毎日刺されるときに考えるダニの種類と違い

「ダニに刺された」と感じても、家にいるダニがすべて人を刺すわけではありません。日本ペストコントロール協会は、代表的なダニとしてイエダニ、ツメダニ、ヒョウヒダニ類の3つを挙げ、それぞれ人への影響が違うと整理しています。毎日続くときは、まず「刺す可能性のある種類」と「刺さない種類」を分けて考えると、対策の的を絞れます。

布団やカーペットのダニ(ヒョウヒダニ類)は刺さない

ヒョウヒダニ類は、カーペット、畳、ソファ、寝具などにいて、人のフケやアカを食べるダニです。人を刺したり吸血したりはしませんが、死骸や糞を吸い込むと、ぜんそくやアトピー性皮膚炎などアレルギー疾患の原因になるとされています。かゆみの原因を探すときは、この種類を「刺す虫」とは別に扱います。

ツメダニは餌が増えた部屋で偶発的に刺す

ツメダニは、他のダニやチャタテムシを食べるダニで、畳などで数が増えると人を偶発的に刺し、かゆみや皮膚炎の原因になると豊島区は説明しています。夏や湿度の高い季節に相談が多く、掃除をしない部屋、畳にじゅうたんを敷いている部屋、新しい畳、閉め切って通気の悪い部屋、あまり使わない部屋などで発生しやすいとされています。

日本ペストコントロール協会も、ツメダニは餌になるダニや昆虫が増えたあと、やや遅れて発生すると述べています。室内の湿気や餌の見直しは、室内のダニが気になるときの確認と対策で種類別に整理しています。

イエダニとトリサシダニは、宿主のいる場所から来る

イエダニはネズミの体や巣に寄生するダニで、トリサシダニはスズメやムクドリなど野鳥に寄生するダニです。どちらも体長1mm以下と小さく、豊島区はトリサシダニがイエダニに似ていると説明しています。布団の中で増えるのではなく、ネズミや鳥の巣が発生源になる点が、ツメダニなどとの大きな違いです。

毎日刺されるときに考えるダニの種類と違い:確認項目
種類ふだんの居場所・餌人への影響(公的資料の記載)毎日続くときの見方
ヒョウヒダニ類寝具・畳・ソファなどで、人のフケやアカを食べる人を刺したり吸血したりしない。死骸や糞がアレルギーの原因になる刺す虫とは別に考え、湿気と掃除を見直す
ツメダニ畳などで、チャタテムシや他のダニを食べる偶発的に人を刺し、かゆみや皮膚炎の原因になる餌になる虫やダニが増えた部屋かを、湿気・掃除・畳の状態から確認する
イエダニネズミの体や巣に寄生するネズミが死んだときなどに人を吸血し、強いかゆみの原因になる天井裏や床下のネズミの気配、巣、死骸の有無を確認する
トリサシダニスズメやムクドリなど野鳥の巣に寄生する巣立ち後の空き巣から出て人を吸血する窓や軒、換気口の近くの巣と、虫が出る部屋の位置を照合する

参考:日本ペストコントロール協会|有害生物情報 ダニ駆除

読者の疑問

ダニに毎日刺されるのはなぜですか?

比較ガイド

原因は一つに決められません。布団や畳にいるヒョウヒダニ類は人を刺さず、ツメダニは畳などで数が増えたときに偶発的に刺すとされます。毎日続くときは、ネズミに寄生するイエダニや、野鳥の巣から出るトリサシダニの可能性も含めて、天井裏の音やフン、巣の有無を確認します。皮膚の症状は皮膚科で相談してください。

イエダニとネズミの関係を、公的資料で確認する

日本皮膚科学会は、ダニによる虫刺されの原因として、ネズミに寄生するイエダニによる被害が多いと説明しています。体長は0.7mmほどと小さく、寝ている間に寝室へ入って衣類の中に潜り込んで吸血するため、刺されている場面を見ることはほとんどありません。古い一戸建てで、床下や天井裏にネズミがいる家で被害が出やすいとも述べています。

ふだんイエダニはネズミから吸血しており、人が刺されるのは、大量に増えたときや、ネズミがいなくなって吸血する相手が減ったときだと日本ペストコントロール協会が説明しています。ネズミがいること自体よりも、ネズミの状況が変わったタイミングで人への被害が目立つことがある、という点が手がかりになります。

刺される場所の傾向と、場所だけで決めない理由

日本皮膚科学会は、イエダニは顔や手足をほとんど刺さず、わき腹、下腹部、ふとももの内側などに、かゆみの強い赤いブツブツをつくると説明しています。豊島区や日本家庭用殺虫剤工業会も、脇の下、お腹、内ももなど皮膚の柔らかい部分を挙げています。「ダニ 脇の下」と調べる人の疑問は、この説明に近い内容です。

ただし、同じ場所が赤くなったからイエダニだと決められるわけではありません。皮膚の腫れやかゆみは、ダニの吸血以外にもアレルギーや皮膚の過敏などで起こると日本ペストコントロール協会は注意しています。腕だけが繰り返し刺されるような場合は、イエダニ以外の虫も含めて、刺された時期と場所を記録して医療機関や窓口に伝えましょう。

ネズミが死んだり巣を離れたりしたあとに起こりやすい

豊島区は、イエダニがネズミが死んだときなどに這い出して人を吸血すると説明しています。日本家庭用殺虫剤工業会も、宿主のネズミが死んだり巣を捨てたり、イエダニが大発生したりしたときに周辺へ散らばって人を襲うと述べ、気温が上がる初夏から初秋にネズミの巣の中で発生するとしています。

夏にかゆみが増えるときは、この季節性も頭に入れておきます。ただし、鳥の巣から出るトリサシダニも5月から7月に目立つと豊島区が説明しており、時期だけでどちらかを決めることはできません。季節の目安は、どの手がかりを確認するかを決める材料として使います。

参考:日本皮膚科学会|皮膚科Q&A 虫刺され Q8 ダニに刺されたらどうなりますか?

トリサシダニと鳥の巣の関係は、巣の状態を先に確認する

豊島区は、軒下、雨戸、換気扇、ベランダ、屋根瓦のすき間などにスズメやムクドリなどの野鳥が巣を作ることがあり、ヒナが巣立って空き巣になると、5月から7月ごろにトリサシダニが這い出して人を吸血すると説明しています。巣の近くの窓や換気口から小さな虫が入る、巣立ちのあとに刺されるようになった、という流れが手がかりです。

虫の姿や刺された跡だけで、イエダニとトリサシダニを見分けるのは難しいため、巣と室内の位置関係を確認します。窓や換気口の外側に巣があるか、その近くの部屋で虫が出るかを記録しておくと、調査の依頼がしやすくなります。詳しい確認の流れは野鳥の巣の近くから小さなダニが出るときの確認にまとめています。

巣の扱いには注意が必要です。大阪府は野鳥の巣について、卵やヒナがいない巣は撤去できる一方、卵やヒナがいる巣は撤去できず、許可なく撤去して卵やヒナを傷つければ法に抵触するおそれがあるため、巣立ちを待ってから撤去するよう案内しています。ダニが気になっても、卵やヒナがいる巣を無断で撤去しないでください。巣の中に卵やヒナがいる場合の考え方と、管理者や自治体への確認は、巣に卵やヒナがあるときの確認で整理しています。

参考:豊島区|室内で問題となるダニ(トリサシダニ)

家の中で確認する手がかり|天井裏の音・フン・巣・ラットサイン

千葉市は、ネズミの通り道は汚れや油で黒くなることがあり、これをラットサインと呼ぶと説明しています。また、紙類やビニール紐などが巣の材料になること、ネズミの体表や巣にイエダニがいることがあり、室内に入ると人の血を吸ってかゆみの原因になることも述べています。刺される被害と、ネズミの痕跡を同じ表にまとめると、調査の方針を立てやすくなります。

記録のしかたは、場所と日時を中心にします。夜に天井や壁の中から走るような音がするなら、天井裏で音がするときの最初の確認のように、部屋・時刻・天候を添えて録音やメモを残します。壁際の黒い汚れは壁際の黒い汚れとネズミの通り道の記録方法を参考に、全体と近接の2枚で撮影しましょう。フンや巣材らしい物は、触って集めずに、大きさの分かる物を添えた写真にとどめます。

家の中で確認する手がかり|天井裏の音・フン・巣・ラットサイン:確認項目
手がかり見る場所記録のしかた分かること・分からないこと
夜間の足音・走る音寝室や居室の天井、壁の中日付・時刻・場所・天候をメモし、可能なら録音する小動物の出入りの手がかり。種類や数は調査で確認する
粒状のフンらしい物台所、収納、壁際、天井の点検口の周り触らずに写真を撮り、大きさが分かる物を添える動物の種類の手がかり。写真だけでは種類を決めない
黒く擦れた汚れ(ラットサイン)壁際、配管や梁に沿った通り道位置が分かる全体の写真と、近接写真通り道の候補。現在も使われているかは調査で確認する
紙・布・ビニール紐を裂いた物収納の奥、物置、家具の裏触らずに場所と状態を写真に残す巣材の候補。ネズミ以外の可能性も残る
軒下・雨戸・換気口まわりの鳥の巣外壁、軒下、ベランダ、屋根瓦のすき間巣の位置と、鳥が出入りしている日を記録するトリサシダニの発生源の候補。卵やヒナの有無を確認する
ネズミや鳥の死骸天井裏、床下、屋外の窓際素手で触らず、場所だけを記録して相談するイエダニなどが人のほうへ移る要因になる場合がある

参考:千葉市|ネズミの種類、ネズミによる被害とその対策

ダニ対策とネズミ対策を行う順番

日本皮膚科学会は、イエダニは室内には生息せず、床下や天井裏のネズミの巣に発生源があるため、室内でくん煙剤を使っても駆除できず、宿主であるネズミの駆除が必要だと説明しています。ダニ用の薬剤だけを増やしても刺されることが続くときは、発生源の調査を先に考えます。

ネズミ対策を始めるとき、ダニの処理も一緒に相談する

日本ペストコントロール協会は、ネズミの駆除などで吸血する相手がいなくなると、イエダニが人を吸血することがあると説明しています。日本家庭用殺虫剤工業会も、イエダニの駆除はまずネズミと巣の駆除から始め、ネズミが死んだ場合は同時に殺虫剤でのイエダニ駆除も必要だと述べています。

豊島区は、ネズミの死骸や巣の場所が分かるなら取り除いて周辺に殺虫剤を使い、場所が分からないときは清掃と殺虫剤の併用を案内したうえで、各家の状況が違うため保健所に相談するよう勧めています。薬剤は製品の表示にある対象害虫と使い方に従い、天井裏など構造に関わる場所は業者に任せましょう。死骸や巣に素手で触れず、処分の方法も窓口に確認してください。

布団・畳の手入れは並行して続ける

ツメダニや塵性ダニへの手入れは、ネズミ対策と同時に進めて構いません。日本ペストコントロール協会は、餌やダニの死骸を掃除機で取り除くこと、湿度を下げること、寝具を日光で乾燥させることを挙げ、水拭きは湿度を上げるため逆効果だとも述べています。ただし、これらは刺す虫の発生源を止める作業ではないため、続く場合は次の表で次の一歩を決めます。

ダニ対策とネズミ対策を行う順番:確認項目
状況最初にすること次にすること避けたいこと
天井裏の音・フン・ラットサインがあり、脇腹や太ももなどが繰り返し刺される皮膚科で症状を診てもらい、家の中の手がかりを場所別に記録するネズミの調査と対策を相談し、巣や死骸の場所が分かるときはダニ処理の範囲も一緒に決める布団の手入れや室内用の薬剤だけで終わらせる
近くに野鳥の巣があり、初夏に窓際から小さな虫が入る巣に卵やヒナがいるか、鳥が出入りしているかを外から確認する巣立ち後の撤去と、窓際の清掃や必要な処理を自治体や業者に相談する卵やヒナのある巣を無断で撤去する
ネズミや鳥の手がかりがなく、湿気の多い畳や寝具まわりで刺される湿度、掃除、畳や寝具の状態を見直す刺す虫や餌になる虫が確認できるか、窓口に相談する原因の虫を確認せず、大量の薬剤を使う
ネズミ対策を始めてから、刺されることが増えた刺された時期と、ネズミ対策の作業内容を記録するダニ処理の範囲と時期を、ネズミ対策の担当者と調整する作業の途中経過や刺された状況を伝えない

参考:日本皮膚科学会|皮膚科Q&A 虫刺され Q13 虫刺されの予防はどうすればよいですか?

かゆみや腫れは皮膚科で相談し、虫の調査とは分けて進める

日本皮膚科学会は、虫刺されの治療について、軽症なら市販のかゆみ止めで足りる場合もある一方、赤みやかゆみが強いときはステロイドの外用薬が必要になることがあり、症状が強い場合は皮膚科専門医の受診がよいと説明しています。どの薬を使うかは自分で決め込まず、医師や薬剤師に相談してください。

同学会は、こうした治療は今ある皮膚症状を抑えるためのもので、原因の虫が身近にいると新しい皮疹が次々に出る可能性があり、その場合は虫を確認して駆除対策が必要だと述べています。受診と家の調査は、どちらか一方ではなく並行して進める性質のものです。

日本ペストコントロール協会は、皮膚の症状がダニの吸血以外の原因で起きていることもあり、不用意に室内へ殺虫剤を使うと症状が悪化する危険もあるため、皮膚科専門医に相談してから対策するよう勧めています。虫の診断は、医師の診察と、窓口や業者による調査に分けて考えてください。

日本皮膚科学会は、虫刺されのアレルギー反応には、刺された直後に出る型と、1〜2日後に出る型があり、個人差が大きいとも説明しています。症状に気づいた時刻だけで「その時刻に刺された」と決めずに、前日までの行動も含めて記録すると、医師にも調査担当者にも状況が伝わります。

  • かゆみや赤みが出た日と、一日のうちの時間帯
  • 赤みが出た場所の写真と、刺された部位の記録
  • 症状が出やすい部屋と、同居する人の様子
  • 使った薬や殺虫剤の名前と、使った場所
  • 見つけた虫の実物の保管、または写真(日本皮膚科学会は、可能なら実物を保管するか写真で記録するよう案内しています)

参考:日本皮膚科学会|皮膚科Q&A 虫刺され Q12 虫刺されの治療はどうすればよいですか?

ダニに毎日刺されるとき、業者に調査を頼む目安と伝える情報

日本ペストコントロール協会は、都道府県ごとの協会に「害虫相談所」があり、電話などでの相談は無料で受け付けていると案内しています。現場調査や防除施工が必要な場合は原則有料で、相談内容に応じて適切な事業者を紹介することもできるとされています。保健所など自治体の衛生担当にも、虫の確認や対処の相談ができる場合があります。調査でネズミが原因と分かり、駆除まで頼む場合の料金表示と見積もりの単位は、ネズミ駆除の一軒家の相場で比べています。

調査を考える目安は、次のような状態です。皮膚科で症状を診てもらいながら、寝具や室内の手入れを見直しても刺されることが続く。天井裏や壁の中の音、フン、巣材、窓際の巣など複数の手がかりが重なる。天井裏や床下のように、自分では安全に確認できない場所が疑わしい。こうした場合は、ダニの薬剤を買い足す前に、発生源の調査を相談したほうが遠回りを減らせます。発生源がネズミだった場合に、業者の見積書で確かめたい点は、ネズミ駆除業者に頼む前に確認したい作業範囲で整理しています。

相談するときは、「ダニを駆除してほしい」と一括で頼まず、「刺される症状が続いていて、ネズミや鳥の巣の手がかりがあるので、原因の調査から相談したい」と伝えると、調査の範囲が決めやすくなります。調査結果の受け取り方は、天井裏のネズミを疑ったときの原因調査の頼み方も参考になります。

  • 刺される部位、時間帯、始まった時期、同居する人の様子
  • 音・フン・黒い汚れ・巣材・鳥の巣の場所と写真
  • 使った殺虫剤やダニ対策用品の名前と、使った場所
  • ペット、小さな子ども、高齢の家族の有無
  • 賃貸か持ち家か(賃貸は管理会社への連絡も必要)

参考:日本ペストコントロール協会|都道府県協会(害虫相談所)