家で見るカメムシの種類|色・形・大きさ・時期の比較表

名古屋市衛生研究所の図鑑は、都市で問題になるカメムシとして、マルカメムシとクサギカメムシを挙げています。カメムシ類は、アース製薬が日本だけで約1,300種、KENSOマガジンが1,400種以上としており、種類が非常に多い仲間です。家に来るのはその一部で、色・形・大きさ・見つかる時期を組み合わせると、かなり絞り込めます。

次の表は、公的資料とメーカー資料に記載があった特徴と数値だけをまとめた比較表です。体長は個体差があるため、1〜2mm程度の違いで別の種類と決めないでください。写真を撮るときは、定規などを一緒に写すと、大きさを比べやすくなります。

家で見るカメムシの種類|色・形・大きさ・時期の比較表:確認項目
種類色・形体長家での現れ方・時期好む植物・場所
チャバネアオカメムシ光沢のある緑色で、前翅は紫がかった茶色約9〜12mm灯火によく集まり、室内に入る。9月末〜10月の夜に多いマメ科、サクラなど。種子や果実を好む
ツヤアオカメムシ光沢の強い緑色で、やや丸みがある約14〜17mm白っぽい光に寄り、洗濯物にも付くミカン・カキ・ナシなどの果樹。幼虫はスギ・ヒノキの球果を好む
アオクサカメムシ全体が緑色(体色に変異がある)約15mm家屋内に迷い込んだり、洗濯物に付いたりする多くの植物。稲の穂を吸うと斑点米の原因になる
クサギカメムシ茶色〜暗褐色で、不規則な黄褐色の斑がある約13〜18mm10月以降、越冬のため集団で家に入る多くの植物(豆類・果樹など)。山地に多い
スコットカメムシ光沢のある茶褐色約10mm山間部の家や倉庫に、越冬のため大量に入る寒冷地・山地を好む
マルカメムシ緑がかった褐色で、全体が丸い約5mm秋に洗濯物や布団に付き、家に入るクズなどマメ科植物。空き地・河川敷
キマダラカメムシ黒褐色の地に、小さな黄色の斑点約20〜23mm分布が拡大し、都市部でも見られるサクラなどの樹木
ナガメテントウムシのような艶のある赤と黒約8〜9mm4〜10月に見られるアブラナ科(菜の花など)
ヒメナガカメムシ灰黒色で、前翅は透明約4mm秋に家へ入る。空き地の草刈り後に周辺へ分散するキク科・イネ科の植物

参考:名古屋市|カメムシ類(2)(名古屋市衛生研究所 web昆虫図鑑)

読者の疑問

カメムシとカナブンの違いは何ですか?

比較ガイド

カメムシは針状の口で吸汁する半翅目で、刺激すると臭腺から悪臭を出します。カナブンは前翅が硬い鞘状の甲虫類です。臭いと前翅の作りが見分ける手がかりです。

色・形からの逆引き|緑・茶・丸い・赤と黒・灰色

見つけた虫の色と形から、候補を探す手順です。下の表で大まかに絞り、それぞれの小見出しで特徴を確認してください。季節や個体差で色が変わる種類もあるため、候補はあくまで見当として扱います。

緑色なら

光沢のある緑色のカメムシには、チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、アオクサカメムシがあります。チャバネアオカメムシは前翅が紫がかった茶色で、アース製薬は、秋になると全体が茶色になる個体もいると説明しています。ツヤアオカメムシは光沢が強く、やや丸みを帯びた形です。クリーム色のハート形の模様があるエサキモンキツノカメムシ(体長約10〜14mm)も、色や模様を手がかりに見分けられます。

茶色・まだら模様なら

茶色から暗褐色で不規則な黄褐色の斑があればクサギカメムシ、光沢のある茶褐色で山間部ならスコットカメムシが候補です。黒褐色の地に小さな黄色の斑点がある大型のものはキマダラカメムシで、名古屋市衛生研究所は、台湾や中国などに広く分布し、日本ではもともと長崎県周辺のみだったものが、近年分布の拡大が報告されていると説明しています。

丸くて小さいなら

全体が丸く、体長が約5mmならマルカメムシです。前胸背板が腹部全体をおおうように発達しているため丸く見えます。クズなどマメ科の植物に発生し、秋に越冬場所を求めて移動するとき、家に入ったり、干してある洗濯物や布団に付いたりします(名古屋市衛生研究所)。

赤と黒なら

赤と黒の虫は2系統に分かれます。ナガメはカメムシ科の小型種で、テントウムシのような艶のある赤と黒の体色です(アース製薬)。一方、サシガメ類のヨコヅナサシガメは体長16〜24mmの大型で、体は光沢のある黒色、各脚の基部と腹の端が鮮やかな赤色だと、国立環境研究所が説明しています。アカシマサシガメは黒色と赤色の体長12mm前後で、石の下や側溝のゴミの中で見つかります(名古屋市衛生研究所)。サシガメ類は人を刺すことがあるため、素手で触らないでください。

灰色の小さな虫なら

体長約4mmで灰黒色、前翅が透明ならヒメナガカメムシです。人体への直接の害はないとされますが、秋に家へ入ると嫌われます。名古屋市衛生研究所は、空き地で大量に発生し、草刈りをしたあとに周辺の家へ入ることがあると説明しています。

色・形からの逆引き|緑・茶・丸い・赤と黒・灰色:確認項目
見た目まず疑う種類確認する点触ってよいか
光沢のある緑色チャバネアオ・ツヤアオ・アオクサカメムシ前翅の色(紫がかった茶色か)、光沢の強さ成虫は刺激で臭い液を出すため、素手では触らない
茶色〜暗褐色のまだらクサギカメムシ、スコットカメムシ黄褐色の斑、体長、山間部かどうか同上
丸くて5mmほどマルカメムシ全体の丸み、クズなどマメ科の植物の近くか同上
赤と黒ナガメ、ヨコヅナサシガメ、アカシマサシガメ体長、頭の形(ヨコヅナサシガメは頭部が細長く突き出る)、脚の赤サシガメ類は刺すことがあるため、触らない
灰黒色で小さいヒメナガカメムシ体長約4mm、前翅の透明感人体への直接の害はないとされる

参考:名古屋市|カメムシ類(2)(名古屋市衛生研究所 web昆虫図鑑)

越冬で家に入る種と、洗濯物に付く種|時期の違い

KINCHOは、秋の大発生を2つに分けています。9月末〜10月ごろ、夕方から夜に、黄緑色のツヤアオカメムシとチャバネアオカメムシが白い光に大量に集まって外壁や窓に取りつくタイプと、10月以降、山間の地域で、黒〜茶色のクサギカメムシやスコットカメムシが越冬のため家の中に大量に入るタイプです。札幌市は、10月中旬ごろに越冬のため屋内へ入り、春先に屋外へ戻ると説明しています。

洗濯物に付きやすい種類は、名古屋市衛生研究所によると、ツヤアオカメムシ、アオクサカメムシ、マルカメムシです。アース製薬は、洗濯物につきやすい主流としてクサギカメムシとスコットカメムシを挙げ、カメムシが白っぽい明るい色を好むとしています。資料により挙げる種類が少し違うため、洗濯物に付いた虫は、種類を決めつけず、色と形を見て確認します。

越冬で家に入る種と、洗濯物に付く種|時期の違い:確認項目
時期の目安主な種類家での現れ方資料
4〜6月越冬した成虫(カメムシ全般)越冬を終えて、餌になる植物を求めて飛ぶ千葉市
7月ごろヨコヅナツチカメムシ(黒い大型のカメムシ)の幼虫多数の幼虫が建物の周囲を歩き、内部に入ることがある名古屋市衛生研究所
9月末〜10月ツヤアオ・チャバネアオカメムシ夕方から夜に白い光へ集まり、外壁・窓・廊下に取りつくKINCHO
10月以降クサギ・スコットカメムシ越冬のため、山間の家や倉庫に大量に入るKINCHO・札幌市
秋マルカメムシ越冬場所を求めて移動するとき、洗濯物や布団に付く名古屋市衛生研究所

参考:KINCHO公式note|カメムシ大量発生 ~当たり年の秋は、壁や廊下がカメムシだらけ

人を刺す・噛むカメムシはいる?サシガメ類に注意

家に大量に来る代表的な種類は、人を咬んだり刺したりしません。KINCHOは、光に寄る黄緑色のカメムシも、越冬で家に入る黒〜茶色のカメムシも、ニオイや姿は不快でも、人を咬んだり刺したりする被害はないと説明しています。名古屋市衛生研究所も、人体に直接の被害を与えなくても、悪臭を持つ種が嫌われると述べています。

例外が、食肉性のサシガメ類です。名古屋市衛生研究所は、人の血を吸わない種にも、素手で捕まえると鋭い口で刺し、激しい痛みを与えるものがあると注意しています。国立環境研究所によれば、ヨコヅナサシガメは体長16〜24mmの大型で、昆虫を刺して体液を吸うため人も刺すことがあり、関東以南の本州・四国・九州で見られます。アース製薬も、捕まえようとしてストレスを与えると、偶発的に人を刺すことがあると述べています。

国立環境研究所は、ヨコヅナサシガメの幼虫が数十から数百匹で集団越冬するとも記しています。サシガメ類らしい虫がかたまっているのを見つけても、触らずに離れて観察します。刺されて強い痛みや腫れが続くときは、受診して状況を伝えてください。

カメムシの臭い液と、皮膚・目への影響

アース製薬は、日本のカメムシ類に伝染病などを媒介する種はいないとしつつ、分泌液に触れたり、その手で目をこすったりすると、皮膚炎や眼炎を起こす危険があると述べています。触ってしまったときは手を洗い、目に入ったときや症状が続くときは、医療機関に相談してください。

マダニやトコジラミは別の虫

マダニは、名古屋市衛生研究所の図鑑でダニ目(クモの仲間)に分類され、哺乳類や鳥類から吸血するダニです。森林や草むらにすみ、屋内には生息しないと説明されています。野外活動のあとに高い熱や発疹が出た場合は、医療機関で受診するよう案内されています。カメムシの仲間で人の血を吸うのはトコジラミで、こちらはトコジラミが疑わしいときの確認と相談で扱っています。

参考:国立環境研究所|侵入生物データベース・ヨコヅナサシガメ

近くの植物・地形との関係|山林・クズ・果樹・空き地

農林水産省の資料によると、果樹を加害するカメムシ類は全国で三十数種で、発生が多いのはチャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、クサギカメムシです。スギ・ヒノキなどの針葉樹林で球果内の種子を餌に繁殖し、餌が枯渇すると林を離れて果樹園に飛来します。発生量は球果の量に左右され、年による変動が大きいとされます。

分布にも違いがあります。チャバネアオカメムシは全国に分布し、特に関東以南に多く、ツヤアオカメムシは関東以南で、九州南部や四国南部などの西南日本に多く、クサギカメムシは全国に分布し、特に関東以北に多いと説明されています。KINCHOは、春にスギ・ヒノキの花粉が多い年には、ツヤアオカメムシ・チャバネアオカメムシが多くなることが研究で確かめられていると述べています。

自分の県の果樹カメムシの発生状況は、都道府県の発生予察情報で調べられます(農林水産省の資料は、国・都道府県の発生予察情報を参考にするよう案内しています)。調べ方はカメムシ大量発生の原因と発生予察情報の調べ方にまとめています。

近くの植物・地形との関係|山林・クズ・果樹・空き地:確認項目
家の近くの環境関係する種類(資料の記載)見直せる点
スギ・ヒノキ林が近いチャバネアオ・ツヤアオ・クサギカメムシ(農林水産省)秋の夜の照明、窓・網戸のすき間
クズなどマメ科の雑草がある空き地・河川敷マルカメムシ(名古屋市衛生研究所)秋の洗濯物、窓の閉め方
山林を背にした白壁の家クサギ・スコットカメムシなど越冬する種(札幌市・KINCHO)秋の侵入口の点検、外壁のすき間
草刈りをした空き地の近くヒメナガカメムシ(名古屋市衛生研究所)草刈り後の数日は窓を閉める

参考:農林水産省|果樹カメムシ類とは(PDF)

カメムシとカナブン・他の虫の違い

カメムシとカナブンは、どちらも硬そうな体で飛ぶため混同されますが、分類が違います。名古屋市衛生研究所の図鑑では、カメムシ類は針状の吸収性の口で植物などから吸汁する昆虫で、前翅の付け根に近い部分が革質の半翅鞘であることから半翅目と呼ばれます。一方、コガネムシやテントウムシなどの甲虫は、前翅が硬い鞘状になって腹部をおおっているとされます。カナブンもコガネムシの仲間の甲虫です。

見分ける手がかりは、臭い、口、翅です。カメムシは刺激されると、中脚と後脚の間にある臭腺開口部から悪臭を出します(アース製薬・KINCHO)。体が扁平な種が多いことも特徴です(札幌市)。判断に迷う虫は、素手で触らず写真を撮って確認してください。

カメムシの仲間には、セミ、アメンボ、ヨコバイ、ウンカ、トコジラミも含まれると、KINCHOは説明しています。家に来る小さな虫でも、刺して吸うものと、臭いだけのものがいるため、種類ごとの確認が欠かせません。

カメムシとカナブン・他の虫の違い:確認項目
見る点カメムシ類甲虫類(コガネムシ・カナブンなど)
前翅付け根に近い部分が革質の半翅鞘(名古屋市衛生研究所)前翅が硬い鞘状になり、腹部をおおう(名古屋市衛生研究所)
口針状の吸収性の口で吸汁する(名古屋市衛生研究所)今回確認した資料に記載なし
体の形扁平な種が多い(札幌市)コガネムシやテントウムシなど、硬い鞘状の前翅を持つ(名古屋市衛生研究所)
刺激したとき中脚と後脚の間の臭腺開口部から悪臭を出す(アース製薬・KINCHO)今回確認した資料に記載なし

参考:名古屋市|コウチュウ(甲虫)類(名古屋市衛生研究所 web昆虫図鑑)

種類を見分けたあとの確認の順番

種類の見当がついても、対策の基本は変わりません。刺激して臭い液を出させないこと、侵入口を減らすこと、洗濯物と夜の照明を見直すことです。見分けの手順を整理すると、次のようになります。

捕り方や殺虫剤の選び方はカメムシの退治方法、侵入口と照明の点検はカメムシを寄せ付けない家の対策、夜の照明に虫が集まる仕組みは夜の照明に虫が集まるときの見直し、卵や幼虫が見つかったときはカメムシの卵の見分け方と取り方で扱っています。

  • 体長・色・形を、定規と一緒に写真で記録する
  • 表で候補を絞り、赤黒い大型の虫や頭が細長く突き出た虫は触らない
  • 見つけた時期と場所(窓、洗濯物、外壁、照明の近く)を記録する
  • 近くのスギ・ヒノキ林、クズの生えた空き地、草刈りの有無を確認する