床下換気口の役割と法令上のねずみ侵入防止の設備
床下換気口は、地面からの湿気を床下から逃がすための開口です。建築基準法施行令第22条は、最下階の居室の床が木造の場合について、床の高さを直下の地面から床の上面まで45cm以上とすること、外壁の床下部分に壁の長さ5m以下ごとに面積300平方センチメートル以上の換気孔を設け、これにねずみの侵入を防ぐための設備を付けることを定めています。床下をコンクリートやたたきなどで覆う場合や、国土交通大臣の認定を受けた構造の場合は、この限りではないとされています。
つまり、換気口は空気を通しながらねずみを入れない構造が、もともと求められています。古い家で格子が曲がる、網が外れる、換気口の周囲にすき間があるという状態は、この設備が働かなくなっている状態です。数値は出典によって異なるため、下の表で整理します。自宅の換気口が何を基準に作られているかは、図面か建築した会社で確認できます。破損を見つけたときの考え方は換気口の破損を見つけたらでも整理しています。
| 出典 | 床下換気の数値・条件 | 対象と注意 |
|---|---|---|
| 建築基準法施行令第22条 | 壁の長さ5m以下ごとに300平方センチメートル以上の換気孔。ねずみの侵入を防ぐ設備を付ける | 木造の最下階の居室の床。床下をコンクリートなどで覆う場合は但し書きがある |
| 長期優良住宅の技術基準の概要(新築・木造軸組) | 壁の長さ4m以下ごとに300平方センチメートル以上。ねこ土台は全周で1mあたり75平方センチメートル以上 | 長期優良住宅の認定基準の説明で、すべての家に当てはまるものではない |
| 基礎パッキン製品のメーカー公式ページ | 法令上、基礎パッキンを使うときは建物の外周に防鼠材をセットして使う、と注意書きがある(防鼠付きの水切りを使う場合を除く) | 製品ごとの取扱い注意。使っている製品の説明書で確認 |
参考:e-Gov法令検索|建築基準法施行令(第22条 居室の床の高さ及び防湿方法)
床下換気口にねずみ侵入防止の設備が必要というのは本当ですか?
建築基準法施行令第22条が、木造の最下階の居室の床について、床下の換気孔にねずみの侵入を防ぐ設備を付けることを定めています。床下をコンクリートなどで覆う場合は扱いが異なるため、自宅の構造は図面か施工した会社で確認してください。
換気口の種類(格子・網・基礎パッキン)と破損の見つけ方
床下の換気口には、コンクリートの基礎に開けた穴に格子や金網を付けたものと、基礎と土台のあいだにすき間をつくる基礎パッキン(ねこ土台)の方法があります。後者は外周に細長い開口が続くため、一か所の破損が見つけにくい点が違います。外周を一周して、種類ごとに次の点を確かめます。
格子・金網の換気口
東京都のねずみ防除指針(行政担当者向けの窓口対応例)には、住宅の環境チェック表があり、床下通気口は「破損」「格子のすき間が大きい(1.25cm以上)」「周囲にすき間」を確認する項目になっています。また、通風口に格子がない、または幅が広すぎる場合は格子や金網を付け、格子のすき間は1cm程度にすると例示されています。
- 格子が曲がっている、外れている、錆びて穴が開いている
- 金網が破れている、はがれている、端にすき間がある
- 換気口の枠と基礎コンクリートのあいだに、割れやすき間がある
- 換気口の前を物や植木でふさぎ、点検しにくくなっている
基礎パッキン(ねこ土台)の家
基礎パッキン製品のメーカー公式ページには、パッキンを使うときは建物の外周に防鼠材をセットして使うこと、防鼠材は有効換気面積を確保しながら床下へのネズミなどの侵入を防ぐ部材であることが書かれています。同じページには、防鼠付きの水切りを使う場合は防鼠材は不要という注記もあります。外から見て、基礎と土台のすき間に防鼠材や防鼠付きの水切りが続いているかを確かめます。抜け落ちている、ずれて広いすき間が見える、土やモルタルで埋まっているといった状態は、記録の対象です。
床下が基礎で囲まれていない古い家
東京都の指針は、床下が布基礎やべた基礎でない場合は、土台・根太・床板でできるすき間からねずみが出入りすることがあり、周囲を板材で囲む対処を例示しています。この種の作業は構造に関わるため、自分では行わず、外から見える範囲を記録して調査で相談します。
どれくらいのすき間から入る?動物ごとの目安
小さな破損でも侵入口になるかは、動物の大きさによります。農林水産省のマニュアルは、シベリアイタチ(旧称チョウセンイタチ)が3cm程度の穴やすき間からも入り、具体的な侵入ポイントとして屋根の重なり、入母屋屋根の両隅、床下換気口、給湯器などの配管引き込み部を挙げています。ハクビシンについては、6cm×12cmのすき間があれば入れるとし、夏場は涼しい床下を、気温が下がると暖かい天井裏を日中の休み場所に使うと説明しています。
同じマニュアルは、個人の家屋では床下の通風口からの侵入が最も多いと述べ、塞ぐ資材は金属や板など丈夫なものとし、樹脂ネットや薄い合板は壊される可能性があるので使わないとしています。換気口の格子や網は、すき間の大きさだけでなく、動物がかじったり押したりして広げられる素材かどうかも見る必要があります。
| 動物 | 入れるとされるすき間の目安 | 出典での書かれ方 |
|---|---|---|
| ネズミ | クマネズミは1.25cm程度以上のすき間を通り抜けるとされる。格子のすき間は1cm程度が例示 | 東京都のねずみ防除指針の例示とチェック表。種類や個体で差がある |
| シベリアイタチ(イタチ類) | 3cm程度の穴・すき間 | 農林水産省のマニュアル。床下換気口を侵入ポイントに挙げる |
| ハクビシン | 6cm×12cmのすき間 | 農林水産省のマニュアル。夏は床下、寒くなると天井裏を休み場所に使う |
配管の貫通穴・基礎のひび割れ・勝手口まわりのすき間
換気口のほかにも、外周にはすき間ができる場所があります。配管・基礎・勝手口の3か所を順に見ます。
配管・配線が外壁や基礎を貫く部分
東京都の指針には、給排水管やガス管が外壁を貫通する部分のすき間を不燃性のパテやモルタルで埋める例があり、チェック表にも、壁の配管貫通部分と床下の排水管貫通部分のすき間が項目として載っています。農林水産省のマニュアルも、給湯器などの配管引き込み部を侵入ポイントに挙げています。塞ぐ際の水漏れや点検のしやすさへの注意は、配管の周りを塞ぐ前の確認で整理しています。
基礎のひび割れ・欠け
国土交通省の既存住宅インスペクション・ガイドラインは、基礎のコンクリートに幅0.5mm以上のひび割れ、または深さ20mm以上の欠損がある状態を、検査で指摘する劣化事象として挙げています。東京都の指針はクマネズミが1.25cm程度以上のすき間を通り抜けるとしており、細いひびだけで入るとは言えませんが、欠けて穴になった所や、ひびが広がって基礎と壁・土台のあいだに開口ができた所は、侵入口になりえます。ひびの幅や深さの判断は建築の専門家に任せ、位置を撮影して残します。
勝手口・戸袋・シャッターまわり
東京都の指針は、木製ドアの周囲のすき間やかじられた穴を金属板で塞ぐ例、戸袋の壁のすき間、シャッターが地面まで届かない場合の対処を取り上げています。外周を一周する途中で、勝手口のドアの下端や周囲にすき間やかじり跡がないか、戸袋の壁に穴がないか、シャッターが地面まで届いているかも確かめ、気づいた点を記録します。
換気口の周りで確かめる痕跡|汚れ・足跡・かじり跡・掘り跡
換気口のまわりは、動物が通った印が残りやすい場所です。東京都の指針の聞き取り表は、ねずみが通った所に残る汚れや足跡(ラットサイン)、かじられた物、フンを確認項目にしています。見つけたものは、拭いたり掃除したりする前に、位置が分かる写真を撮ります。フンは乾いて粉になっていることがあるため、素手で触らず、掃除の方法は、先に専門家や自治体の案内で確認してください。
足跡や掘り跡は、動物を絞る手がかりにもなります。農林水産省のマニュアルは、ニホンアナグマが穴を掘る能力に優れ、複数の巣穴をねぐらや繁殖場所にすると説明しています。換気口の下の地面が掘られて通路ができていないかを見て、見つけたら位置と大きさを写真に残します。
| 見つけたもの | 見る場所 | 分かること・次にすること |
|---|---|---|
| 黒っぽい擦れた汚れ | 換気口の枠、基礎と土台の境目、配管の周り | ネズミの通り道を示す印のことがある。拭き取る前に位置を撮影する |
| 足跡・引きずった跡 | 換気口の下の土、犬走りの砂、基礎の外周 | 足跡の形は動物の種類で違う。泥に残っていれば全体と拡大を撮る |
| かじり跡 | 換気口の格子の縁、木部、配線・配管のカバー | 金網や木をかじって広げた可能性がある。広がる前に記録する |
| フン・食べかす | 換気口の内側、基礎の足元 | 触らず写真にとどめ、新しいかどうかを日をおいて見比べる |
| 掘り跡・穴 | 換気口の下、基礎の外周の地面 | 地面を掘って通路になっていないかを見る。位置と大きさを記録する |
通気を保ったまま塞ぐ|材料と作業の考え方
塞ぐときの前提は、通気を残すことです。床下の湿気が抜けなくなると、土台や床下の木材に影響するおそれがあります。東京都の指針は、通風口に格子がなければ格子や金網を付けるとし、格子のすき間は1cm程度にする例を示しています。農林水産省のマニュアルは、塞ぐ資材として金属や板など丈夫なものを使い、樹脂ネットや薄い合板は壊される可能性があるので使わないとしています。
もう一つの前提は、中に動物がいないことを確かめてから塞ぐことです。農林水産省のマニュアルも、侵入場所が確認できたら塞ぐ前に中にいないことを確認するよう注意しています。閉じ込めると、出ようとして別の場所を傷めるおそれがあります。封鎖の時期は害獣の侵入口はいつ塞ぐのか、材料の選び方は侵入口を塞ぐ材料の確認を参考にしてください。
- 塞ぐ前に、動物が中にいないことを確認する
- 格子や金網は、通気の面積を減らしすぎない目の大きさにする
- 樹脂ネットや薄い合板は使わず、金属や板など丈夫な材料にする
- 換気口の枠と基礎のあいだのすき間は、材料と方法を業者に確認する
床下の湿気・シロアリ対策と同時に相談する場合の注意
床下は、動物の侵入だけでなく、湿気とシロアリの点検も欠かせない場所です。日本しろあり対策協会のQ&Aは、ヤマトシロアリが日当たりの悪い湿気の多い場所に多く、換気の悪い床下では土台や床束などに被害が多く発生すると説明しています。別のQ&Aでは、基礎や束石、土台に蟻道がついていないかを時どき確かめるよう勧めています。換気口がごみや土でふさがったまま放置されたり、全部塞がれたりすると、この条件を悪くするおそれがあります。
換気口の点検では、動物の痕跡と同時に、換気口が詰まっていないか、周りの地面が湿っていないかも見ます。床下の湿気は床下の湿気と害虫対策の手順で確かめ、蟻道のようなものを見つけたときはシロアリ防除の専門業者に相談します。害獣の封鎖工事と、防湿・防蟻の工事を同じ業者に頼む場合は、見積書で作業を分けて書いてもらい、換気口を網にするのか、パッキンを交換するのか、塞ぐのかを図で確認してください。換気を減らす工事になっていないか、換気面積をどう確保するかを尋ねると、判断しやすくなります。
外周を一周する点検手順と、記録の残し方
点検は、床下に潜らず、地面に立って外から行います。外周を一周する間に、換気口の位置と数を簡単な図に書き、見つけたすき間や痕跡に番号を付けて写真と対応させます。次の表の順に進めると、見落としが減ります。床下に入る必要があるかは、点検口からの確認と安全条件を床下点検口から床下を確認する方法で別に判断します。
| 手順 | 見る場所 | 残す記録 |
|---|---|---|
| 1 全体 | 家の外周と換気口の位置・数 | 簡単な配置図、換気口に付けた番号 |
| 2 換気口ごと | 格子・網、枠のすき間、前に置かれた物 | 正面と斜めからの写真、破損の位置 |
| 3 基礎の足元 | 基礎と土台のすき間、配管の貫通部、ひび・欠け | 近接と全体の写真、メジャーを添えた大きさ |
| 4 地面 | 足跡、掘り跡、フン、通路になった草の倒れ | 位置の写真、気づいた日付 |
| 5 勝手口・給湯器まわり | ドア下端、戸袋、配管の引き込み部 | すき間の位置と大きさ |




