ペットがいる家のネズミ駆除は、薬剤より侵入口と餌の管理から

目黒区の資料は、ネズミによる被害の大半は家屋内に侵入させなければ防げるとして、捕まえる・殺すよりも侵入防止をまず第一に考えるよう勧めています。毒餌やわなに頼る方法は根本的な対策ではないとも説明しています。ペットがいる家では、薬剤やわなの数を減らせる点でも、侵入口の封鎖と餌の管理を先に進める考え方が合います。

大阪市旭区は、ペット用のエサもネズミのエサになるとして、動物のエサを出したままにせず、プラスチック製の容器で保管するよう案内しています。京都市や市川市も、ペットのエサは放置せずに片付けるよう勧めています。ただし、食事の間隔や量はペットの健康管理に関わります。必要な餌や水を断つのではなく、保存中の袋、食器まわりのこぼれ、使い終わった包装を確認します。保管の工夫は、ペットフードを含む食品保管の見直し方にまとめています。

常時給餌が必要なら、飼育条件を担当者に最初に伝えます。「夜間も餌が必要」「水槽がある」「通院中で環境変更が難しい」といった事情を共有すれば、その場所を避けた調査や対策を検討できます。餌場を移す場合も、急な変更が可能かを獣医師等に確認してから進めてください。

参考:大阪市旭区|ネズミ対策について

読者の疑問

猫を飼っていればネズミ対策になりますか?

比較ガイド

猫に捕まえさせることを対策計画にはしません。ネズミは食中毒菌などを持ち歩くことがあると目黒区が説明しており、猫がネズミを捕まえたり口にしたりした場合は、猫の状態と接触の内容を獣医師へ相談します。食品管理と侵入経路の確認を先に行います。

ネズミ駆除の方法別に見る、ペットがいる家の注意点

ネズミ対策の方法は、ペットとの関係で注意点が異なります。この節の最後の表に、自治体の案内で触れられている内容を方法ごとに整理しました。どの方法でも、ペットの種類、行動範囲、ケージや水槽の位置を先に決めてから選びます。

殺鼠剤(毒餌)の置き場所

京都市は、小さい子どもやペットのいる家庭では、殺そ剤を誤って食べないよう、また仕掛けに引っかからないよう十分に注意するよう案内しています。市川市は、殺そ剤は他の動物にとっても毒であり、屋外で使うと他の動物に影響を及ぼす恐れがあるため、必ず屋内で使うよう呼びかけています。大阪市旭区も、子どもやペットが誤って食べないよう気をつけると記しています。ペットが届く床や家具の下には置けない、という前提で考えます。

粘着シート・捕そカゴの置き場所

粘着シートや捕そカゴも、ペットが足や体で触れない場所に限って使います。目黒区は粘着板について、ネズミがよく出る場所を限定して壁際に仕掛けるのがコツとしていますが、壁際は猫や小型犬が通る場所でもあります。置き場所を決めるときは、ネズミの捕獲器をどこに置くか、ペットと点検のしやすさで考える方法のように、通り道とペットの動線を同じ図に描きます。回収と点検を誰がいつ行うかも決めておきます。

超音波・においの忌避剤

市川市は、超音波発生器について、人間には聞こえない音でも、音に敏感な子どもやペットが不快に感じることがあると注意を促しています。においでネズミを寄せ付けにくくする方法も、他の動物にとって嫌なにおいであることがあるため、ペットを飼っている人は、においや使用場所に気をつけるよう案内しています。薬剤を使わないというだけで、同じ部屋で飼う動物に問題がないとは判断できません。製品の対象や設置条件は、説明書とメーカーで確認し、機器の確かめ方はネズミ用の超音波などの機器の効果を確かめる方法も参考になります。

ネズミ駆除の方法別に見る、ペットがいる家の注意点:確認項目
方法ペットに関する注意確認すること
侵入口の封鎖薬剤を使わずに進められる。ペットの出入口や換気に使う開口は、用途を確認してから扱う塞ぐ場所、材料、換気口の扱い
殺そ剤(毒餌)他の動物にとっても毒。犬の中毒では、ベイト剤の誤食が多いペットの届かない屋内か、死骸の回収方法
粘着シート・捕そカゴペットが引っかからない置き場所が前提。壁際は猫や小型犬の通り道になる場合がある設置場所、点検と回収の担当
超音波・忌避剤音に敏感なペットが不快に感じることがある。においが他の動物に嫌がられる場合もある同じ部屋で飼う動物の種類、説明書、メーカーへの確認
食品・ペットフードの管理必要な食事と水は保ちつつ、出しっぱなしや食べこぼしを残さない保管容器、給餌の時間、片付けの担当

参考:市川市|ネズミについて

ネズミ用の殺鼠剤は犬猫に危険?誤食と二次中毒の考え方

日本中毒情報センターは、中毒110番に寄せられた犬の急性中毒の動物病院からの相談(過去10年・1,623件)を整理し、家庭用品の殺虫剤と殺鼠剤による急性中毒は、9割以上がベイト(毒餌)剤の誤食だったと報告しています(2015年6月の資料)。毒餌は床など犬が届きやすい場所に置かれることが多いため注意が必要で、身近な食材を使って毒餌を自作することも避けるよう呼びかけています。この資料は犬を対象にしており、猫など他の動物の数字ではありません。

もう一つ見落としやすいのは、ネズミが毒餌を食べたあとです。目黒区の資料は、殺そ剤を食べたネズミがどこで死ぬかは分からないと説明しています。ペットが弱ったネズミや死骸に近づくおそれは、薬剤の置き場所とは別に考える必要があります。環境省関東地方環境事務所の殺鼠剤の整理資料は、第2世代の殺鼠剤は第1世代より、食物連鎖を通じた間接的な影響(毒を食べた生き物を別の生き物が食べることで起こる影響)が大きいことが知られていると記しています。家庭の犬猫に当てはめた数字ではありませんが、毒餌を使うなら成分と置き場所を把握しておく理由になります。

殺そ剤には、短時間で作用する急性毒、数日間食べ続けて効果が出る蓄積毒、その中間型があると目黒区は整理しています。成分名は包装に表記されているため、使う製品の名前と成分、置いた場所、設置日、残量を記録します。ペットに何かあったとき、これらの情報が獣医師への説明に必要になります。

毒餌を使うかどうかは、ペットの種類、留守番の長さ、家族が点検できる頻度で決めます。大阪市旭区は、クマネズミは警戒心が非常に強く殺そ剤を食べないことが多いため、効果が出にくい場合もあると述べています。置いたまま長く放置せず、点検できる範囲に限ります。迷うときは、薬剤を使わない封鎖や、管理できる範囲での捕獲を先に検討し、殺鼠剤と捕獲器の選び方で死骸回収と誤食を比べてください。

参考:日本中毒情報センター|イヌの中毒事故を防ぐために(2015年6月・PDF)

床にいる動物だけを想定しない。ペットの種類別の注意点

対策用品の置き場を検討するときは、床だけでなく、猫が上る棚、小動物の散歩範囲、鳥の放鳥範囲も地図へ入れます。ケージにいる間は届かなくても、掃除や移動中に近づくことがあります。家族がいつ開放するかまで共有し、「普段は行かない場所」を安全の根拠にしないようにします。

観察記録例は「台所西側に粒状物。犬の食器は東側。夜は廊下まで移動。ネズミ用の製品は未使用」です。すでに設置している場合は、商品名、設置日、場所、残量などを記し、パッケージも保存します。業者が知らずに別製品を追加することを防ぐため、訪問前に伝えます。ゴキブリやダニなどの害虫駆除でも同じ整理が必要なので、ペットがいる家の害虫駆除で施工前に伝えることも参考にしてください。

床にいる動物だけを想定しない。ペットの種類別の注意点:確認項目
家庭の条件見落としやすい場所相談内容
犬・猫がいる食器周辺や家具の上届く範囲と作業中の居場所
小動物を飼うケージの下・散歩場所対象動物と製品の使用可否
鳥・魚等を飼う放鳥範囲・水槽周り作業の影響と移動の要否
留守番が長い人がいない時間の行動範囲用品の管理と異常時の連絡
複数の動物がいる部屋ごとの居場所の違い部屋ごとに使える方法を分ける

ペットが誤食・接触したかもしれないとき、まず連絡すること

毒餌や殺鼠剤、粘着シート、ネズミの死骸にペットが触れたり食べたりした疑いがあるときは、様子を見て決めるより先に、かかりつけの動物病院へ連絡します。夜間や休診日の窓口を、あらかじめ確認しておくと慌てずに済みます。日本中毒情報センターの2015年の資料は、ペットの誤飲・誤食の緊急時の問い合わせ窓口として中毒110番(一般専用電話)を案内しています。受付の範囲は変わることがあるため、電話の前に同センターの案内で確認してください。

連絡のときに伝える内容は、製品の名前、会社名、食べた(触れた)可能性のある量、時刻、現在のペットの様子です。製品の包装があると、成分の確認が早くなります。治療や応急の対応は獣医師の指示に従い、家族の判断でペットに薬を与えたりしないでください。

ペットが誤食・接触したかもしれないとき、まず連絡すること:確認項目
伝える項目具体例準備しておくと役立つもの
ペットの情報犬・猫などの種類、年齢、体重かかりつけ病院の診察券
製品の情報製品名、会社名、用途、成分名包装、説明書、購入時の記録
状況置いた場所、食べた量の見込み、時刻設置日と残量のメモ
現在の様子元気や食欲、吐いたかどうか、排泄の様子様子を記録したメモや写真

参考:日本中毒情報センター|イヌの中毒事故を防ぐために(2015年6月・PDF)

害獣駆除でもペットの安全を。野生動物との接触と捕獲の制限

天井裏や床下にハクビシン、アライグマ、イタチなどの害獣がいる場合も、ペットがいる家では同じ整理が必要です。中野区は、ハクビシンとアライグマは狩猟鳥獣に当たり、許可なく一般市民が捕獲することは禁止されていると説明しています。練馬区も、卵やヒナを含めた野生鳥獣は許可なく捕獲・殺傷できないと案内しています。ペットを守るために自分で捕獲器を仕掛けたり毒餌を置いたりせず、自治体や許可を持つ専門業者へ相談します。

接触にも注意が要ります。厚生労働省は、野生動物はどのような病原体を持っているか不明なことが多く、人にとって重篤な感染症の病原体を持つ可能性があると説明し、ペットについても、咬まれたり引っ掻かれたり、排泄物に触れた手を口へ持っていったりして、人にうつることがあるとしています。中野区も、野生動物にはダニやノミが寄生していて、咬まれたり引っ掻かれたりした傷口から病気に感染することがあるため、素手で触れないよう呼びかけています。野生動物とペットが接触した疑いがあるときは、家族への感染予防とペット自身の健康の両面から、獣医師へ相談します。

中野区は、ハクビシンやアライグマが市街地で、庭や家庭菜園の果実、ペットの餌や残飯、生ごみを食べて生きていると説明し、飼い主のいない猫への置き餌も食べ物になると注意しています。屋外でペットに食事を与える場合は、食べ残しを置いたままにしません。家の床下に住み着かれた場合、練馬区は、動物がいなくなってから侵入口をふさぎ、捕獲を希望するなら捕獲許可を持つ専門業者へ相談するよう案内しています。

害獣駆除でもペットの安全を。野生動物との接触と捕獲の制限:確認項目
状況ペットの安全のためにすること自分でしないこと
天井裏・床下から物音がするペットを音のする部屋へ近づけず、痕跡を写真で記録する捕獲器や毒餌を自己判断で仕掛ける
庭や玄関前で野生動物を見かけた散歩の時間や経路を見直し、ペットを近づけない餌を与える、素手で触れる
庭やベランダに餌・生ごみがあるペットの食べ残し、生ごみ、落ちた果実を片付ける屋外へ置き餌を続ける
ペットが野生動物に近づいた疑い接触の状況をメモして獣医師へ相談する野生動物の死骸やフンに素手で触れる

参考:中野区|近所でハクビシンやアライグマを見つけましたが、どうしたらいいですか?

業者に頼むときは、ペットの管理者と戻す条件まで決める

訪問予定が決まったら、作業する部屋、換気、ケージや水槽を動かす必要、ドアの開放を確認します。ペットがいることだけでなく、何匹で、どの部屋にいて、誰が移動させられるかを伝えます。退避が必要と言われた場合は、理由と時間の目安、戻せる条件を具体的に聞いてください。

作業後は、用品の設置場所と立入条件を家族全員が分かる形で残します。食器や餌袋を戻してよい場所も確認し、ペットの様子と新しいネズミの痕跡を別々に記録します。被害が続いた場合も自分で薬剤を追加せず、現状を担当者へ返し、飼育条件を維持できる方法に調整します。

国民生活センターは、害虫・害獣駆除のトラブルとして、不安をあおって契約を急がせる勧誘や、交付される書面に具体的な内容が書かれていない例があると注意を促しています。ペットがいることを理由に、薬剤の種類や追加工事が増える場合は、その理由と総額を書面で確認し、複数社の見積もりと比べます。

参考:国民生活センター|害虫・害獣駆除のトラブルにご注意