家の蜘蛛は噛む?ハエトリグモとアシダカグモは人を咬まない

千葉市の資料は、アシダカグモについて、自分から人を襲って咬んだという報告はなく、素手で直接つかまなければ被害はまずないと説明しています。毒は持っていても餌の昆虫を捕らえるためのもので、ゴキブリなどを食べるため益虫に分類されることもあります。大きく見えて不安になりますが、見た目の怖さと人への危険度は別の話です。

国立健康危機管理研究機構(感染症研究所)の解説(2013年掲載)でも、日本にいるクモは約1,000種で、多くは人に危害を与えず、目立たない場所で糸を使って暮らしているとされています。「家 蜘蛛 やばい」と感じる場面でも、まず種類を確かめることが大切です。なお、クモは刺すのではなく、牙で咬んで毒を注入します。

咬傷に注意が必要なクモは、事業者の解説では主に3種類とされています。外来種のセアカゴケグモとハイイロゴケグモ、在来で草むらにすむカバキコマチグモです。札幌市は、カバキコマチグモのオスが夏に室内へ入り、寝具や履物、洗濯物の中に潜んで偶発的に咬むことがあると説明しています。

家の蜘蛛は噛む?ハエトリグモとアシダカグモは人を咬まない:確認項目
クモの種類主な居場所咬傷についての公的資料・事業者資料の記載
ハエトリグモ家の中の窓際や流しの周り。巣は張らず、小さな虫を食べる人に影響を与える毒グモとしては挙げられていない
アシダカグモ家の中。夜に歩き回り、ゴキブリなどを食べる自分から人を咬んだ報告はなく、素手でつかまなければ被害はまずない
カバキコマチグモススキなどの草むら。夏にオスが室内へ入ることがある偶然触れて咬まれることが多く、激しい痛みを生じる
セアカゴケグモ・ハイイロゴケグモ屋外の暖かいすき間や、屋外に置いた物の中メスが毒を持つ。素手で触ると咬まれることがあり、特定外来生物

参考:千葉市|クモの生態と防除方法(住居衛生相談)

読者の疑問

家の蜘蛛に噛まれることはありますか?

比較ガイド

千葉市の資料では、アシダカグモが自分から人を咬んだ報告はなく、素手でつかまなければ被害はまずないとされています。注意が必要なのは、ゴケグモ類とカバキコマチグモです。

セアカゴケグモ・ハイイロゴケグモの特徴と、赤い模様の見分け方

セアカゴケグモのメスは体長1cm前後で、全体が黒く、腹部の背面に赤い縦すじがあります。国立環境研究所の資料では、メスは約0.7〜1cm、オスは約4〜5mmで、オスの腹部は灰白色に白い斑紋があり、赤い縦すじはありません。腹側には、ゴケグモ類に共通する砂時計の形の赤い斑紋があり、神戸市もこれを目印に挙げています。毒を持つのはメスのみだと阿南市は案内しています。

ハイイロゴケグモは、体色が黒・茶・灰色と幅広く、背中の模様もさまざまですが、腹部の裏側には同じ赤い砂時計の模様があります。国立環境研究所によると、メスは12〜16mmと大きめで、卵のうが薄黄色で表面に多数の突起があり、乳白色でなめらかなセアカゴケグモの卵のうと区別できます。同研究所のこのページは2012年の更新のため、現在の分布は自治体の最新の案内で確認してください。

セアカゴケグモは1995年に大阪府で初めて見つかり、ほぼ全国の都道府県で発見記録があります。ゴケグモ属は、環境省によれば在来のアカオビゴケグモを除く種が特定外来生物に指定されており、国立環境研究所は2015年10月からの指定としています。市区町村ごとの状況は、同研究所のページが案内する、環境省のアンケート結果の一覧で調べられます。

赤くて小さい虫がいても、クモとは限らない

大阪市は、セアカゴケグモによく似た無害なクモもいるため、腹部の真っ赤な模様を目印にするよう案内しています。一方、春から初夏にベランダや外壁を動き回る赤く小さな虫は、タカラダニのこともあります。名古屋市衛生研究所の図鑑では、カベアナタカラダニは胴長1mm前後の鮮やかな赤いダニで、人体に直接の害はないとされています。

家の中で赤っぽいクモを見たときは、大きさ、模様、見つけた場所を写真に残し、自治体の衛生担当に確認するのが確実です。腹部の赤い縦すじや、腹側の砂時計の模様が確認できない場合は、別のクモの可能性を考えます。

セアカゴケグモ・ハイイロゴケグモの特徴と、赤い模様の見分け方:確認項目
見る点セアカゴケグモハイイロゴケグモ赤い小さな虫(タカラダニ)
大きさメス約0.7〜1cm、オス約4〜5mmメス12〜16mm、オス6〜8mm胴長1mm前後
色と模様メスは黒地で腹部背面に赤い縦すじ。腹側に赤い砂時計形黒・茶・灰色と変化が大きい。腹側に赤い砂時計形鮮やかな赤色
卵のう乳白色の球形で、直径1〜1.5cm薄黄色で、表面に多数の突起がある資料に記載なし
見つかる場所屋外の暖かいすき間、排水溝、屋外に置いた物建物のすき間など春から初夏のベランダ・外壁・塀
人への影響メスが毒を持ち、咬まれることがある神経毒を持つが、死亡例の報告はない人体に直接の害はない

参考:国立環境研究所 侵入生物データベース|セアカゴケグモ

セアカゴケグモが潜む場所|家の外の暖かいすき間と、屋外に置いた物

大阪府は、セアカゴケグモが網を張って繁殖するには、日当たりが良く暖かいこと、餌の昆虫や小動物が豊富なこと、巣を張るすき間があることの3つが必要だと説明しています。環境省も、自動車、プランターの底、室外機の裏、庭に置いた靴の中などを例に挙げており、家の中より家のまわりの屋外が中心です。

屋外に置いていた傘、衣服、おもちゃなどにクモが付着して、屋内に持ち込まれる可能性もあります(環境省)。大阪府が公表した咬傷事例には、屋外で衣服に付いたとみられるクモに自宅内で咬まれた例や、就寝中に咬まれた例も含まれています。屋外から持ち込む物の確認が、家の中の対策になります。

屋外用品を使う前に確認すること

ゴケグモが隠れやすいのは、長く動かさなかった屋外の物の内側や裏側です。次の点を習慣にすると、気づかずに触れる場面を減らせます。

  • サンダル、スリッパ、長靴は、履く前に中と裏を見る
  • 庭仕事の手袋、帽子、バケツ、ホースは、使う前に内側を確認する
  • 取り込む洗濯物は、ベランダで広げてクモが付いていないか見る
  • 傘、おもちゃ、自転車は、屋外に置いたまま長く使わない期間を作らない
セアカゴケグモが潜む場所|家の外の暖かいすき間と、屋外に置いた物:確認項目
場所潜みやすい理由点検の目安
排水溝の側面・ふたの裏暖かく、昆虫が集まり、すき間がある掃除のときは軍手を着け、ふたの裏にいるクモに触れないようにする
花壇のブロックのくぼみ・プランターと壁のすき間・空の植木鉢日当たりが良く、巣を張れるすき間がある植木鉢を動かす前に、裏側を目で確認する
エアコン室外機・自動販売機・設備カバーの裏人工的な熱源の周りで暖かい手を差し入れず、外側から見て確認する
屋外に置いた履物・手袋・バケツ・自転車使われない間に、物の内側や裏が巣の場所になる使う前に内側と裏を確認する

参考:大阪府|セアカゴケグモについて

咬傷はどんな場面で起きているか|大阪府の公表事例から

大阪府は、府内で判明したセアカゴケグモの咬傷事例を公表しています。2025年3月末までの累計は101例で、令和2年度に3件、令和3〜5年度は0件、令和6年度は2件でした。同じページ(2025年8月18日更新)には、令和7年度として、8月に貝塚市の自宅敷地でスリッパを履いたときに足の甲を咬まれた事例が1件載っています。

事例の場面は、ベランダや庭に置いたサンダル・スリッパ・長靴を履いたとき、放置していた手袋をはめたとき、クモの巣を払ったとき、学校のプールサイドや公園の遊具で過ごしていたときなど、普段の生活の中です。大阪府は、庭で作業するときの軍手の着用、履く前の確認、素足での作業を控えることを呼びかけています。国立健康危機管理研究機構も、庭のサンダルや長靴、側溝の掃除、植木鉢の運搬などで咬まれた例が多いとまとめています。

参考:大阪府|セアカゴケグモによる咬傷にご注意ください!(咬傷事例、2025年8月18日更新)

見つけたときの対応|素手で触らず、殺虫剤か踏みつぶしで駆除する

環境省は、ゴケグモを見つけたらお住まいの自治体に連絡すること、素手で捕まえたり触ったりしないことを案内しています。駆除は、家庭用殺虫剤(ピレスロイド系)を使うほか、靴で踏みつぶすなどの方法があります。生きたままのゴケグモを水で洗い流さないよう注意するとも書かれています。薬剤は製品の使用上の注意に従い、用法・用量を守って使います。

周囲にも別の個体や卵のうが潜んでいる可能性があります。大阪市と江東区は、卵のうは母グモの糸で守られていて殺虫剤が中の卵まで浸透しにくいため、踏みつぶすよう案内しています。高松市は、棒などで巣ごとからめ取り、その場で焼却するか、袋に入れて完全に踏みつぶす方法を示し、江東区は熱湯をかける方法も挙げています。

駆除のあとにすること

千葉市は、死んでいる虫体でも素手で取り扱わないよう案内しています。大阪府は、巣があれば棒切れなどで払って、巣を作らせないようにすることを勧めています。見つけた日付・場所・個体数を記録しておくと、自治体に連絡するときも、同じ場所を点検するときも役立ちます。

公園・学校・店舗など、自分の敷地ではない場所で見つけたとき

道路や公園、学校など自分の敷地ではない場所で見つけた場合は、触らずに場所と状況を写真で記録し、管理者や自治体の衛生担当に伝えます。高松市は、駆除を施設の管理者と土地の所有者に依頼しています。具体例は高松市のセアカゴケグモ駆除と相談先で整理しています。

参考:環境省|セアカゴケグモ・ハイイロゴケグモ(日本の外来種対策)

自治体で違う駆除と連絡の扱い|公式案内の比較(2026年10月時点の掲載)

駆除を誰が行うか、連絡が必要かどうかは、自治体によって案内が違います。下の表は、各自治体が公開しているページの記載を、2026年10月時点でまとめたものです。ページの更新日はそれぞれ異なり、受付窓口は変わることがあるため、実際に連絡するときは、お住まいの自治体の最新のページを確認してください。

表から分かる違いは3点です。駆除の担い手(高松市は管理者・所有者)、連絡の要否(阿南市は発見場所と個体数の連絡を求め、高松市は咬傷後の連絡を求める)、相談の入口(大阪市は区ごとの生活環境担当、江東区は保健所)です。市区町村名に「セアカゴケグモ」を付けて検索し、衛生・環境担当のページを確かめてください。

より詳しい自治体別の整理は、阿南市のセアカゴケグモの連絡先と咬まれたときの流れや、南国市のセアカゴケグモの発見状況と連絡先で扱っています。

自治体で違う駆除と連絡の扱い|公式案内の比較(2026年10月時点の掲載):確認項目
自治体(ページの更新・公開日)見つけたときの案内連絡・相談先の案内咬まれたときの案内
大阪市(2026年1月6日)殺虫剤をかけるか踏みつぶす。卵のうは踏みつぶす確認や防除の方法は、各区保健福祉センターの生活環境担当へ水で洗うなど清潔にして、早く医療機関へ。乳幼児・高齢者は重症になりやすい
神戸市(2026年3月23日更新)殺虫剤を散布するか踏みつぶす。卵のう内の卵や幼虫は薬剤で死なない点に注意生活衛生ダイヤルが問い合わせ先咬まれた部位を水で洗って清潔にし、医療機関で診察を受ける
高松市(2026年9月1日更新)駆除は施設の管理者・土地の所有者が行う。市は私有地での駆除や薬剤散布を行わない受診のあと、市の環境総務課へ連絡を依頼流水で洗って直ちに受診。可能なら殺したクモを袋に入れて持参
阿南市(2026年8月21日公開)殺虫剤か踏みつぶしで処分。生きたまま持ち運ぶことは法律で禁止発見場所と個体数を、県南部総合県民局と市の環境保全課へ連絡水で洗って内科または皮膚科へ。県と市の保健窓口でも相談可
東京都江東区(2024年10月3日更新)殺虫剤・熱湯・踏みつぶしのいずれか。卵のうは踏みつぶす保健所の生活衛生課環境衛生係が問い合わせ先速やかに医療機関へ。殺してから持参し、生きたまま運ばない

参考:高松市|特定外来生物「セアカゴケグモ」に関するお知らせとお願い

咬まれたときの流れ|水で洗い、早めに医療機関へ

環境省は、咬まれると、局所の痛み、熱感、かゆみ、赤み、硬いしこり、近くのリンパ節の腫れが出ることがあると説明しています。通常は数時間から数日で軽くなるものの、脱力、頭痛、筋肉痛、不眠などの全身症状が数週間続くことがあり、重症例では筋肉の麻痺が進むことがあるため、すみやかに医療機関に相談するよう案内しています。

咬傷は日本では主に6〜10月に報告され、ほとんどが軽症ですが、重症化することもあります。国内で毒による死亡例はなく、重症化した場合は抗毒素血清による治療が必要になります(環境省)。国立健康危機管理研究機構の解説では、重症になりやすいのは小児、高齢者、虚弱体質の人とされています。症状の重さは自分で決めず、医療機関に伝えて判断を任せます。

傷口は、神戸市・大阪市・高松市が、水(流水)で洗って清潔にしてから受診するよう案内しています。大阪府は包帯や止血帯をしないほうがよいとしていますが、このページは2015年の更新のため、実際の処置は医療機関の指示を優先してください。

受診のときに伝えること

千葉市は、受診の際にクモに咬まれた旨を医師に説明するよう案内しています。国立健康危機管理研究機構の解説は、指や腕を咬まれると胸の痛みが、脚を咬まれると腹の痛みが出ることがあり、他の病気との区別が必要になるため、咬まれた状況の情報が診断の助けになると述べています。

  • クモに咬まれた、または咬まれたかもしれないこと
  • 咬まれた日時・場所と、そのときの作業(履物を履いた、庭の手入れをしたなど)
  • 咬んだクモを殺して持参できるか(生きたまま運ばない)
  • 咬まれた場所と別の場所(胸や腹など)に痛みがあること

咬んだクモの種類が分からないとき

カバキコマチグモについて、札幌市は、咬まれると激しい痛みと腫れが出るため医師の治療を受けるよう案内し、千葉市も早めの診察を勧めています。種類が分からなくても、クモに咬まれた可能性があるときは、受診先に状況をそのまま伝えます。

参考:国立健康危機管理研究機構(国立感染症研究所)|セアカゴケグモ咬症とは

特定外来生物としての扱い|生きたまま運ばず、飼わない

ゴケグモ属は、在来のアカオビゴケグモを除き、特定外来生物に指定されています(環境省。国立環境研究所は2015年10月からとしています)。外来生物法では、特定外来生物の飼養、保管、運搬、輸入、野外へ放つことなどが原則として禁止されており(環境省)、大阪市は、違反者には罰則規定があると案内しています。生きた個体を捕まえて持ち帰る、飼う、別の場所へ放すことは、いずれも避けてください。

一方、大阪市は、殺したものを持ち運ぶことは問題ないとしています。咬まれて受診するときに、殺虫剤などで殺したクモを袋に入れて持参するのは、このためです。環境省は、ゴケグモが生息する地域から車で移動したり荷物を運んだりするときに、クモが付いたまま移動しないよう注意を促しています。

参考:環境省|外来生物法 何が禁止されているの?

子どもが遊ぶ場所と屋外用品の点検リスト

大阪府は、クモが隠れる小さなすき間のある砂場の玩具や、地面に半分埋めたゴムタイヤなどで遊ぶとき、触れて咬まれることがあると注意しています。咬傷事例にも、保育所の園庭、小学校のプールサイド、公園の遊具で子どもが咬まれた例があります。

家庭では、子どもの遊び場所と屋外用品を次の順に点検します。学校や保育施設での記録の取り方は学校で虫やネズミの痕跡を見つけたとき、物置まわりの点検の考え方は庭の物置の害獣予防でも扱っています。

  • 砂場の玩具、バケツ、スコップは、使う前に内側と裏側を確認する
  • ゴムタイヤや遊具の下、ブロックのくぼみには、手を入れず目で見て確認する
  • 屋外に置いた帽子、長靴、サンダル、手袋は、使う前に中を確認する
  • 子どもには、見慣れないクモを見つけても触らず、大人に知らせるよう伝える
  • 園庭やプールサイドなど共用の場所は、施設の管理者に点検と記録を依頼する

参考:大阪府|セアカゴケグモについて