米に付く小さい虫の見分け|チャタテムシ・コナダニ・コクゾウムシ・メイガ
米びつで見かける小さな虫は、大きく分けて、米を食べる虫と、湿気やカビを好む虫の2つです。農林水産省は、米の主な害虫としてノシメマダラメイガとコクゾウムシを挙げています。チャタテムシやコナダニは、カビや食べこぼし、粉などに付く虫です。どれなのかで、対処の軽重と、次に見直す場所が変わります。
農研機構は、米びつの中で見つかるコクゾウムシの黒い成虫と、ノシメマダラメイガの飛び回る成虫は目立つ一方で、卵や幼虫は小さく目立たないため、形の違う虫を同じ種類の幼虫と成虫だと勘違いしやすい、と指摘しています。表の特徴で、まず当てはめてみてください。
米びつの虫を見分ける3つの手がかり
名前が分からなくても、次の3つを確かめると、候補をかなり絞れます。見分けに迷うときは、虫を触らずに写真を撮り、拡大して見比べてください。
- 大きさ。1ミリ前後で素早く這うならチャタテムシ、3ミリ前後で米粒に穴があるならコクゾウムシ、1センチほどの蛾や、米粒が糸でくっついた塊があればメイガを疑います。
- 米の中か外か。コクゾウムシは米粒の中で育ちます。メイガの幼虫は米粒の外側で糸を張ります。
- 湿り気とカビ。米びつの内側が湿っていたり、周りにカビがあったりする場合は、チャタテムシやコナダニの可能性が高まります。
「カメムシ 米」は田んぼの話で、米びつの虫とは別
農林水産省は、籾を加害して、黒色や茶色の斑点のある玄米(斑点米)をつくるカメムシ類を、斑点米カメムシ類と呼んでいます。多くの種が水田周辺の雑草に生息し、出穂期に水田に入って穂を加害するとされ、収穫前の田んぼでの被害です。家庭の米びつに出る虫の話とは別で、米びつで問題になるのは、先に挙げたメイガやコクゾウムシなどです。
| 虫 | 大きさと見た目 | 出る場所と増え方 | 資料が述べる特徴 |
|---|---|---|---|
| チャタテムシ(ヒラタチャタテ) | 体長1〜1.3ミリ。灰褐色から暗褐色で、翅はない | 湿気のある場所。カビ、穀物粉、乾麺、鰹節などに付く | 毒はなく、吸血も刺咬もしない。ダニと間違われやすい |
| コナダニ | 約0.3ミリで、肉眼では見えにくい | 食品、畳、床など。相対湿度70%以上で繁殖しやすい | 食品に大発生すると不快。皮膚を刺さないと考えられている |
| コクゾウムシ | 約3ミリの甲虫 | 米粒の中に卵を産み、中で育った成虫が内側から食い破って出る | 成虫だけが、ある日突然わいたように見える。成虫も米を食べる |
| ノシメマダラメイガ | 成虫は約1センチの蛾。卵は約0.5ミリ、孵化した幼虫は約2ミリで糸くずのよう | 米の外側に卵を産み、幼虫は外側から食べ、糸で繭を作る | 幼虫はビニールを簡単に食い破る。米以外の食品にも付く |
| タバコシバンムシ | 小さな甲虫 | 米、香辛料、チョコレートなど多くの食品を加害する | ノシメマダラメイガとともに、多くの家庭の台所から見つかる貯穀害虫として、農研機構が挙げる |
参考:農林水産省|買い置きしていたお米に虫がわいていたが、どうすればいいですか。(消費者の部屋・令和5年更新)
チャタテムシがいた米は、食べても大丈夫ですか?
農研機構は、ヒラタチャタテに毒性のある物質は発見されておらず、誤食しても健康への影響は極めて低いと考えられるとしています。ただし、アレルギーを起こす場合があるため、体調が変わったら医療機関に相談してください。
チャタテムシとは|米に出る理由と、人への影響の説明
チャタテムシは、体長1ミリほどの淡黄色から淡褐色の小さな虫です。東京都保健医療局は、成虫も幼虫もカビや動植物質の細片を食べ、やや湿度の高い環境を好むと説明しています。乾燥食品につくことはあっても、食品をボロボロにすることはないとされ、大きな害はないという位置づけです。千葉市は、どの家にも普通に生息していて、完全に絶滅させることは困難だとしています。
人への影響について、千葉市は、毒を持たず、吸血も刺咬もしないと説明しています。ただし、チャタテムシを餌にするツメダニは、人を刺すことがあるとされます。アース製薬は、チャタテムシの死骸が粉々になって空気中を漂い、吸い込むとアレルギーの原因になることがあると説明し、大量発生したときはツメダニが二次的に発生する点にも注意を促しています。
米にいる理由は、米が好物というより、湿った場所に出るカビや粉、食べこぼしが近くにあることが多いためです。農研機構は、ヒラタチャタテについて、書籍の糊や食品などに生えたカビを食べると繁殖が高まるといわれ、多湿な環境を好むと述べています。
虫が出た米の扱い|取り除く・研ぐ・保管し直す
農林水産省は、「虫が自然発生することはない」として、何らかのルートで家屋に侵入し、気がついたら虫がわいたことになる、と説明しています。経路は一つではなく、外から飛んで入る場合も、台所にいた虫が米びつに移る場合もあります。米の害虫は米だけを餌にするのではなく、小麦粉やパスタなども餌にして屋内で増え、あとから米の容器に移動するケースもあると述べています。
虫を見つけたときの対処として、農林水産省は、ベランダなど日光の当たる場所で、清潔な紙に米を広げ、害虫をできる限り取り除く方法を示しています。ただし、長い時間をかけると米が乾燥するので注意が必要です。炊飯時に米を研ぐことで、小さなコクゾウムシなどは除去できるとも書かれています。
公的資料は、虫の多い米や、カビ、異臭のある米を食べてよいかには触れていません。大量に出ている、糸でかたまっている、においがおかしいといった状態で迷うときは、無理に使わず、購入した店や、お住まいの地域の保健所、消費生活センターに相談してください。
食べてしまったときの考え方と、体調が気になるときの相談先
チャタテムシについて、農研機構は、毒性のある物質は発見されておらず、誤って食べても健康への影響は極めて低いと考えられると説明しています。一方、同じ解説は、小児ぜんそくを誘発するアレルゲンになることがあると報告されている、とも書いています。農林水産省も、人によっては、虫のわいた米でアレルギーを起こす場合があると述べています。
気になるのは、虫そのものより、体質との関係です。食べたあとに、せきや息苦しさ、発疹などが出た場合や、ぜんそく・アレルギー体質の人が不安なときは、虫の名前が分からなくても、医療機関に相談してください。受診のときは、食べた米の袋や、見つけた虫の写真を持参すると伝えやすくなります。
症状が出ているのに受診すべきか迷うときは、総務省消防庁が案内する救急安心センター事業(#7119)が使える地域があります。医師、看護師、救急救命士に、救急車を呼ぶべきか、すぐ受診すべきかを電話で相談できる仕組みで、消防庁のページでは、全国42地域で実施されています。息苦しさが強いなど、緊急と思われるときは119番を使ってください。
| 状況 | 公的資料の説明 | 次の行動 |
|---|---|---|
| チャタテムシを食べたかもしれない(症状なし) | 農研機構は、誤食しても健康への影響は極めて低いと考えられるとする | 様子を見て、米の取り扱いと保管を見直す |
| ぜんそくやアレルギー体質で不安がある | 農研機構は、アレルゲンになることがあると報告されているとする。農林水産省は、人によってアレルギーを起こす場合があるとする | かかりつけ医に相談する |
| せき、息苦しさ、発疹などが出た | 虫のわいた米でアレルギーを起こす場合がある(農林水産省) | 医療機関を受診する。迷うときは#7119を検討する |
| 米が大量に汚れている・においがおかしい | 公的資料は、食べてよいかを直接示していない | 使わない判断も含め、購入店や保健所、消費生活センターに相談する |
米びつ・保存容器の清掃|米粒・ぬか・湿気を残さない
農林水産省は、屋内と米の保存容器の清潔を保つことが必要だと説明しています。農研機構の図鑑も、ノシメマダラメイガの防除として、こまめに清掃し、餌となりやすい食品くずを残さないことを挙げています。米びつの底や隅に残った古い米やぬか、粉は、虫の餌になりやすいため、こまめに取り除きます。
手順は、米を別の容器か紙の上に出し、虫や糸、塊がないかを確かめるところから始めます。米びつ本体は、残った米粒とぬかを取り除き、汚れを落とします。容器を洗った場合は、湿気が残るとカビやチャタテムシの餌になるため、風通しのよい場所で十分に乾かしてから米を戻します。
ふたや、容器の継ぎ目、パッキンの溝も確認します。農林水産省は、ノシメマダラメイガの幼虫はビニールを簡単に食い破るので、ビニールに密封しただけでは完璧とはいえないとしています。密封する袋に頼りきらず、容器と置き場所を組み合わせて対策してください。
- 古い米と新しい米を、同じ容器で継ぎ足さない。入れ替えるときは、容器を空にして清掃します。
- 米びつの周り、収納棚の下、流しの下など、湿気がたまる場所も確認します。
- ペットフードや米の袋がかじられている場合は、ネズミの被害も考えます。食品の置き方は、ネズミ対策の食品保管で確認できます。
冷蔵庫など保管方法の見直し|温度・購入量・置き場所
農林水産省は、お米は長期保管を避け、約1か月で食べきることをすすめています。保管は、日光の当たらない、低温で温度変化の少ない場所が適当で、どうしても害虫が気になる場合は、冷蔵庫の野菜室に厚手のビニールで包んで保管するとよいとしています。お米の害虫は15℃以下になると活動が鈍り、増殖できなくなる、という説明です。
米穀安定供給確保支援機構の資料(新潟大学教授の監修)も、同じ趣旨です。条件を同じにすれば、増殖しやすいのは玄米で、害虫の多くは玄米のぬかの部分を好むと説明しています。玄米をそのまま置いておく場合は、白米より虫に注意が必要です。
購入量は、使い切れる量にそろえるのが基本です。大袋を買い置きする場合は、小分けにして、すぐ使う分だけを常温に置き、残りは低温の場所に移す方法もあります。温度の目安は虫の種類で違います。農林水産省は米の害虫について15℃以下で活動が鈍るとし、アース製薬はヒラタチャタテについて18℃を下回ると活動が鈍り産卵を停止するといわれると説明しています。
| 保管の工夫 | 公的資料などの説明 | 注意したいこと |
|---|---|---|
| 約1か月で食べきる | 農林水産省は、長期保管を避け、約1か月で食べきるのがおすすめとする | 大袋の買い置きは、小分けにして置き場所を分ける |
| 日光を避け、低温で温度変化の少ない場所に置く | 農林水産省が保管場所の条件として示す | コンロや炊飯器の近く、窓際に置かない |
| 冷蔵庫の野菜室に厚手のビニールで包む | 農林水産省が、害虫が気になる場合の方法として示す。15℃以下で活動が鈍る | 出し入れのときに袋の外側がぬれやすいので、水気を拭いてから開封する |
| 玄米は特に注意する | 米穀安定供給確保支援機構の資料は、条件が同じなら玄米のほうが増殖しやすいとする | 小分けにして保管し、早めに使う |
参考:米穀安定供給確保支援機構(米ネット)|お米Q&A お米につく虫が気になります。玄米と白米では、どちらのほうが虫はつきやすいのでしょうか(PDF)
台所の湿気・カビ対策と、ほかの乾物の点検
農研機構は、火や水を使う台所は温度や湿度が高くなり、貯穀害虫が繁殖する良好な環境になっていると述べています。代表的な種類として、ノシメマダラメイガ、タバコシバンムシ、ヒラタチャタテを挙げ、ヒラタチャタテは穀物粉やカビを加害する1ミリ程度の小型の昆虫で、湿度の高い環境を好むとしています。
湿度の目安について、千葉市は、相対湿度60%以下でチャタテムシの発育や繁殖が停止するとの報告があると紹介しています。換気と除湿器の使用で、室内の湿度を下げることをすすめています。農研機構も、ヒラタチャタテの防除方法として、カビが発生する多湿な環境を避け、湿度を60%以下に抑えることを挙げています。
米以外の食品も点検します。農林水産省と米穀安定供給確保支援機構の資料は、米の害虫の発生源として、小麦粉、パスタ、ビスケット、ペットフード、それらの屑を挙げ、しっかり密封することをすすめています。チャタテムシは、鰹節、乾麺、チーズ、ビスケット、穀物粉などに付くと農研機構が説明しています。砂糖は、開いた資料の餌の例には挙がっていませんでしたが、湿気て固まるような保管は避けてください。
- 開封済みの小麦粉、パスタ、乾麺、ビスケット、鰹節、ペットフードを、棚から出して確認する。糸、穴、粉の塊があれば、袋の外にも広がっていないか見る。
- 段ボールの箱は、薄暗く湿気やすい場所になるため、台所に放置しない。アース製薬は、段ボール箱の放置と、食材の密閉保管を注意点に挙げています。
- 虫が見つかる棚は、食品を全部出して拭き、乾かしてから戻す。古いものから使う入れ替えの考え方は、食品売場や保管庫の害虫対策も参考になります。
- 食品棚で小さな蛾と白い糸を見たときは、食品棚の小さな蛾と白い糸で、ノシメマダラメイガの発生源を探す順番を確認できます。
- 本棚や食品棚の小さな虫の見分けは、本棚や食品棚の小さな虫はチャタテムシ?にまとめています。





