強く光るものを嫌うとして、点滅ランプとアルミホイルを天井裏や床下に置き夜間に点灯する方法を紹介 | 農林水産省のコラムは、光や音の対策は効果がないか一時的と述べる。天井裏や床下へ電源を引き込む作業は前の節の危険と重なる |
| 超音波機器 | 今回確認した自治体・公的資料に、イタチへの効果を示す記述は見当たらなかった | 農林水産省のコラムは、鳥は2万ヘルツ以上の超音波を聞けず、それを使った追い払い機器も効果がないと述べる(鳥についての記述) |
イタチ駆除がうまくいかない典型例|閉じ込め・塞ぎ残し・慣れ
自分で対策した人がつまずきやすい場面を、起きること、考えられる原因、次の行動に分けました。原因は資料の記述から読み取れる可能性で、現地を見て断定するものではありません。
| 起きること | 考えられる原因 | 確認と次の行動 |
|---|---|---|
| 塞いだあとも天井裏で音がする | 中に個体が残っている可能性。農林水産省は塞ぐ前の不在確認を求める。堺市は繁殖期を4月頃から8月頃と説明 | 封鎖箇所を自分で開けず、音を記録して市の窓口や業者に調査を相談する |
| 塞いだのに、別の場所から入られる | 侵入口が複数ある。3cm程度の穴、屋根の重なり、入母屋屋根の両隅、配管引き込み部の見落とし | 地上から見える範囲を再点検し、屋根や高所は専門の調査を頼む |
| 忌避剤を置いた直後は静かだが、しばらくすると戻る | 光・音・においには慣れが生じ、効果が一時的なことがある(農林水産省の総合対策編のコラム) | 追い出しは封鎖までの手段とし、侵入口の封鎖と、餌・巣材の整理を並行して進める |
| 天井にシミが出た、においが強くなった | 糞尿の堆積。鈴鹿市は清掃と消毒が必要になる場合があると案内。封鎖前の不在確認が不十分だった可能性もある | 自分で天井裏へ入らず、調査と清掃・消毒を専門業者へ相談する。見積書で消毒と消臭の項目を分けてもらう |
市の窓口や業者へ切り替える目安|費用の前に確認すること
次のどれかに当てはまるなら、市の窓口や業者の現地調査へ切り替える目安です。市の窓口が担うのは、捕獲許可の相談や、市によっては捕獲器の貸出までで、封鎖工事や清掃を行う案内は、確認した自治体の範囲では見当たりませんでした。詳しい比較は イタチ駆除は市役所に頼める?役所の対応範囲と補助金の調べ方 にまとめています。
業者へ頼むときは、封鎖する箇所の数と位置、使う材料、清掃・消毒の範囲を、図や写真で示してもらいます。調査の頼み方は 屋根裏にイタチがいる?音・姿・痕跡を照合する調査の頼み方 にあります。国民生活センターは、複数社から見積もりを取って比較する前提で話を聞くこと、他社と比較する機会を奪う事業者とは契約しないことを勧めています。賃貸住宅なら、依頼の前に管理会社や大家へ相談するのも一法とされています。
- 屋根や軒など、脚立や屋根に上らないと確認できない場所に侵入口がありそう
- フンや尿のにおいが、天井や壁に出ている
- 塞いだあとも足音が続く、または別の場所に新しい痕跡が出た
- 子の鳴き声のような音が聞こえる(繁殖期は4月頃から8月頃とされる)
- 賃貸住宅で、建物に手を入れる作業が必要になりそう






