防除作業監督者とは|登録の要件になる、防除作業の監督者
防除作業監督者は、建築物でねずみや害虫を防除する作業を監督する人です。建築物衛生法の施行規則は、建築物ねずみ昆虫等防除業の登録基準の一つとして、防除作業の監督を行う者が、厚生労働大臣の登録を受けた機関の講習を修了し、修了日から6年を経過していないことなどを定めています。日本ペストコントロール協会の資格の一覧にも、「防除作業監督者」が挙げられています。
監督者と作業従事者は別の位置づけ
監督者は、現場の作業を一人で全部行う人という意味ではありません。施行規則は、実際に防除作業に従事する人についても、機械器具や薬剤の種類と使い方、作業の安全と衛生に関する研修を受けていることを登録基準にしています。営業所には、監督する立場の人と、研修を受けた従事者の両方が必要です。
防除の対象になる「ねずみ等」の範囲
施行規則は、ねずみ、昆虫その他の人の健康を損なう事態を生じさせるおそれのある動物を「ねずみ等」と定めています。厚生労働省の解説ページは、ねずみ、ゴキブリ、ハエ、蚊、ノミ、シラミ、ダニなど、病原微生物を媒介する衛生害虫を例に挙げ、防除には予防と駆除の両方が含まれると説明しています。ネズミやゴキブリの定期防除は、この範囲に入ります。
参考:e-Gov法令検索(デジタル庁)|建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則
防除作業監督者とは何ですか。国家資格ですか。
建築物ねずみ昆虫等防除業の登録基準で求められる、防除作業の監督者です。国家試験の合格ではなく、厚生労働大臣の登録を受けた機関の講習を修了して満たす要件で、6年を超えるには再講習を受けるのが基本です。
防除作業監督者講習の時間と受講資格|新規講習と再講習の違い
防除作業監督者になるための講習会は、厚生労働大臣の登録を受けた機関が実施します。日本建築衛生管理教育センターは、新規の講習会を、施行規則第29条第3号イに基づき、防除作業を監督する人に必要な知識と技能を修得してもらうものと案内しています。修了すると、知事登録の有効期限が6年の修了証書が交付されます。
6年を過ぎたあとも監督者として登録に使うには、再講習の課程を修了するのが基本です。施行規則は再講習の総時間数を12時間以上と定めており、センターの案内では12.5時間・2日間です。次の表は、2026年10月3日に確認した掲載内容の比較です。日程や受講料は年度で変わるため、申し込む人は公式ページで確認してください。
| 項目 | 新規講習会 | 再講習会 |
|---|---|---|
| 時間(掲載) | 33時間(5日間、試験1時間を含む) | 12.5時間(2日間、試験0.5時間を含む) |
| 主な科目 | 建築物環境衛生制度、殺そ殺虫剤、作業と安全管理、防除各論、実技 | 建築物環境衛生制度、防除概論と各論、防除に用いる薬剤、作業と安全衛生管理 |
| 受講資格(掲載) | 高校等の卒業後2年以上、または5年以上の、建築物でのねずみ・昆虫等の防除(シロアリ駆除を除く)の実務経験がある人など。実務は正社員としての経験が対象 | 防除作業監督者講習会(新規)または再講習会の修了者 |
| 受講料(2026年10月時点の掲載) | 71,000円(非課税、教材費を含む) | 39,000円(非課税、教材費を含む) |
建築物ねずみ昆虫等防除業の登録制度とは|8業種のうち7号にあたる事業
建築物衛生法は、建築物の維持管理に関わる8つの事業について、営業所ごとに、その所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けられる制度を設けています。営業所の設備や従事者の資格が省令の基準に合っていれば、知事は登録をしなければならないとされ、登録の有効期間は6年です。ねずみや昆虫等の防除を行う事業は、このうち第7号にあたります。
登録を受けた営業所は、「登録建築物ねずみ昆虫等防除業」と表示できます。登録を受けていない営業所が、この表示や類似の表示をすることは法律で禁じられています。見積書やホームページに「登録」の文字があるときは、どの事業の登録なのかまで読む必要があります。
第8号の建築物環境衛生総合管理業は、条文では清掃、空気環境の調整及び測定、給水及び排水の管理、飲料水の水質検査を総合的に行う事業とされ、ねずみ等の防除は並んでいません。総合管理業の表示だけで防除業の登録があるとは読めないため、防除は第7号として別に確認します。
| 号 | 事業の内容 | 登録業者が使える表示 |
|---|---|---|
| 第1号 | 建築物における清掃 | 登録建築物清掃業 |
| 第2号 | 建築物における空気環境の測定 | 登録建築物空気環境測定業 |
| 第3号 | 空気調和用ダクトの清掃 | 登録建築物空気調和用ダクト清掃業 |
| 第4号 | 飲料水の水質検査 | 登録建築物飲料水水質検査業 |
| 第5号 | 飲料水の貯水槽の清掃 | 登録建築物飲料水貯水槽清掃業 |
| 第6号 | 排水管の清掃 | 登録建築物排水管清掃業 |
| 第7号 | ねずみ、昆虫等の防除(この記事の対象) | 登録建築物ねずみ昆虫等防除業 |
| 第8号 | 清掃、空気環境、給排水の管理、水質検査を総合的に行う事業 | 登録建築物環境衛生総合管理業 |
防除業の登録は義務か|任意の登録が意味すること
登録は任意の制度です。法律は、事業を営む人が登録を受けることができると定めており、義務とは定めていません。埼玉県の説明も、登録制度は建築物の環境衛生上の維持管理を行う事業者の資質の向上を目的としたもので、登録を受けないことによって業務が制限されるものではないとしています。
登録の際には、営業所が機械器具、専用の保管庫、監督者、従事者研修などの基準を満たしていることを、都道府県が確認します。法には、知事が登録業者に業務の報告を求め、営業所に立ち入って設備や帳簿書類を検査できること、基準に適合しなくなった営業所の登録を取り消せることも定められています。
建物の側の義務と混同しないことも大切です。施行令は、店舗や事務所、旅館などの用途に使う部分の延べ面積が3,000平方メートル以上の建築物を特定建築物としています。特定建築物の維持管理にあたる人にはねずみ等の防除を含む管理基準を守る義務があり、それ以外でも多数の人が使う建築物の管理者には努力義務があります。ただし、確認した法律と施行規則の条文には、防除を登録業者へ委託することを求める規定は見つかりませんでした。
厚生労働省は、管理基準に適合しないだけで直ちに罰則の対象になるわけではなく、人の健康を損なうおそれが具体的に予見される事態で、都道府県知事が改善命令などを出せると説明しています。登録業者かどうかと、建物の管理基準が守られているかは、別々に確かめます。
| 項目 | 登録との関係 |
|---|---|
| 防除作業を請け負うこと | 登録がなくても業務は制限されない(埼玉県の説明) |
| 「登録建築物ねずみ昆虫等防除業」の表示 | 登録を受けた営業所だけが使える。類似の表示も禁止されている |
| 野生の鳥獣の捕獲 | 登録とは別に、鳥獣保護管理法の許可などの手続きが関わる |
| 見積金額や保証の内容 | 登録の制度が定める項目ではない。見積書と契約書で確かめる |
防除業の登録に必要な要件|機械器具・保管庫・監督者・従事者研修
登録の基準は、施行規則第29条が定めています。主な基準は、機械器具、保管庫、監督者、従事者研修、作業と設備の維持管理の5つで、内容は後ろの表にまとめました。機械器具に、調査用トラップや実体顕微鏡、照明器具が入っている点にも注目できます。
厚生労働省は、建築物のねずみ等の防除にIPM(総合的有害生物管理)の考え方を取り入れ、生息場所、侵入経路、被害の状況を調べたうえで必要な措置を行うと説明しています。薬剤を撒くことだけが防除ではなく、調査がその前提です。
従事者研修と監督者の兼務(埼玉県の案内)
埼玉県の案内では、従事者の研修を社内で実施する場合、対象となる従事者全員が年1回以上、7時間以上の研修を受けられるようにするとされています。また、同じ人が2以上の営業所や2以上の業務の監督者を兼ねることはできません。細かな運用は都道府県ごとに確認が必要です。
登録の更新、変更の届出、手数料
登録の有効期間は6年で、埼玉県の案内では、6年を超えて登録業者の表示をする場合は新たに登録(再登録)を受けます。営業所の名称や所在地、責任者の氏名などが変わったときと、事業を廃止したときは、施行規則により30日以内に届け出る決まりです。手数料は、埼玉県の案内に防除業の登録で35,000円と掲載されています(2026年10月3日確認)。他の都道府県は各窓口で確認してください。
| 要件 | 施行規則第29条が定める内容 |
|---|---|
| 機械器具 | 照明器具、調査用トラップ、実体顕微鏡、毒じ皿・毒じ箱・捕そ器、噴霧機・散粉機、真空掃除機、防毒マスクなどの呼吸用保護具、消火器 |
| 保管庫 | 機械器具と、防除作業に使う薬剤を適切に保管できる専用の保管庫 |
| 監督者 | 登録講習の修了から6年以内、再講習の修了から6年以内、またはこれらと同等以上の知識・技能があると認められる者 |
| 従事者研修 | 従事者全員が受けられ、登録を受ける者などが定期的に実施する。内容は機械器具・薬剤の種類と使い方、作業の安全と衛生 |
| 作業と設備の維持管理 | 防除作業と機械器具の維持管理の方法が、厚生労働大臣が別に定める基準に適合していること |
登録業者の調べ方|都道府県・市の名簿を探す手順
登録は営業所の所在地を管轄する都道府県知事が行うため、名簿も都道府県や、権限を移譲された市が公表します。入口として便利なのが、日本建築衛生管理教育センターの「登録営業所」のページです。登録を受けた営業所を公表している各自治体のページを、都道府県ごとにまとめています。
このページは、権限を市に移譲している地域では市の公表ページを見るよう案内しており、札幌市、横浜市、静岡市、大津市、那覇市などを挙げています。公表していない都道府県にはリンクがないとも書かれ、2026年10月3日に開いた範囲では、リンク先が見つからない表示になるものもありました。開けないときは、都道府県名に「建築物事業登録」や「登録業者名簿」を添えて、自治体の公式ページで探します。
名簿は、ある時点の一覧です。大阪府は、名簿が半年に1度の更新で実際の情報と一部時差が生じることがあると注記し、最新情報は担当課への問い合わせを案内しています。名簿への掲載の有無は、掲載時点を踏まえて読みます。日本ペストコントロール協会が公開する会員名簿は協会の制度の名簿で、都道府県の登録名簿とは別です。
名簿を調べる手順
契約書や見積書に書かれた営業所を起点にすると、名簿との照合が進めやすくなります。次の順に確認します。
- 契約書や見積書で、契約する営業所の名称と所在地を控える
- その所在地を管轄する都道府県、または権限を移譲された市の公表ページを開く
- 事業別の名簿から、建築物ねずみ昆虫等防除業(第7号)を選ぶ
- 営業所名と所在地が一致するか、名簿の掲載時点が何年何月かを見る
- 載っていないときは、掲載時点とのずれを考えて、担当窓口へ問い合わせる
名簿で見るところは営業所名と事業の区分
登録は営業所ごとなので、本社が登録されていても、訪問する営業所が登録されているとは限りません。埼玉県の案内は、登録を受けた営業所以外の営業所を、登録営業所と誤認させる表示もできないとしています。営業所とは、契約を結び、登録に係る業務を管理する能力を持つ事業活動の根拠地をいいます。
| 自治体 | 掲載の形式(2026年10月3日確認) | 掲載の時点 |
|---|---|---|
| 東京都 | 事業ごとにCSVとPDFで公表。防除業は第7号の一覧 | 令和8年9月30日現在 |
| 大阪府 | 事業ごとのPDFと、全事業のExcelで公表。半年に1度更新 | 令和8年3月31日現在 |
| 埼玉県 | 登録事業者名簿のExcelで公表(さいたま市、川越市、越谷市、川口市を除く) | 令和8年4月1日時点 |
一般住宅のネズミ・害獣駆除と防除業の登録の関係
一戸建てやマンションの住戸でネズミや害獣の駆除を頼みたい人が、防除業の登録を探さなければならない場面は多くありません。建築物衛生法は、多数の人が使う建築物の衛生的な環境の確保を目的とし、特定建築物の用途は施行令が定めています。法第2条には「共同住宅等」の語もありますが、施行令の用途に共同住宅は挙がっていません。一般の住宅の駆除に登録を求める規定は、確認した範囲では見つかりませんでした。
野生動物が関わる駆除では、別の法律の線引きが必要です。環境省は、鳥獣保護管理法で、野生の鳥獣や鳥類の卵の捕獲、殺傷、採取は、狩猟として行う場合を除いて原則禁止され、被害防止などの目的では環境大臣または都道府県知事の許可を受けて行うと説明しています。防除業の登録の基準は、機械器具や監督者などの営業所の条件で、捕獲の許可は含まれていません。
例外として、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミの3種は、環境衛生の維持に重大な支障を及ぼすおそれがある鳥獣として、施行規則第78条により鳥獣保護管理法の規定が適用されません。イタチ、ハクビシン、コウモリなどはこの3種に含まれないため、種類が分からないまま罠や薬剤を使わず、先に種類と自治体の窓口を確認します。
住宅の駆除を頼む場合は、登録の有無よりも、契約する営業所、作業範囲、見積書の内訳を確かめる方が判断の助けになります。見積もり前の質問は害獣駆除業者の選び方の7つの質問に、契約先と施工会社が同じかを確かめる方法は紹介窓口と施工会社は同じかを確かめる方法にまとめています。
店舗・施設が契約先の防除業者に確認する項目
店舗や施設が防除業者と契約するときは、登録の有無を確かめたうえで、建物に課された管理の枠組みと契約内容がつながっているかを見ます。厚生労働省の解説によると、特定建築物の管理基準では、ねずみ等の発生場所、生息場所、侵入経路、被害の状況を6か月以内ごとに1回、統一的に調査し、その結果に基づいて必要な措置を講じることとされています。
薬剤にも条件があります。殺そ剤や殺虫剤を使う場合は、医薬品医療機器等法に基づく承認を受けた医薬品または医薬部外品を用いることが、施行規則に定められています。特定建築物の所有者等には、防除の状況を記載した帳簿書類を5年間保存する義務もあり、業者の報告書がこの帳簿書類に使える形かは、契約前に聞いておく点です。
飲食店など食品を扱う施設では、食品衛生法施行規則が定める一般的な衛生管理の基準にも、ねずみ及び昆虫対策が含まれます。駆除作業を1年に2回以上行って記録を1年間保存するか、定期的な調査に基づいて施設に応じた方法と頻度で行うこととされています。点検記録の作り方は飲食店のゴキブリ対策で扱っています。
テナントの店舗は、貸主・管理会社の防除と重ねて確認する
テナントとして入る店舗では、建物全体の防除を貸主や管理会社が契約していることがあります。共用部と店舗内の担当を分け、調査の日程と報告書の受け取り先をそろえておくと、記録の抜けを防げます。年間の組み立ては建物の害獣・害虫点検の年間計画が、定期契約の比べ方は害虫の定期防除契約が参考になります。
営業を続けながら作業するときの確認
営業時間中に作業する場合の立入範囲と時間帯は、店舗の害獣調査で確認の順番をまとめています。登録の有無にかかわらず、作業の時間と使えない区域は、事前に書面へ残しておきます。
| 確認する項目 | 根拠・理由 | 見積もり前の聞き方の例 |
|---|---|---|
| 契約する営業所の登録 | 登録は営業所ごと。登録のない営業所の類似表示も禁止 | 契約書の営業所は、第7号の名簿に載っていますか |
| 防除作業監督者の在籍 | 登録基準は、講習修了から6年以内などの監督者 | この営業所の防除作業監督者の修了時期はいつですか |
| 調査の頻度と報告 | 特定建築物は6か月以内ごとに1回の統一的な調査 | 調査結果は、どの様式で、いつ受け取れますか |
| 使う薬剤 | 承認を受けた医薬品または医薬部外品を使う | 製品名と、医薬品か医薬部外品かを作業前に書面でもらえますか |
| 記録の保存 | 特定建築物は帳簿書類を5年保存。飲食店の駆除記録は1年保存 | 報告書は、帳簿として保存できる形で出ますか |






