水を運ぶ性質が、調査範囲に関係する
横浜市衛生研究所は、イエシロアリが土中や建築物などに塊状の巣を作り、長い蟻道を通じて水分を運び、木材を湿らせながら加害すると説明しています。被害が建物全体に及ぶ場合もありますが、発見した家で必ずそうなっているという意味ではありません。
この性質を踏まえると、「床下が乾いていたから問題ない」「上階なので対象外」といった説明だけでは調査が十分か判断できません。どの根拠で範囲を決めたのかを聞き、確認した部位と調べていない部位を分けてもらいます。
参考:横浜市衛生研究所|洗面所に羽のある虫がたくさん出現!!(シロアリ)
夕方に飛ぶ羽アリならイエシロアリですか?
時刻は補助情報です。ほかの虫や屋外からの飛来もあるため、虫の形と発生位置を確かめて判断してもらいます。
羽アリが飛来した場所と、湧き出た場所を分ける
窓や照明のそばに集まった虫が、外から入ったのか、枠や壁の隙間から出たのかで相談内容が変わります。最初に気付いた位置と、そのとき窓が開いていたかを書きます。季節や時刻だけでイエシロアリと決めず、撮影できた虫の形も資料にします。
見つけた羽を全部捨てる前に、相談先へ写真で足りるか、標本が必要かを聞いてください。自分で壁を開けたり、虫を探して天井裏に上がったりせず、受付に「発生源は未確認」と伝えて差し支えありません。
| 確認すること | 記録・相談のポイント |
|---|---|
| 窓辺だけに集まった | 窓の開閉・屋外照明・室内の発見位置 |
| 木枠の一部から出た | 出ていた箇所の全景。穴は広げない |
| 複数階で痕跡がある | 各階の部屋と上下の位置関係 |
| 以前も羽アリが出た | 前回の日付、処置の範囲、残る写真 |
目の前の羽アリが消えても、内部の確認は別に行う
大阪市西区は、シロアリの羽アリだけを駆除しても巣の内部に働きアリなどが残ると案内しています。見える虫が減ったことは、その日の室内の状況であり、建物内の活動が終わった根拠にはなりません。
既に薬剤を使った場合は、製品名、使用日、噴霧した位置を伝えます。さらに各所へ散布する前に、確認に必要な痕跡と調査方法を相談してください。巣の位置が分からないまま、見えている木枠だけを交換する提案にも、調査との関係を尋ねます。
巣を確認できた場合と、推定している場合を聞き分ける
報告では、種の判定に使った虫、現在の活動を確認した場所、巣が見つかったかをそれぞれ尋ねます。巣を直接見ていないなら、推定の根拠と調査の限界を説明してもらいます。「巣はこの辺」という口頭説明だけで建物全体の工事を判断しないようにします。
見えない壁内まで調べる必要がある場合は、開口する位置、建物を傷つける可能性、復旧費用の扱いを先に確認します。最初の調査で全部分からないときも、次に必要な確認と、その結果によって工法が変わる条件が分かれば比較できます。
施工後に確かめる対象まで依頼前に決める
防除の提案では、対象の種、施工範囲、採用する方法の理由、観察や再点検の予定を一組で受け取ります。イエシロアリへの対応を依頼したつもりでも、書面が単に「シロアリ処理一式」なら、対象と範囲を補ってもらいましょう。
木材の傷みが見つかった場合は、防除後に使い続けられる部材かを誰が判断するかも質問します。虫の活動の評価と、柱や梁の性能の評価は同じではありません。保証がある場合は、何を確認して再対応するのか、補修費も対象かを契約書で確かめます。



