種類別の対策ガイド
マダニの駆除・対策ガイド
庭や草むら、ペットに付くマダニへの注意と対策を知りたい。
マダニは、固い外皮に覆われた比較的大型のダニで、食品に発生するコナダニや、衣類や寝具に発生するヒョウヒダニなど家の中にいるダニとは種類が異なります。厚生労働省によると、成ダニの大きさは種類によって吸血前で3〜8ミリメートル、吸血後は10〜20ミリメートルほどです。人や動物に取り付くと皮膚に口器をしっかり突き刺し、数日から長いものでは10日間以上吸血しますが、咬まれたことに気づかない場合も多いとされています。
主な生息場所は森林や草地ですが、郊外や市街地にも生息しています。国立健康危機管理研究機構は、シカ、イノシシ、野ウサギなどの野生動物が出没する環境に多く、民家の裏山や裏庭、畑、あぜ道にもいると説明しています。東京都健康安全研究センターによると日本全国に分布しています。多くは春から秋(3〜11月)に活動が活発になりますが、冬に活動する種類もいます。住宅の周りでは、庭や畑の作業、草刈り、ペットの散歩のときに人や動物の体に付くことが問題になります。
注意が必要なのは、マダニが感染症を媒介するためです。重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、日本紅斑熱、ライム病などが知られ、厚生労働省によるとSFTSは2021年以降、毎年100名を超える患者が報告されています。患者は西日本を中心に報告されてきましたが、2025年には関東や北海道で感染した症例も報告され、全国的に感染リスクがあると考えられています。一方で、すべてのマダニが病原体を持つわけではなく、国内のマダニのSFTSウイルス保有率は、地域や季節で違いがあるものの0〜数パーセントとされています。
マダニの被害を見分ける手がかり
| 手がかり | 特徴と確認のしかた |
|---|---|
| 姿と大きさ | 成ダニは吸血前で3〜8ミリメートルほどあり、肉眼で見えます。吸血して満腹になると10〜20ミリメートル程度までふくらみます。固い外皮に覆われている点も特徴です。 |
| 家の中のダニとの違い | アレルギーの原因になるチリダニは0.3〜0.4ミリメートル、夏に室内で人を刺すツメダニは0.3ミリメートルほどです。マダニはこれらと違って目で見える大きさで、皮膚に食い付くと満腹になるまでなかなか離れません。 |
| いる場所 | 山林、草むら、やぶのほか、民家の裏山や裏庭、畑、あぜ道にもいます。東京都健康安全研究センターによると、一般に地上1メートルくらいの植物の葉陰で、野生動物や人を待ち伏せして体に付きます。 |
| 体に付いたときの見え方 | 吸血中のマダニは「できもの」のように見えることがあります。屋外活動の後は、わきの下、足の付け根、手首、膝の裏、胸の下、髪の毛の中などを、入浴やシャワーのときに確認します。 |
| 咬まれた後の感覚 | 唾液に麻酔のような物質が含まれ、咬まれた直後は気づかないことが多いとされます。2〜3日してかゆみや軽い痛みを感じる人もいますが、1週間たっても気づかない人もいます。 |
| ペットの体 | 犬や猫にも付くため、散歩の後に体の表面を確認します。目の細かい櫛をかける方法も有効とされています。しっかり食い込んでいるマダニは無理に取らず、獣医師に除去してもらいます。 |
法律・制度上の注意
マダニ対策で関係するのは、薬剤の表示と感染症の制度です。虫よけ剤(忌避剤)は、ディートとイカリジンの2種類の有効成分を含む製品が市販されています。ディートには、30パーセントの製品は12歳未満に使用しないなど年齢による制限があるため、使用上の注意を読み、用法・用量を守って使います。重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は感染症法の四類感染症に位置付けられており、診断した医師が保健所へ届け出る対象です。ペット用のダニ駆除剤は、かかりつけの獣医師に相談して使います。
自分でできる対策
- 草むらややぶ、畑、裏庭に入るときは、長袖・長ズボン、足を完全に覆う靴、帽子、手袋を着け、首にタオルを巻いて肌の露出を減らします。
- シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れます。明るい色の服を選ぶと、付いたマダニを目で見つけやすくなります。
- ディートやイカリジンを含む虫よけ剤は、製品の使用上の注意に従って補助的に使います。付着を完全に防ぐものではないため、服装の対策と組み合わせます。
- 屋外作業の後は、上着や作業着を家の中に持ち込まないようにし、服に付いたダニは粘着テープで取り除きます。入浴やシャワーのときに体を確認します。
- 犬や猫は散歩の後に体の表面を確認し、ペット用のダニ駆除剤について獣医師に相談します。野生動物や動物の死体には触れないようにします。
相談を考える目安
- 吸血中のマダニが皮膚に付いているのを見つけたときは、無理に引き抜かず、皮膚科などの医療機関で除去してもらう。
- マダニに咬まれた後の数週間に、発熱、全身のだるさ、食欲不振や下痢などの症状や、咬まれた所の周りの赤み(紅斑)が出たときは、咬まれたことを伝えて医療機関を受診する。
- ペットの体にマダニがしっかり食い込んでいる、またはペットの元気や食欲がないときは、動物病院に相談する。
- 庭や所有地でマダニが繰り返し見つかる、野生動物が敷地に出入りしているといった場合は、お住まいの地域の保健所や自治体の窓口に相談する。
マダニのよくある質問
- マダニはどこにいますか?庭や家の周りにもいますか?
- 主に森林や草地にいますが、郊外や市街地にも生息しています。国立健康危機管理研究機構は、野生動物が出没する環境に多く、民家の裏山や裏庭、畑、あぜ道にもいると説明しています。家の中で発生するコナダニやヒョウヒダニとは別の種類です。屋外で付いたマダニを、衣服やペットと一緒に家の中へ持ち込まないことが大切です。
- マダニに咬まれたら、自分で取ってもよいですか?
- 無理に引き抜かず、皮膚科などの医療機関で除去してもらってください。厚生労働省は、無理に取ろうとするとマダニの一部が皮膚の中に残って化膿したり、マダニの体液が逆流したりするおそれがあると説明しています。その後数週間は体調の変化に注意し、発熱などの症状が出たら、マダニに咬まれたことを伝えて受診します。
- 庭のマダニは殺虫剤で駆除できますか?
- 庭や所有地のマダニをなくすことは難しいと考えてください。東京都健康安全研究センターは、自然界にいるマダニをすべて駆除することはできないとして、咬まれないための対策を取ること、所有者以外も通る場所では通行者に注意を呼びかけることを勧めています。服装、虫よけ剤、作業後の体の確認を組み合わせて備えます。
- マダニと家の中のダニはどう違いますか?
- 大きさと発生する場所が違います。マダニの成虫は3〜8ミリメートルあって肉眼で見え、主に屋外の草むらややぶで動物や人に取り付いて血を吸います。アレルギーの原因になるチリダニは0.3〜0.4ミリメートル、室内で人を刺すツメダニは0.3ミリメートルほどで、いずれも家の中にいる別の種類のダニです。
- 犬や猫に付いたマダニから人に病気がうつりますか?
- ペットに付いたマダニに触れただけで感染することはありませんが、そのマダニに人が咬まれれば感染の危険があります。また厚生労働省は、SFTSを発症した猫に咬まれて感染した事例や、発症した動物の体液に直接触れたことが原因と考えられる事例があると説明しています。発症していない猫や犬、屋内だけで飼われている猫や犬から人が感染した事例は報告されていません。ペットの体調が悪いときは、マスクや手袋を着け、咬まれたりなめられたりしないよう注意して、動物病院を受診してください。
参考(確認日:2026年10月2日):厚生労働省|ダニ媒介感染症、厚生労働省|重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A、国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト|マダニ対策、今できること、東京都保健医療局|マダニ(ねずみ・衛生害虫)、東京都健康安全研究センター|マダニにご注意! マダニQ&A
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