ゴキブリの赤ちゃんは幼虫|成虫との違いと脱皮のしくみ
ゴキブリは卵、幼虫、成虫の順に育ち、サナギの時期がありません。いわゆる「赤ちゃん」は幼虫のことで、羽がなく、脱皮を繰り返して成虫の形に近づきます。名古屋市衛生研究所はクロゴキブリが8〜11回、国立環境研究所はチャバネゴキブリが6回脱皮するとしており、種類によって脱皮の回数も、成虫になるまでの期間も違います。
幼虫は成虫と同じように夜に動き、昼間は狭い隙間に集まって潜みます。横浜市は、ゴキブリが群れをつくって集団で生活し、暖かい、暗い、餌に近い、湿気がある、狭い隙間といった場所を好むと説明しています。幼虫を見つけた場所は、その近くに成虫や卵鞘が潜む場所でもあるため、場所と時間を記録しておくと後の判断に役立ちます。
脱皮したばかりの個体は白くやわらかい
KINCHOは、ゴキブリが脱皮した直後はやわらかくて白い色をしていて、時間とともに硬く黒くなっていくと紹介しています。白っぽい小さなゴキブリを見つけても、別の種類の虫とは限りません。見つけた場所と大きさを記録し、近くに茶色や黒の同じ形の個体がいないかを確認してください。
幼虫は羽がなく、隅やへりに沿って動く
成虫になると翅が生えますが、幼虫には羽がありません。成虫を小さくしたような形のため、別の虫に見えることもあります。見分けるときは、色や模様に加えて、動き方と見つかる時間帯も手がかりにします。
- 羽がない
- 壁や家具の隅、縁に沿って動く
- 夜間に動き、昼間は狭い隙間や物陰に隠れる
参考:名古屋市衛生研究所|身の回りの『むし』たち web昆虫図鑑 ゴキブリ類
ゴキブリの赤ちゃんは赤いのですか?
クロゴキブリの幼虫は、若いうちは黒地に白い帯があり、育つと赤褐色になります。赤っぽい個体は、育ったクロゴキブリの幼虫の色にあたります。チャバネゴキブリの幼虫は黒地に黄色い模様です。
ゴキブリの赤ちゃんの種類別の見た目|体色・模様の早見表
公的機関やメーカーの資料に書かれている幼虫の特徴を、種類別に並べました。成虫の体長は、名古屋市衛生研究所、東京都ペストコントロール協会、KINCHOなど資料によって表記が少し違うため、幅を持たせています。幼虫は成長すると色も模様も変わるので、1匹の見た目だけで種類を決めきらず、成虫の特徴や見つけた場所も合わせて判断します。
「ゴキブリ 赤い」と検索される赤っぽい個体は、育ったクロゴキブリの幼虫の色として資料に載っています。東京文化財研究所は6〜8齢で赤褐色になり、帯や斑紋が目立たなくなると説明し、東京都ペストコントロール協会も、クロゴキブリの幼虫はごく小さなうちを除けば赤褐色だとしています。
クロゴキブリの幼虫は黒から暗褐色、赤褐色へ変わる
東京文化財研究所の資料では、クロゴキブリの幼虫は成長段階(齢)ごとに次のように変わります。名古屋市衛生研究所も、若い幼虫は黒色で細い白帯があり、中齢から老齢になると赤褐色になると説明しています。
- 1〜2齢:体は黒色で、胸部の一部に白い横帯、やや後ろの両側に白い斑紋がある
- 3〜5齢:体は暗褐色で、横帯と斑紋が黄色から赤褐色になって広がる
- 6〜8齢:体は赤褐色で、横帯や斑紋は目立たなくなる
チャバネゴキブリの幼虫は小型で、黒地に黄色い模様
国立環境研究所の侵入生物データベースは、チャバネゴキブリの幼虫を「全体が黒色で、胸部に黄色の斑紋がある」と説明しています。東京都ペストコントロール協会も、羽がなく黒色で、背面に黄褐色の模様があるとしています。成虫は黄褐色で、前胸の背中側に2本の黒い筋があります(名古屋市衛生研究所)。
幼虫の期間は約60日で、メスは卵鞘を腹の先につけて持ち歩き、1つの卵鞘から約40匹の幼虫が孵ります(国立環境研究所)。同じ棚や家電の周りに小さな個体がまとまって見つかる理由の一つになります。
| 種類 | 成虫の体長(資料の例) | 幼虫の体色・模様 | 幼虫を見つけやすい場所の傾向 |
|---|---|---|---|
| クロゴキブリ | 25〜40mm前後 | 若い幼虫は黒地に白い帯と斑紋。育つと暗褐色から赤褐色になり、帯や斑紋は目立たなくなる | 台所、洗面所、ごみ置き場、ベランダ。屋外から入る個体もいる |
| チャバネゴキブリ | 10〜15mm前後 | 全体が黒く、背面に黄色〜黄褐色の模様がある | 冷蔵庫・調理台・食器棚の周りなど、暖かく餌と水がある場所。飲食店やビルに多い |
| ヤマトゴキブリ | 20〜35mm前後 | クロゴキブリの幼虫と似るが、やや小型でほっそりし、黒みが強く艶が少ない | 屋内外にまたがり、郊外や木造の家屋で見られる |
| ワモンゴキブリ | 30〜45mm前後 | 参照した公的資料には、幼虫の色や模様の記載を確認できなかった | 九州以南や、年間を通して温度が保たれるビル・地下街・厨房 |
- 幼虫の色は成長で変わるため、同じ種類でも個体によって違って見える
- 種類は、成虫の特徴(大きさ、前胸の模様)や見つけた場所も合わせて考える
- 写真は定規など大きさの分かる物と並べ、真上から撮る
- 判断に迷うときは、写真を持って保健所や害虫相談所に確認する
ゴキブリの幼虫と間違えやすい小さな虫の比較表
家の中で見つかる小さな虫のうち、ゴキブリの幼虫と間違えられやすいのは、乾燥した食品や衣類に発生する甲虫と、湿った場所に出る小さな虫です。名古屋市衛生研究所のweb昆虫図鑑に書かれた体長・色・発生場所を、下の表にまとめました。いずれも成虫の体長で、ゴキブリとは分類が違う別の虫です。
ゴキブリの幼虫は、台所や水まわり、家電の周りで、夜に隅や縁に沿って動きます(横浜市)。一方、下の虫は、衣類・乾燥食品・古書など、特定の物のそばで見つかるのが手がかりです。衣類の穴や毛のある幼虫が気になるときはカツオブシムシの確認と収納の見直し、本棚や食品棚の小さな虫はチャタテムシとダニの違いも参考にしてください。
シバンムシが出た場所では、刺すことのあるシバンムシアリガタバチにも注意が必要だと、名古屋市衛生研究所は説明しています。見分けがつかないときは、無理に殺虫剤を使う前に、写真を撮って保健所や害虫相談所へ相談できます。
| 虫 | 体長・色(成虫) | 出やすい場所・食べるもの | 見分ける手がかり |
|---|---|---|---|
| ヒメマルカツオブシムシ | 約2〜3mm。黒褐色で、背面は黄色や灰白色の鱗片でおおわれる | 羊毛など動物性の繊維製品、煮干しや削り節などの乾燥食品。照明器具内の昆虫の死骸も発生源になる | 衣類・乾物・照明器具の近くで見つかる。背中の黄色や灰白色の鱗片が目印 |
| ヒメカツオブシムシ | 3〜5mm。全体が黒褐色で光沢がある | 毛織物、絹製品。床材の継ぎ目にたまった毛糸くずなどのほこりが発生源になった例がある | 衣類や床の隅のほこりの近くで見つかる。黒褐色で光沢がある |
| ジンサンシバンムシ・タバコシバンムシ | 約2〜3.5mm。赤褐色。ジンサンは細い毛でおおわれ、タバコは光沢のある長楕円形 | 乾燥した動植物質(漢方生薬、ペットフード、乾燥食品)、畳のワラ床 | 食品棚やペットフードの近くで見つかる。赤褐色で、体は長楕円形 |
| チャタテムシ(ヒラタチャタテなど) | 約1.0〜1.3mm。淡褐色 | 湿気のある押入れ、引き出し、古書、食品。そばがら入りの枕からも発生する | 本棚・押入れ・乾物の近くで見つかる。非常に小さく、淡褐色 |
幼虫を見つけた場所から考える卵鞘と潜み場所
幼虫は卵鞘から孵ったばかりのことがあるため、見つけた場所の周りに卵鞘や潜み場所がある可能性を考えます。クロゴキブリの卵鞘は長さ約1cmで、約50日で孵化し(名古屋市衛生研究所)、東京文化財研究所は、家具の裏など目立たない場所に貼りつけ、その上に木くずを貼りつけると説明しています。チャバネゴキブリは、メスが卵鞘を腹の先につけて孵化の直前まで持ち歩くため、卵鞘が棚や床に残っているとは限りません。
卵鞘らしい物を見つけたときの見分け方はゴキブリの卵鞘らしい物を見つけたときにまとめています。卵鞘は硬い殻に守られていて薬剤をはじくとアース製薬は説明しています。つぶしたり薬剤をかけたりする前に、場所と見た目を写真に残してください。下の表は、幼虫を見つけた場所から、考えられることと確認する点を並べたものです。
| 幼虫を見つけた場所 | 考えられること | 確認すること |
|---|---|---|
| 冷蔵庫・調理台・食器棚の周りで、小さな幼虫が見つかる | 暖かく、餌と水のある場所が潜み場所になっている可能性があります。チャバネゴキブリでは、近くで卵鞘から孵った個体が集まっていることもあります。 | 家電の裏や棚の隅を明かりで照らし、黒い粒状のフン、卵鞘、死骸がないかを見ます。使った製品と置いた場所を記録します。 |
| 流し台の下・排水口・洗面所の周り | 水と湿気のある場所に集まります。配管まわりの隙間や排水口から入る個体もいます。 | 配管の貫通部の隙間、排水口の状態、水気の残り方を確認します。 |
| 玄関・ベランダ・ごみ置き場の近くで、やや大きめの幼虫が見つかる | 屋外にいた個体が隙間から入った可能性があります。クロゴキブリは窓やドアの隙間に産みつけた卵から孵り、室内へ入るケースがあります。 | ドア下、網戸の破れ、配管の貫通部、植木鉢の下、置き配の段ボールを確認します。 |
| 段ボール箱・新聞紙・紙袋の周り | 段ボールや新聞紙が整理されていない場所は潜み場所になり、荷物に付いて持ち込まれることもあります。 | 開封した段ボールを溜めず、床から離して収納します。収納の隙間も見ます。 |
幼虫が続けて出るときに室内繁殖を疑う根拠と、疑いすぎない注意点
室内で繁殖している可能性を考える根拠は、卵鞘1つに入る卵の数です。東京都ペストコントロール協会のパンフレット(2008年12月発行)は、クロゴキブリで20個前後、チャバネゴキブリで40個前後の卵が入っているため、幼虫がいるときは1匹だけではなく何匹かいると考えるよう案内しています。「1匹見たら○匹」という数字は、ここでは使いません。数は調べてみないと分からないためです。
幼虫が同じ場所で続けて見つかるときは、近くで卵が孵り続けている、または潜み場所に群れている可能性があります。チャバネゴキブリでは、若い幼虫ほど群れを作る傾向が強いと国立環境研究所が説明しており、同じ棚や家電の周りに小さな個体が集中する理由の一つになります。
一方で、幼虫が見つかったことだけで室内繁殖とは決められません。東京文化財研究所は、クロゴキブリは窓やドアなどの隙間に卵を産みつけ、孵化後に室内へ入られるケースが多いと説明し、KINCHOは幼虫が1mm程度の隙間からも入ると説明しています。屋外の隙間で孵った幼虫が入ってくる経路もあるため、場所の記録と侵入口の確認の両方が必要です。
- 小さな幼虫が、日をおいて同じ場所で何度も見つかる:近くに潜み場所や卵鞘がある可能性を考える
- 幼虫と成虫が同じ棚や家電の周りから出る:その周辺に群れがいる可能性を考える
- 幼虫が玄関や窓の近くだけで、大きめの個体が中心:屋外から入る経路の確認を優先する
- フン・卵鞘・死骸が見つかる:生息場所の手がかりとして、位置を記録する
ゴキブリの幼虫への対策|清掃・すき間・毒餌と製品表示の確認
幼虫への対策は、成虫への対策と大きくは変わりません。幼虫と成虫は同じ場所で暮らし、同じように餌を食べるためです。横浜市は、ゴキブリ防除の基本を、清掃や整理整頓で住みにくい環境をつくることとしています。食べ物と生ごみはふた付き容器に入れ、使った食器や調理器具は放置せず、流し台の下や排水溝も掃除し、小さな隙間をふさぐことを挙げています。
薬剤を使うときは、製品の説明書にある対象害虫、使える場所、使い方、子どもやペットへの注意を確認します。毒餌は、食べた個体のフンや死骸を仲間が食べることで、ほかの個体にも効果が及ぶとアース製薬は説明していますが、置き場所や数は製品ごとに違います。置き場所の考え方はゴキブリの毒餌はどこに置く?をご覧ください。自治体の資料には手作りの毒餌の作り方が載っていることもありますが、このページでは配合や量を示しません。市販品は製品の表示に従ってください。
- 食品・生ごみ・ペットフードを、ふた付きや密閉できる容器に入れる
- 使った食器や調理器具を放置せず、流し台の下や排水口まで掃除する
- 家具や家電の周りの小さな隙間を、できる範囲でふさぐ
- 潜み場所の近くに粘着シートを置き、どこに集まるかを確認してから薬剤を選ぶ
- 薬剤は、製品表示の対象害虫・使用場所・使用上の注意を守る
参考:横浜市|ゴキブリについて
飲食店・集合住宅でゴキブリの幼虫を見つけたときの連絡
飲食店や食品を扱う店舗でゴキブリの幼虫を見つけたら、まず店舗の責任者へ、場所・時間・写真を伝え、防除業者と契約している場合はその業者にも連絡します。厚生労働省は、小規模な飲食店などに、業界団体が作成した手引書を使って衛生管理計画を作り、実施状況を記録して定期的に見直すことを求めており、該当する手引書が見つからない場合などは管轄保健所の食品衛生監視員の助言を得るよう案内しています。幼虫を見つけた日時と場所もこの記録に残し、清掃や点検の見直しにつなげます。厨房の潜み場所や点検記録の考え方は飲食店のゴキブリ対策で整理しています。
集合住宅では、幼虫が自分の部屋だけでなく、共用廊下、ごみ置き場、配管シャフトの周りでも見つかるかを確認します。専有部分と共用部分は管理する人が違うため、管理会社や管理組合へ、見つけた場所・日時・写真・使った製品を伝えます。賃貸での連絡の流れは賃貸で被害が起きたら管理会社へ伝えることも参考になります。動物の被害を想定した記事ですが、場所と写真を添えて連絡する手順は害虫でも同じです。



