コバエとは?ハエとの違いと、家庭で多い4つのグループ

東京都ペストコントロール協会は、コバエを、体長5mm以下のハエと蚊に似た小さな羽虫の便宜的な総称と説明しています。札幌市も、室内で飛び回る小さな虫の多くは、1〜5mmほどのハエの仲間の「コバエ類」で、ショウジョウバエ類・ノミバエ類・クロバネキノコバエ類・チョウバエ類が見られると説明しています。アース製薬も、「コバエ」という名前の虫は存在せず、小さなハエの総称だと説明しています。

大きなハエの子どもがコバエなのではなく、まったく別の種類です。日本ペストコントロール協会は、イエバエを体長8mmで飛翔力が強く、食品のにおいに強く誘引されるハエとして紹介しています。KINCHOは、日本の家庭ではイエバエやクロバエなどの大型のハエはほとんど見なくなり、気になるのは1〜3mmの小さなコバエだと説明しています。大きなハエが急に何匹も出たときは、家でハエが大量発生したときの発生源の探し方を確認してください。

参考:東京都ペストコントロール協会|コバエ類の種類と防除方法

読者の疑問

コバエとハエの違いは何ですか?

比較ガイド

コバエは、体長5mm以下の小さなハエや羽虫の便宜的な総称で、種類の名前ではありません。イエバエなど大きなハエの子どもでもありません。大きさや発生源、対策が違うため、分けて考えます。

コバエの種類の見分け方:見た目・動き・見かける場所の早見表

4つのグループは、大きさ、体の色、動き方で見分けられる場合があります。次の表は、東京都ペストコントロール協会、札幌市、KINCHO、アース製薬の説明をまとめたものです。見分けに自信がないときは、写真を撮り、見つけた場所を記録しておくと、相談のときに役立ちます。

コバエの種類の見分け方:見た目・動き・見かける場所の早見表:確認項目
グループ大きさ・見た目動きの特徴見かけやすい場所
ショウジョウバエ類約2.5mm。黄褐色〜黒色で、複眼が赤い比較的ゆっくり歩く。発酵臭に誘引される台所、ごみ箱、傷んだ果物や野菜の周り
ノミバエ類1.1〜2.2mm。褐色で、ショウジョウバエより背面が黒っぽい。後ろ脚が発達しているノミのようにすばやく動き回る台所の生ごみ、ごみ箱の底、排水まわり
クロバネキノコバエ類成虫は1.1〜5.0mmのものが多い。暗褐色〜黒色で、蚊に似た黒い体ゆっくり歩く。光にも誘引される観葉植物の鉢のまわり、窓際、湿った場所
チョウバエ類オオチョウバエは4〜5mm、ホシチョウバエは1.3〜2mm。灰色で、体と翅に毛が密生している飛ぶのは得意でなく、壁に止まっていることが多い浴室・トイレ・洗面所・台所の排水まわり
  • 「コバエが赤い」と感じる場合は、ショウジョウバエの赤い複眼を見ていることがある。
  • ニセケバエ類(黒く触角が太い)やハヤトビバエ類(ショウジョウバエに似て全体が黒っぽい)も、家の中で見つかることがある。

参考:東京都ペストコントロール協会|コバエ類の種類と防除方法

コバエの種類別の発生源:エサと産卵場所

コバエは、においに誘われて入ってくるだけでなく、家の中の発生源で育つ場合があります。「コバエがなぜわくのか」は、グループごとのエサと産卵場所を見ると整理できます。アース製薬は、ショウジョウバエは腐った果実を好み、ノミバエは腐った植物やごみ、キノコバエは観葉植物の土に生える真菌類、チョウバエは排水まわりや下水管のヘドロなどから発生すると説明しています。

動物のいる家・死骸があるときのノミバエ

ノミバエは、動物質のものを好む点が特徴です。東京都ペストコントロール協会は、家に入ったハクビシンやアライグマ、ネズミなどの巣や糞、動物の死体からも発生すると説明しています。レック株式会社の研究ニュースは、クサビノミバエがゴキブリの死体に産卵する習性を調べ、ゴキブリの種類に関係なく発生源になるリスクがあることを示したと紹介しています。ごみ箱を清潔にしても数が減らないときは、見えない場所の動物質のものも疑います。

ハヤトビバエ・ニセケバエなど、このほかのコバエ

東京都ペストコントロール協会は、ハヤトビバエ科の仲間は、基本的には屋外で発生したものが屋内へ入ることが多い一方、屋内で排水設備の漏水がある場合には、床下などからも多く発生すると説明しています。ニセケバエ類は腐植植物質から多く発生し、家屋内にもよく侵入するとされています。種類が多く、グループを決めきれない場合は、見つかる場所と時間帯の記録が手がかりになります。

コバエの種類別の発生源:エサと産卵場所:確認項目
グループ主な発生源(資料の説明)家に入る力・注意点
ショウジョウバエ類傷んだ果物・野菜、漬け物などの発酵した食品、ごみ箱の底の残渣。ビールの空き缶にも集まる(KINCHO)家屋侵入性が強い。網戸の小さな網目もすり抜けることがある(アース製薬)
ノミバエ類わずかな雑芥、排水系、ごみ箱の底の残渣。動物質を好み、家に入った動物の巣・糞・死体からも発生する家屋侵入性が非常に強く、網戸の目から体を押し込んで入ることがある(KINCHO)
クロバネキノコバエ類腐葉土などの腐植質、キノコ類、観葉植物の鉢。雨漏りや漏水で木材が傷んだ場所も発生原因になる窓のすき間からも侵入し、光に誘引される
チョウバエ類下水口のスカム、水回りの目地や浴槽下のぬめりと汚れ近隣のマンホールから発生し、風で飛来することもある

参考:アース製薬|コバエを知る(アース害虫駆除なんでも事典)

コバエの卵から成虫までの期間・寿命・増え方(出典の値)

コバエの数が急に増えるのは、卵から成虫までの期間が短いためです。東京都ペストコントロール協会が種や温度条件で変わる目安として示す日数を、表にしました。成虫が見えなくなっても、発生源に卵や幼虫、サナギが残っていれば、次の成虫が出てきます。

「何日で死ぬ」より「何日で次の世代が出るか」

表の卵期・幼虫期・蛹期を合計すると、ショウジョウバエ類は約9日、ホシチョウバエは13〜19日、クロバネキノコバエ類は15〜32日が目安です。アース製薬は、ショウジョウバエは成虫になるまで約10日、成虫になって1〜3日で産卵でき、2週間から1か月ほどの生存期間に500個もの卵を産むと説明しています。KINCHOも、ノミバエは卵から成虫まで約2週間と説明しています。

成虫を駆除するだけでは発生源に残った卵や幼虫が育つため、数日から2週間ほどで次の成虫が出ます。KINCHOは、ゴマそっくりのサナギが貼りついている場所があれば、その近くを探し、発酵や腐敗した食材を捨てるよう案内しています。発生時期は、チョウバエが4月〜12月(KINCHO)、大量繁殖期は6〜9月(アース製薬)とされ、種類で幅があります。

コバエの卵から成虫までの期間・寿命・増え方(出典の値):確認項目
グループ卵期幼虫期蛹期成虫の寿命発生の多い時期
ショウジョウバエ類約1日約4日約4日約30日春・秋
ノミバエ類約1日約3日約10日約10日夏期
ホシチョウバエ約2日9〜15日約2日5〜32日春〜秋
オオチョウバエ約2日9〜15日約2日5〜33日春〜秋
クロバネキノコバエ類4〜7日8〜20日3〜5日4〜10日春や晩秋

参考:東京都ペストコントロール協会|コバエ類の種類と防除方法

コバエの種類別に合う対策・合わない対策:置き型・スプレー・発生源の手入れ

札幌市は、市販のハエとり剤について、誘引式はショウジョウバエ類に有効で、偶発式はすべてのコバエ類に有効と説明しています。アース製薬の置き型捕獲器の製品ページは、対象害虫をショウジョウバエ類とノミバエ類とし、観葉植物の鉢のまわりにいるクロバネキノコバエ類と、浴室や排水口まわりのチョウバエ類は効果が「×」と表示しています。どの対策が合うかは、グループで変わります。

対策の土台は、どのグループも発生源の手入れです。アース製薬の製品ページは、置く前にコバエのエサになるものを片付けるよう案内し、エサを放置すればコバエはまた発生すると説明しています。表では、資料に出てくる対策をグループ別に整理しました。薬剤を使う場合は、使用上の注意を必ず守ってください。

コバエの種類別に合う対策・合わない対策:置き型・スプレー・発生源の手入れ:確認項目
グループ合う対策(資料の説明)合わない・効果が示されていない対策
ショウジョウバエ類生ごみの処理、ごみ箱の洗浄、果物・野菜の管理。エアゾールと捕獲トラップ。置き型捕獲器の表示は対象エサになるものを片付けずに、トラップだけを置くこと
ノミバエ類生ごみの処理、ごみ箱の洗浄、食物の管理。エアゾールと捕獲トラップ。動物の巣・糞・死体が原因なら、その除去が先ごみ箱の清掃だけで、見えない場所の動物質の発生源を残すこと
クロバネキノコバエ類観葉植物は土の交換。腐葉土や刈った草を放置しない。漏水対策。エアゾール。照明は紫外線カット機能のあるものに変える置き型捕獲器(製品ページで効果が「×」表示)
チョウバエ類排水溝まわりの清掃、排水管内の高圧洗浄、水封トラップの水を切らさない。ぬめりを幼虫や卵ごと取り除いて乾燥させる(KINCHO)。エアゾール置き型捕獲器(「×」表示)。浴室で熱湯をかけること(排水管の耐熱温度が約60度のため変形・水漏れのおそれ、アース製薬)

参考:アース製薬|コバエがホイホイ 製品情報(対象害虫と効果の有無)

飲食店・食品を扱う場所でコバエが問題になる理由

アース製薬は、コバエは病原菌などを媒介しないが見た目に不快で、食品工場や飲食店では深刻な被害をもたらすことがあると説明しています。ノミバエは、小さく動きが俊敏なため、食品、特に肉などに潜り込んで産卵することがあり、食品衛生上も重要な問題とされています。KINCHOは、岐阜県の一部地域では毎年クロバネキノコバエが大量発生し、学校給食の調理に支障が出ることがあると紹介しています。

厚生労働省が掲載する、日本食品衛生協会の小規模飲食店向けHACCP手引書は、ねずみや衛生害虫が調理環境に入ったり発生したりして、二次汚染や異物混入を起こさないよう対策を取ることを求めています。例として、決めた時期に駆除作業を行い、作業中に見つけたときは可能な限り駆除したうえで、繁殖場所や侵入経路を確認して対策をとる運用が示されています。厨房の清掃と記録の残し方は、飲食店・厨房のチョウバエ対策で整理しています。

参考:厚生労働省掲載|HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書(小規模な一般飲食店事業者向け、令和6年1月改訂・日本食品衛生協会)

発生源が分からないときは?家庭でのコバエ対策の入口

日本ペストコントロール協会は、飛ぶ虫の駆除は、一般に発生源への処理が効果的だと説明しています。ハエの場合は、屋内外の清掃を徹底し、エサや産卵場所となる生ごみや汚物を除去すること、すき間をふさぐこと、排水口におわん型トラップがなければ設置することを挙げています。種類が分かっても発生源が見つからないときは、部屋ごとに確認する場所と順番を決めると進めやすくなります。

場面に近い記事を、次の一覧から選んでください。発生源が分からないときの探し方は、部屋ごとの確認表をつけた記事で詳しく扱っています。

参考:日本ペストコントロール協会|有害生物情報 蚊・ハエ駆除