ハウスメーカーの長期保証と防蟻保証は別の保証|法律の10年との違い

ハウスメーカーの「長期保証」と、シロアリ予防の「防蟻保証」は、名前が似ていても別の保証として書かれていることがあります。まず、法律が定めている責任と、各社が独自に設けている保証を分けて読みます。

法律が定める10年の責任

住宅の品質確保の促進等に関する法律は、新築住宅の請負人や売主に、引き渡しから10年間、住宅の構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分の瑕疵について責任を負わせています。契約で期間を延ばす場合も、引き渡しから20年以内とされています。対象の部位は政令で、基礎、柱、土台、斜材、床版、屋根版、横架材など、屋根や外壁の開口部の建具などと定められています。

この10年の責任は、部位と瑕疵で決まるものです。確認した法令の本文と政令には、シロアリや防蟻薬剤の効果期間を直接定めた記載はありません。再施工の条件や防蟻の保証は、各社の保証書や約款に書かれた内容として確認する必要があります。個別の被害がこの責任に当たるかどうかは、住まいるダイヤルなどで確かめてください。

会社ごとに決める長期保証と防蟻保証

各社の長期保証は、法律の10年を超える期間を、点検やメンテナンス工事を条件に設ける例があります。三井ホームの公式ページでは、基礎・構造躯体の最長60年保証と、防蟻処理の10年保証が、同じ保証システムの注記の中で、別の条件として書かれています。

ハウスメーカーの長期保証と防蟻保証は別の保証|法律の10年との違い:確認項目
保証の種類根拠主な対象書面で確かめる場所
法律上の10年の責任住宅の品質確保の促進等に関する法律(新築住宅)構造耐力上主要な部分と、雨水の浸入を防止する部分の瑕疵請負契約書・売買契約書、契約時の説明
ハウスメーカーの長期保証各社の保証制度(公式ページ、保証書、約款)会社が定める構造躯体・防水など。延長に点検やメンテナンス工事を条件とする例がある保証書、保証基準、維持保全計画書
防蟻の保証防蟻施工の保証書(施工した会社が発行)防蟻施工の効果や再発時の対応。期間や再処理の条件は会社ごと防蟻施工の保証書、施工報告書
専門業者の保証専門業者が発行する保証書その業者が施工した範囲・薬剤・期間保証書、見積書、施工報告書

参考:e-Gov法令検索|住宅の品質確保の促進等に関する法律(第94条・第95条・第97条)

読者の疑問

ハウスメーカーの防蟻保証は、専門業者より安心ですか?

比較ガイド

一概には言えません。安心感は会社の規模ではなく、保証書に何が書かれているかで決まります。対象範囲、期間、再発時の責任、点検条件、保証を出す会社を確認し、見積もりの範囲・薬剤・保証年数をそろえて比べてください。

シロアリ駆除は何年ごと?再施工の間隔を協会の仕様書と各社で見比べる

日本しろあり対策協会は、シロアリ防除処理を、協会に登録された者が認定薬剤を用い、防除施工標準仕様書と安全管理基準に基づいて行うものと説明しています。防除処理には土壌処理と木部処理があり、両方を行うことになっていて、仕様書では五年を目途に再処理をするとしています。

一方、ハウスメーカーの公式ページには、別の間隔が書かれていることがあります。三井ホームは防蟻処理について、引き渡し日から10年目以降、10年ごとに再処理を実施することで10年の保証をするとし、東日本の特別地域は5年ごとの防蟻点検、西日本の特別地域は5年ごとのメンテナンス付き点検が必要としています。公式ページの記載だけでは、協会の「五年を目途」との違いの理由は分かりません。担当者に、再処理の間隔の根拠となる薬剤と仕様を質問してください。

どちらの間隔が正しいという話ではなく、自分の家の保証書にどう書かれているかが基準です。シロアリ予防はいつ再施工する?保証満了と今の被害を分けて考えるでは、保証満了の時期と今の被害を分けて考える方法を整理しています。

参考:日本しろあり対策協会|シロアリ防除の方法

保証延長で防蟻の再施工を条件に挙げる例|三井ホームの公式ページ

三井ホームの公式ページ(2026年10月3日確認)は、60年点検・保証システムについて、建物引き渡し後60年にわたり10年ごとに点検を実施し、2年・10年・20年・30年点検は無料と説明しています。基礎と構造躯体は、定期点検の結果、必要な有料メンテナンス工事を実施することで、最長60年保証するとされています。

同じ注記の中で、防蟻処理は別の条件として書かれています。引き渡し日から10年目以降、10年ごとに再処理を実施することで、10年の保証をするという内容です。基礎・構造躯体の保証と防蟻の保証は、期間も条件も別立てになっていることが分かります。そのほかの点検や保証の詳細は、引き渡し時に発行する保証書によるとされています。

この例は、防蟻の再施工が保証の条件に含まれる場合があることを示しています。ただし、確認したページには、再処理を他社で行った場合の扱いまでは書かれていません。担当者に質問し、回答を書面で受け取る必要があります。

参考:三井ホーム|安心アフターサポート・60年点検・保証システム(2026年10月3日確認)

点検とメンテナンス工事を条件に挙げる例|住友林業・積水ハウス

ここでは、公式ページで確認できる範囲だけを紹介します。2社のページには、確認した範囲で、防蟻や他社の防蟻施工の扱いについての記載は見当たりませんでした。表現は更新されることがあるため、契約書・保証書の記載を優先してください。

住友林業の公式ページに書かれた条件

住友林業の公式ページ(2026年10月3日確認)は、「維持保全計画書」に基づくメンテナンス工事を同社で実施した場合に、構造躯体と防水を最長60年間保証するとしています。30年目に保証延長を希望する場合は有料メンテナンス工事が必要で、同時に耐久診断も実施するとされています。この記載にはシロアリや防蟻の説明は見当たらなかったため、防蟻が保証延長の条件に含まれるかどうかは、維持保全計画書や保証書で確かめる必要があります。

積水ハウスの公式ページに書かれた条件

積水ハウスの長期保証制度のページ(2026年10月3日確認)には、初期30年の保証を続けるには10年点検と20年点検を受け、会社が必要と判断した補修工事(無償)を行うことが前提と書かれています。また、天災・事故による損傷や、同社以外の業者による増改築などで同社の設計基準に合致しない状態にある場合は、保証の適用除外になるとされています。こちらも防蟻についての記載は、確認したページには見当たりませんでした。

点検とメンテナンス工事を条件に挙げる例|住友林業・積水ハウス:確認項目
会社(2026年10月3日確認)公式ページに書かれた条件の要点防蟻についての記載書面で確かめること
三井ホーム10年ごとの点検と所定の有料メンテナンス工事で、基礎・構造躯体を最長60年保証。詳細は保証書によるあり。10年目以降10年ごとの再処理で10年の保証(特別地域は5年ごとの点検)再処理を他社で行った場合の扱い、再処理の費用の負担
住友林業維持保全計画書に基づくメンテナンス工事を同社で実施した場合、構造躯体と防水を最長60年保証。30年目の延長は有料メンテナンス工事と耐久診断を実施確認したページには記載なし防蟻の施工が維持保全計画書や保証の条件に入るか、他社施工の扱い
積水ハウス初期30年の保証継続に、10年点検・20年点検と必要な補修が前提。同社以外の業者による増改築などで設計基準に合致しない状態は適用除外確認したページには記載なし防蟻施工を他社に頼んだ場合の扱い、増改築との区別
  • 防蟻の再施工が、保証延長の条件として明記されているか
  • 点検やメンテナンス工事を、会社自身で行うことが条件になっているか
  • 他社の工事が、保証の適用除外の例として書かれているか

参考:住友林業|アフターサービス・60年保証システム(2026年10月3日確認)

ハウスメーカー経由と専門業者へ直接頼む場合の違い(契約相手・施工者・保証主体)

ハウスメーカーに防蟻の再施工を頼む場合と、専門業者に直接頼む場合では、契約の相手、実際に作業する会社、保証書を出す会社が変わることがあります。協会は、リフォーム会社を通じてシロアリ駆除をした相談に対し、リフォーム会社と契約した場合はシロアリ業者が下請けになり、責任の所在はリフォーム会社にあるため、基本的にはすべてリフォーム会社を通して話を進めるべきだと説明しています。業者の保証書を客に渡すかどうかは、リフォーム会社の判断によるとも述べています。

ハウスメーカー経由でも、契約書でどの会社が責任主体かを確かめる視点は同じです。次の表は、依頼先ごとに書面で確かめる項目を並べたものです。どちらが得かは、見積もりの中身と保証の条件を並べるまで判断できません。「ハウスメーカーなら安心」「専門業者なら安い」と決めつけず、次の節の質問に書面で答えてもらいます。契約相手と施工会社の確かめ方は、紹介窓口と施工会社は同じ?害獣駆除の契約相手を確かめるの考え方も参考になります。

ハウスメーカー経由と専門業者へ直接頼む場合の違い(契約相手・施工者・保証主体):確認項目
確認項目ハウスメーカー経由専門業者へ直接依頼
契約の相手契約書の記載で確認。契約相手と施工会社が別になる場合がある専門業者が契約相手。会社名と所在地を契約書で確認
実際に施工する会社グループ会社や協力会社が施工することがある。施工会社名を見積書で確認下請けに出す場合があるか、書面で確認
保証書を出す会社保証書の発行者が、元請けか施工会社かを確認保証書の発行者が施工会社か確認。協会の登録会員かも確認
建物の長期保証との関係保証延長の条件に防蟻の再施工が入るか、保証書・約款で確認他社施工の扱いを、ハウスメーカーに書面で確認
見積書の見方防蟻以外の工事や管理にあたる費用が含まれていないか、内訳で確認施工面積・薬剤・保証年数・点検条件を内訳で確認
相談窓口ハウスメーカーのアフターサービス窓口、住まいるダイヤル施工会社の窓口、協会の相談窓口、住まいるダイヤル

参考:日本しろあり対策協会|シロアリQ&A(リフォーム業者を通じた駆除と、保証書・責任の所在)

他社で防蟻施工をしたときの保証は?書面で確認する質問表

他社施工の扱いは、公式ページだけでは分からないことが多い論点です。口頭の「大丈夫です」「できません」だけで判断せず、保証書、約款、維持保全計画書のどこに書かれているかを示してもらい、回答を書面かメールで残します。

積水ハウスの公式ページは、同社以外の業者による増改築などで設計基準に合致しない状態にある場合を、保証の適用除外としています。これは増改築の例で、防蟻施工とは別の話ですが、他社の工事を保証の条件の中でどう扱っているかを見るヒントになります。保証年数より先に何を見るかは、害獣駆除の「最長10年保証」。年数より先に見る5項目にも整理しています。

  • 防蟻の再施工を他社で行った場合、建物の長期保証(構造躯体・防水など)は継続しますか。該当する条項はどこですか。
  • 他社施工でも、長期保証の延長に必要な点検や有料メンテナンス工事は受けられますか。
  • 防蟻の保証は、他社が発行した保証書で足りますか。それとも自社施工が条件ですか。
  • 保証延長に防蟻の再施工が必須の場合、施工を依頼できるのは自社だけですか。
  • 他社施工後に施工報告書や保証書を提出すると、次の点検で扱いが変わりますか。
  • この回答を、書面かメールでいただけますか。

参考:積水ハウス|長期保証制度(永年保証)(2026年10月3日確認)

見積もりを比べるときにそろえる条件(範囲・薬剤・保証年数)

ハウスメーカーの見積もりと専門業者の見積もりを比べるときは、価格の高低より先に、条件をそろえます。範囲が違えば、価格は比べられないからです。協会は、見積書の面積について、ヤマトシロアリでは通常1階の床面積を基準とし、イエシロアリの場合は2階の床面積も加わる場合があると説明しています。業者によって表現も多少違うとされています。

坪単価や平米単価の読み方は、シロアリの坪単価と平米単価。面積・最低施工額・含まれる工事をそろえて比べるにまとめています。会社の比べ方はシロアリ駆除業者ランキングの前に|協会登録・薬剤・保証・再点検で比べるも参考になります。この記事では、金額の目安は示しません。見積書に書かれた条件と、保証書の条項を並べて確認してください。

  • 施工範囲(床下全体か部分か、土壌処理と木部処理の両方か)
  • 対象面積と、面積の基準(1階の床面積か、延べ床面積か)
  • 使う薬剤と、協会認定薬剤かどうか
  • 保証年数と、再発時の責任・上限金額
  • 点検の回数と費用、更新の条件
  • 施工する会社名と、保証書の発行者

参考:日本しろあり対策協会|シロアリ工事の見積もり面積はどこまで含まれるか

判断に迷うときの相談先と、決め方の順番

契約や保証の内容に迷うときは、住まいるダイヤル(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター)に相談できます。公式ページによると、住宅に関する広い知識を備えた建築士の資格を持つ相談員が電話で対応し、電話番号は03-3556-5147、受付は10時から17時(土日祝日と年末年始は休み)です。固定電話からは全国どこからでも市内通話料で利用できるとされています(一部のサービスを除く)。(2026年10月3日確認)

決め方の順番は次のとおりです。まず保証書・約款で、防蟻の再施工が長期保証や保証延長の条件に入るかを確認します。入るなら他社施工の扱いを書面で確認し、入らないなら見積もりを複数そろえて比べます。その場の契約を急がされたときは、駆除の請求トラブルを188へ相談するにはで、相談前に準備する資料を確認してください。

  • 保証書・約款で、防蟻の再施工が保証延長の条件に入るかを確認する
  • 条件に入るなら、他社施工の扱いを書面で確認する
  • 条件に入らないなら、範囲・薬剤・保証年数・点検条件をそろえて見積もりを比べる
  • 返答に納得できないときや契約を急がされるときは、第三者に相談する

参考:住まいるダイヤル(住宅リフォーム・紛争処理支援センター)|相談サービスのご案内(2026年10月3日確認)