ねずみ駆除の高額請求で、公表されている相談事例
国民生活センターは2024年4月に、害虫・害獣駆除のトラブルに関する注意喚起を公表しました。全国の消費生活センターなどに寄せられた駆除サービスの相談は、2023年度に2,000件を超え(シロアリ駆除を除く)、前年度の同じ時期から約1.5倍に増えたと説明されています。ネズミ駆除の事例も、その中の一つとして紹介されています。
ネズミの事例は、2023年12月に受け付けた相談です。ネットに「一軒家約5,000円〜」とあった業者に見積もりで来てもらったところ、「人が入れない場所があるので半分だけ調査する」「侵入経路は見当たらないが、たくさんいるようだ」と言われ、動画で被害を見せられて不安になりました。表示と大きく違う約13万円で契約し、頭金約5,000円を支払って作業を受けたあと、別の業者に調べてもらうと、前の業者が入れないとした場所も調査でき、侵入経路が分かったと説明されています。契約書にはクーリング・オフの記載があったため申し出たものの、できないと言われた、という内容です。
公表された事例に共通する問題点
国民生活センターは、相談事例から六つの問題点を挙げています。ネットの料金と実際の料金がかけ離れる、不安をあおって契約を急がせる、強引に作業して代金を請求する、事前に複数の見積もりを取れない、契約書面に具体的なサービス内容が書かれていない場合がある、クーリング・オフを妨げる、の六つです。ネズミの事例には、このうち複数が重なって見られます。
2025年・2026年の公表でも、注意点は同じ
2025年3月の公表では、「約500円〜」「約1,000円から」と表示された業者に依頼し、作業のあとに約20万円や約50万円を請求された相談が紹介され、納得できない請求はその場で支払わないよう呼びかけています。2026年7月の「見守り新鮮情報」でも、見積り額が示されないまま作業が終わり、約15万円の契約書兼請求書を渡された例が出ています。いずれもゴキブリやハチの事例ですが、見積り額を作業の前に確認する点は、ネズミ駆除にも共通します。
| 場面(公表事例の内容) | 注意したい点 | 契約前に確認すること |
|---|---|---|
| ネットの「一軒家約5,000円〜」で依頼した | 表示と実際の料金がかけ離れる | 電話で「何を含む金額か」と「総額の目安」を聞く |
| 「半分だけ調査する」と説明された | 調査が一部だけのまま、契約に進んでしまう | 調べた場所と調べられない場所を、写真と書面で示してもらう |
| 動画を見せられて不安になった | 不安をあおって契約を急がせる | その場で決めず、ほかの業者の見積もりと比べる |
| クーリング・オフを申し出たが、できないと言われた | クーリング・オフの妨害(問題点として公表) | 契約書面の記載を確認し、188へ相談する |
参考:国民生活センター|報道発表資料 ネットの価格と全然違う!?害虫・害獣駆除のトラブルにご注意(2024年4月24日、PDF)
ネズミ駆除の料金が高いと感じたら、悪徳業者でしょうか?
金額の高さだけでは判断できません。封鎖の箇所数、清掃の範囲、訪問回数、保証が含まれると、総額は変わります。見積書の行ごとに内訳と数量を確認し、2社以上で比べます。説明を避ける、急かすといった対応には注意してください。
ねずみ駆除で金額が変わる項目と、見積書での確認箇所
見積書で食い違いが出やすいのは、作業の範囲が「一式」でまとめられている行です。国民生活センターも、契約書面に具体的なサービス内容が書かれていない事例を、問題点に挙げています。2026年10月3日時点で、サンキョークリーンサービスは、封鎖を1か所ごと、消毒を1平方メートルごとの単価で、基本プランは面積と3回・5回・10回の回数で表示しています。アサンテは、設置する粘着トラップと毒餌の数の目安を載せています。いずれも一例で、あなたの見積もりの金額ではありません。
封鎖箇所が見積書にないとき
封鎖は、ネズミを建物に入れないための作業です。見積書に箇所の数や位置がないと、あとから「ここは対象外」と言われたときに確かめようがありません。侵入口の候補を写真と簡単な図で示してもらい、「何か所を、何で塞ぐか」を行に書いてもらいます。サンキョークリーンサービスの料金表のように、室内、外周、床下などの場所別に単価を示している会社もあります。
定期訪問や回数契約は、回数と終了条件を聞く
回数契約は、訪問のたびに作業と点検を行う仕組みで、サンキョークリーンサービスは3回・5回・10回のプランを表示しています。確認したいのは、回数に含まれる作業、点検の時期、回数を終えても痕跡が続くときの扱いです。アサンテは、1〜6か月の契約期間内は無償で対応すると表示しています。「定期訪問」「メンテナンス」という言葉だけでは費用の範囲が分からないため、1回あたりの金額と、途中で終了できる条件を書面で確認します。
清掃・消毒・処分は別の行か
フンの清掃や消毒、断熱材の撤去、回収したものの処分は、別の行にされることがあります。サンキョークリーンサービスは糞清掃を1か所、消毒を1平方メートルの単価で示し、プログラントは糞尿清掃や殺菌消毒を別途見積もりの作業として表示しています。範囲と数量が書かれていれば、他社の見積もりと比べられます。
| 見積書の行 | 確認すること | あいまいな書き方の例 |
|---|---|---|
| 調査 | 調べる範囲(天井裏・床下・外周)、入れない場所の扱い | 「調査一式」「全体調査」 |
| 封鎖 | 箇所数、位置、材料、固定方法、高所・床下の扱い | 「侵入口封鎖一式」 |
| 捕獲器・薬剤 | 種類、設置数、設置場所、回収・交換の日 | 「トラップ設置」だけで数がない |
| 訪問・点検 | 回数、時期、1回の金額、回数後の扱い | 「定期メンテナンス」 |
| 清掃・消毒 | 範囲、数量(箇所・平方メートル)、断熱材の扱い | 「清掃・消毒一式」 |
| 諸費用 | 出張費、前受金・頭金、処分費、キャンセル料 | 「諸経費」 |
| 保証 | 期間、対象、除外条件、窓口 | 「保証付き」とだけ書かれ、書面がない |
「今すぐ契約しないと危険」と言われたときの確認
国民生活センターは、不安をあおって契約を急がせ、ほかの事業者と比べる機会を奪う事業者とは契約しないよう呼びかけています。ネズミ駆除の事例でも、動画を見せて不安をあおる説明が出てきます。ネズミの被害は衛生面の心配がありますが、見積もりを比べる時間まで奪う理由にはなりません。まず、本当に急ぐ状況かを落ち着いて考え、複数社から見積もりを取る前提で話を聞きましょう。
納得できない請求を受けたときは、後日、納得した金額を支払う意思は示しつつ、その場での支払いは避けるよう、国民生活センターは呼びかけています。契約を急かされたときの一般的な確認は契約を急かされたときの確認に、急いで業者を探すときの確認は急いで駆除業者を探すときも省かない四つの確認にまとめています。
| 言われたこと | 確認する質問 | 次の一手 |
|---|---|---|
| 「今日中に契約すれば安くなる」 | 値引き前の金額と、値引きの理由は何ですか。見積書に書いてもらえますか | 持ち帰って比べる。その場で署名しない |
| 「このまま放置すると大変なことになる」 | どの痕跡から、どんな被害が進むと判断しましたか。写真で見せてもらえますか | 自分でも撮影し、別の業者に同じ場所を見てもらう |
| 「半分しか調べられないが、契約しないと危険」 | 調べていない場所の調査は、いつ、誰が行いますか | 調査範囲を書面にしてもらい、他社の調査と比べる |
| 「作業を始めたので、中止しても料金がかかる」 | 中止した場合に請求される範囲と根拠は何ですか | 作業を止めてもらい、その場の支払いを避けて188へ相談する |
作業内容が不十分だと感じたときの記録と連絡
作業のあとに「見積書の内容と違う」「侵入口が残っている気がする」と感じたら、記憶だけに頼らず、記録を残します。国民生活センターの事例でも、別の業者に調べてもらったことで、前の作業の不十分さに気づいた例があります。ただし、別の業者の意見だけで結論を決めつけることはできないため、記録を集めて、窓口に状況を伝える形にします。
連絡の順番は、まず事業者に、書面やメールで、どの作業が見積書と違うのか、いつまでに説明がほしいのかを伝えます。保証や再訪の約束があるときは、保証書に書かれた窓口へ連絡します。連絡しても解決しない、または脅すような対応をされたときは、消費者ホットライン188へ相談してください。保証窓口への伝え方は工事後にまた音がするときの保証窓口への伝え方が参考になります。
- 見積書、契約書、領収書、広告やサイトの表示(画面を保存)
- 作業の前後の写真、設置された物の位置と数
- 作業日、作業員の名前、会社名、説明された内容のメモ
- メールやメッセージのやり取り、通話の日時
- 支払った日、金額、方法(頭金や前受金も含む)
- ほかの業者が調べた内容(日付と、見た場所)
参考:国民生活センター|報道発表資料 ネットの価格と全然違う!?害虫・害獣駆除のトラブルにご注意(2024年4月24日、PDF)
クーリング・オフと188:使える場面と考え方
消費者庁の案内では、訪問販売の契約は、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内なら、書面または電磁的記録(メールなど)で、申込みの撤回や契約の解除ができます。国民生活センターは、サイトや広告の格安料金を見て訪問を頼んだ場合や、見積もりのために来てもらった業者とその場でサービスを契約した場合も、特定商取引法の訪問販売に当たる可能性があると説明しています。
クーリング・オフの期間内に工事が行われていても、クーリング・オフをした場合は、無償で元どおりに戻すよう求められると国民生活センターは案内しています。また、事業者が事実と違うことを告げたり威迫したりして、消費者が誤認や困惑のためにクーリング・オフしなかった場合は、8日を過ぎていても行えるとされています。通知は、書面なら特定記録郵便や書留など記録が残る方法で、メールなら送信したメールを保存しておきます。
どの場面に当てはまるかは契約の経緯で変わるため、自分で決めつけず、消費者ホットライン188に電話します。郵便番号などを入力すると、最寄りの消費生活センターなどの窓口が案内されます。相談は無料で、通話料は利用者の負担です。窓口で伝える資料は請求トラブルを188へ相談するときの準備に整理しています。
| 状況 | 公的な案内の内容 | 動き方 |
|---|---|---|
| 書面を受け取って8日以内 | 訪問販売に当たる場合、書面か電磁的記録でクーリング・オフができる | 通知を記録が残る方法で出し、188にも相談する |
| 工事がすでに済んでいる | 期間内にクーリング・オフをすれば、無償で元に戻すよう求められる | 作業の前後の写真を残して連絡する |
| 8日を過ぎた | 事実と違う説明や威迫で行えなかった場合は、期間後でも行える。契約の大切な部分で事実と違う告知を受けた場合は、気づいてから1年以内(契約から5年以内)なら取消しができる場合がある | 188に経緯を伝え、使える方法を相談する |
| 「できない」と言われた | 事例には、契約書に記載があるのに断られた相談が公表されている | 断られた日時と内容を記録し、188へ相談する |
防除業登録・協会加盟の確かめ方と、その限界
契約前に会社の資格を確かめる方法として、建築物衛生法の「建築物ねずみ昆虫等防除業」の登録があります。登録は、都道府県知事が営業所ごとに行い、有効期間は6年間です。埼玉県の案内は、この制度は登録を受けない事業者の業務を制限するものではなく、登録していないのに登録を受けているような表示は禁止されていると説明しています。登録をうたう会社には、営業所の名称と有効期間を聞き、登録先の自治体や保健所に問い合わせて確かめます。
日本ペストコントロール協会は、全国47都道府県に地区協会があり、各協会が無料の電話相談(害虫相談所)を設けています。現場調査や防除施工は原則有料ですが、相談内容に応じた事業者を紹介する場合もあると案内されています。同協会のペストコントロール優良事業所認証は、専任の1級技術者、機器材や設備、保険の加入などの条件を満たす事業所に適用されるものです。ただし、登録や加盟があっても、見積書の行ごとの確認は欠かせません。業者の比べ方はネズミ駆除業者の選び方にまとめています。
契約前に聞く質問と、署名前の確認(ネズミ駆除)
署名の前に、次の質問を口頭と書面の両方で確認してください。口頭の約束は、書面に書かれていなければ、あとから確かめにくくなります。消費者庁の案内では、訪問販売の契約書面には、価格、支払時期、事業者の名称・住所・電話番号、担当者の氏名、クーリング・オフの事項などを書く必要があり、クーリング・オフの事項は赤枠の中に赤字で記載することとされています。見積書と契約書の内容が違うときの照合は契約書と見積書の内容が違うときの確認に載せています。
- 広告やサイトの金額は、何を含む金額でしたか。総額はいくらですか
- 調査は建物のどこまで行い、行えない場所は何か所ありますか
- 封鎖の箇所数、位置、材料は、見積書のどの行にありますか
- 捕獲器や薬剤は何を、どこに、何個置き、誰がいつ回収しますか
- 訪問は何回で、1回あたりの金額はいくらですか。回数を超えたときの費用は
- 契約書面に、会社名、住所、電話番号、担当者名、金額、支払い時期、クーリング・オフの記載はありますか
- 頭金や前受金はいくらで、どの作業の対価ですか。作業を断った場合の扱いは
- 別の業者の見積もりと比べたいので、今日は契約せず、持ち帰ってよいですか



