光・音・超音波・ラジオは害獣に効く?公的資料が示す「慣れ」の考え方

農林水産省の鳥獣被害対策の総合マニュアルは、爆発音や警戒声などの聴覚刺激、レーザー光やLEDなどの視覚刺激を使った追い払い道具について、効果は設置当初の一時的なもので、野生鳥獣に実害がないため、日数がたつと慣れて効果がなくなると説明しています。使うときは、防除したい期間だけ設置し、道具の種類や位置、組み合わせを頻繁に変えるなどの工夫で、効果が続くこともあるとしています。この部分は鳥類を例にした説明です。

同じマニュアルのコラムは、イノシシやシカについて、光や音や匂いを使った慣れが生じる対策は、効果がないか、あっても一時的といわれていると説明しています。防護柵や緩衝帯の整備などを併せて行わなければ、いずれ光や音のする場所で餌を食べられることを学習してしまうとしています。

超音波については、同じマニュアルが、鳥は人に聞こえない2万ヘルツ以上の超音波を聞くことができず、それを使った追い払い機器も効果がないと書いています。ネズミやコウモリなど、ほかの動物に超音波が効くかは、今回開いた公的資料では検証結果を確認できませんでした。ラジオについても、公的な検証資料は見つかっていません。各務原市のように、コウモリを寄せ付けない方法の例として、センサー感知の超音波、ブザー、ラジオなどを紹介する自治体はありますが、効果を数値で示す記載は確認できませんでした。

慣れが起きる理由

コラムは、光や音が動物にとって不利益だった経験として学習されなければ、忌避の効果は得られないと説明しています。一時的に効果が見えるのは、見慣れない物への警戒心によるもので、時間がたつと、害のない刺激だと分かってしまいます。兵庫県森林動物研究センターは、獣害対策の基本を、野生動物にとって良い餌場でなくすことと整理し、餌をなくすこと、柵で囲むことを先に挙げています。

光・音・超音波・ラジオは害獣に効く?公的資料が示す「慣れ」の考え方:確認項目
方式仕組みの想定公的資料で確認できたこと確認できなかったこと
ライト(点灯・点滅・LED)明るさや動きで警戒させる視覚刺激を使った追い払いは、設置当初の一時的な効果で、慣れる(農林水産省)屋根裏や住宅での検証結果
音(警戒音・ブザー・爆音)突然の音で警戒させる聴覚刺激も同様に、日数がたつと慣れる(農林水産省)住宅向けの機器の検証結果
超音波人に聞こえない高い音で嫌がらせる鳥は2万ヘルツ以上を聞けず、機器は効果がないとされる(農林水産省)ネズミ・コウモリなど、対象動物別の検証結果と有効範囲
ラジオ(人の声・音楽)人の気配を感じさせる自治体がコウモリ対策の例として紹介(各務原市)。効果を数値で示す記載は確認できず公的な検証結果

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル【総合対策編】令和5年3月版 第3章 鳥獣被害対策の3つの柱(PDF)

読者の疑問

害獣対策のライトは効果がありますか?

比較ガイド

設置直後は警戒されることがあっても、慣れて効果がなくなると、農林水産省のマニュアルは説明しています。ライトだけで解決するとは考えず、侵入口の封鎖や餌の管理と組み合わせてください。

製品表示で確かめる項目|対象動物・有効範囲・電源・防水

光や音の機器を買う前は、広告の言葉より、メーカー公式ページの表示を確かめます。ここでは、ユタカメイクの公式Q&A(2026年10月3日確認)に載っている説明を、確認項目の例として示します。特定の製品を評価するものではありません。同社のQ&Aは、ガーデンバリアを、猫による糞尿やいたずらを軽減する目的の機器と説明し、侵入や通過を防ぐものではないと書いています。ハクビシンへの忌避効果の試験を済ませたとも説明しており、対象動物と、何を軽減する機器かが表示されています。

同じQ&Aには、赤外線センサーで動きを感知して作動すること、猫以外の動物や車、エアコン室外機の温風、日光で揺れる草花でも作動する場合があること、屋外用の防滴構造だが完全防水ではないこと、電池の寿命が1日の作動回数で変わることが書かれています。返品は、効果がみられない場合に相談窓口でアドバイスを受けたうえで、購入後半年間は受け付けるとされています。表示が見当たらない項目は、購入前にメーカーへ問い合わせ、回答を保存してください。

製品表示で確かめる項目|対象動物・有効範囲・電源・防水:確認項目
確認項目確かめること公式Q&Aでの表示の例
対象動物困っている動物が対象に含まれるか。試験をしたのはどの動物か猫。ハクビシンは試験済みと説明している
何を減らす機器か侵入を防ぐのか、糞尿やいたずらを減らすのか糞尿やいたずらの軽減。侵入や通過を防ぐものではない
有効範囲・設置位置範囲の図と、被害のある場所にどれだけ近づけられるか被害のある場所の近くに設置する。離れるほど音は弱くなる
作動の仕組み常時か、センサーか。誤作動の条件赤外線センサー。室外機の温風や草花でも作動することがある
電源電池、USB充電、コンセントのどれか。寿命の条件電池の寿命は、1日の作動回数で変わる
防水・設置場所屋外で使えるか。防滴か防水か防滴構造。完全防水ではない
返品・相談窓口返品できる期間と条件同社は購入後半年間。効果がみられない場合は相談窓口へ

参考:ユタカメイク|Q&A(ラットバリア・ガーデンバリア)

効果の表示を確かめる調べ方|景品表示法の不実証広告規制と措置事例

広告の「効果あり」という表示に根拠があるかを確かめる制度が、景品表示法の不実証広告規制です。消費者庁は、優良誤認表示かどうかを判断する必要があるとき、事業者に期間を定めて、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求められると説明しています。資料が提出されない場合や、合理的な根拠と認められない場合は、措置命令との関係では不当表示とみなされます。

同庁のページは、この規制の対象になりうる表示の例として、害虫駆除器を挙げています。超音波や電磁波によって、ゴキブリやネズミを家から追い出すと表示したが、実際にはそのような駆除効果は認められず、表示の根拠となるデータも存在しなかった例です。機器の広告に、効果をうたう言葉があるときは、試験の条件や、根拠の資料が示されているかを確認してください。

措置命令などの事例の探し方

消費者庁の「執行状況」のページには、年ごと、月ごとに、景品表示法に基づく措置命令などが一覧で載っています。「超音波」「害獣」「ネズミ」「害虫」「忌避」のように、気になる製品に近い言葉で、ページ内を検索して探せます。今回開いた範囲では、害獣向けの機器に限った一覧は見つけられませんでした。事例が見つからないことは、その製品の効果が確かめられたという意味ではありません。

電源ランプが点いても超音波が出ていなかった例

国民生活センターは、消費生活センター等の依頼で行った商品テストとして、「超音波害虫駆除機を購入したが全く効果がない。超音波が出ているか調べてほしい」という相談を取り上げています。コンセントに挿すと電源を示すLEDは点灯しましたが、超音波の出力端子が基板から剥離しており、超音波がスピーカーへ出力されない状態だったと報告しています(2020年7月16日公表)。ランプが点いているだけでは、機器が働いている証拠にならない例です。

効果の表示を確かめる調べ方|景品表示法の不実証広告規制と措置事例:確認項目
広告や箱にある言葉確かめること
「効果実証済み」「忌避率〇〇%」試験をした機関、動物、期間、条件。自宅と同じ条件か
「広い範囲に対応」壁や家具のある住宅でも、同じ範囲か。屋外か室内か
「慣れない」「慣れにくい」何と比べて、どのくらいの期間か
「ペットにも安全」対象のペットと、確認した方法。メーカーへ問い合わせたか

参考:消費者庁|不実証広告規制(優良誤認とは)

屋根裏で使う場合と庭・畑で使う場合の違い

同じ光や音の機器でも、屋根裏と庭・畑では、期待できることが違います。農林水産省の中型獣類のマニュアルは、アライグマ、ハクビシン、テンなどが、屋根裏や壁のすき間を休息や繁殖に使う依存度が高いと説明しています。ハクビシンは、気温が下がると暖かい天井裏を日中の休憩場所に使うとも書かれています。同マニュアルのコラムは、住宅に入る動物への防除は、捕獲や薬剤では不十分で、侵入できる穴やすき間を全て封鎖する方法しかないとしています。屋根裏では、光や音で追い出そうとするより、侵入口の調査と封鎖が中心です。

庭や畑では、柵、餌の管理、見通しの確保が基本です。総合マニュアルのコラムは、光や音は、防護柵などと併せなければ、いずれ慣れてしまうとしています。兵庫県森林動物研究センターは、餌をなくす、柵で囲む、居心地を悪くする、追い払う、捕獲するの5項目を示し、重要なのは、これらの対策を地域の状況に応じて効果的に組み合わせることだとしています。

屋根裏で使う場合と庭・畑で使う場合の違い:確認項目
使う場所光や音に期待できること限界先にやること
屋根裏・壁の中・床下設置直後に警戒させる可能性(効果は一時的とされる)侵入口が残れば戻る可能性がある。家族の生活にも音や光が届く動物の有無の確認、侵入口の調査と封鎖
ベランダ・軒下・物置見慣れない物への一時的な警戒餌や巣の材料があれば戻る。光は虫を集める場合もある食品、ペットフード、生ごみの管理
庭・家庭菜園新しい物への警戒が続く間慣れる。柵やネットの代わりにならない柵やネット、収穫しない果実や野菜の片付け
畑・果樹園一時的な追い払い防護柵や電気柵と併せないと、慣れて餌場にされる柵の点検、地域の鳥獣被害の窓口への相談

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ等、令和6年3月版)

ペット・近所・家族への音と光の影響

ユタカメイクのQ&Aは、同社の超音波機器について、個人差で超音波がよく聞こえる人や不快に感じる人がいるため、そのような人は機器を耳の近くへ近づけないよう案内しています。猫以外の動物にも反応して作動する場合があるとも書いており、飼っている犬や猫が通る場所では、意図せず作動する可能性を考えます。同じ公式Q&Aの別の製品(においを使う忌避剤)では、ペットのハムスターなどのげっ歯類に影響を与えやすいとして、使用を勧めないと明記されています。ペットや小鳥への影響は、製品ごとに表示が違うため、購入前にメーカーへ確認します。

ライトは、虫を集める点にも注意します。パナソニックのFAQは、LEDは従来の光源より虫を誘う指数が低く、集まりにくいと説明しつつ、実際の使用環境では周りの光源の明るさなどで虫の集まりやすさは変わるため、比較の目安と考えるよう書いています。屋外のライトに虫が集まると、虫を食べる動物が寄る可能性も考えられます。

コウモリの場合は、コウモリ駆除に超音波は効くか、ライトと音の根拠と限界の記事を、夜の照明と虫の関係は夜の照明に虫が集まるときの見直しの記事を確認してください。

音や光は、近所の窓や庭にも届きます。向きと高さ、作動する時間帯を、設置前に確認します。苦情が出たときにすぐ止められるよう、電源を切る方法も決めておきます。

参考:ユタカメイク|Q&A(ラットバリア・ガーデンバリア)

光や音と組み合わせる対策|餌の管理・侵入口の封鎖

光や音を使うなら、効果が一時的でも、その間に根本の対策を進めることが前提です。兵庫県森林動物研究センターは、獣害対策の基本を「良い餌場でなくす」ことと整理し、野生動物にとって、餌が少なく、苦労が多く、危険も大きい場所にするという考え方を示しています。家庭では、食品、ペットフード、生ごみ、収穫しない果実を出しっぱなしにしないことや、屋根や壁のすき間を塞ぐことが、この考え方にあたります。

ネズミについては、大阪市旭区が、食品やペットの餌をプラスチック製の容器に入れること、新聞紙や段ボール、布などの巣の材料を管理することを案内しています。ネズミ用の超音波などの機器を買う前の確認と、ネズミ対策の食品保管も参考にしてください。

イノシシは、イノシシ対策のライトの効果を公的資料で確認する記事に、音・テープ・唐辛子の確認があります。忌避剤の考え方は、害獣の忌避剤だけで解決するかを確かめる記事で整理しています。

光や音と組み合わせる対策|餌の管理・侵入口の封鎖:確認項目
組み合わせる対策目的光・音との関係
餌・生ごみ・ペットフードの管理寄ってくる理由をなくす餌があるうちは、慣れた動物が光や音のする場所で餌を食べることを学習する(農林水産省のコラム)
侵入口の調査と封鎖建物に入れなくする光や音で追い出しても、入口が残れば戻れる
柵・ネット(庭・畑)物理的に入れなくする光や音は、柵ができるまでの短期間の補助
見通しの確保・藪の刈り払い隠れ場所と居心地を変える光や音より、環境そのものを変える対策

参考:兵庫県森林動物研究センター|獣害対策の基本(全般)

購入前の確認と、設置したあとの記録の取り方

買う前に、効果がなかった場合の扱いを決めておきます。返品の期間と条件、開封後や使用後も返品できるか、返送料は誰が負担するかを、表示とメーカーへの問い合わせで確かめます。設置したあとは、置いた日と場所、向きを書き、前後の変化を同じ項目で記録します。

複数の対策を同時に増やすと、何が効いたのか分からなくなります。侵入口の封鎖や餌の管理も進める場合は、実施日を別々に書いておきます。設置直後に静かになっても、効果は一時的とされているため、日がたってから戻っていないかも確認します。機器の動作や広告に疑問があるときは、消費者ホットライン188から、最寄りの消費生活センター等へ相談できます。

  • 機器の名前、設置した日、場所、向きを書く
  • 設置前の状態を、足音・フン・食品の傷・出入りで記録する
  • 侵入口の封鎖や餌の管理を始めた日を、別に書く
  • 設置後も、日がたってからの変化を同じ項目で記録する