厨房でチョウバエなどのコバエ類が出る場所

東京都ペストコントロール協会は、コバエ類を体長5mm以下のハエや、カに似た小さな羽虫の総称とし、ショウジョウバエ、ノミバエ、チョウバエなどを挙げています。チョウバエの幼虫は、下水口のスカムや水回りの目地にたまった汚物など、水分の多い暗い場所から発生するとされ、近隣のマンホールなどから発生して風で飛来することもあるとされています。

同じ協会の「コバエ類の発生場所・誘引場所の例」の図は、飲食店の例として、排水溝やグレーチングの裏、グリストラップや排水トラップ、マンホールや地下層点検口、シンクの水切り穴にたまった汚れ、コーナー部や目地にたまった残渣、冷蔵庫の蒸発皿、コールドテーブルの下、換気扇、店内と屋外のゴミ箱などを挙げています。厨房の中だけでなく、トイレの縁にたまった汚れも図に含まれています。

厨房でチョウバエなどのコバエ類が出る場所:確認項目
場所出やすい理由確認すること
グリストラップのふた周り・内部協会の図で発生・誘引場所の例に挙がる。水分が多く、汚泥や油脂がたまりやすいバスケットのごみ、浮いた油脂、側面のぬめり、ふたのすき間
床の排水溝・グレーチングの裏排水周りに、水分の多い残渣がたまりやすいグレーチングを外した裏側と、溝やためますの底
シンクの水切り穴・シンク下の排水まわり汚れがたまりやすく、暗くて湿っている水切り穴の汚れ、排水トラップのぬめり、配管まわりの水漏れ
床や壁のコーナー部・目地目地やすみに残渣がたまりやすい床と壁の境目、目地の割れ目や黒ずみ
コールドテーブルの下・冷蔵庫の蒸発皿水と食品のくずがたまり、動かさないと清掃しにくい下部の残渣、蒸発皿の水の状態
ゴミ箱・屋外のゴミ置き場生ごみや汁がたまり、においで虫を誘う容器の底の汚れ、ふたの閉まり、ごみ置き場の床
マンホール・地下層点検口近隣のマンホールなどから発生した成虫が、風に運ばれて飛来することがある点検口まわりの状態。店の管理外なら、管理者や保守会社へ確認

参考:東京都ペストコントロール協会|コバエ類の発生場所・誘引場所の例

読者の疑問

飲食店の厨房でチョウバエが出やすい場所はどこですか?

比較ガイド

東京都ペストコントロール協会の図は、飲食店の例として、排水溝やグレーチングの裏、グリストラップや排水トラップ、シンクの水切り穴の汚れ、目地にたまった残渣、冷蔵庫の蒸発皿、コールドテーブルの下などを挙げています。成虫を見かけた近くの排水まわりから点検します。

チョウバエの習性:成虫を見たら、幼虫の発生源を探す

日本ペストコントロール協会は、チョウバエを体長4mmほどで、飛ぶ力は弱いものの、汚水槽などで大量に発生する虫として紹介しています。屋内の汚水槽や配水管、屋外の雨水桝でも活発に繁殖するとされています。成虫を見かけたら、その近くの排水系に、幼虫が育つ汚れがないかを探すのが基本です。

成虫に薬剤をかけても、発生源が残ると戻る

同協会は、一般に飛んでいる昆虫の駆除は、発生源への処理が効果的だと説明しています。厨房で成虫だけを減らしても、グリストラップや排水溝に幼虫の育つ汚れが残っていれば、また新しい成虫が出てきます。浄化槽や汚水槽、雨水桝が近くにある店は、保守を担当する会社や建物の管理者にも、発生状況を伝えて確認してもらいましょう。

増えるスピードに合わせて、清掃の間隔を決める

東京都ペストコントロール協会の資料では、チョウバエ類の発育期間は、卵が約2日、幼虫が9〜15日、さなぎが約2日とされています(種や温度の条件で異なります)。幼虫の期間が1〜2週間あるため、幼虫のいる汚れを、幼虫の期間より短い間隔で取り除いていけば、成虫になる前に断ち切りやすくなります。清掃の間隔をどう決めるかは、後の頻度表で扱います。

参考:日本ペストコントロール協会|有害生物情報 蚊・ハエ駆除

HACCPに沿った衛生管理で求められる昆虫対策と記録

厚生労働省の資料によると、食品衛生法に基づく衛生管理の制度化で、原則としてすべての食品等事業者が、一般的な衛生管理と、取り扱う食品に応じた取り組みについて衛生管理計画を作り、実施状況を記録して保存することになっています。小規模な営業者などは、業界団体が作る手引書を参考にした簡略な方法で行うとされています。

基準に書かれているねずみ・昆虫対策

一般的な衛生管理に関する基準のうち、ねずみ及び昆虫対策の項目は、次のような内容です。薬剤を使う場合の注意も、同じ項目に含まれています。

  • 施設とその周囲の維持管理を適切に行い、ねずみ・昆虫の繁殖場所を排除する。窓、ドア、吸排気口の網戸、トラップ、排水溝の蓋などで侵入を防ぐ。維持管理には、定期的な清掃、排水溝の洗浄、床・壁・天井のすき間や割れ目の補修が含まれる。
  • 1年に2回以上、ねずみ・昆虫の駆除作業を実施し、実施記録を1年間保存する。ただし、発生場所・生息場所・侵入経路・被害の状況を定期に統一的に調査し、その結果にもとづいて必要な措置をとる方法でもよい。
  • 外部事業者に委託する場合は、建築物ねずみ昆虫等防除業の登録を受けた事業者など、必要な専門知識を持つ適切な事業者を選ぶ。
  • 殺そ剤や殺虫剤を使う場合は、食品や添加物を汚染しないよう、取り扱いに十分注意する。

手引書の記載例と、記録の保管

日本食品衛生協会が作成し、厚生労働省が掲載している小規模な一般飲食店向けの手引書は、基本の項目に加えて、施設によっては重要になる内容として「そ族・昆虫対策」を例に挙げています。「いつ」「どのように」「問題があったとき」の3つを決める形で、例では、6月と11月に駆除作業を実施し、作業中にねずみや昆虫を見つけたときは、可能な限り駆除したうえで、繁殖場所や侵入経路を確認して必要な対策をとる、とされています。

記録については、同じ手引書が、一連の記録を1年間程度は保管し、保健所の食品衛生監視員から提示を求められたら速やかに対応するよう書いています。記録は、問題が起きたときに衛生管理を適切に行っていたことを説明する資料にもなるとされています。

参考:厚生労働省|食品衛生法施行規則等の改正について(一般的な衛生管理に関する基準)

清掃の頻度表:日次・週次・月次の叩き台

ねずみ・昆虫対策の清掃は、基準で頻度が一律に決められているわけではありません。手引書の考え方にそって、「いつ」「どのように」「問題があったとき」を店ごとに決めます。下の表は、チョウバエが育つ場所を想定して作った叩き台で、公的に定められた基準値ではありません。営業時間、席数、排水設備の数に合わせて、頻度と担当者を入れ替えて使ってください。

ごみの出し方や納品の確認は、ほかの害虫対策にもつながります。飲食店の害虫予防は納品時からと、建物のごみ保管室で害虫を減らす点検もあわせて確認すると、発生源を減らしやすくなります。

清掃の頻度表:日次・週次・月次の叩き台:確認項目
頻度の目安箇所やること記録に残すこと
日次(閉店後)床の排水溝・シンクの排水口固形物を取り除き、ぬめりを洗い流す。グレーチング周りの残渣を除く実施日、担当者、ぬめり・幼虫・悪臭の有無
日次(閉店後)ゴミ箱・生ごみ容器・ごみ置き場ふたを閉め、容器の内側と底を洗う。ごみ置き場の床を掃く実施日、ふたの破損や汁漏れの有無
日次〜週数回(営業量で決める)グリストラップバスケットのごみと、浮いた油脂を取り除き、ふた周りを拭く実施日、担当者、においや虫の有無
週次グレーチングの裏・ためます・側溝グレーチングを外し、裏と底の汚れを洗い流す実施日、幼虫やスカムを見つけた場所
週次コールドテーブル・冷蔵庫の下、蒸発皿下部の残渣を取り除き、蒸発皿の水を捨てて洗う実施日、水漏れ・残渣のあった場所
月次床・壁の目地、配管の貫通部、ドア・窓の網割れ目やすき間、網の破れを点検し、補修が必要な箇所を書き出す点検日、補修の依頼日と完了日
店で決める(保守業者・自治体の指示に従う)グリストラップ内部の汚泥の引き抜き・全体清掃設置時の説明書、保守業者の案内、自治体の指示を確認して決める作業日、委託先、作業内容
  • 問題があったとき(幼虫を見つけた、悪臭がある)の対応も、表の欄に書いておく。再洗浄、発生場所の記録、業者への連絡など。
  • 記録は、日付・場所・担当者・異常の有無がそろえば、簡単なチェック表でよい。1年間程度は保管する。
  • ゴキブリなど別の害虫も同じ表で管理すると、見落としが減る。厨房のゴキブリは、チャバネゴキブリが冷蔵庫や厨房の近くに出るときで扱っている。

参考:厚生労働省掲載|HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書(小規模な一般飲食店事業者向け、令和6年1月改訂・日本食品衛生協会)

営業中に使える薬剤・捕虫器の考え方:食品に混入させない

食品衛生法の基準は、殺そ剤や殺虫剤を使う場合は、食品や添加物を汚染しないよう取り扱いに十分注意することを求めています。営業中に薬剤を使えるかどうか、どの場所なら使えるかは、製品の使用上の注意と、保健所や防除業者の指示にそって決めます。自分で濃度や量を調整せず、製品の表示に従ってください。

日本ペストコントロール協会は、光で虫を誘う捕虫機は、ランプの光が屋外に漏れるとかえって飛んでいる虫を呼び込むため、設置場所に注意するよう案内しています。ダスキンの飛翔害虫定期管理サービスは、チョウバエ、ノミバエなどの光に集まる虫を、薬剤を使わない捕虫器で捕獲し、4週間ごとに保守する形で案内しています。

  • 薬剤の噴霧は、食品・調理器具・食器にかからない場所と時間に限り、製品の使用上の注意に従う。閉店後の作業にするかを、業者と決めておく。
  • 捕虫器は、調理台や食品の真上を避け、光が屋外に漏れない位置を検討する。設置位置は業者に相談する。
  • 捕獲された虫の種類と数を記録すると、発生源の見立てに使える。業者に報告を頼めるか確認する。
  • 成虫を減らす対策と並行して、幼虫が育つ汚れの清掃を続ける。

参考:ダスキン|飛翔害虫定期管理サービス

防除業者に頼む場合の契約と報告書の確認点

ダスキンのチョウバエ駆除サービスのページ(2026年10月3日確認)は、チョウバエの潜む排水溝や汚水槽を調査し、幼虫の脱皮を妨げる成長抑制剤を使い、作業後は蓄光トラップでモニタリングして効果を確認する、としています。初回標準料金(50m²まで)は15,840円(税抜14,400円)、4週間ごとの標準料金は5,280円(税抜4,800円)と掲載されています。蓄光トラップを追加する場合は1個440円(税込)で、泡施工のオプションもあります。

同ページには、作業内容や状況、サービス日時によって料金が変わる場合があることや、土日祝日・夜間の作業は追加費用が出る場合があることも注記されています。店の広さや排水設備の数で金額は変わるため、相場ではなく、掲載されている表示の例として読んでください。

定期契約の比べ方は、害虫の定期防除契約で訪問回数・調査報告・緊急対応を比べるに、営業を続けながら調査を受ける進め方は、店舗の害獣調査で営業時間と立ち入り範囲を調整する方法にまとめています。

防除業者に頼む場合の契約と報告書の確認点:確認項目
確認項目聞くこと報告書・契約書で見たい点
調査範囲グリストラップ、排水溝、汚水槽、雨水桝、床下・天井裏のどこまで調べるか調査した場所の一覧と、写真や図
発生源の見立て幼虫のいる場所を特定したか。成虫だけを処理して終わらないか発生源と判断した根拠と、その場所の記録
薬剤・捕虫器使う薬剤の名称、処理する場所、食品に混入させない養生の方法使用した薬剤名、処理場所、実施日時
効果の確認作業後にトラップなどで、どう効果を確かめるか捕獲数や種類の推移(ダスキンの飛翔害虫定期管理サービスのページには、捕獲した虫の種類と数を調査・報告するオプションの記載がある)
改善の提案店側で行う清掃・補修・侵入防止は何か衛生管理のアドバイスを記した報告(同じ飛翔害虫定期管理サービスのページには、サニテーションレポートを提出する記載がある)
回数・費用・再訪初回と定期の費用、再発時の再訪の費用と条件見積書と契約書の内訳、追加費用の条件
資格・登録外部委託の場合の登録や有資格者の有無建築物ねずみ昆虫等防除業の登録の有無など(厚生労働省の資料は、登録を受けた事業者など必要な専門知識を持つ事業者の選定を示している)

参考:ダスキン|チョウバエ駆除サービス

保健所と害虫相談所に相談できること

手引書は、お客様などから異味・異臭・異物混入などの苦情があり、健康被害につながるおそれが否定できない場合は、保健所などへ速やかに報告するよう求めています。虫の混入について指摘を受けたときは、発生源の調査と並行して、管轄の保健所に連絡し、日頃の記録を提示できるようにしておきます。

衛生管理計画や記録の様式で迷うときは、営業の許可や届出をした管轄の保健所に確認しておくと安心です。防除の技術面は、日本ペストコントロール協会の都道府県協会にある害虫相談所で、地元の住民や企業からの相談を、電話などで無料で受け付けていると説明されています。現場調査や防除施工が必要な場合は原則有料で、相談内容に応じた事業者を紹介してもらえる場合もあります。

参考:日本ペストコントロール協会|都道府県協会(害虫相談所)