銀色だけを頼りに見分けない

名古屋市はシミ類を、翅がなく扁平な体で、頭部に触角、体の後ろに3本の長い毛がある昆虫と説明しています。室内にはヤマトシミなど複数の種類がいます。細長い小さな虫を見たというだけで、種類や被害の程度まで判断することはできません。

東京文化財研究所によると、ヤマトシミは若い個体が乳白色で、成長すると銀色の鱗粉に覆われます。銀色でない個体を別の虫と即断せず、触角や尾の様子と大きさが分かる写真を残します。虫の採取が必要な場合は相談先へ方法を確認し、古い紙へ粘着テープを直接貼ることは避けてください。

参考:東京文化財研究所|文化財害虫検索・ヤマトシミ

読者の疑問

シミを1匹見つけたら本は全部捨てますか?

比較ガイド

1匹の発見だけで全ての本を廃棄する必要があるとは判断できません。虫の種類と傷の有無、発見の継続を確認し、必要な物の扱いは材質に合う方法を相談してください。

本や掛け軸のどこに変化があるかを見る

東京文化財研究所は、ヤマトシミの加害対象として古文書、書籍、掛け軸などの紙類、絹や綿の衣類を挙げ、幼虫から成虫までが食害やふんによる汚れを起こすと説明しています。名古屋市も、糊付けした和紙や書画などへの加害を紹介しています。

紙に傷があるだけでは、いつ、何が傷めたかまでは分かりません。見つけた虫の場所と、資料のどの面に変化があるかを対応させます。次の表のように記録し、後日新しい傷が増えるかを同じ場所の写真で比較すると、古い損傷と進行する被害を区別する手掛かりになります。

本や掛け軸のどこに変化があるかを見る:確認項目
記録対象記入例確認したいこと
虫の姿書類箱の底で1匹、尾に長い毛シミ類か、種の確認が必要か
保管物の傷表紙の糊付け部分に削れた跡古い傷か新しい変化か
収納の位置北側本棚の下段、壁際にほこり周辺の棚にも痕跡があるか

参考:名古屋市|シミ類

紙だけ片付けても、棚のほこりは残る

ヤマトシミは紙質の物だけでなく、糸くず、髪の毛や昆虫の死骸なども餌にすると東京文化財研究所は説明しています。本を別の棚へ動かすだけでなく、棚板の隅や収納箱の外側、床と家具の間のほこりを取り除くことが予防につながります。

資料の状態を確かめながら、無理なく扱える範囲を少しずつ整理します。傷んだ古文書や繊細な紙を掃除機で直接吸ったり、強くこすったりはしないでください。清掃する棚と保存する物を分け、資料そのものの扱いに迷ったら、保存や修復を相談できる専門家へ確認します。

参考:東京文化財研究所|文化財害虫検索・ヤマトシミ

一度の発見と、続く被害では対応を変える

東京文化財研究所は、ヤマトシミは爆発的に増えることはまれで、清掃などの予防的な管理が可能としています。ただし、これは見つけた全てのシミ類について、被害が進まないと保証するものではありません。種類が未確認なら、その点を残して経過を見ます。

床で一度見つけただけで資料に変化がなければ、棚周辺を清掃して記録を続けられます。同じ収納で繰り返す、紙に新しい傷が増える、複数の箱へ広がる場合は、種類と生息範囲の調査を相談します。貴重な資料では被害の大きさを待たず、取り扱いを先に確認して構いません。

参考:東京文化財研究所|文化財害虫検索・ヤマトシミ

相談では、虫の対策と資料の保存方法を確かめる

名古屋市の説明では、室内性のシミ類は書籍・衣類・食品などを加害するため、見つかった棚だけでなく周囲に何を保存しているかも伝える必要があります。「古い和紙の帳面がある」「食料品と同じ収納を使っている」といった材質や用途の情報は、方法を検討する際の条件になります。

調査担当には「種類の判定根拠」「周辺の棚や箱を調べる範囲」「薬剤や熱が保存物に触れるか」「作業後にどの傷を比較するか」を聞きます。害虫対策の担当が資料保存まで扱えるとは限らないので、貴重品の処理は保存の専門家と確認を取ってから進めましょう。すべての紙類を一律に廃棄する提案にも、対象と理由の説明を求めます。

参考:名古屋市|シミ類