天井裏にバルサンは使える?メーカーFAQが挙げる「使用できない場所」
バルサンを販売するレック株式会社の公式FAQには、「使用できない場所はありますか」という質問があります。回答は、車の中に加えて、天井裏と床下も使用できないとし、理由を、構造上、煙がうまくいきわたりにくいためと説明しています。2026年10月3日に開いて確認した内容です。
バルサンの製品ページの使い方は、部屋の窓や換気口などを閉め切り、床面のほぼ中央に置き、退出して2時間から3時間閉め切る手順で書かれています。天井裏のどこに置き、どう閉め切るかは書かれていません。「天井裏用」と書かれていないくん煙剤を、虫のために天井裏へ置く使い方は、メーカーが想定していないと読むのが自然です。
床下についても同じFAQの記載があります。くん煙剤・粉剤・スプレーの使用場所を表示で確かめる流れは、床下にバルサンは使えるのかで整理しています。天井裏でも、まず使用場所の表示を見る考え方は同じです。
参考:レック株式会社|バルサン よくあるご質問(医薬品くん煙剤・雑貨品くん煙剤)
天井裏にバルサンを焚いても大丈夫ですか?
メーカーのFAQは、天井裏と床下を使用できない場所としています。構造上、煙がうまくいきわたりにくいためと説明されており、焚く前提では考えない方が安全です。
くん煙剤の製品表示の読み方|対象害虫・使用場所・使用量の広さ
くん煙剤は、箱や製品ページの表示のうち、対象害虫、使用場所、使用量の目安の3つを見れば、天井裏で使えるかどうかの見当がつきます。ブランド名や「殺虫」という言葉では判断できません。バルサンとアース製薬の公式ページから、見る欄と読み取れる内容を下の表にしました。
アースレッド イヤな虫用の対象害虫の欄には、ヤスデ、シバンムシ、ハチ、キクイムシ、シロアリなど多くの虫が並びますが、使用面積は6〜8畳のように畳数で書かれ、使い方も部屋を閉め切って中央に置く手順です。虫の名前があることは、天井裏の空間で使えることまでは示していません。「ハチ」とあっても、巣にいるハチへの使い方は製品ページに見当たりません。
表の例は、2026年10月3日に開いた製品ページの掲載です。製品ごと、時期ごとに表示は変わるため、購入する箱の説明文書が最終の確認先になります。特定の製品をすすめるものではありません。
| 表示の欄 | 読み取ること | 公式ページの例 |
|---|---|---|
| 対象害虫(適用害虫) | 虫の名前が載っているか。医薬品は衛生害虫、雑貨品は不快害虫など、区分で範囲が違う | バルサン20g(第2類医薬品)は、ゴキブリ、屋内塵性ダニ類、イエダニ、ノミ、トコジラミ、ハエ成虫、蚊成虫。ワンタッチ煙タイプ(雑貨品)は、カメムシ、ムカデ、アリ、シバンムシ、ダンゴムシなど |
| 使用場所 | 部屋の記載か、天井裏・床下・倉庫など別の場所の記載があるか | ネズミ用の忌避くん煙剤は、屋根裏・天井裏、床下、倉庫を使用場所に記載。バルサンとアースレッド(イヤな虫用)の製品ページには、天井裏で使う方法の記載が見当たらない |
| 使用量の目安 | 畳数や平方メートルで示された広さ。部屋の広さに合わせた量 | バルサン20gとアースレッド イヤな虫用は6〜8畳用(アース製薬は10〜13平方メートルと併記)。ネズミ用は8畳に1個の割合と記載 |
| 使い方の前提 | 置く場所、閉め切る時間、退出の有無 | 部屋の中央に置き、閉め切る。閉め切り時間は、バルサンが2〜3時間、アースレッドが約2時間またはそれ以上 |
| 警報器の扱い | 覆いをするか、取り外すか、使用後に戻すか | バルサンは煙を感知する火災警報器と、微粒子を感知するガス警報器を袋などで覆う。アース製薬は火災報知器の直下では使わず、専用カバーかポリ袋で覆い、処理後に必ず取り除く |
天井裏に出る虫の例と対処の違い|ヤスデ・シバンムシ・カメムシ・ハチ
天井裏で見つかる虫は、屋外から入ってきたもの、収納物や建築材料に発生したもの、巣を作るものに大きく分かれます。どれに当たるかで、薬剤を置く前にすることが変わります。先に、屋外から入る虫と、収納物や建築材料に付く虫の見方を説明し、公的資料の記載とくん煙剤の対象表示を並べた表を、この節の最後に載せました。表は、公的資料が書いている範囲に絞っています。
ヤスデは雨の前後に壁を這い上がり、カメムシは秋に越冬場所を求めて建物へ入ります。どちらも、天井裏で発生したというより、屋外から入る途中でたどり着いたと考える方が、札幌市の説明と合います。薬剤を置く前に、外壁、軒、換気口のすき間を地上から確認します。ヤスデの特徴はヤスデとムカデの違いで扱っています。
アース製薬の解説は、シバンムシの主な発生時期を5月から10月とし、乾燥食品やドライフラワー、畳などを食べるとしています。ほとんどの個体は屋外で樹木などを食べ、屋内で見つかるのは少数派という説明もあります。天井裏に保管した乾物やペットフード、古い畳があれば、発生源の候補です。
横浜市衛生研究所は、建築材料に付く例としてマツザイシバンムシを挙げています。天井裏の木材に穴や粉があるときは、収納物とは別の相談になるため、虫を採取して公的窓口や調査業者に見せます。
| 虫 | 公的資料の記載 | くん煙剤の対象表示の例 | 天井裏での考え方 |
|---|---|---|---|
| ヤスデ | 札幌市は、石の下や堆肥の中など日当たりが悪く湿気の多い場所に生息し、雨の日の前後に壁や塀へ集団で這い上がって室内に入ることがあると説明。咬んだり刺したりはしない | アースレッド イヤな虫用の対象害虫に記載 | 入り口は外壁や通気口のすき間が多い。薬剤を置く前に、屋外の湿った発生源と侵入口を見る |
| シバンムシ | 横浜市衛生研究所は、家庭内ではタバコシバンムシが代表的で、乾燥した食品を加害し、建築材料にはマツザイシバンムシなどが知られると説明。疑わしい時は福祉保健センターへ | バルサンワンタッチ煙タイプ(雑貨品)とアースレッド イヤな虫用に記載 | 天井裏に乾物や古い書籍、畳などを置いていないかを見る。種の判別は難しく、虫を持参して相談 |
| カメムシ | 札幌市は、10月中旬ごろ越冬のため屋内へ入り、体が扁平なため窓枠や換気口など狭い所からも侵入すると説明 | バルサンワンタッチ煙タイプ(雑貨品)に記載 | 札幌市のくん煙剤の使い方は、室内に追い出して捕まえる方法。天井裏に置く方法とは書かれていない |
| ハチ | 日本ペストコントロール協会は、スズメバチは樹下や屋根裏などに球形の巣を、ミツバチは屋根裏や床下に巣を作ると説明。初期以外は防護服を持つ専門業者の処理が必要 | アースレッド イヤな虫用の対象に「ハチ」の記載はあるが、巣での使い方の記載は見当たらない | 天井裏の巣は薬剤を置いて済ませず、出入りを遠くから確認して相談 |
動物(ネズミ・イタチ・ハクビシン)には使える?害虫用と動物用忌避くん煙剤の違い
害虫用のくん煙剤は、動物を駆除する製品ではありません。レックの公式FAQは、医薬品くん煙剤の対象を、薬機法の決まりで、ゴキブリ、ダニ、ノミ、ハエ・蚊、トコジラミ、イエダニの駆除に限ると説明しています。バルサン20gの製品ページの適用害虫にも、ネズミ、イタチ、ハクビシンは載っていません。「殺虫」と書かれた製品は、虫を対象にした表示です。
動物を追い出すためのくん煙タイプは、別の製品です。アース製薬の「ネズミ一発退場 くん煙タイプ」は、用途をネズミの忌避(追い出し)とし、使用場所に屋根裏・天井裏、床下、倉庫を挙げています。駆除剤ではなく、個体差で効果が出にくい場合があるとも書かれ、天井裏では煙が室内に入らないようにする注意と、ペットや家畜のいる場所では使わない注意が表示されています。
東京都環境局は、屋根裏にアライグマやハクビシンが入ったとき、くん蒸式・くん煙式の殺虫剤などの忌避剤で動物を追い出せる可能性があるとしています。ただし、逃げた個体が別の家で被害を起こすおそれがあり、数を減らす根本的な解決にはならないと説明し、密閉空間でないと煙が行き渡らず、動物が居続けて効果が出ない場合もあるとしています。
環境省の捕獲許可制度の説明にあるとおり、野生の鳥獣の捕獲や殺傷は、狩猟を除いて原則として禁止され、許可を受けた場合に認められます。薬剤で傷つけたり、中に残したまま閉じ込めたりする方法は避け、種類や子どもの有無が分からないうちは、自治体の窓口に確認します。
ハクビシンの追い出しと封鎖の順序はハクビシンを屋根裏から追い出す方法に、ネズミの調査の頼み方は天井裏のネズミを疑ったときにまとめています。忌避くん煙剤だけで終わらせず、侵入口の確認と封鎖までを考えます。
| 相手 | 製品の区分 | 天井裏の使用に関する表示や資料の記載 | 確認する記事 |
|---|---|---|---|
| ネズミ | 動物用の忌避くん煙剤(駆除剤ではない) | アース製薬の製品ページが、屋根裏・天井裏を使用場所に記載。個体差で効果が出にくい場合があると表示 | 天井裏のネズミは、調査を頼むときの伝え方から確認する |
| ハクビシン・アライグマ | 忌避剤として、くん蒸・くん煙式の殺虫剤などが使われる例 | 東京都環境局は、追い出せる可能性はあるが、別の家で被害が出るおそれがあり、根本的な解決にならないと説明 | 追い出しの前に、子どもの有無と侵入口の封鎖までを確認する |
| イタチ | 今回確認した公式の製品ページでは、イタチを対象にしたくん煙タイプの表示は確認できていない | 表示がない製品の効果は読み取れないため、記載しない | 音や姿から、動物の種類を絞る |
| 鳥の巣(卵・ヒナ) | 薬剤で追い出す前に、法律の確認が先 | 環境省は、鳥獣と鳥類の卵の捕獲・殺傷・採取は、狩猟を除いて原則禁止で、被害などがある場合に許可を受けて認められると説明 | 卵やヒナ、子がいるかもしれないときは、自治体に相談する |
天井裏でくん煙剤を使う前に確認すること|火災警報器・感知器・断熱材・配線・すき間
くん煙剤の煙は、火災警報器の煙感知部分に反応します。消防庁が掲載する日本防火・防災協会の資料は、火災ではないのに警報器が鳴る例として燻煙式殺虫剤を挙げ、警報器をビニール袋などで覆うか、取り外して使うよう案内しています。
アース製薬は、火災報知器の直下では使わず、専用カバーかポリ袋で一時的に覆い、処理後は必ず取り除くよう表示しています。バルサンのFAQは、煙タイプは火災報知器が反応し、霧タイプは反応しないがガス警報器は反応することがあると説明しています。
天井裏の煙が室内へ回らないか
資料に、天井裏から室内へ煙が回る経路を説明したものはありません。ただ、ネズミ用の製品ページは、天井裏で使うときに煙が室内に入らないようにすると表示しています。点検口のふたの隙間や、配管・配線が天井を貫く穴から煙が下りれば、居室の警報器が鳴る可能性があります。
札幌市は、多量の煙を発生するくん煙剤を使うときは、火災と間違われないよう事前に最寄りの消防署へ届出をしておくよう案内しています。必要かどうかは自治体や消防本部で違う可能性があるため、使う前に管轄の消防署か、集合住宅なら管理会社へ聞きます。
断熱材・配線・足場|表示に書かれていないことは「使える」と決めない
今回開いたバルサンとアースレッドの製品ページには、断熱材や木材、配線への影響や、天井裏の使い方の記載は見当たりませんでした。書かれていないことは、使えるという意味ではありません。使う前にメーカーの問い合わせ窓口へ確認するのが現実的です。
缶の発熱にも注意があります。アース製薬は、缶は水に浸すとすぐに熱くなり、触れるとやけどのおそれがあると表示し、ネズミ用の製品では容器を平らな場所に置いて転倒を防ぐよう示しています。天井裏は足場が悪く暗い場所で、厚生労働省の職場のあんぜんサイトには、天井裏の点検中に照明器具のプラグで感電した事例もあります。
使用後の換気と、室内へ煙が回ったときの確認
使用後の手順は、製品の説明文書が優先されます。ここでは、アース製薬とバルサンの公式ページに書かれた内容を、入室と換気、体調の確認の2つに分けて整理します。
入室と換気の目安
アース製薬の使い方ページは、使用開始から2時間以上たってからタオルなどで口元と鼻を押さえて入室し、においが気にならなくなる程度(1時間程度)しっかり換気したあとで、火災報知器やその他のカバーを外すとしています。掃除機で小さな虫の死骸を取り除くことや、使用後の缶を不燃物として自治体の方法で捨てることも示されています。
換気のために入るときに煙を吸うのが不安な場合、バルサンのFAQは、玄関ドアを開けたまま5〜10分換気してから、タオルで口を覆って入り、手の届く換気扇から順に回す手順を案内しています。ペットは外に出して使い、換気の後に戻します。アース製薬のネズミ用の製品ページは、天井裏や床下は換気の必要はないとしつつ、人が立ち入る倉庫などは換気するとしています。
煙が室内に回った・吸ったとき
室内へ煙が回った、煙を吸った、目や皮膚に付いたときは、製品の表示どおりに外の空気を吸い、水で洗い流します。症状が続くときは、添付文書を持って医師に相談するよう、バルサンのFAQにもアース製薬のページにも書かれています。軽いかどうかを自分で判断せず、気になるときは受診を優先してください。
天井裏・屋根裏の殺虫剤|スプレーや粉剤も使用場所の表示で選ぶ
くん煙剤以外のスプレーや粉剤も、天井裏で使えるかどうかは使用場所の表示で決まります。アース製薬のムカデコロリ 粉剤の製品ページは、対象害虫にムカデ、ヤスデ、ゲジゲジを挙げ、カメムシやシバンムシにも効果があると書いていますが、散布する場所は、植木鉢やプランターの下、枯葉、朽木の下、家の周囲、床下、通風口、石垣のすき間などです。天井裏は書かれていません。
同じ製品の注意には、風向きを考えて周辺の人家や通行人、ペット、洗濯物などに薬剤がかからないようにすることや、井戸や地下水を汚すおそれのある場所では使わないことがあります。狭く暗い天井裏で、人やペットへの影響を管理しながら散布する方法は、表示からは確認できません。虫がいる範囲が分からない場合は、薬剤を足す前に、見つかった虫と場所を記録して相談します。
自分で使わずに相談した方がよい場合|蜂の巣・大量の虫・動物の気配
次のような状況では、薬剤を置く前に相談を考えます。相談先は、状況によって変わります。下の表に、状況ごとの動きをまとめました。日本ペストコントロール協会は、全国47都道府県の協会に害虫相談所があり、電話などでの相談受付は無料で、現場調査や防除施工が必要なときは原則有料になると案内しています。
蜂が出入りしているときは、蜂の巣が屋根裏にあるときのように、出入り口の確認と駆除の順序を先に整理します。動物の気配があるときも、くん煙剤より先に音や痕跡の確認が先です。天井裏で音がするときの確認で、時間帯と場所の記録の取り方を整理しています。天井裏へ自分で上がって確かめる必要はありません。点検口の下から見える範囲や、地上から見える出入り口の確認にとどめます。
| 見つけた状況 | 薬剤を置く前の動き | 相談先の例 |
|---|---|---|
| ハチが通気口や軒裏へ出入りする。天井にシミが広がる | 近づかず、遠くから出入りの位置と時間帯を写真で記録する | 市区町村のハチ相談の窓口、専門業者、都道府県のペストコントロール協会 |
| 小さな虫が大量に出る。種類が分からない | 虫を採取して写真を撮り、天井裏の収納物や木材の状態を確認する | 福祉保健センターや保健所の衛生害虫の相談、害虫相談所 |
| 足音、フン、においがある | 薬剤より先に、音と痕跡の記録と侵入口の確認を進める | 市区町村の環境・衛生の窓口、動物の調査を行う業者 |
| 使用後に警報器が鳴った、煙が室内に出た | 外へ出て換気し、体調が気になるなら添付文書を持って受診する | 製品のメーカー窓口、医療機関 |






