天井から物音がするとき、まず上階・配管・動物の三つに分ける
マンションやアパートで天井から物音が聞こえると、「上の階の足音なのか、動物なのか」が気になります。判断の入り口は、音の種類、聞こえる時間帯、続く長さの三つです。生活音は上階の住人の在宅時間に、配管の音は水を使った前後に、動物の音は夜間や夕方以降に目立ちやすいという違いがあります。
下の表は、候補ごとに聞こえやすい音と最初の確認事項を並べたものです。音の特徴は国土交通省、日本ペストコントロール協会、前橋市、大阪市の資料にある記述をもとに、確認のしかたは記録を取りやすい形にまとめました。一つの音だけで決めず、複数の項目が重なるかを見てください。
| 候補 | 聞こえやすい音 | 出やすい時間帯・きっかけ | 最初の確認 |
|---|---|---|---|
| 上階の生活音(固体伝播音) | 足音、物の落下、ドアの開閉、洗濯機などの振動 | 上階の住人が在宅している時間帯 | 音が出る曜日と時刻を記録する。直接訪ねず管理会社へ |
| 上階の話し声・テレビ(空気伝播音) | 話し声、テレビ、音楽 | 上階の住人が在宅している時間帯 | 聞こえる方向が一つの部屋か、複数の部屋か |
| 給排水管の音 | 水が流れる音、管の中を通る音 | 上下階の入浴・トイレ・洗濯の前後 | 水を使った時刻と音の時刻が重なるか |
| ネズミ | 天井裏や壁の中を走り回る音、かじる音 | 夜間に活動することが多い | 一晩の時刻を記録し、フンや黒いこすれ跡の有無を見る |
| コウモリ | 羽音、天井裏でキーキーと鳴く声 | 夕暮れ以降。活動は春から秋が中心 | 夕方にバルコニーや換気口の周りで出入りがあるか |
| 鳥(ドバトなど) | 羽ばたく音、鳴き声 | ドバトは早春から初冬まで何度も繁殖する | バルコニーの隅、エアコン室外機の下や裏に巣材やフンがないか |
参考:国土交通省住宅局|音と向き合うためのハンドブック 共同住宅で快適に暮らすための音への気づきと工夫(PDF)
マンションの天井から夜に物音がするのは、ネズミですか?
夜間に天井裏や壁の中を走り回る音は、日本ペストコントロール協会がネズミの被害として挙げる音の一つです。ただ、上階の生活音や配管の音も天井から聞こえることがあるため、時刻と音の種類を記録して管理会社へ相談し、原因を絞ります。
マンションとアパートでは、天井の音の伝わり方が同じではありません
建物の構造で、音の伝わり方は変わります。国土交通省のハンドブックは、住まいの遮音性能は壁・床・界壁の構造や部材の厚さで大きく変わり、一般的には鉄筋コンクリート造は音が伝わりにくい傾向があるとしています。一方で、最近は木造や鉄骨造でも遮音の仕様を強めた物件があるため、構造名だけで決めず、図面や管理会社の説明で確認します。
鉄筋コンクリート造のマンションの場合
同じハンドブックは、足音や物を落とした音のような固体伝播音は、壁や天井などの躯体を振動させ、躯体でつながっている他の住戸へ伝わると説明しています。つまり、真上の部屋の音とは限らず、斜め上や離れた住戸の音が天井から響くこともあります。
天井には、コンクリートの床の下に天井板を張って空間を設けたものと、コンクリートに直接仕上げたものがあります。どちらかは建物ごとに違うため、図面や管理会社の資料で確認します。天井の内側に空間がある場合は、そこを配管や配線が通ることがあり、音がどこを伝わるかを考える手がかりになります。
木造・鉄骨造のアパートの場合
ハンドブックは、住生活総合調査(2023年)で、上下階や隣戸からの音に対する遮音性の満足度が、持家の共同住宅で65.1%、民間賃貸の共同住宅で48.9%、民間賃貸の木造共同住宅で38.2%だったと紹介しています。賃貸の木造では、生活音が気になりやすい状況がうかがえます。
木造や鉄骨造のアパートでは、最上階の住戸の天井の上が屋根裏(小屋裏)になっている場合があり、軒先や換気口から入った動物の足音を真下の部屋で聞く可能性があります。屋根裏の有無は、図面や管理会社の説明で確かめます。中間階では、上階の床と下階の天井の間の作りが建物ごとに異なるため、管理会社への確認が欠かせません。
| 確認する点 | 鉄筋コンクリート造のマンション | 木造・鉄骨造のアパート |
|---|---|---|
| 音の伝わり方 | 壁や天井の躯体を伝わる固体伝播音と、配管を通る音がある | 壁・床・天井の仕様で変わる。遮音を強めた物件もある |
| 最上階の天井の上 | 屋上や屋根の下の空間。構造は建物ごとに異なる | 屋根裏(小屋裏)になっている場合がある。図面で確認し、軒先や換気口も見る |
| 中間階の天井の内側 | コンクリートに直接仕上げか、天井板を張った空間か。図面で確認 | 上階の床との間の空間の作りは建物ごと。管理会社に確認 |
| 動物が使う経路の例 | 配管のすき間、バルコニー、換気口の周り | 軒先、屋根と壁のすき間、換気口、配管の貫通部 |
上階の生活音と配管の音は、聞こえた方向が当てにならないことがあります
国土交通省のハンドブックのコラムは、5階建てのマンションの1階の浴室で水を流したときの音を各部屋で測った図を示し、浴室から離れた部屋にも音が届くこと、水まわりの音は配管を通じて建物全体に響きやすいことを説明しています。足音や工事の音でも、上階から聞こえると思った音が別の場所から伝わっていたということは、共同住宅では珍しくないと書かれています。
環境省の騒音規制法施行状況調査(2023年)をもとにしたハンドブックの記述では、家庭生活に伴う音の苦情の発生源は、電気機器が25.3%、人の声・足音・給排水音が22.1%でした。天井から聞こえるように感じる音の候補には、エアコンや換気扇、給湯器、洗濯機などの設備の音も含めて考えます。昼の天井音を設備と照合する方法も参考になります。
- 換気扇、エアコン、給湯器、洗濯機が動いていた時刻と、音が聞こえた時刻を並べる
- 水を使った前後(入浴、トイレ、洗濯)に音が出るかを見る。無理に設備を止める実験はしない
- 音が聞こえる場所が一つの部屋だけか、複数の部屋にまたがるかを書き分ける
集合住宅でネズミ・コウモリ・鳥が入りやすい場所
東京都の「都民のためのねずみ防除読本」は、ビルの中のクマネズミが天井裏や壁の中、冷蔵庫など電気機器の裏に巣を作り、餌を探す活動は主に夜に行い、電線ケーブルやガス管、排水管などのパイプ類を伝ってごみ置き場や食品保管場所へ移動すると説明しています。そのため、パイプ類と壁の貫通部分の開口部が大きな問題になるとされています。
コウモリについて、前橋市の案内は、生活被害として羽音や天井裏での鳴き声を挙げ、侵入ポイントとして窓やドアのすき間、換気口や通気口、エアコンと室外機をつなぐ配管用のすき間、屋根と壁のすき間を示しています。マンションでも、バルコニー側の設備や換気口の周りは候補になります。
配管シャフト周辺の調べ方はマンションの配管シャフト周辺に害虫。階をまたぐ調査の頼み方、バルコニー側のコウモリはマンションのベランダにコウモリで扱っています。ここでは、天井の音から場所の見当をつける材料として使ってください。
| 場所 | 入りやすい動物と理由の例 | 確認のしかた |
|---|---|---|
| 配管シャフト・パイプスペース周辺 | ネズミ。電線やガス管、排水管などのパイプ類を伝い、壁の貫通部の開口部から移動する | 共用部分のため扉を開けず、住戸内から見える範囲を記録して管理会社へ伝える |
| バルコニー・エアコン室外機の周り | コウモリ。室外機につなぐ配管用のすき間が侵入点に挙げられる。ドバトはベランダの隅や室外機の下・裏に巣を作りやすい(大阪市) | 夕方の出入りの時刻と、フンや巣材の位置を写真で記録する |
| 換気口・通気口 | コウモリ。換気口や通気口が侵入点に挙げられる | 換気口は自分でふさがず、位置と状態を管理会社へ伝える |
| ごみ置き場・食品を置く場所 | ネズミの餌場。ここへ向かう通り道が天井裏や壁の中になる | ごみ置き場の状況も合わせて管理会社へ共有する |
天井の中は誰の管理か|専有部分と共用部分の考え方
国土交通省のマンション管理・再生ポータルは、専有部分と共用部分の仕分けはお住まいのマンションの管理規約などで定められているため、まず管理規約を確認するよう案内しています。標準管理規約の第7条、第8条、別表第2は、その考え方の例として示されているものです。
令和7年改正の標準管理規約(単棟型)では、天井、床、壁は躯体部分を除く部分が専有部分とされています。別表第2は、パイプスペース、メーターボックス、内外壁、界壁、床スラブ、柱、各種の配線配管(雑排水管と汚水管は配管継手と立て管)などを共用部分に挙げています。天井の仕上げの内側であっても、躯体や立て管は共用部分側にあたるため、住戸の天井を自分で開けて確かめる前に、管理会社へ連絡します。
分譲マンションの場合
分譲の場合の相談先は管理会社と管理組合です。東京都の読本は、集合住宅でねずみが発生したときは入居者全体での対応が必要で、分譲住宅では管理組合が主体となり、アンケートなどで建物全体の被害状況や侵入経路、餌場になりやすいごみ置き場を調べると説明しています。自分の住戸の音を、建物全体の問題として伝える意識が役に立ちます。共用部分の被害の伝え方はマンション共用部で被害を見つけたらが参考になります。
賃貸マンション・アパートの場合
賃貸では、管理会社が入っていれば管理会社、入っていなければ大家が連絡先です。東京都の読本は、賃貸住宅では家主が主体になると説明しています。標準管理規約の第5条は、占有者(賃貸で住む人など)も対象物件の使用方法について区分所有者と同じ義務を負うとしており、建物のルールは借りている人も守る前提です。賃貸の連絡文は賃貸の害獣被害を管理会社へ報告。調査を頼みやすい連絡文の作り方で確認できます。
上階の音だったとき:直接言わずに、管理会社・管理組合を通して相談する
国土交通省のハンドブックによると、令和5年度のマンション総合調査で、居住者間の行為やマナーをめぐるトラブルのうち最も多かったのは生活音で、43.6%でした。音の問題は珍しくないからこそ、伝え方が大切になります。
同じハンドブックは、音の発生源は隣接する部屋とは限らず、建物の構造によっては離れた住戸から壁や共用部分を通じて伝わることもあるため、決めつけて相手の住戸に直接伝えると誤解を招きやすいと説明しています。気になるときは、訪ねるのではなく、まず管理会社や大家に相談するのがよいとされています。匿名で注意喚起をしてもらえる場合もあります。
トラブルが起きたときの流れとして、ハンドブックは、日時・頻度・影響を記録する、管理会社や大家を通す、それでも難しいときは自治体の消費生活相談窓口や国土交通省が設ける住まいるダイヤルなどの公的な窓口を使う、という順を示しています。この記事では、上階の生活音への対応を、管理会社・管理組合への相談までにとどめています。話し合いが長引く場合の進め方は、管理会社や公的窓口に確認してください。
- 「天井から○時ごろ、△△のような音が週に□回ある」と、事実だけを書く
- 上階の音と決めつけず、音の出どころが分からないことを添える
- 睡眠への影響などは、事実として短く書き、感情的な表現は避ける
管理会社に伝える記録は、日時・音の種類・場所の三点が基本
管理会社が最初に知りたいのは、いつ、どこで、どんな音がするかです。ハンドブックも、どんな音がいつ、どのくらいの頻度で出るか、どのような影響があるかを記録することを第一歩としています。難しい機材は要りません。下の表の項目を、スマートフォンのメモに日付つきで残します。
動物の痕跡を見つけたときは、素手で触らず、位置が分かる写真を添えます。一晩の音の取り方は夜間の天井の音を記録する。調査に役立つ一晩のメモの作り方にまとめています。記録は、上階への苦情の材料ではなく、原因を絞るための材料として使います。
| 記録する項目 | 書き方の例 | 分かること |
|---|---|---|
| 日付・時刻・続いた長さ | 10月3日 午前2時10分ごろから約15分 | 生活時間と合うか、夜間に偏るか |
| 音の種類 | 走るような音、かじるような音、水が流れる音、羽ばたく音 | 上階・配管・動物の見当 |
| 聞こえる場所 | 寝室の天井の窓側、廊下側の壁際など | 天井の中のどのあたりか |
| 同時に起きたこと | 換気扇や給湯器の運転、上下階の入浴・洗濯、雨や風 | 設備や配管との関係 |
| 痕跡 | 粒状のフン、黒いこすれ跡、天井のシミ、においの有無(触らず撮影) | 動物の可能性、漏水との区別 |
天井を開ける前に、自分でしないこと
天井点検口や天井材は、住戸の中にあっても、共用の配管や設備に近い場合があります。標準管理規約の第23条は、管理を行う者が、管理に必要な範囲で専有部分への立入りを請求でき、請求された側は正当な理由がなければ拒否できないと定めています。調査や修理の入室日は、管理側と調整して決めることが多いため、自分で天井を開ける前に連絡をします。入室の準備は賃貸の訪問調査に立ち会う。入室範囲と当日の判断を先に決めるが参考になります。
- 天井点検口や天井材を、管理会社に連絡する前に開けたり外したりしない
- 共用部分の配管シャフトや換気口を、自分でふさいだり開けたりしない
- 市販の殺虫剤や忌避剤、捕獲器を天井の内側や共用部分に使わない。使う場合は製品の表示に従い、事前に管理会社へ確認する
- 上階や隣室の住人に、音の苦情を直接伝えに行かない



