ネズミの足跡の特徴|前足と後足の指の数と大きさ
筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所のアニマルトラッキング資料は、ネズミ類の足跡を次のように説明しています。後足は5本の指がはっきり見分けられ、前足は4本の指に見えます。前足は長さも幅も同じくらいで、ハタネズミで1cm強です。後足は縦長で、前足より少し大きい、という記載です。
注意したいのは、この記述が野外のハタネズミの例だという点です。住宅に入る家ネズミ3種(クマネズミ・ドブネズミ・ハツカネズミ)の指の数や足跡の大きさを数値で示した公的資料は、今回開いた範囲では確認できませんでした。指の数まで見えれば形の手がかりになりますが、数ミリの差で種類を決めることはできません。種類は、尾や耳、フンの大きさなども合わせて考えます(ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミの違い)。
足跡の形と指の数(前足・後足)
前足と後足で指の見え方が違うことが、ネズミ類の足跡の特徴です。足跡を見つけたら、前足と後足の両方が写った跡を探し、指の数を数えます。1つの跡だけでは、走り方や地面の状態で指の見え方が変わることがあるためです。同じ資料も、ネズミ類はいろいろな走り方をすると書いています。
大きさと歩幅
同じ資料では、歩幅は走り方によって異なり、15〜35cmとされています。雪の上では両足をそろえて跳ねるように走ることが多い、とも書かれています。歩幅の数値も野外の例です。家の中の通り道では、跡が続く間隔よりも、どの高さの、どの向きの通り道に続いているかのほうが、調査に役立ちます。
尾の跡
資料は、所々にまっすぐな尾の跡が残っていることもある、と説明しています。足跡の列の間に細い線が続いていれば、尾を引いた跡の可能性があります。ただし、ハクビシンのように尾の長い他の動物でも尾の跡が残るとされるため、尾の跡だけでネズミと決めることはできません。
| 見る点 | 筑波大学の資料の記載(野外のネズミ類の例) | 家で確かめるときの読み方 |
|---|---|---|
| 後足 | 5本の指がはっきり見分けられる。縦長で、前足より少し大きい | 指が見えれば形の手がかりになる。見えないときは断定しない |
| 前足 | 4本の指に見える。長さと幅が同じくらいで、ハタネズミで1cm強 | 家ネズミ3種の数値は今回確認できていないため、大きさだけで決めない |
| 歩幅 | 走り方で変わり、15〜35cm | 跡が続く向きと高さを記録する |
| 尾の跡 | 所々にまっすぐな尾の跡が残ることがある | 足跡の間の細い線。尾の長い他の動物でも出るため、単独では決め手にしない |
参考:筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所|アニマルトラッキング(足跡・糞の見分け方、2020年4月初版、PDF)
ネズミの足跡は何本指ですか?
筑波大学の資料では、野外のネズミ類の足跡は、後足が5本の指、前足が4本の指に見えると説明されています。家ネズミ3種の指の数を示した公的資料は今回確認できなかったため、目安として読みます。
ネズミの足跡が残りやすい場所|ホコリのたまった梁・棚・配管沿い
東京都のねずみ防除の資料は、ねずみは主に人が活動していない夜中に動くため、姿を確認するのは困難ですが、活動に伴って「ラットサイン(証跡)」を残すので、そこから活動場所を特定できるとしています。ラットサインの種類は、音、かじり跡、糞、足跡、体のこすり跡などです。足跡やこすり跡は、体から出る脂分と汚れが通り道に付いてできるもので、特有の黒光りした跡になる、と説明されています。
通り道は壁際や物陰です。大阪府の資料は、ネズミは壁際や物陰を通路として行動し、広い空間を横切ることはめったにない、クマネズミは天井裏、天袋、ハリ、ダクトの上など高所を好み、配電線や水道・ガスの管を垂直に上り下りすると説明しています。資料に直接の記載はありませんが、ホコリがたまった梁や棚の端、配管や電線に沿う面は、粉をまいて跡を取る方法と同じ理屈で、足や体が触れれば跡が残りやすい場所だと考えられます。
天井裏や高い梁は、足場が悪く、踏み抜きや転落の危険があります。点検口から懐中電灯で見える範囲にとどめ、奥は調査の依頼で確認します。天井裏を疑うときの伝え方は天井裏のネズミを疑ったらにまとめています。
| 場所 | 見るもの | 手がかり(資料の記載) |
|---|---|---|
| 壁際、家具と壁のすき間 | 壁に沿った黒い汚れの帯、小さな足跡 | 壁際や物陰を通路にする(大阪府)。足跡やこすり跡は黒光りした跡になる(東京都) |
| 天井裏、天袋、梁、ダクトの上 | ホコリの上の足跡、こすり跡、フン | クマネズミは天井裏、天袋、ハリ、ダクトの上など高所を好む(大阪府)。点検口からのぞける範囲だけ見る |
| 配管や電線を外壁に通した部分のまわり | すき間のまわりの黒い汚れ、足跡 | 木造住宅では、エアコンのダクトや電線を通すための外壁の貫通部分のすき間が侵入口になりやすい。侵入口には体の汚れや足跡が付く(東京都) |
| 屋根と壁の間、家の基礎の通気口 | 通気口まわりの土や汚れ、足跡 | 屋根と壁の間のすき間、外壁の割れ目や穴、基礎の通気口も侵入口になる(東京都) |
| 建物の周囲、側溝 | 土や砂の上の小さな足跡 | ネズミ類の足跡は建物の周囲や側溝などでもよく見られる(筑波大学) |
イタチ・ハクビシン・アライグマの足跡との違い|比較表
ネズミより大きな足跡が見つかったときは、イタチ、ハクビシン、アライグマなどの可能性もあります。農林水産省の野生鳥獣被害防止マニュアル(中型獣類編)は、足跡の見分けで、最初に指の数が何本かを確かめるフローチャートを示しています。指が5本のうち、指が長く左右の足が横に並ぶのがアライグマ、指が独立して丸く、中心のパッドが円形なのがハクビシンです。
表の大きさは、資料ごとに測り方や個体が違う「資料に載っている値」です。数ミリの差で動物を決めず、前足と後足、足跡の列の並びを合わせて見てください。イタチの指の数は、今回開いた資料に記載がありませんでした。動物ごとの見分けは、アライグマの足跡は5本指?とハクビシンとアライグマ、どう違う?でも整理しています。
| 動物 | 指の数・爪痕 | 大きさ | 並び方・歩き方 |
|---|---|---|---|
| ネズミ類(野外の例) | 後足は5本、前足は4本に見える(筑波大学) | 前足は1cm強。後足は縦長で、前足より少し大きい(筑波大学) | 尾の跡が残ることがある。歩幅は走り方で15〜35cm(筑波大学) |
| イタチ | 指の数は記載なし。爪痕が鋭い(筑波大学) | 約2.5cm四方(筑波大学) | 前足がそろい、その上に少しかかって後足が残る跳ねるような足跡。間隔は約30cm(筑波大学) |
| ハクビシン | 5本。指が独立して丸く、中心のパッドは円形(農林水産省)。爪あとは不明瞭(東京都) | 前足は長さ約5cm、幅約4cm。後足は約10cmだが、歩くときは足先だけをつくので前足と同じような足跡になる(筑波大学) | 長い尾の跡がしばしば付く。歩幅は40〜50cm(筑波大学) |
| アライグマ | 5本。指が長く(農林水産省)、爪あとは明瞭(東京都) | 今回開いた資料では数値を確認していない | 左右の足が横に並ぶ(農林水産省) |
尾を引いた跡・黒光りした汚れ・フンとの組み合わせで読む
足跡は、単独では手がかりが弱く、雨や掃除で消え、数も限られます。東京都のねずみ防除指針の資料にある「ねずみ被害チェック表」は、姿、音、声、糞、食害、齧害、ラットサイン(汚れ、足跡など)、痒みを別々の項目にして、場所と時間を書き込む形になっています。足跡は、その中の1項目として扱い、他の痕跡と合わせて読みます。
チェック表の注記では、糞は新しいものなら生息の可能性、古いものなら迷入の可能性があり、大きさの違う糞が同じ場所で見つかれば繁殖している可能性がある、とされています。フンの大きさの見分けはネズミのフンの見分け方で確認できます。
| 足跡と一緒に見つかったもの | 読み取れること(資料の記載) | 次の確認 |
|---|---|---|
| 黒光りしたこすり跡、壁際の黒い汚れ | 足跡と同じく、脂分と汚れが通り道に付いてできた跡。通り道の目印になる(東京都) | 跡が続く向きをたどり、侵入口の候補を探す |
| 新しいフン | 新しい糞は生息の可能性、古い糞は迷入の可能性(東京都のチェック表) | 日を置いて、同じ場所に新しいフンが増えるかを記録する |
| 大きさの違うフンが同じ場所にある | 繁殖している可能性(東京都のチェック表) | 巣材の紙や布が裂かれていないかを確認する |
| 食品や配線のかじり跡 | ラットサインの種類の1つ。かじり跡も活動場所の手がかりになる(東京都) | 食品と、食品以外の被害を分けて写真に撮る |
| 夜の天井裏の物音 | 屋内のネズミは人の生活に左右され、人が寝静まった夜間や留守の時間帯に活動することが多い(東京都) | 音がする時間帯と場所を記録する |
通り道を確かめる方法|粉で足跡を取る・記録の残し方
足跡が見つからないときの調べ方として、新宿区保健所のリーフレットは、壁の汚れや糞を確認することに加え、床に小麦粉を薄くまいて、ついた足跡から侵入経路を見つける方法を紹介しています。大人のねずみは500円玉ほどの穴があれば通れる、とも書かれています。
粉をまくときは、壁際や配管沿いなど、通り道だと考えた場所に、細い帯のように薄く置きます。小麦粉は食べ物でもあるため、子どもやペットが口にしない場所に限り、跡を撮影したら片付けます。湿気で固まるため、浴室や床下には向きません。餌を置いて呼び寄せる方法は、この記事では取り上げません。
見つけた足跡の撮り方と記録の項目
見つけた足跡は、触らず、動かさず、そのまま撮ります。全体が写る写真と、近くから斜めに光を当てた写真を1枚ずつ撮り、大きさが分かるように定規やコインを添えると、後で比べやすくなります。場所は、部屋の名前、床からの高さ、壁のどちら側か、跡が続く向きをメモします。
- 見つけた日付と時刻、部屋の名前、床や梁からの高さ
- 足跡の向きと、続いている長さ
- 足跡の近くのフン、黒い汚れ、かじり跡の有無
- 大きさが分かる物を添えた写真が撮れているか
- 粉をまいた場合は、まいた日と、跡が付いた日
足跡を見つけたあとの対策|餌・巣材・侵入口の順に進める
東京都の防除指針は、ねずみ対策の基本を、餌の管理、巣材の処理、通路の遮断という環境的防除に置いています。食材、生ごみ、ペットフードなどは容器に入れて管理し、巣材になる布、紙、ビニールは整理して持ち去られないようにし、壁の穴や壁と配管のすき間、扉の周辺をふさぐ、という内容です。環境的防除は日常的に続けることで効果が長続きし、殺そ剤や捕獲器は、すでにねずみがいるときの緊急時の対策とされています。
侵入口の大きさについて、東京都のよくある質問集は、クマネズミは1.25cmのすき間があれば通れ、歯がかりがあれば齧って通路にしてしまう、と説明しています。足跡や黒い汚れが付いたすき間は、侵入口の目印です。ふさぐ材料や考え方は防鼠金網ですき間を直す前にで整理しています。ふさぐ前に、中にネズミが残っていないかを確かめる必要があります。
家に入るクマネズミ、ドブネズミ、ハツカネズミは、鳥獣保護管理法が適用されない種類で、いつでも捕獲できると神奈川県は案内しています。一方、足跡の大きさや指の数からハクビシンやイタチなど別の野生動物が疑われる場合、野生鳥獣は原則として捕獲が禁止され、許可が要ります。わなを自分で用意する前に、自治体の担当窓口に確認してください。






